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町田康

著者情報
著者名:町田康
まちだこう
マチダコウ
生年~没年:1962~

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このランキングは1日1回更新されます。
      告白
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
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      • 明治26年、河内国石川郡赤阪村字水分。
        金銭・交際トラブルによって実際に起きた「河内十人斬り」をモチーフにした作品です。
        その主犯である、城戸熊太郎の一生が描かれています。

        熊太郎には幼い頃からの思弁癖があり、周りの人たちと上手くやれないのはその思弁を表現する言語を持たないことが原因なのかと悩みます。
        町田さんの豊かな表現力が至る所に散りばめられており、この表現も、作中で蛇穴に落ちたエピソードと絡めておもしろく書かれています。

        -頭のなかでいろんな考えが渦巻いて、それが言葉をともなって口から出ていかないから、思いは不快に曲がりくねって、御所の蛇穴の蛇みたいなことになっている。

        百姓仕事や恋愛といった、他の村の青年が安々とこなしていることができない葛藤。
        上手くいかないのは人のせいにし、騙され、良い格好しいで、どうにもならなくなったらポンっと爆発してしまう。
        爆発後、まずかったのではないかとまた悩む。
        最後まで優柔不断。
        共犯の谷弥五郎は同じ博打打ちですが、こちらは世の中を渡る術を身につけています。
        熊太郎の不器用な生き方は、時々自分自身を投影しているようでドキっとさせられます。
        大問題を起こさないよう生きる術を身につけているつもりですが、熊太郎みたいなところあるでしょう?と言われると否定することはできません。

        700頁弱ととても長いストーリーでしたが、波に乗ると読むスピードが加速。
        とにかく町田さんの独特の言い回しや言葉のリズムがおもしろかったです。
        税所篤が遺跡発掘マニアと言われてて、笑いをこらえきれませんでした。
        あと葛木ドールとモヘア兄弟のネーミングセンスが抜群です。
        この二人もなんだったんだろう。
        こうなってしまった根本的な原因は葛木ドールを殺したからだと、そう思いこむことで自分自身を守っていたのでしょうか。
        熊太郎が一生のうちで一番輝いていたときは盆踊りを踊っていた場面なのかな。
        こちらも町田さんのリズム感が心地よく、心に残りました。
        >> 続きを読む

        2017/05/14 by あすか

    • 他1人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      くっすん大黒
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 3年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。
        誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます。
        日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作。

        第19回(1997年) 野間文芸新人賞受賞
        第7回(1997年) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞

        巷で「おもしろい」と異様とも思えるほど評判がいい純文学(これは純文か?)は、実際に読んでみると評価が分かれるところです。
        特に、この「くっすん大黒」は、洒脱な文章、独特の語り口、軽妙な文章のリズム、登場人物たちの個性のアクの強さ…などがウケて、一部の熱狂的な町田康ファンをつくり上げているのだと思います。
        僕的には、この小説の取り柄らしきものは、それだけ。
        それだけでは物足りない、小説としてはいかがか、と思い評価を低くしました。

        書き始めの設定からありきたり。
        女房に逃げられて、アル中寸前の男が、金もなく、うち捨てられています。
        しかし、本人には、その状況に危機感はなく、むしろ、積極的にその状況を楽しもうとする気配さえあるよう。
        日がないちにち、部屋でころがったり、酒を呑んだり、鏡を見たり、酒を呑んだりしているうちに、どうにも部屋の隅に横たわる大黒さまが気に障り、これを捨てに行こうと思い立ちます。

        物語の前半部は、部屋から30分ほどかかる最寄りの駅までの道中、どこへこの大黒を捨てるか、逡巡しながらの道中を描きます。

        今までは気にしていなかった古本屋の存在に驚いて入店すると、太った中年女の店番に気味の悪い言葉を投げかけられたり。
        駅前のプランターに大黒さまを捨てようと、プランターの中のゴミを整理しているところを警官に咎められたり。

        ちょっと読書好きな人なら、書けそうな文章です。
        表現や言葉遣いがちゃんとしていなくて、関西弁や「」配置の仕方、主人公の思考回路のキテレツさだけで、読者にほのかな笑いを与え、それだけで(!)前半部を終わらせた感があります。

        後半は、ふと思いつき、年下の知り合いのところへ転がり込み、また先鋭的な映像作品の制作者を崇拝する幾人かのグループのドキュメンタリー番組を手伝うことになって、物語が急展開してゆくのですが、主人公の日常に突発的に異物が混入したきただけの話しで、主人公のキテレツな思考をさらに紹介するために、著者がぶっこんできた非日常というのが明け透けで興ざめです。
        こんな後半部になるなら、前半のどうしようもないダラダラを最後まで貫き通して欲しかったと思いました。

        私小説に近い作風といえると思いますが、これなら、西村賢太さんの著作の方がずいぶんと文学作品としての質も良く、自虐的な笑いの部分も数段優れていると言えるでしょう。
        タイトル奇を衒っての不発感ありあり。

        それから、僕があんまり、許せなく感じたのは、大黒さま(別に大黒じゃなくても弁天さまでも、布袋さまでも)を捨てに行こうと思い立ったという、小説を書こうとしている素人の方々でも思いつくようなありきたりな設定を、文章の軽妙さとか、目新しさだけで、一本の小説に仕上げ、発表したことです。
        話題性を狙った出版社の暴走ぶりが窺えて嫌です。
        特に、後半部は、前半を独力で書いた著者だけでは書けなかったと思ったのは、穿ちすぎでしょうか。
        アイディアとか、ストーリー展開とか、登場人物たちに、編集者の影が見え隠れするような気がします。
        別に作者と担当編集者が二人三脚で作品を仕上げることを、よしとしていないわけではないのですが、ごく普通の新人作家であったなら、そこまで力を注いだだろうかと、そこまで考えてしまうと、世に出る才能にさえも不平等があるものだと、腹立ちに近いあと味の悪さは残ります。

        調べてみると、やっぱり芥川候補作。
        選ばれなかったからよかったものの(ちなみに、その時の受賞作は、柳美里さん「家族シネマ」、辻仁成「海峡の光」)、話題先行の意図が窺える事実だとは思います。

        高尚な文学作品ばかり読んでらっしゃる方には、目新しく、おもしろく感じられる方がいらっしゃるかもしれませんが、普段から底辺小説をしっかり押さえている僕には、まさにエセ無頼派小説。

        と、ここまで書いて、デビュー作だけで判断するのはいかがなものかと、反省もあるので、もう数作読んでみようと思います。


        表題作だけでは、なんか本に申し訳ないな…と思い、もう一本の中編『河原のアバラ』も読んでみましたが、やっぱり合わないですね。
        いきあたりばったりの仕事には、プロらしさが感じられない。
        ただただ、軽妙、リズムある文章、突拍子もない出来事、人物があるだけ。
        妄想の類を書き連ねた、作文。
        う~ん…もう一作、読むにしても少し先になりそうです。
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        2015/09/06 by 課長代理

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      実録・外道の条件
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • しゃべり言葉が多用されていて癖のある文章でした。
        正幼稚な口語の語り口だけではなく、ところどころから垣間見えるキレのある文章の温度差があって面白かったです。
        笑える部分もあり、最後まで飽きずに読むことができました。

        ただ主人公が様々な理不尽(外道)に振り回されつつ、それを冷静に判断し愚痴をこぼしていくだけの話。
        ああ、確かにこんな感じのうざい人いるよねーと共感してしまうこと多かったです。

        自身を主人公にした小説。
        小説と銘打っておきながらフィクションではない内容もあるのかなと想像してしまいました。
        >> 続きを読む

        2015/05/21 by mokoko

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      パンク侍、斬られて候
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! KEMURINO
      •  鬼才町田康の歴史長編。

         たまには変わり種でもよんでみるか、と手に取ったのがこの小説。

         一言で言えば、ぶっとんでます。

         常人ならこんなもの思いつかないし、思いついたとしても書いて発表するなんて絶対しないでしょう。これを読んで絶賛する人も同様にネジが飛んでるとしか思えません。しかし、私を含めこの作品を絶賛する人のなんと多いことか……。

         登場人物達はみな頭のおかしい人ばかりで、ストーリーは彼らを振り落とす勢いで疾走し、読者のキャパを完全にぶっちぎっていきます。
         でも同時に、彼らにはまるで知り合いのように親しみを覚え、作中の出来事にはデジャヴすら感じてしまうのです。

         現代人への強烈な皮肉を、何重にもオブラートに包んでにこやかに渡されているように感じます。

         裏表紙には「圧倒的な才能で描かれる諧謔と風刺に満ち満ちた傑作時代小説!!」とあります。この文句は確かに的確で、考えた方には賛辞を贈るべきだと思います。それでも、この小説を形容しきれてはいません。強いて言うならば「ジャンル 町田康」とでも言いますか、文学という枠に喧嘩を売りながらも最高の文学であるように思います。

         ぶっとんだものを読みたいならこれ以上のものはないと言える一冊です。
        >> 続きを読む

        2014/08/25 by あさ・くら

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      猫にかまけて
      4.0
      いいね!
      • 町田康という人は自虐的な奴である。
        たぶん拙者と同じナルシストである。

        町田という人は自分で『あひゃひゃひゃひゃ』と書いておきながら読み手には絶対『あひゃひゃひゃひゃ』とは笑わせない。
        せいぜい笑って『ふ・・・・』である。
        自己完結の自己満足の笑いが好きなのである。
        拙者とまったく同じである(笑)←こういう(笑)の文字とか特に。

        油断していた。

        町田康という奴は卑怯である。

        ココア、ケンゾー、ヘッケ、ナナの4頭(匹ではない)の猫達と町田あるいはその妻との日々のあれこれである。

        4頭の猫になり代わり町田が彼らの台詞を書き綴るのであるが、その視線は人間、猫あるいは飼い主、ペットを越えた生き物同士なのである。町田の度を越した猫好きが良くわかるのである。
        (ま、大体が猫好きな人間は猫が好きという事に関しては、皆が皆度を越しているものではあるが)

        話の中でその4頭の中のケンゾーとヘッケにお別れの時が来るのである。しかし、町田は彼らの最期を看取ろうとしないのである。見たくないのである。彼らは町田の友であり仲間であるからなのである。ペットは家族と同じという視点で彼らとつきあっていないところが町田らしいといえばそうなのかも知れないのであるけれど。それどころか町田は『仕事にかまけて』彼らの傍を離れようとするのでる。彼の妻へそれを託しながら涙し悶絶し、そして再び三度彼らの傍に寄り添い離れ、途方に暮れるのである。まさしく同じ時間を一緒に生きている仲間同士の別れの心情なのである。

        だから
        町田康という奴は卑怯なのである。
        そういう事を自分で書いておいて人に読ませるのである。
        『あひゃひゃひゃひゃ』な作家だと油断させておいて、この様な一冊を書いて知らぬ顔をしているのである。

        油断も隙もあったもんではないのである。

        ま、人の事を悪く言える身分ではないが。
        >> 続きを読む

        2012/11/22 by <しおつ>

      • コメント 8件
    • 4人が本棚登録しています
      きれぎれ
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 「夫婦茶碗」「くっすん大黒」に比して明らかに枯渇しているが、むしろそのお陰で芥川を獲れた、という印象。 >> 続きを読む

        2015/10/14 by aaa

    • 4人が本棚登録しています

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