読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)
1クリック登録
訳あってタクシー運転手に転身した牧村伸郎。そんな彼が仕事を続けるうちに、自身の人生を振り返っていく。劇的なことは起きないが、高校のころだったり、就職した銀行のことだったり。人生は繋がっているということを実感させるのが、タクシーをしていてもそういう名残は残っている。一方タクシーにしてもノルマだったり、遠距離は稼げるという不文律を知ることができる。気軽に読めるという意味では最適かも。 >> 続きを読む
2019/03/20 by オーウェン
レインマン。ニューヨークに出現したレイプ魔で、狙うのはティーンエイジばかり。晴れた日でもレインコートを着ており、逃げられないように、まず獲物の足首を切り落とす。ただ、ある会社の香水をつけている少女だけは狙われないという-------。最初は、その香水を売るために広告会社が流した噂にすぎなかった。ところが、現実にレインマンが出現したかのような事件が発生する。若者の噂に疎い捜査官たちは、後手後手に回るしかなかったのだが-------。レインマンの噂に気づいた所轄のベテラン捜査官と、警視庁捜査一課の女性刑事とのバディものとしての面白さを備えた、サイコ・サスペンスのなかなか読ませる作品だと思う。この作品を発表当時の女子高生の風俗を時としてユーモアを交えながら生き生きと活写し、口コミという捉えどころのない現象に、徐々に接近していく過程をリアルに描き出す筆力は、実に見事だ。真犯人をめぐる伏線も丁寧に張られ、端正な仕上がりを見せているのだが、最後の最後になって、とんでもない背景-----捜査小説とは別の物語が前景化し、最後の一行が見事なフィニッシング・ストロークになっているのには、脱帽の一言だ。 >> 続きを読む
2018/09/16 by dreamer
すべて家族を描いた短篇小説全7篇軽くあっさり読めるのですが、じんわりした暖かさ、ほろ苦さがこもっていて読後には少し元気になれる作品の数々。中年以上老年未満のオヤジが必ずでてくるのだけれど作者年齢に近い「彼」には実感のこもったと思われるリアリティがあります。意外や意外。7篇の異なる小説を読み終わった感想は。彼はテクニシャンかもしれない。でした。『結婚しようよ』ポスト団塊の世代の私は、59歳、定年まであとわずかだ。妻に先立たれ息子と娘を育て上げてきた。ある日、娘の準子が結婚相手を紹介したいと言って男を連れてくる。娘を持っている人なら誰でも、じわじわきてしまうででしょう。こんなお話は。吉田拓郎の「結婚しようよ」の歌詞に乗せ、自分の青春時代からの半生を振り返る仕掛けで、子供にも話したことのない若い頃の夢や妻との馴れ初めなどが語られますが、小説というよりも実話のエッセイであるかのように錯覚してしまう自然さなのです。拓郎ファンならさらに青春を共有しているような、懐かしく甘酸っぱい気分になるでしょう。「私は、もう一度、始めようと思っている。泰代との二人暮らしを。 ようやく子どもが手を離れたのだ。 家の中では、子どもたちの顰蹙を買っていた、俺たちの時代の曲をがんがんかけよう。」いいね。いいね。オヤジだってね。若い頃はあったんだよ。これからの人生。応援してあげたい。 『磯野波平を探して』井上は53歳。あと2ヶ月磯野波平と同じ54歳になると知って愕然とする。「訳もなく俺は焦燥感に駆られた。まじかよ、などど頭の中でさえ息子と同じ言語体系で思考している自分に対して「けしからん」と、ちょび髭オヤジに叱られた気分になった。」そして「磯野波平になろう。五十四歳らしい五十四歳になるのだ」と、開き直る ↑いや、こんな枯れた54歳、今の日本には生息していないから。(^^;; これも実感を込めた冗談エッセイに思える。けれどそれがいつしか意外な展開に…。(実際には意外とも言えないんですが。)父は家族から無視されバカにされそれでも支えられていた。「思うに、年は、取れるから、時々が面白いんですな、わしに言わせれば」余談ですが、私はバカボンのパパが41歳だったことを思い出したときの衝撃の方がずっとずっと大きかったです。『肉村さん一家176kg』内村さんは自分が太ってしまっていることを認めざるを得なくなった。気づかぬふりをしていたのに。こどもの頃、太っていた頃の悪い思い出が蘇る。あだ名は「肉村ブー」だった。同じく肥満気味の妻と息子とダイエットを始めようとするが…。あーあー。ありがちですなあ。人間ってやつは弱いもんです。(^O^)『住宅見学会』マイホームは一生に一度の大きな買い物。紗代子は夫と息子と共に注文建築のハウスメーカーが行う「居住宅見学」へとでかける。 モデルハウスのような豪邸に住む同年代の田野倉夫妻は品がありCMに出てくる家族そのもの。自分の境遇と比べてだんだん惨めになってくるのだが…。これもありがちなお話しなのですが、決してつまらなくない。女性を書くのも上手いし。ちょっと微笑ましいエンディングも自然でした。家族には家族の数だけ様々な幸せと瑕を抱えているものです。『プラスチック・ファミリー』仕事をくびになった51歳のダメ男。雨宿りをした廃材置き場に置きざられたマネキンは22年前に失恋した女性、菜実子にそっくりだった。話のきっかけはどっかで見たような…ですが、さてどういう展開になるのやら。と心配したけれど、逆の意味で予想を裏切られました。ちょっぴりほろりとさせられる優しい終わり方になっていて、がんばって。と応援してあげたくなりました。でも51歳まで引きずっているのって結構気の毒な人生だよね。もっと早く気づけよって思いますが。『しりとりの、り』これはまた。叙述ミステリーのような(・∀・)家族揃ってファミリーカーでドライブ。今日一日は一家団欒をとムードを盛り上げようと張り切る夫としらけムードの家族。会話がないなら『しりとり』をしようと無理やり始まったしりとりがどんどん夫を追い込んでいく。明らかになる家族の問題とは。結局しりとりでコミュニケーションできるってことですね。すごいよ、しりとり。侮れないです。『家族写真』 書き下ろし写真館を営む頑固者の父が脳梗塞で倒れた。東京に出てカメラマンのアシスタントをしている長男、春太。駆け落ち同然で家を飛び出した美容師の長女、夏乃。中学から引きこもり、最近は父の写真館を手伝っていた次女、葉月。3人の目で自分と家族の今昔が語られる。家族でありながら、それぞれの目に映る家族は別の形をしていた。二人の娘は互いに父親が自分より他の娘を愛していると思い込んでいるし息子から見た母は父の横暴の犠牲になっていたかのように映っていた。その通り。家族といえど、誤解の中で成り立っているものなのです。人はひとりひとり違う。心の奥で何を考えているかなんて本当にはわからない。だからこそ、人生を明るく生きやすいものにするために、人は協力し、思いやることが必要なんです。ひとつの写真に収まることを繰り返して、そんな作業や思い出を積み重ねることで、家族は家族になるのではないでしょうか。 >> 続きを読む
2013/12/15 by 月うさぎ
ちょっとした機微や姿勢などを掬い取った7つの短編集。311を得ての原発話や、オレオレ詐欺、デビューする老齢の作家。他にも動物園での婚活や、リストラされたサラリーマンのベンチ生活。悲哀もあるが基本的にはユーモアで見せる術。荻原さんらしい筆致で、決して暗くならずに明るく読める作品ばかり。表題作は幸せになる方法を実践するサラリーマンだったが、街中で出会ってしまったシンガーソングライターに振り回されていく。実際こういう啓発本はそこまで信じないだろうが、当人にとっては救いのように見えるのかも >> 続きを読む
2019/02/05 by オーウェン
この読後感の爽やかさは何だろう。若年アルツハイマーに罹った佐伯を襲う物忘れや記憶障害。仕事を失いたくない佐伯は必死に紙にメモをして服のポケットにしまいこむ。ポケットはパンパン。それでも思い出せずに迷い戸惑い自分を責める。最後は娘のための焼き物を完成させようと山奥の窯場に行って、昔陶芸を習った老人と再会するがそのやり取りがいい。記憶を失うことを怖がってた佐伯が忘れることも悪いことばかりじゃないとつぶやく。必死に守ろうとして失うことを恐れてた彼が、ありのままの自分を受け入れるようになって救われた気がした。 >> 続きを読む
2018/05/17 by miko
証券会社からホームレスになった山崎の全財産はわずか3円。どん底から頼れるホームレス2人を知り、一念発起しようと会社を立ち上げる。底辺がいかに貧しいのかじっくりと描かれており、そこからどのように立ち直っていくのか。それがまさかの新興宗教という形。当初は入会金を取らないという制度だったのに、規模が大きくなるにつれ人間というのものは変わっていく。さらに大きくなろうとしている中で下巻に続いていく。 >> 続きを読む
2020/05/02 by オーウェン
過疎化が激しく、日本最後の秘境『牛穴村』。 村の青年会が集めたなけなしの資金で、 倒産寸前のユニバーサル広告社に村おこしを依頼するのだが、 思いもよらない展開に…。 ハートフルであったかい、ユーモア小説。 私も同じ広告業界の人間なので、もう一つ楽しさが倍増した。 さすが、作者が現役コピーライターだけあって、 当て馬プレゼンの滑稽な様子や、 いくつも思い浮かぶ言い訳のようなコンセプトなどがリアル! 風刺のようで、笑わずにいれなかった。 また、村人達の豊かな個性も楽しめる要素だ。 純粋で一生懸命。胸を打たれるモノがある。 清々しい気分を味わいたい時には是非読んでほしい。 >> 続きを読む
2019/01/28 by NOSE
大手広告代理店で上司を殴り、食品会社に再就職したかろうじて若者の主人公。そこでも初っ端からやらかして、首切り要因の掃きだめのような部署で何とか生きていこうとする。その仕事の部分と、主人公のプライベートの問題とが行ったり来たりする。再就職先は昭和の残りカスの様な、昔のやり方に固執する老害の役員と、無駄な会議ばかり。飛ばされた部署でもクレーム処理という心身をやられて辞職に追い込まれる者もいる。そんな中でもクセのある上司に鍛えられつつすったもんだの日々。そこそこ大手で何とか逃げ切るか、自分がやりたい事、本当に大切な物は何なのか、色々な事を考える毎日。目の前の仕事には慣れてきたが、会社の体質が変わらない。社会を変えるのは難しい。自分がどうするか、何を大切にしたいものなのか、迷って決断をするのはしんどい事だが、選択をするのは自分しかいない。自分に必要なものが何なのかわからないし、必ずしも正解ではないかもしれない。 結果どうなったかは読んだ人のお楽しみ。それを良いか悪いか、どう思うかは人それぞれだと思う。ただ、面白かった。やるべき事は山ほどあり、読書をしている場合でもない。それでも読まずにいられなかった。考え方は人それぞれで、ある人にとっては良書であり、そうでない人もいるだろう。読むタイミングもあると思うが、私にとっては先を読まずに眠れない本だった。この本を読む間にできる事がたくさんあったけど、それでも読んで良かった。 >> 続きを読む
2017/06/09 by チルカル
「海の見える理髪店」で直木賞を受賞した荻原浩の2004年の作品。若年性アルツハイマーと戦う主人公が一人称で語る物語。日常生活の中で物忘れがひどくなっていくさまや、会社で電話している相手の名前が結局最後まで出てこないなどの描写が切ないほどに伝わってくる。病状の進行を、読者が一緒に見守っているような錯覚に陥る。日を追うごとに日記に綴られる誤字が多くなっていく点や、小説中にて思考を記述するにあたっても同じことを繰り返してしまったりと読み進めていくと見落としかねないような仕掛けも多い。「未払い」だと思い何度も「支払い」してしまう場面でのちょっとした裏切りは読んでいて辛すぎた。細かい描写がリアルで本当に素晴らしい作品だと思います。誰もがなりうる可能性のあるアルツハイマー。身近な人があるいは自分が同じような状況に置かれた時、どう受け入れるのか。団塊の世代、そして団塊の世代を父や母に持つ子の世代にはぜひお薦めしたい傑作。 >> 続きを読む
2016/08/23 by hibiki
なるほどねえ。なんとなく題名から座敷童萌えを想像していましたが、まさにそれでした。うだつの上がらない父が東北の地方都市に転勤になりました。家族皆で引っ越す事になりましたが、父が僻地の古い一軒家にすっかり入れ込んでしまい、家族の了承もそこそこに移り住むこととなりました。お調子者で会社でもいやと言えず、家庭を犠牲にしがちの父父の身勝手に振り回されながらも、家庭を切り盛りする母内弁慶で友達との関係が上手く作れず人知れず悩む姉ぜんそくで今まで好きな事が出来なかった弟老人性うつという診断で家に籠りがちの祖母お互いの距離感が上手くつかめずにどこかバラバラな家族。新しい環境にとまどいつつも、田舎の独特リズムに併せているうちに次第に溶け込んでいく家族たち。そんな中時々家に響く「と と と と」という小さな足音。鏡にうつる小さな顔。仏壇から出てくる手。この家には何かがいる!さて、この座敷童ですがおかっぱで頭のてっぺんにはちょんちょりん結わき。色が真っ白で顔が真ん丸。大きな目を見開いて、鼻水を垂らしている。縁側でタンポポの綿毛を吹いて飛ばして、耳に種が入らないように「きゃ!」という感じで耳をふさぐ。一人ぼっちで歌らしきものを歌って口をぱくぱくしている。けん玉をやってみせると目を真ん丸にして喜ぶ。お母さんの背中にしがみつく。買い物の籠に乗って一緒に出掛ける。弟の服の裾を一生懸命つかんでついてくる。こんな座敷童がいたらかわいくて仕方が無いでしょう。はっきり言って座敷童にきゅんとする為の本であってそれ以上でもそれ以下でもないでしょう。諸々いいエピソードはありますが、繰り返し言おう。これは座敷童に萌え萌えになるための本なのであります。あー、ほっぺたぷにぷにして、一緒におにぎり食べたりもふもふしたりしたい。 >> 続きを読む
2015/05/28 by ありんこ
新興宗教の大地の会を立ち上げ順調に会は成長しているが、思わぬ綻びが始まろうとしている下巻。前に読んでいた篠田さんの「仮想儀礼」とよく似た展開だが、上がって落ちるというのは当たり前。オウムの例を出さなくても終着点は決まっている。山崎以上に存在感が強いのは、教祖になるナカムラの方。人々を魅了する、その声や肉体というキャラは唯一無二だろう。いかに転落していくのかだが、個人的にはそこから反撃の展開も見てみたいなあという読後感でした。 >> 続きを読む
2020/05/03 by オーウェン
路上生活をするまで落ちぶれた男が、そこで知り合った知恵遅れの青年を教祖に仕立てた新興宗教を興すお話。下巻は、破綻していくお話なのかな。楽しみ。 >> 続きを読む
2019/10/03 by 和田久生
霊長類研究センターでチンパンジーのバースディの言語取得が訓練されていた。その上達はかなりのものだが、一方実験に携わった助教授が自殺し、また助手の田中真がプロポーズした恋人も自殺のように命を落としてしまった。バースディが恋人の自殺に関係していることが分かりだして、言語を理解できることからやり取りが意味を持ち始める。特段ミステリとしてそこまで緻密ではないが、比重が置かれているのはバースディとの触れ合いの方。そのまま飼い続けるのは無理なわけで、タイトルはそこに掛けられている。ラストはちょっぴり切なくなる。 >> 続きを読む
2019/11/04 by オーウェン
あきれるほどだめな部分が面白おかしく書かれている。楽しかった。
2016/03/09 by kurobasu
漂流記初めて読んだけど、これは良かった。登場人物もいい感じ。
2016/02/19 by kurobasu
しんちゃんの自転車しんちゃんと、自転車に乗れない私は、真夜中に荒れ果てた神社の中の池を目指します。実はしんちゃんは…。 >> 続きを読む
2019/05/09 by playbook
荻原さんのユーモア溢れる7つの短編集。表題作はちょい悪だとか、ちょいカワの意味であり、中年サラリーマンの会社の悲哀が見え隠れする作品。若い女性が一番得という表れなのかも。「占い師の悪運」口裏で適当なことをいう占い師が偶々大当たりしてしまう。それを機に人気者になるが、後にはオチが付く結末が。「いじめ電話相談室」いじめを防ぐ相談室担当の女性が与えた助言によって次第に人気者に。いじめを防ぐ者が、いじめの憂き目に遭いという逆転劇が痛快なラスト。犬猫の翻訳と、人間の感情をが読み取れる携帯。その2編では出る結末は、そんなもの開発するなと(笑) >> 続きを読む
2020/12/23 by オーウェン
面白くなってからは途中で止められず最後まで読んだ。心の交流の素敵さと、闘うことの大切さを教えてもらったなぁ。(10.05.14 読了) >> 続きを読む
2015/05/14 by のこ☆
くすっと笑えるユーモア7つの短編集。印象に残る2作。「美獣戦隊ナイトレンジャー」戦隊もののイケメン俳優に心ときめくママ。そのためなんとか子供に番組を見てもらおうと画策。そしてイベント開催の知らせを見る。世の奥様の心情をそのまま映し出したような中身で笑えるが、ラストのオチも現実感を出している。「寿し辰のいちばん長い日」頑固親父のように見える寿司屋の大将の辰。ほんとはTVの取材にも来てもらいたいが、なぜか来てくれない日々。そんな時評論家らしき人がお客として、辰は心躍るが。いるいると頷きそうな頑固おやじだが、オチが秀逸。辰が主役と見せかけてが上手い。 >> 続きを読む
2020/01/21 by オーウェン
なんか少し読みにくかったなぁ。面白かったんだけど。
2016/05/02 by kurobasu
【荻原浩】(オギワラヒロシ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
レビューのある本