こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


町田康

著者情報
著者名:町田康
まちだこう
マチダコウ
生年~没年:1962~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      パンク侍、斬られて候
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! KEMURINO
      • 最初からぶっとんでいました。でも最後は身悶えするほどかっこよくてずるいです!

        2018/12/15 by せぴあ

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      告白
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • すごい小説だった。久しぶりに「すごい」と思える小説を読んだ。どうしてもっと早く読まなかったんだ町田康。いや、『猫にかまけて』シリーズのエッセイは読んでいて(猫好きにはたまらないエッセイ!)、よし小説もと思って読んだのが芥川賞をとった『きれぎれ』で、これが全然ダメだった。読み続けられないくらい合わなくて、ああこの人の小説は私にはダメなのかなあと思ってしまっていた。
        しかしこの『告白』はすごかった。800ページ以上あるのにほぼ一気読み。もちろんそれは、類稀な疾走感をもつ町田康の文体のなせる技であることは間違いない。

        物語は、明治時代に実際に起きた「河内十人斬り」事件をモチーフにしている。この事件、河内音頭のスタンダードナンバーにもなっているそう。河内音頭についてはまったく詳しくないのだけれど、町田康が河内音頭や河内弁のリズムをベースに文体を練り上げていることはよくわかる(彼は大阪府堺市生まれ)。そしてこの物語はそうした「河内のリズム」なくしては成立し得ないものであることも。この作品の「すごさ」の第一は、小説、文学というものが第一に「文体」=「言葉』であることを再確認させてくれたところにある。

        そしてもちろん、テーマ。この作品のテーマは「自己とは何か」ということだと思う。作品紹介などにはテーマは「人はなぜ人を殺すのか」と書かれているが、主人公の熊太郎が(最終的に)殺人を犯すという外面的なストーリーの内側で延々と紡がれているのは「自分と世界との乖離」ということである。
        自分と世界との乖離!それはまさしく「厨ニ病」のテーマではないか!というか、私自身が十代の頃に散々悩みまくった問題であり、おそらく多くの現代人が散々悩みまくった/今も悩みまくっているテーマに他ならず、つまりそれは普遍的な人間のあり方、「自己とは何か」を扱った小説なのである。

        だからハマる。明治時代の、河内地方の、ほとんど働きもせず博打と酒と女に明け暮れてるオッサンの話なのに、まるで自分の話であるかのようにハマる。このハマり具合は、やはり十代の頃に太宰にハマった時と同じだ。あの時はこう思った「もう50年早く生まれていれば太宰と心中したのは私だ」。うわー、黒歴史。恥ずかしい。もちろんとっくに太宰が死んだ年すら越えたおばさんである今の私は、「明治時代に男に生まれてたら熊太郎だったかも」などとは思わない。もう少し大人の目線で読める(それがいいことなのかどうかはわからない)が、自分と世界が「一直線で繋がっていない感じ」はものすごくよくわかるし、そのために色々素っ頓狂な、しなくていいことをしてしまう熊太郎の行動も理解できるし、不幸にも時代と場所と条件が揃ってしまったらそれが殺人に結びついてしまう必然性も納得できる。

        そう、町田康がうまいのは、これほど普遍的な、見ようによってはある意味「手垢にまみれた」テーマを扱っていながら、それを明治時代の事件に仮託しているところだ。現代に置いて「物語」が成立するためには、太宰がやったようなむき出しの私小説ではなかなか難しくて、やはりそこに一定の「仕掛け」が必要なのだ。町田康がその金脈を掘り出すことができたのは、もちろん彼がこの「河内音頭のスタンダードナンバー」を血肉にしていることと無関係ではないだろう。そしてその「仕掛け」をここまでの文学に昇華し得たのは、町田康が「第一級の小説の作り手」であるからに他ならない。

        いや、書いても書いても言葉が止まらない。こんな小説、こんな作家久しぶりに出会った。もう少し町田康の世界を歩いてみようと思う。
        >> 続きを読む

        2019/08/22 by 室田尚子

    • 他2人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      きれぎれ
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
      いいね!
      • このまえWikipediaの純文学で例示されてい町田康の作品はなくて、かわりに読みだしたのがこれ。期待していたのだが、もひとつかな。文学っぽくはあるんだが、自分には合わないのかな。52ページでドロップ。 >> 続きを読む

        2020/02/29 by 和田久生

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      猫にかまけて
      4.0
      いいね!
      • 特に犬派でも猫派でもないし、ペットもいない。が、愛猫家の町田氏がずいぶん前に発表した猫随想を読んだ。

        我の強さ、理不尽かつミステリアスな習性と性格に満ちた猫たちに驚愕し、手を焼きながらも、かまけてしまう心理描写がとてもおもしろい。

        病に伏し、変わり果ててゆく愛猫に傷心、奮闘、慈しむリアルな闘病と臨終にもきちんと向き合っている視線が胸を打つ。

        おりしも世は空前の猫様ブーム。人はなぜ猫に惹かれるのだろうか?

        クールかつ淡々、飄々と日々を送るその生き様は、人間界より清く力強く、頼もしく見えてくる。人は猫に一つの「人格」を見いだして、価値観や自由度を育み、生き抜く免疫を分け与えてもらっているように思えた命の書。
        >> 続きを読む

        2017/12/02 by まきたろう

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      くっすん大黒
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!
      • 3年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。
        誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます。
        日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作。

        第19回(1997年) 野間文芸新人賞受賞
        第7回(1997年) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞

        巷で「おもしろい」と異様とも思えるほど評判がいい純文学(これは純文か?)は、実際に読んでみると評価が分かれるところです。
        特に、この「くっすん大黒」は、洒脱な文章、独特の語り口、軽妙な文章のリズム、登場人物たちの個性のアクの強さ…などがウケて、一部の熱狂的な町田康ファンをつくり上げているのだと思います。
        僕的には、この小説の取り柄らしきものは、それだけ。
        それだけでは物足りない、小説としてはいかがか、と思い評価を低くしました。

        書き始めの設定からありきたり。
        女房に逃げられて、アル中寸前の男が、金もなく、うち捨てられています。
        しかし、本人には、その状況に危機感はなく、むしろ、積極的にその状況を楽しもうとする気配さえあるよう。
        日がないちにち、部屋でころがったり、酒を呑んだり、鏡を見たり、酒を呑んだりしているうちに、どうにも部屋の隅に横たわる大黒さまが気に障り、これを捨てに行こうと思い立ちます。

        物語の前半部は、部屋から30分ほどかかる最寄りの駅までの道中、どこへこの大黒を捨てるか、逡巡しながらの道中を描きます。

        今までは気にしていなかった古本屋の存在に驚いて入店すると、太った中年女の店番に気味の悪い言葉を投げかけられたり。
        駅前のプランターに大黒さまを捨てようと、プランターの中のゴミを整理しているところを警官に咎められたり。

        ちょっと読書好きな人なら、書けそうな文章です。
        表現や言葉遣いがちゃんとしていなくて、関西弁や「」配置の仕方、主人公の思考回路のキテレツさだけで、読者にほのかな笑いを与え、それだけで(!)前半部を終わらせた感があります。

        後半は、ふと思いつき、年下の知り合いのところへ転がり込み、また先鋭的な映像作品の制作者を崇拝する幾人かのグループのドキュメンタリー番組を手伝うことになって、物語が急展開してゆくのですが、主人公の日常に突発的に異物が混入したきただけの話しで、主人公のキテレツな思考をさらに紹介するために、著者がぶっこんできた非日常というのが明け透けで興ざめです。
        こんな後半部になるなら、前半のどうしようもないダラダラを最後まで貫き通して欲しかったと思いました。

        私小説に近い作風といえると思いますが、これなら、西村賢太さんの著作の方がずいぶんと文学作品としての質も良く、自虐的な笑いの部分も数段優れていると言えるでしょう。
        タイトル奇を衒っての不発感ありあり。

        それから、僕があんまり、許せなく感じたのは、大黒さま(別に大黒じゃなくても弁天さまでも、布袋さまでも)を捨てに行こうと思い立ったという、小説を書こうとしている素人の方々でも思いつくようなありきたりな設定を、文章の軽妙さとか、目新しさだけで、一本の小説に仕上げ、発表したことです。
        話題性を狙った出版社の暴走ぶりが窺えて嫌です。
        特に、後半部は、前半を独力で書いた著者だけでは書けなかったと思ったのは、穿ちすぎでしょうか。
        アイディアとか、ストーリー展開とか、登場人物たちに、編集者の影が見え隠れするような気がします。
        別に作者と担当編集者が二人三脚で作品を仕上げることを、よしとしていないわけではないのですが、ごく普通の新人作家であったなら、そこまで力を注いだだろうかと、そこまで考えてしまうと、世に出る才能にさえも不平等があるものだと、腹立ちに近いあと味の悪さは残ります。

        調べてみると、やっぱり芥川候補作。
        選ばれなかったからよかったものの(ちなみに、その時の受賞作は、柳美里さん「家族シネマ」、辻仁成「海峡の光」)、話題先行の意図が窺える事実だとは思います。

        高尚な文学作品ばかり読んでらっしゃる方には、目新しく、おもしろく感じられる方がいらっしゃるかもしれませんが、普段から底辺小説をしっかり押さえている僕には、まさにエセ無頼派小説。

        と、ここまで書いて、デビュー作だけで判断するのはいかがなものかと、反省もあるので、もう数作読んでみようと思います。


        表題作だけでは、なんか本に申し訳ないな…と思い、もう一本の中編『河原のアバラ』も読んでみましたが、やっぱり合わないですね。
        いきあたりばったりの仕事には、プロらしさが感じられない。
        ただただ、軽妙、リズムある文章、突拍子もない出来事、人物があるだけ。
        妄想の類を書き連ねた、作文。
        う~ん…もう一作、読むにしても少し先になりそうです。
        >> 続きを読む

        2015/09/06 by 課長代理

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      実録・外道の条件
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • しゃべり言葉が多用されていて癖のある文章でした。
        正幼稚な口語の語り口だけではなく、ところどころから垣間見えるキレのある文章の温度差があって面白かったです。
        笑える部分もあり、最後まで飽きずに読むことができました。

        ただ主人公が様々な理不尽(外道)に振り回されつつ、それを冷静に判断し愚痴をこぼしていくだけの話。
        ああ、確かにこんな感じのうざい人いるよねーと共感してしまうこと多かったです。

        自身を主人公にした小説。
        小説と銘打っておきながらフィクションではない内容もあるのかなと想像してしまいました。
        >> 続きを読む

        2015/05/21 by mokoko

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      告白
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 湊かなえさんによる同じ作品名の方のレビューを書こうかなと思ったら、既に多くの方のレビューがあったので、それならばということで、町田康氏の本書を書くことにしました。

        数年前に図書館で借りた本書は、かなりの厚さのハードカバー。返却日までに読み終えるかなという不安もありましたけど、いや~面白くて、自分でも驚くくらいの早さで読み終えたんですよ。

        1983年大阪で実際に起きた"河内十人斬り"と呼ばれ、その後発見河内音頭でも歌われるくらい有名になった連続殺人事件を描いています。

        実際は女性や子供までも被害者になっているので、それらの出来事を描いた本書を面白いという言葉で評するのはどうかと思いますけど、町田氏の独特の文体はユーモアもあり、のらりくらりといつの間に読まされてしまう変な魅力があるんですよね。

        町田氏が芥川賞を受賞前後にテレビに出演した際、ミュージシャン時代と作品から受ける印象と違い、司会者だけでなく一般の方の質問にも真摯に答える姿が今も印象に残っています。

        なので、本書は文庫本でもかなりの威圧感があって、なかなか手に取りにくいかと思いますが、本書ではなくても、町田氏の作品は一度でも良いから読んでほしいと思うのです。

        因みに町田氏が出演した同じ番組には、別の回にこれまた同じく某芥川賞作家も出演してましたが、一般の方の質問にはあまり良い表情を見せなかったことも印象に残っており、以来その作家の作品は読まないと決めましたとさ。

        その作家が誰なのかは、僕のみぞ知る😄





        >> 続きを読む

        2017/10/30 by アーチャー

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      パンク侍、斬られて候
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • 町田康の初の本格長編小説にして時代小説の「パンク侍、斬られて候」を読書の悦びに浸りながら、読み終えました。

        町田康のこの作品にある「にた。と笑った。」というような破調の文体は、一見、計算され尽くしているようにみえるけれど、これは恐らく著者の生理に基づくリズムだろう。

        いかにも時代小説風な言葉と、現代の言葉が混在するデタラメさもまた、町田康という作家の言語感覚上でのリアルに根差したものに違いない。

        それは言ってみれば、町田康にとっての自然なのであり、その己の野蛮な自然を、理性肥えした世間に平気で放り出す益荒男ぶりは、「最悪のものを作るまいという恐れ」とは真反対の心性によるものであり、ゆえにこの小説は、「うまくできたものの類のなかの凡庸」と対極にある「最高のもの」になり得ているのだと思う。

        掛十之進という浪人(パンク)侍を狂言回しにしたこの小説は、黒和藩内の日本株式会社の縮図めいた権力抗争を背景に、「腹ふり党」という奇妙奇天烈な宗教団体の蔓延と反乱を描き、終章、何万もの無思慮、無分別、無教育、無教養、無思想の珍妙な風体の生き腐れみたいな人間と、何万もの猿軍団が阿鼻叫喚地獄めいた殺戮闘争に突入する、ハチャメチャな物語になっているのだ。

        そして、ハチャメチャのくせしてメチャクチャ思想的なのだ。
        例えば、脱力を伴うような腹踊りを集団で行なう「腹ふり党」。

        「腹ふり党の党員達はこの世界は巨大な条虫の胎内にあると信じています。彼らにとってこの世界で起こることはすべて無意味です。彼らが願うのは条虫の胎外、真実・真正の世界への脱出であり、その脱出口はただひとつすなわち条虫の肛門で」

        「基本的には『腹ふり』を行うことによって人々は真正世界へ脱出することができ」る。
        というのも、条虫はこういったバカ騒ぎが何よりな苦手なので、「腹ふり党員達を胎外に糞として排出しようと」するからなのだ。

        無意味な踊りを弾圧しようとすれば、それは条虫の苦悶のしるしと受け取って、党員達は益々喜んで腹をふる始末。
        しかも、その途中で斬られて死んだりしても、それは「おへど」と呼ばれ、真正世界を垣間見る至福と見なされるので、気に入らない人間を殺しても党員間の中では罪に問われないのだ。

        つまり、この「腹ふり党」は、危険思想の温床なのだ。
        こうして、著者はこの宗教が蔓延していく背景に「ボクボク病」を置く。

        今ある平凡な自分は、本当の自分ではないという、いかにもありがちな"自分探し症候群"に冒され、かけがえのないボクが死んでしまったら、この世界も消滅し、面白おかしく生きられないのは自分に努力が足りないからではなく、そうさせてくれない世界が間違っており、相手にも感情や意志があることを解さず、自他の区別がつかない幼児的な態度を貫く、現代日本では年齢の高低にかかわらず、有象無象と存在する"ボク"。

        そんな小さなボクからおさらばするには、どうすればいいのか?
        「腹ふり党」みたいな落とし穴を回避するには、どんな思想をもって対抗すればいいのか?

        その暫定的な回答を、著者はこの本の中に用意している。
        だが、それすらパンク侍の町田康は-------。

        世間の良識には従わない野蛮な自然を内に育てる作家・町田康の、この「パンク侍、斬られて候」は、最高傑作だと思う。

        言語感覚、諧謔性、現代批評眼、思想と空想の飛躍、そのすべてにおいてスケールの大きな大傑作だと思いますね。

        >> 続きを読む

        2019/01/29 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています

【町田康】(マチダコウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本