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GilbertElizabeth

著者情報
著者名:GilbertElizabeth
生年~没年:1969~
      巡礼者たち
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 明日はもう少し広い広場へ、いつかはきっと今よりましなところへ。
        しかし、生の不条理は、人を同じ場所で足踏みさせたり、時に大きな失意を味わわせたりする。

        そんな中でも出会いはあり、喜びと希望が束の間の光のように射し込んでくる。

        このエリザベス・ギルバートの短篇集「巡礼者たち」は、そうした生の不条理の中に浮き沈みする喜びと悲しみ、出会いの驚きや容赦なくめぐる歳月、あるいは、それぞれの人が生きる場所で繰り広げられる、優しくも切ない関係を切り取った物語集だ。

        一篇一篇が、極めて巧緻な、キラキラ輝くような細部によって織り上げられ、上質な風景画を見た時のように胸に焼き付けられる。
        ここで描かれている人々の、なんと生き生きしていることか。

        ワイオミングの牧場にふらりと現われた女カウボーイと、そこで働く若者との淡い心の触れ合いを描いた表題作の「巡礼者たち」。

        森の生き物の声に耳を澄ましながら暮らしてきた家族の心が、新しくやってきた隣人のぶしつけな行為で傷つく瞬間を描いた「エルクの言葉」。

        十五歳の少年に芽生えた恋が、相手の少女の中に善意と優しさを伴って沁み込んでいく経緯を、音楽的文体で描き出した「デニー・ブラウン(十五歳)の知らなかったこと」。

        場末のナイトクラブの踊り子に心を奪われた男の、純粋で無垢な思いが印象的な「花の名前と女の子の名前」など、収められている十二篇のどれもが小さな宝石のようだ。

        みな短い物語なのに、それぞれが深い余韻を残すのは、著者の人間を見る目が、深いところに届いていることと、人の聖性を信じる疑いのない姿勢のせいだろう。

        そして、選ばれている場所の多くが、都会から離れた辺境であることもまた、この短篇集の特質ですが、そこに流れる無名の人々のつつましい生の時間の豊かさがとてもいい。

        一篇読んで余韻に浸り、また一篇読んで余韻を味わう。
        こんな贅沢な短篇集を読んだのは久し振りで、まさに読書の悦びに浸れた至福の時でしたね。

        >> 続きを読む

        2019/02/24 by dreamer

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