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妊娠中の妻までをも殺害し、あさま山荘に立て篭もった犯人の半生。崇高な理想を掲げても、自分のしていることを自分で判断できなくては仕方が無い。政治犯とか思想犯という響きには、どこか憧れが含まれているような気がしていた。獄中書簡とか獄中説法とかいう言葉も同様ではなかろうか。これまで連合赤軍や、あさま山荘については正直ほとんど知らなかったため、革命の志に燃える思想犯なのだろうと思っていたが、読後考えを改めた。あまり思想的なものを表明したくは無いのだが、一般論として、革命を目指す学生運動と聞くと、社会に出ていない学生の身分で何を。と考えるのが普通では無いかと思う。本作品の主人公で有る吉野青年も同様に考えたらしく、労働者が中心の組織へ所属することを希望し、自身、職を持ちながら活動を続けたという。暴力などの犯罪に走りさえしなければ、自由な思想を持つことが許されている日本においては、万人に受け入れられる活動の仕方だと思う。しかし実態は、おそまつと言わざるを得ない。幾らでも列挙できそうだが一点に絞ると、妻との関係に尽きる。愛より革命と豪語しつつ、安らげる逃げ場として、妻(当時は恋人)との関係を続け、結果2回の堕胎。そして有ろうことか妊娠8ヶ月の段階での殺害。彼は幹部で有りながら、その末端に位置することも有り、自らの意志で妻の殺害を決めたわけではないのだが、むしろ他人の指示で、妻を殺害するという理不尽さまでも感じられないほど、思考を停止させていたようで有る。正直、思想犯、政治犯が聞いて呆れる。愛する人も守れない(むしろ殺害している)で、何が思想だ。何が革命だと言いたい。若き日の溢れ出す情熱を注いだ先を誤ったため、たまたま最悪の結果を招いた例で有ることは理解しているが、思考を停止して他者に身を委ねた以上、その責任は追求されてしかるべき。近しい人への愛を失い、国家に対する反逆を企てるという構図は、オウム事件にも共通するところが有るように思われ、改めて恐怖を感じた。地に足を着け、ささやかでも暖かい家庭を守る。まずこれをしっかりやるべき。 >> 続きを読む
2011/10/07 by ice
【大泉康雄】(オオイズミヤスオ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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