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町田康

著者情報
著者名:町田康
まちだこう
マチダコウ
生年~没年:1962~

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このランキングは1日1回更新されます。
      告白
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
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      • 河内音頭の演目でもある「河内十人斬り」を題材にした大作。

        事件の主犯でもある城戸熊太郎がいかにして大量殺人に至ったのかの経緯を明かしていく。

        町田さんの作品は初見だったが、不思議なリズムを刻むかのようにのめり込ませていく。

        最初はそのページ数に手を付けにくいが、一旦ハマるとスラスラ読めるし、熊太郎のいら立ちや心の葛藤が周りの人物とのバランスを欠いていく様が、時に止めとけよと言いたいし、やれやれという箇所まで。

        ラストは決まっているのだが、自分の想いがこうも伝わらないものかという、もどかしさが事件の大きさと共に証明されているような。
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        2020/07/10 by オーウェン

    • 他3人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      くっすん大黒
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 【ダメ~な男たちの不条理な物語】
         あちこちで評価の高い作品なので、いつか読んでみようと思っていた一冊です。
         表題作と『河原のアパラ』の2作を収録しています。

         『くっすん大黒』は、楠木というダメ男が主人公。
         働きもせず、酒浸りの生活に明け暮れているうちに、妻に夜逃げされてしまいます。
         しかも、家中の金目のものをごっそり持ち去られる体たらく。
         何気なく家の中を眺めていたところ、何とも不景気そうな大黒の置物が目に留まります。
         この置物、すぐに倒れてしまうバランスの悪さ。
         見ているうちに不愉快になってきて、こいつを捨ててしまおうと持ち出すのです。

         適当な捨て場所を探してふらふら歩いているのですが、人目もあってなかなか捨てられません。
         思いついたのは、数少ない友人の菊池に押し付けてしまおうという身勝手な考え。
         菊池に大黒を買わせれば金も手に入るというわけです。
         とにかく菊池に大黒を押し付けることに成功し、また、菊池の家に転がり込んでグダグダな生活を続けるのですが、遂に菊池も金がなくなります。

         仕方なく、菊池が紹介されてきた古着屋のバイトを交代で勤めることにしたのですが、この古着屋がとんでもない店であります。
         古参の店員らしいいっかな働こうとしない吉田というおばさんや、店の常連客らしいチャアミイなるどこかおかしいおばさんに振り回され、バイト代として勝手にレジから4000円持ち出した楠木は、これはヤバいバイトだからお前も行くなと菊池に宣言します。

         しかし、妙なところに律儀な菊池は翌日バイトにでかけるものの、どうも吉田とチャアミイに手籠めにされたらしく、呆然となって帰ってきます。
         しかも、履歴書なんて提出したらしく、家も二人に割れており、さっそくチャアミイから電話がかかってくる始末。
         身の危険を感じた楠木と菊池は、今度は楠木の家に逃げ込むのです。

         そこへかかって来たのが謎の電話。
         電話に出た菊池の話は要領を得ないのですが、何か仕事を依頼してきた電話でもありそうです。
         金が無い二人は待ち合わせ場所に出かけ、そこで映画製作の仕事をゲットします。
         誰だかわからない上田なる前衛芸術家(?)のドキュメント映画を製作するという話らしく、過去にちょい役でしょぼい映画に出演した経験のある楠木にレポーター役が回って来たというわけです。
         なんだか分からないけれど金にはなることから、二人はこの仕事を受けるのですが……。

         という、なんともつかみどころのない、また、不条理な展開を見せる物語です。
         もう一編の『河原のアパラ』も同様の作品で、とにかく出てくる男がダメな奴ばかり。
         全編に漂う貧乏くささ。
         脈絡なく展開していくプロットは、どこかつげ義春的な世界を思い出させます。

        そんな話、面白いか?と思われそうなレビューになってしまっていますが、独特の文体とも相まって、非常に強烈な印象を残す作品なのです。
         だから何なんだ?と言われてしまうと身も蓋もないような話なのですが、独特な魅力を感じます。

         そうそう、タイトルの意味ですが、これ、最初は泣いている大黒の意味なのかな?と思ったらそうではありませんでした。
         作中で、菊池が楠木のことを突然『くっすん』というニックネームで呼ぶシーンが一か所だけあって、しかもそのニックネームは定着せずに置き去りにされてしまうのですが、そこからのネーミングでしょう。
         つまり、くっすん(楠木)の大黒。
         でも、大黒自体、菊池の家に置き去りにされたまま、その後のプロットにはまったく関係してこないのですけれどね。
         いや、癖のある、それでいて、何とも言われぬ味のある作品でした。


        読了時間メーター
        □□      楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)
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        2020/12/02 by ef177

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      パンク侍、斬られて候
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! KEMURINO
      • 最初からぶっとんでいました。でも最後は身悶えするほどかっこよくてずるいです!

        2018/12/15 by せぴあ

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      きれぎれ
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
      いいね!
      • このまえWikipediaの純文学で例示されてい町田康の作品はなくて、かわりに読みだしたのがこれ。期待していたのだが、もひとつかな。文学っぽくはあるんだが、自分には合わないのかな。52ページでドロップ。 >> 続きを読む

        2020/02/29 by 和田久生

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      猫にかまけて
      4.0
      いいね!
      • 特に犬派でも猫派でもないし、ペットもいない。が、愛猫家の町田氏がずいぶん前に発表した猫随想を読んだ。

        我の強さ、理不尽かつミステリアスな習性と性格に満ちた猫たちに驚愕し、手を焼きながらも、かまけてしまう心理描写がとてもおもしろい。

        病に伏し、変わり果ててゆく愛猫に傷心、奮闘、慈しむリアルな闘病と臨終にもきちんと向き合っている視線が胸を打つ。

        おりしも世は空前の猫様ブーム。人はなぜ猫に惹かれるのだろうか?

        クールかつ淡々、飄々と日々を送るその生き様は、人間界より清く力強く、頼もしく見えてくる。人は猫に一つの「人格」を見いだして、価値観や自由度を育み、生き抜く免疫を分け与えてもらっているように思えた命の書。
        >> 続きを読む

        2017/12/02 by まきたろう

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      実録・外道の条件
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • しゃべり言葉が多用されていて癖のある文章でした。
        正幼稚な口語の語り口だけではなく、ところどころから垣間見えるキレのある文章の温度差があって面白かったです。
        笑える部分もあり、最後まで飽きずに読むことができました。

        ただ主人公が様々な理不尽(外道)に振り回されつつ、それを冷静に判断し愚痴をこぼしていくだけの話。
        ああ、確かにこんな感じのうざい人いるよねーと共感してしまうこと多かったです。

        自身を主人公にした小説。
        小説と銘打っておきながらフィクションではない内容もあるのかなと想像してしまいました。
        >> 続きを読む

        2015/05/21 by mokoko

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      告白
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 湊かなえさんによる同じ作品名の方のレビューを書こうかなと思ったら、既に多くの方のレビューがあったので、それならばということで、町田康氏の本書を書くことにしました。

        数年前に図書館で借りた本書は、かなりの厚さのハードカバー。返却日までに読み終えるかなという不安もありましたけど、いや~面白くて、自分でも驚くくらいの早さで読み終えたんですよ。

        1983年大阪で実際に起きた"河内十人斬り"と呼ばれ、その後発見河内音頭でも歌われるくらい有名になった連続殺人事件を描いています。

        実際は女性や子供までも被害者になっているので、それらの出来事を描いた本書を面白いという言葉で評するのはどうかと思いますけど、町田氏の独特の文体はユーモアもあり、のらりくらりといつの間に読まされてしまう変な魅力があるんですよね。

        町田氏が芥川賞を受賞前後にテレビに出演した際、ミュージシャン時代と作品から受ける印象と違い、司会者だけでなく一般の方の質問にも真摯に答える姿が今も印象に残っています。

        なので、本書は文庫本でもかなりの威圧感があって、なかなか手に取りにくいかと思いますが、本書ではなくても、町田氏の作品は一度でも良いから読んでほしいと思うのです。

        因みに町田氏が出演した同じ番組には、別の回にこれまた同じく某芥川賞作家も出演してましたが、一般の方の質問にはあまり良い表情を見せなかったことも印象に残っており、以来その作家の作品は読まないと決めましたとさ。

        その作家が誰なのかは、僕のみぞ知る😄





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        2017/10/30 by アーチャー

      • コメント 2件
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      パンク侍、斬られて候
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • 町田康の初の本格長編小説にして時代小説の「パンク侍、斬られて候」を読書の悦びに浸りながら、読み終えました。

        町田康のこの作品にある「にた。と笑った。」というような破調の文体は、一見、計算され尽くしているようにみえるけれど、これは恐らく著者の生理に基づくリズムだろう。

        いかにも時代小説風な言葉と、現代の言葉が混在するデタラメさもまた、町田康という作家の言語感覚上でのリアルに根差したものに違いない。

        それは言ってみれば、町田康にとっての自然なのであり、その己の野蛮な自然を、理性肥えした世間に平気で放り出す益荒男ぶりは、「最悪のものを作るまいという恐れ」とは真反対の心性によるものであり、ゆえにこの小説は、「うまくできたものの類のなかの凡庸」と対極にある「最高のもの」になり得ているのだと思う。

        掛十之進という浪人(パンク)侍を狂言回しにしたこの小説は、黒和藩内の日本株式会社の縮図めいた権力抗争を背景に、「腹ふり党」という奇妙奇天烈な宗教団体の蔓延と反乱を描き、終章、何万もの無思慮、無分別、無教育、無教養、無思想の珍妙な風体の生き腐れみたいな人間と、何万もの猿軍団が阿鼻叫喚地獄めいた殺戮闘争に突入する、ハチャメチャな物語になっているのだ。

        そして、ハチャメチャのくせしてメチャクチャ思想的なのだ。
        例えば、脱力を伴うような腹踊りを集団で行なう「腹ふり党」。

        「腹ふり党の党員達はこの世界は巨大な条虫の胎内にあると信じています。彼らにとってこの世界で起こることはすべて無意味です。彼らが願うのは条虫の胎外、真実・真正の世界への脱出であり、その脱出口はただひとつすなわち条虫の肛門で」

        「基本的には『腹ふり』を行うことによって人々は真正世界へ脱出することができ」る。
        というのも、条虫はこういったバカ騒ぎが何よりな苦手なので、「腹ふり党員達を胎外に糞として排出しようと」するからなのだ。

        無意味な踊りを弾圧しようとすれば、それは条虫の苦悶のしるしと受け取って、党員達は益々喜んで腹をふる始末。
        しかも、その途中で斬られて死んだりしても、それは「おへど」と呼ばれ、真正世界を垣間見る至福と見なされるので、気に入らない人間を殺しても党員間の中では罪に問われないのだ。

        つまり、この「腹ふり党」は、危険思想の温床なのだ。
        こうして、著者はこの宗教が蔓延していく背景に「ボクボク病」を置く。

        今ある平凡な自分は、本当の自分ではないという、いかにもありがちな"自分探し症候群"に冒され、かけがえのないボクが死んでしまったら、この世界も消滅し、面白おかしく生きられないのは自分に努力が足りないからではなく、そうさせてくれない世界が間違っており、相手にも感情や意志があることを解さず、自他の区別がつかない幼児的な態度を貫く、現代日本では年齢の高低にかかわらず、有象無象と存在する"ボク"。

        そんな小さなボクからおさらばするには、どうすればいいのか?
        「腹ふり党」みたいな落とし穴を回避するには、どんな思想をもって対抗すればいいのか?

        その暫定的な回答を、著者はこの本の中に用意している。
        だが、それすらパンク侍の町田康は-------。

        世間の良識には従わない野蛮な自然を内に育てる作家・町田康の、この「パンク侍、斬られて候」は、最高傑作だと思う。

        言語感覚、諧謔性、現代批評眼、思想と空想の飛躍、そのすべてにおいてスケールの大きな大傑作だと思いますね。

        >> 続きを読む

        2019/01/29 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています

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