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木村元彦

著者情報
著者名:木村元彦
きむらゆきひこ
キムラユキヒコ
生年~没年:1962~

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      誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡
      カテゴリー:球技
      4.5
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      • 「ストイコビッチ戦記」というサブタイトルが思い浮んだ。

        ストイコビッチがベンゲル監督の名古屋グランパスで活躍していたころは、現在ほどJリーグを見ていなかった。
        博多の森にも来ていたんだろうな。彼を見逃すとは、なんて惜しいことをしたものだ。

        われわれがピッチ上のサッカー選手を見るとき、そこで動いているのはわれわれの操り人形ではなくて、一人の人間であるということ、われわれと同じ感情と個々の歴史を背負った一人の人間であるということ、そのことをついつい忘れてしまってはいないか。

        私は試合に敗れて怒るが、彼は怒らないかのように。
        私は傷つくが、彼は傷つかないかのように。
        これだけわれわれから応援されて、しかも大金を貰っているのだから、批判され罵倒され屈辱されるのが当然であるかのように。

        ストイコビッチの背景を知ってしまうと、はたと立ち止まってしまう。
        応援するわれわれに応えて素晴らしいプレーを見せる選手がいて、そして、われわれはいったい何者なんだろうかと。
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        2017/11/18 by Raven

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      悪者見参 ユ-ゴスラビアサッカ-戦記
      カテゴリー:球技
      4.0
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      • われわれがさして関心がない事柄でも、マスコミの報道というのは知らずしらずのうちに耳にはいってくるもので、その点ではマスコミの力は大きい。

        当時からテレビも新聞もあまり見ておらず、ユーゴスラビア紛争やコソボ紛争に特に関心があるわけではなかったけれども、セルビアに関する悪評はなんとなく知っていた。民族浄化という名の下に恐ろしい虐殺を行っているらしいということを。

        NATOによる爆撃が開始され、それまで加害者であったはずのセルビア人が急に被害者になり、一般的には正義の側と思われていたNATOがどうもそうでもないらしい気配がただよってきて、セルビア人のサッカー選手であるドラガン・ストイコビッチが、母国への爆撃中止を訴えるデモンストレーションをピッチ上で行ったとき、正直、どう反応していいのかわからなかった。

        セルビア人=加害者側の民族 ストイコビッチ=サッカーのヒーロー
        このふたつをうまく結びつけることができなかった。

        といってもそれから急にユーゴ問題に関心が高まったというわけでもなく、ユーゴ紛争はユーゴ紛争であり、サッカーはサッカーであって、前者は後者に較べてあいかわらず興味を引く話題ではなかった。その点はいまでもそうである。ただしこの問題の理解が少しだけでも深まったとしたら、それはイビチャ・オシムとこの本の著書木村元彦氏のおかげである。

        本書は、「サッカーを通じて世界を観る」という言葉がピッタリのレポートだ。
        著者は、紛争の中心地である旧ユーゴスラビア各地でサッカーとサッカー選手を取材して回る。
        憎悪が蔓延しているこの地域で、縁もゆかりもない日本人フリーライターが、場違いにもサッカーのインタビューをして歩こうというのだから、非常に馬鹿馬鹿しいシチュエーションというか、聞かれた方がビックリするだろうし、まかり間違えば相手を怒らせて殺されかねないだろう。実際著者はコソボの武装組織に銃口をつきつけられ地べたに這わされるという目にあっている。

        ではこれは無責任な傍観者のレポートなのだろうか。
        本人は真剣のつもりでも現地人にとってはた迷惑でしかない、一人よがりのジャーナリストによる勘違いレポートなのだろうか。

        そうではない。ここでは、人々の生活の中に息づいているサッカーというポーツを通すことによって、戦争という異常な現象が生活の中にどう入り込んでいるのか、その姿をまざまさと浮かび上がらせている。戦争というものを知らないわれわれにも、サッカーという共通言語を通して、その過酷さと無慈悲さを知らしめる。国際政治の中の大言壮語ではなく、生活のレベルで、戦争のもたらす悲惨な風景を浮かび上がらせている。それは、著者のまっとうな視線と筆力のおかげであるが、サッカーという国際的でありかつ個人に親密なスポーツが持つ力のおかげでもあるだろう。

        その中で、著者はセルビアが負う悪名の不当性と、クロアチアやNATOの悪辣さ――まあ、どっちもどっちといったところなんだろうが――を、遠慮がちに訴えている。その誠実さと公平性は信頼に足るものだ。

        この本を読むことによって、われわれは、しらずしらずに染まっていた一方的なプロパガンタから逃れることができる。もちろんそのことによって私が何かができるというわけではない。けれども、そのことだけでも大きいことである。本書を読んだわれわれはもうストイコビッチに対して、あるいはセルビア人に対して、間違っても「この怪物め!」というような無知に基づく愚劣な言葉は吐かないだろう。日本の中で、そしてサッカーファンの中で、セルビア対する不当な偏見を中和するために果たした本書の役割はきわめて大きいと思う。

        もしわが国が他の国々に較べてセルビア人に対する偏見が少しだけでも少ない国であるとしたら、それはおそらくこの著者のおかげだろう。私は本気でそう思う。

        それにしても、こういうもろもろの苦しい事柄の中でも人は生きていかなければならない。
        力づけてくれるものの一つとして、サッカーがあるのだろう。
        サッカーをめぐる喜びと悲しみが、その役割を果たしているのだろう。

        いや、そこまで断定したらいいすぎか。
        サッカーにそんなものを求めてはいけないのかもしれない。

        しかし、求めてはいけない、というきまりはないのも確かだ。

        私自身は、そこまでサッカーに求めてはいない。
        が、もちろん、そうであることを否定はしない。

        それが幸せであるかどうか、それはまた別の問題としてある…

        むむむ。
        なにを言いのかわからなくなってきた。

        ですから、これで終わりにしておきます。
        >> 続きを読む

        2017/11/18 by Raven

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える
      カテゴリー:球技
      4.5
      いいね!
      • オシム監督といえば試合毎のJ's Goalのインタビューとか ジェフ公式の試合結果コーナーはもちろんのこと、雑誌新聞に出た片言節句までついつい読んでしまうオシム好きにとっては、この本に出てくる彼の言葉は、もうほとんどおなじみのものばかりだろう。

        有名な「レーニンは『勉強して、勉強して、勉強しろ』と言った。私は、選手に『走って、走って、走れ』と言っている」(p27)とか、

        「無数にあるシステムそれ自体を語ることに、いったいどんな意味があるというのか。大切なことは、まずどういう選手がいるか把握すること。個性を活かすシステムでなければ意味がない。システムが人間の上に君臨することは許されないのだ」(p210)などなど。

        ただ本書では、いろんな発言についての背景、どういうシチュエーションで、誰に向けて語られたのか、そういうことがいくつか分かって興味ぶかい。
        それにこれまであまり触れられてこなかった監督が日本に来るまでの経歴、なによりもサラエボ紛争の間、監督とその家族にどういうことがふりかかったのか、その間の事情が詳しく書かれている。そしてこの監督が故国サラエボでどれほど愛されているかについても。

        本書は著者の木村氏があまりに監督に入れ込みすぎているようなのが、私としてはちょっと気になるのと(ひょっとして嫉妬かなあ)、非常に混み入ったユーゴ情勢についての説明がほとんどないので、オシムが置かれた情況がいまいち分かりにくいという点はあるけれども、われわれが偶然にも一時預かることになったこの類いまれな人物、ボスニアの宝物の真価の一端をかいま見せてくれる一冊になっています。
        >> 続きを読む

        2017/11/18 by Raven

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      悪者見参 ユ-ゴスラビアサッカ-戦記
      カテゴリー:球技
      5.0
      いいね! TORAZOO
      • 民族紛争に揺れるユーゴを
        フットボールの始点から捉えた秀作。
        政治とスポーツは別物と割り切れない環境下で
        それでも芸術的なフットボールを展開する姿に感涙です。
        >> 続きを読む

        2011/03/28 by RZ350

    • 3人が本棚登録しています

【木村元彦】(キムラユキヒコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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