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木村元彦

著者情報
著者名:木村元彦
きむらゆきひこ
キムラユキヒコ
生年~没年:1962~

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このランキングは1日1回更新されます。
      悪者見参 ユ-ゴスラビアサッカ-戦記
      カテゴリー:球技
      4.0
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      • サッカーはよく分からない。ルールは知っているし、日本リーグの頃は
        閑古鳥鳴く国立競技場にさえ行った。でも、Jリーグになった最初の1年
        だけは試合の結果も追っていたが、諸事情によりサッカー観戦を止めた。

        ストイコビッチをはじめ、ユーゴ出身のサッカー選手は辛うじて名前を
        知っているくらいだ。だから、本書は読み通せるか不安だった。

        案じることはなかった。多分、まったくサッカーを知らなくても読める。
        副題に「ユーゴスラビアサッカー戦史」とあるように、旧ユーゴスラビア
        全土をくまなく回り、選手や協会関係者、サポーターに取材し、試合の
        経過も記されている。

        それでも、本書を貫いているのはユーゴスラビアの現代史である。それも
        世界中から「悪者」のレッテルを貼られたセルビア人への強い思い入れを
        感じる。

        第二次世界大戦でナチス、ソ連、連合国を相手にユーゴスラビア独立を
        成し遂げたチトー大統領の圧倒的なカリスマで維持していたような国だ。
        民族主義を厳しく禁止したチトーの死、東西冷戦の終結と続けばユーゴ
        の崩壊は当然の結果だったのかもしれない。

        そのなかで、何故、セルビアだけが「悪者」にされたのかは『ドキュメント
        戦争広告代理店』(高木徹)に詳しく書かれている。

        スポーツと政治は別物なんてのは綺麗ごとなんだと思う。有能なスポーツ
        選手だろうが否応なしに政治に絡めとられて行くことがある。それを本書
        は丹念に描いている。

        「NATO STOP STRIKES」

        本書のカバーにも使用されているストイコビッチの写真。名古屋グランパス
        のユニフォームの下に着ていたTシャツの胸に、何故、この言葉が書かれて
        いたのかが記されている場面では思いがけず泣かされた。

        絶対的な悪者は生まれない。絶対的な悪者は作られるのだ。著者は言う。
        その通りだと思う。

        一方的に流されるプロパガンダに染まる前に立ち止まらなければならない。
        旧ユーゴスラビアの問題のすべてをセルビアだけに負わせていいはずが
        ないのだ。

        本書は1998年から2001年までをストイコビッチを中心にしたサッカーと
        いうスポーツに視点を置きながらユーゴスラビアを描いているが、その
        ユーゴスラビアも2003年には消滅した。

        七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、
        二つの文字、一つの国家。そんなバルカンの火薬庫と呼ばれた国は
        地図上から消えた。それでも、セルビア人に貼られた「悪者」のレッテル
        は歴史上でつきまとうのかもしれない。
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        2018/01/13 by sasha

    • 他2人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡
      カテゴリー:球技
      4.5
      いいね!
      • 「ストイコビッチ戦記」というサブタイトルが思い浮んだ。

        ストイコビッチがベンゲル監督の名古屋グランパスで活躍していたころは、現在ほどJリーグを見ていなかった。
        博多の森にも来ていたんだろうな。彼を見逃すとは、なんて惜しいことをしたものだ。

        われわれがピッチ上のサッカー選手を見るとき、そこで動いているのはわれわれの操り人形ではなくて、一人の人間であるということ、われわれと同じ感情と個々の歴史を背負った一人の人間であるということ、そのことをついつい忘れてしまってはいないか。

        私は試合に敗れて怒るが、彼は怒らないかのように。
        私は傷つくが、彼は傷つかないかのように。
        これだけわれわれから応援されて、しかも大金を貰っているのだから、批判され罵倒され屈辱されるのが当然であるかのように。

        ストイコビッチの背景を知ってしまうと、はたと立ち止まってしまう。
        応援するわれわれに応えて素晴らしいプレーを見せる選手がいて、そして、われわれはいったい何者なんだろうかと。
        >> 続きを読む

        2017/11/18 by Raven

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える
      カテゴリー:球技
      4.5
      いいね!
      • オシム監督といえば試合毎のJ's Goalのインタビューとか ジェフ公式の試合結果コーナーはもちろんのこと、雑誌新聞に出た片言節句までついつい読んでしまうオシム好きにとっては、この本に出てくる彼の言葉は、もうほとんどおなじみのものばかりだろう。

        有名な「レーニンは『勉強して、勉強して、勉強しろ』と言った。私は、選手に『走って、走って、走れ』と言っている」(p27)とか、

        「無数にあるシステムそれ自体を語ることに、いったいどんな意味があるというのか。大切なことは、まずどういう選手がいるか把握すること。個性を活かすシステムでなければ意味がない。システムが人間の上に君臨することは許されないのだ」(p210)などなど。

        ただ本書では、いろんな発言についての背景、どういうシチュエーションで、誰に向けて語られたのか、そういうことがいくつか分かって興味ぶかい。
        それにこれまであまり触れられてこなかった監督が日本に来るまでの経歴、なによりもサラエボ紛争の間、監督とその家族にどういうことがふりかかったのか、その間の事情が詳しく書かれている。そしてこの監督が故国サラエボでどれほど愛されているかについても。

        本書は著者の木村氏があまりに監督に入れ込みすぎているようなのが、私としてはちょっと気になるのと(ひょっとして嫉妬かなあ)、非常に混み入ったユーゴ情勢についての説明がほとんどないので、オシムが置かれた情況がいまいち分かりにくいという点はあるけれども、われわれが偶然にも一時預かることになったこの類いまれな人物、ボスニアの宝物の真価の一端をかいま見せてくれる一冊になっています。
        >> 続きを読む

        2017/11/18 by Raven

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      悪者見参 ユ-ゴスラビアサッカ-戦記
      カテゴリー:球技
      5.0
      いいね! TORAZOO
      • 民族紛争に揺れるユーゴを
        フットボールの始点から捉えた秀作。
        政治とスポーツは別物と割り切れない環境下で
        それでも芸術的なフットボールを展開する姿に感涙です。
        >> 続きを読む

        2011/03/28 by RZ350

    • 3人が本棚登録しています

【木村元彦】(キムラユキヒコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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