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吉田修一

著者情報
著者名:吉田修一
よしだしゅういち
ヨシダシュウイチ
生年~没年:1968~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      パレード
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
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      • 直樹、良介、未来、琴美が暮らすマンションの一室。
        和気藹々と、楽しく、平和に。
        本音は語らず、付かず離れずの距離を保って。
        だからうまくいっているとみんなが心の中で思っている。
        途中から一緒に暮らし始めるサトルの含めた5人それぞれの目線で章が構成される。

        読み始めると、軽くゆるい内容に思える。でも読み進めると、表面的なものと実態のギャップ、そしてそれを見てみぬふりをすることへの気持ち悪さが残る。未来の、「ここには本当の自分は誰も住んでいない。だから部屋は無人。だけど無人であるためには自分たちが住んでいないといけない…」と考えるシーンが印象的。

        素直な感想としては、この本の気持ち悪さは嫌いではない(本当に後味悪いシーンもあって、そのシーンは好きではないが、この本の気持ち悪さの肝はそこではないと思う)。でも読み終わって振り返ってみると、ちょっと長すぎると思ってしまった。本当に必要だったのかしら?というエピソードも多くて。この内容で短編とかだったらいいのになぁ。私が理解できていないだけで全部に意味があったりして…という気もしなくもないけども。。

        中学くらいの頃に友人と「本当の自分」とは何かという話で盛り上がったことがある。たとえば本当の自分を出せないと思っている時の自分は本当に「本当の自分」じゃないと言い切れるのか?自分は「本当の自分」を知っているのか?この本を読みながら、久しぶりにその会話を思い出した。

        読んでいる時はそれなりに楽しんだけれども、読み返すことはなさそう。
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        2016/09/13 by chao

      • コメント 4件
    • 他8人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      横道世之介
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
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      • パレードを読んで何とも言えない読後感を味わい、しばらく避けておこうと思っていた吉田修一さん。知人との会話で映画 怒りが話題になり、その流れで横道世之介は面白かったという情報を得てさっそく読んでみました。

        大学1年生の世之介とその周囲の人々の日常、恋愛、ごたついた事件などがコミカルに描かれています。青春小説ということになるのだろうけど、それだけでまとめてしまうことが出来ない作品です。

        世之介はいつも周りに流されて生きている頼りない青年。
        学生時代、自分も世之介とは違う形で周りになんとなく流されていたな、と思い出しました。だけど流れに乗るかたちで経験したことが今になって大事な体験になっていたり、誰かがぽろっと口にした言葉が自分の将来の意思決定に繋がっていたり、考えてみるとゆるゆるの学生時代は意外に重要な転機がたくさんあったように思います。
        主人公の世之介は、ふわふわと生きていながら、周りの人々の人生の重要なパーツになっている。読者も含めて皆が彼のなんだかわからない魅力にじわじわとはまっていく感じです。

        パレードで吉田修一ワールドを諦めなくてよかったです。絶妙な人物描写を楽しめました。
        >> 続きを読む

        2016/10/16 by pechaca

      • コメント 2件
    • 他5人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      悪人
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね! masa920
      • 読んだら売ってしまおうと思っていたけど、ずっと手元に置いておこうと思った本です。裁判員制度が始まった頃に読んだので色々考えさせられました。 >> 続きを読む

        2015/07/08 by marsa

      • コメント 4件
    • 他3人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      怒り
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 下巻にて

        2015/02/19 by momokeita

    • 他3人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      怒り
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね!
      • ページをめくる手が止まらない・・・・・・その通りの作品!!!!

        人を心から信じることができない・・・・・家族、友達、恋人、自分自身・・・・・・
        今度こそ心の奥から信じてみたいと願う相手は前歴不詳の人物、見え隠れする不穏な空気・・・・・・

        物語は1年前にあった殺人事件の犯人を追う刑事と前歴不詳の若者と係わる3組の物語が併走していきます
        もちろん3組のお話は関連性はまったくなく、ここに登場する前歴不詳の人物もまったくの別人である訳で
        ただし、共通するのは、前歴不詳の若者が殺人事件の犯人、もしくはこれとよく似た人物ということ
        これにより、彼らの人間関係は大いに揺れ動いていくことになるのです・・・・・・・

        殺人事件の犯人は整形手術を施し、一般社会に溶け込んでいく
        3組の物語に登場する不詳の人物は何者なのか・・・・・・
        そして、殺人犯は・・・・・どこに・・・・・

        殺人犯の心情はよく解らないだよねー
        なぜ『怒り』を抱えながら逃走するのか
        それより、この事件に翻ろうされてしまうことになる殺人犯によく似た前歴不詳の人物とそれに係わることになる訳ありの登場人物たちが気になります
        最終的に登場人物たちは現状から一歩、足を踏み出していく訳なんだけど・・・・この物語のテーマであるであろう「信じる」という心を彼らは取り戻せたのか
        確かに目に見えないものを信じるということはとても難しいし、外野からの評価や噂に惑わされてしまうのも真実で・・・

        悲しい現実にも直面する彼らだけど、明るい未来が待っていることを願います

        こちらの作品も本屋大賞にノミネートされてますね~

        『悪人』でハマった方

        確実にこの作品でも

        ハマれますよ(^_^)/
        >> 続きを読む

        2015/02/19 by momokeita

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    • 他3人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      横道世之介
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 大学生になり田舎から東京へ上京してきた男の話です。

        話の内容は大学の1回生の話を月ごとにおっていく感じでいろんな話が詰め込まれています。

        バイト、恋愛、友人、サークル、学園祭、地元への帰省など普通の大学生の日常を面白おかしく書かれたものです。
        特に大きな出来事やドキドキハラハラするような出来事はありませんでしたが、なんだかずっと読んでいたくなるような小説でした。
        やはり、それが世之介という人物の素晴らしさなのでしょうか


        読んだ後には不思議な満足感があり感想をほかの人と共有したくなっちゃいますね笑

        気が向いたらまた世之介に会いに行きます^^
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        2015/10/27 by iatt

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    • 他3人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      さよなら渓谷
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • 読むよりずっと先に映画を見ていた。
        その頃、同じ作者で評判がいい「悪人」を読んでいたけれど、これはさほど目新しくもなく、この映画は俳優の熱演だけででよく出来上がっているのかなと思っていた。
        比べるわけではないけれど、「悪人」の方は何かテーマがありきたりで今の風潮をうけたものに過ぎないようで余り入り込めなかった。

        ただ、買ってあった、この「さよなら渓谷」は、勝手に名作だと思っている「赤目四十八瀧心中未遂」と同じような濃密な人生の一編を見せられるようで面白かった。
        生活圏の最下層に属する人たちが織り成す過去と現在、読書の世界は、現在の自分と距離がありそうでどこか重なる、そいった生きる重みがずっしりと感じ取れた。


        映画は、真木よう子と大西信満の過激な絡みが話題になったが、夏のむんむんする暑さや、隣りの主婦のわが子殺しや、その主婦と大西信満の浮気疑惑が、これは夏に読まないでよかったと思うほど、汗臭く泥臭い物語だった。

        既にこの作品は話題作だったので(映画書籍ともに)もう書きつくされた感がある、
        レイプ犯と被害者の同居関係。人生を狂わしてしまった一夜の悪ふざけの事件が、生涯の不幸の根となって生き残り根をはり、周の好奇な面白半分の目に晒される。
        それがこともあろうに事件の中でも大学生野球部と女子高校生の悪質なレイプ事件だった。

        その当事者たちは時間がたってしまったが、その間もお互い生きづらかった、そして偶然出逢ってしまう。
        二人の過去といえば、深い悲しみと、周囲の好奇な冷たい目に晒されながら生きてきた。
        他人ごとのように考え忘れることが、救いであったのかもかもしれない。自分たちもそういう風に生きたかった、だが周囲がそうさせなかった。

        寄り添いながら常に距離があるふたりを、周りの人々の生活を絡めて読ませる一冊だった。
        交互に語られる二人の過去も、いい構成だった。
        同じ作者の「横道世の介」が明るい中にもの悲しさを秘めているのに比べて、これは終始、重く暗い人生と、人はそんな中でも空気を求めるようにささやかな安らぎがあれば生きていけるのかということ、しかし過去から開放されるために何をしたのだろう。
        こういった特殊な世界でなくても、人は重い何かを背負っていることを、感じた。

        しかし根源的な愛や性に関わるのニュースや事件となると、それを見聞きする人の品性があらわになる、最近報道される日ごろの出来事を思い出した。
        >> 続きを読む

        2016/05/05 by 空耳よ

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      太陽は動かない
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
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      • この著者の描く切ない人間模様にいつも感銘を受けます。
        スパイにも過去がある。その過去を知った瞬間物語の底がまた深くなったように思いました。
        先の展開が全く読めないハラハラ感が醍醐味です。
        しかし、宇宙太陽光パネルで発電させそれをマイクロ波に乗せて地球に送り蓄電させるなんてこと、もしできたら凄いアイデアじゃない!?って普通に思った次第です。
        >> 続きを読む

        2016/05/04 by がーでぶー

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      悪人
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 上巻であれだけ盛り上げておきながら下巻の展開がイマイチ。
        感動とか切なくなるのを期待していたのに残念。

        小説としてはイマイチだったけど、原作として映画は面白そうかも(観ていない)
        >> 続きを読む

        2011/11/29 by ybook

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      パ-ク・ライフ
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • この本の名言をご紹介します。

        ***
        大丈夫よ。
        あなたが見てるものなんて、こっちからは見えないから
        >> 続きを読む

        2012/11/20 by 本の名言

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      路(ルウ)
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 一九九九年、台湾に日本の新幹線が走ることになり、入社四年目の商社マン・多田春香は現地への出向が決まった。
        春香には忘れられない思い出があった。
        台湾を旅した学生時代、よく相手の事を知らないまま一日を一緒に過ごした青年がいた。
        そしてその青年とは、連絡先をなくし、それ以後ずっと会えないままだった。
        台湾と日本の仕事のやり方の違いに翻弄される日本人商社員、車輛工場の建設をグアバ畑の中から眺めていた台湾人学生、台湾で生まれ育ち終戦後に日本に帰ってきた日本人老人、そして日本に留学し建築士として日本で働く台湾人青年。
        それぞれをめぐる深いドラマがあり、それらが台湾新幹線の着工から開業までの大きなプロジェクトに絡み、日本と台湾の間にしっかりと育まれた人々の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描く。


        物語の展開を追う視点は五つです。
        台湾新幹線プロジェクトに参加することになった多田春香。
        彼女の先輩格に当たるプロジェクトの中心メンバーの一人、安西誠。
        台湾に生まれたが、戦後、日本に帰り老境を迎えた葉山勝一郎。
        新幹線整備工場に職を得た、若き台湾人青年陳威志。
        日本に建築を学び、大手ゼネコンに勤める台湾人青年劉人豪。
        本作はこの五人が様々な形で「台湾」に関わりながら、それぞれの人生の一時期を描く群像劇のような物語です。

        春香には学生時代、台湾に旅行した際に、ふと道を尋ね、旅先の一日をともに過ごした台湾人青年がいました
        台湾新幹線プロジェクトが勤務先で立ちあがった時、躊躇なく台湾行きを志望したのも、彼との出会いが忘れられずにいるからでした。
        遠距離になってしまう現在の彼との関係も続けたまま、台湾行きに、もういちど会えるかもしれないという淡い期待があったことも事実なのでした。

        プロジェクトの中枢、安西は異国の仕事に慣れず鬱々としていました。日本に残した妻との関係も冷え切っており、気が付けば何もかも悪い方へ考え始める自分がいました。
        そんな安西を癒したのは、パブでであったホステスでした。

        妻に先立たれ一人暮らしの勝一郎には、台湾にいた頃に大親友だった男に、決して言ってはいけないひと言を発し、それを六十年経っても後悔していました。
        面倒見のいい勝一郎は、同じように面倒見の良かった妻が、勝一郎を慕って家に集まってくる会社の部下、若者たちの世話を楽し気にしていたことなどを思いだしながら、いつしか台湾への強い望郷の念にかられるようになっていきます。

        著者が台湾の若者の象徴のように登場させる威志。
        彼はどこにでもいるような友人が多い若者。
        兵役を終え、所在なく暮らす彼は、カナダで日本人との間で子を為した幼馴染の女性と再会します。
        故あってひとりで子を育てる彼女と、新幹線整備工場への職を得た威志は結婚し、彼女の子を自分の子として育てることに幸せを感じ始めていました。

        ある日、道を尋ねられ、自分にとって運命の日となった一日を共にした日本人女性が忘れられず、日本企業に勤める人豪は、すっかり日本に馴染み、職場でも活躍する好青年になっていました。
        台湾にいる友人から、「ずっとお前が探している女性らしき人が台湾で働いているらしい」という報せに戸惑いながらも、彼女と再会するために台湾に帰郷するのでした。

        外国とはいえ、台湾は地図で見ると石垣島から僅かに西へ行った、身近な島です。
        歴史上、様々なことがありましたが、台湾の方々が親日的であるということは前々から知っていました。
        確か司馬遼太郎さんが、台湾人の親日の理由を、明治維新直後の西郷従道(西郷隆盛の弟)らの征台に所以するといった文章を見かけたことがあります。
        当時の明治政府の治政は悪いものではなかった…というのが主旨だったような覚えがあります。
        今では頻繁に観光客が行き交う、本当に身近な外国になりました。
        平和というものはただ享受されるものではないということを、こんなことからも感じてしまいますし、身近な国であるからこそ、甘えず、襟を正し、互いのこれまでを知る努力をしなければいけないな…と思いました。

        吉田修一さんは余程の台湾贔屓とみえます。
        登場人物たちは台湾でよく遊び、よく働き、よく悩み、よく苦しみ、よく食べ、よく呑み、のびのびと躍動するように生きています。
        まさに人生を謳歌しています。
        台湾の自然は彼らを大地の大らかさで包み込みます。

        そのままふと立ち止まった春香は、カメラマンに先に食堂に行ってもらい、窓からの景色を眺めた。南国の日を浴びた樹々は強烈な緑色で、自分は生きているんだと大声で宣言しているように見える。南国の太陽が降り注ぐ日には、目一杯浴び、南国の雨に濡れる時には、目一杯飲み干す。ここ燕巣の樹々を眺めていると、生きるということがとてもシンプルなものに思えてくる。シンプルだからこそ、とても強いものに。

        日本と台湾の過去を、著者は勝一郎の体験を通じて語ります。
        それは老境にかかった彼と亡くなった妻と、心ならずも傷つけてしまった親友とのほろ苦い思い出。
        悔やみ続けてきた過去を清算するためか、ただただ懐かしいばかりなのか、勝一郎は六〇年ぶりに台湾に帰郷します。

        勝一郎はまた窓の外へ目を向けた。向けた瞬間、鳥肌が立つ。いつの間にか、眼下に台湾の海岸線があった。どの辺りだろうか、南国の肥沃な土地を濃い緑の樹々が覆っている。
        こんなに近かったのか、と改めて思う。こんなに近かったのに、自分は一度も妻を連れてきてやれなかったのか、と。

        また著者は本作を通じて、「タイミング」言い方を変えれば「その瞬間」の尊さ、かけがえなさを伝えます。
        春香が連絡先のメモを無くしてしまったのも運命、あのタイミングでしか二人は結ばれなかったのでしょうし、勝一郎は妻を台湾につれて帰ろうと腰を上げるその瞬間はそれ一度きりで、結局、永劫訪れることはなかったのです。
        いつしか春香と人豪は、その事実を客観視できるほどになっていました。いえ、客観視せざるを得ないほどの年月と成長があったのでした。

        「…十年前に初めて春香さんと会った時、あの時感じたのは愛だとずっと思ってたけど、でもこうやって十年ぶりに一緒にいると自信なくなるね。春香さんとのことを忘れられなかったのか。それとも、春香さんと過ごしたあの一日のことが忘れられなかったのか。…もしかすると、俺と春香さんは同志なのかも。お互いに異国で働く良き理解者」
        人豪が場の雰囲気を変えようと少し大袈裟に笑ってみせる。春香はますます混乱した。今は何も生まない関係だとしても、十年前のあの出会いだけは特別のものであって欲しかった。

        プラトニックな二人の不思議な関係性を表現するのはとても難儀な作業だったと思います。
        でも、とても自然に、多分ある程度の年齢を重ねた男女ならこんな形で自分たちの会話を繋げるだろうな、と思え、いたく感心しました。
        人間の機微を描くのに長けた、著者の熟練をみた思いがしました。

        春香は待った。自分では答えの出せない問いに答えを出してくれるのを待とうとした。しかし次の瞬間、そんな自分が卑怯に思えた。
        「…だから私、あなたに会えて本当に良かったと思ってる。だってもしもあなたに会ってなければ、今こうやって台湾の新幹線のために働いてないと思う」
        そう言いながら、これでいいのだと春香は思った。
        「それは俺も同じ。俺だって、会ってなかったら、今、東京で働いていない」
        たとえ同じ思いを抱いたとしても、そのタイミングが合わなければ意味はないのかもしれない。

        人間の離別、邂逅はそれこそタイミングの賜物です。
        そのタイミングに無限の可能性があり、どこまでも広がっていく自分の地平線があります。
        だからこそ今を生きる人生が大切なのだと、それぞれの登場人物たちの生き方を通じて、また台湾の豊饒な大地の描写を通じて、著者は読者に語りかけてきます。
        それぞれのエピソードが、それぞれだけでも一つの作品になり得たはず。
        とても贅沢に仕上がった作品です。

        ちょっと長かったけれど。
        >> 続きを読む

        2014/09/22 by 課長代理

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      パーク・ライフ
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 以前、話題になった「悪人」を読んだ感想で、可もなく不可もない話だと書いた覚えがある。被疑者にされた恵まれない育ちの素朴な青年と、電話で知り合った女性が逃げているうちにお互いに情が湧く、ストックホルム症候群的いきさつだろう。それがそんなに話題になるほどいい小説なのか、長いし。と思って感想を書いた。

        この「パーク・ライフ」を読んで、自分はとんだ勘違いで、浅い読み手だったと反省した。いい話だった。
        取り立てて驚くようなこともなく、公園でふと知り合ったサラリーマンと、何処かに勤めているが(尋ねもしない)自然体の女性が、顔見知りになり、時間を共有する。そんな話だった。

        初めて出会った時、
        僕はドアに凭れたまま、ガラス窓の向こうに見える日本臓器ネットワークの広告をぼんやり眺めていた。広告には『死んでからも生き続けるものがあります。それはあなたの意思です』と書かれてあった。(略)
         「ちょっとあれ見て下さいよ。なんかぞっとしませんか」
        ガラス窓に指を押し当て、僕は背後に立つ見知らぬ女性に笑みを向けてしまった。
        先輩が電車を降りたのを忘れていた。女性がなにごともないようにこたえてくれた。そいうことで知りあって、いつも行く日比谷公園のベンチで再会する。それから時々会っては、ベンチに座って、持ってきたスタバのコーヒーを飲む。いつも気球を上げている老人に話しかけたり、人体解剖図に興味を持ったときは、二人で町の店に入り人体模型を手にとって見たりする。
         写真展に誘われると、その写真は彼女の育った所の風景だった。それまで聞きもしなかったが秋田の角館の人だとわかる。
         平凡なような、ちょっと変わったような淡々とした男女の付き合いがある、公園の中の出来事や、公園の中の出会いが書いてある。
         それでどうなったかと言うものでもなく、自由で行動的な彼女は「よし決めた」と言って人混みの中に消えていく。
         なんだかいい。ちょっと普通でないようだけどそんなことも普通にあるかも知れない、そんな時間がとても奥行きがある表現で書かれている。静かに読むにはいい話だった。

         もう一編、「frowers」がある。
         この話は、また違った奇妙な重みがある。
         墓石屋の仕事を辞めて上京して、水の配達をする会社に入る。そこで「元旦」と言う名前の水配達人の助手になる。
         社長は2代目でわがまま放題、常に部下の一人を目の敵にして叱りつけている。部下も弱みがあるので見苦しく従っている。
         「元旦」はその妻と不倫中なのだが、そこに呼びつけたりする。
        だが、無骨な「元旦」が生花をしていて床に飾るのが抵抗なく感じられたりもする。暑い暑い日、疲れ切った運転手の男たちが、混み合ったシャワーで汗を流している。外から社長が、中にいる部下を怒鳴り始める。もう、汗の匂いと疲れた男たちと、怒鳴り声と、それをやめさせようと土下座する「元旦」と、たまらない様子が、息苦しい。暮らしの中で様々なことが起きる。短い中に暑い夏の、人のつながりが書き込まれていく。

        そして突然「元旦」がやめ、それでも日が過ぎ、田舎を出る時結婚した女優の卵の妻と相変わらずの暮らしを続けている。「元旦」から年賀状が届く。

        謹賀新年 元旦

         たぶんこの「元旦」というのは、自分の名前のつもりなのだろうと、空白の多いその紙面を眺めた。どこかで元気にしているわけだ。
         

         毎日重い墓石を運んでいるとふわっと飛んでみたくなる。
         夕立に濡れながら歩き回って花の無い墓石を探し、泥が跳ねた足元を見て「東京へいってみようかなぁ」と思う。
         心の動きの小さなゆれが伝わってくる。平凡な日常がふと遠くに思われたり、何か変化があればいいと思ったり、そして暮らしを変えてみても変わらない日々が続いていく。
        >> 続きを読む

        2014/10/02 by 空耳よ

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      平成猿蟹合戦図
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 歌舞伎町で働くバーテンダーが、ニッポンの未来を変えていく!?
        新宿で起きたある轢き逃げ事件。
        平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、すべての始まりだった。長崎から上京した子連れのホステス、事件現場を目撃するバーテン、冴えないホスト、政治家の秘書を志す女、世界的なチェロ奏者、韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、秋田県大館に一人住む老婆…。
        一人ひとりの力は弱くても心優しき八人の主人公たちが、少しの勇気と信じる力で、この国の将来を決める“戦い”に挑んでゆく!
        思いもよらぬ結末と共に爽快な読後感がやってくる。
        希望の見えない現在に一条の光をあてる傑作長編小説。

        登場人物が多く、場面が切り替わるのが頻繁なので、少々混乱してしまう嫌いはありましたが、中盤から盛り返し、それぞれのキャラクターも分かりやすくなって、たいへん面白く一気に読めてしまいました。
        「タイトル巧いな~」と唸ってしまう本作は、人間の善意と優しさにスポットを当てて、世知辛い世の中でも希望の光は人々の心にあると、高らかに謳いあげた人生賛歌です。

        真島美月が、幼いわが子瑛太を連れ、音信不通になった夫の朋生を探しに、長崎の離島から歌舞伎町に降り立ち、あてが外れ途方に暮れている夜から物語は始まります。
        わずかな手がかりから朋生が勤めていたホストクラブを訪ねますが、すでに辞めていたらしく、東京で身寄りもない母子は、長旅の疲れもあってか、路上の片隅にしゃがみ込んでしまいます。
        そんな二人を偶然通りかかったバーテン浜本純平が見つけます。
        純平は朋生の数少ない東京での友人でした。
        母子はとりあえず純平の部屋に宿を借り、純平は朋生に連絡を取ります。
        その時、朋生はパチスロで乏しくなった懐を空にしたところでした。

        一方、美術大学へ通う岩渕友香は、遅々として進まぬ卒業制作の屏風絵に悪戦苦闘していました。
        友香の父親は現在轢き逃げの容疑で服役中、美大の学費は叔父の音楽家湊圭司が負担していました。
        学費どころか、友香と母が暮らす、その生活費も牢獄内の兄に代わり、湊が全額負担していました。
        これは、湊の兄が、湊の身代わりに轢き逃げの汚名を被り警察へ出頭したという家族ぐるみの嘘があったからでした。
        湊と兄(友香の父)は秋田県出身。
        幼い頃、両親が悪い人たちに騙され、酷い屈辱の末、多額の借金を苦に無理心中をして果てたという過去を持っていました。
        その後、弟を育てるため無我夢中で勉強し、教員になった兄は、必死で働き、弟を立派な音楽家として世に出したのでした。
        なぜ、そんな大恩ある兄に湊は無実の罪をなすりつけたのか。

        その轢き逃げ事件を、実はバーテン純平は目撃していました。
        純平と朋生は、これをネタに湊を脅迫しようと迫りますが、もともと気がいい二人の事、悪人になりきれず湊の有能なマネージャー園夕子に逆に絡め取られ、なんだか湊寄りの立場になっていきます。
        折も折、東京で働き始めていた美月がマスコミで取り上げられ、人気者に。
        朋生は美月のマネージャー業に忙しくなり、純平はフラッと帰郷した秋田に郷愁を覚え東京を引き上げることを決意します。

        園夕子の大きな夢は、亡くなった父のように、ひとりの大政治家を育て上げ檜舞台に上げることでした。
        夕子の父は秋田県出身の国会議員を育て上げ、挙句の果てに、汚職の罪を一身に被って自殺した政治家秘書でした。
        今は縁あって湊のマネージャーを務めていますが、チャンスがあれば政治家秘書の夢を諦めたわけではありませんでした。
        そこへ降って湧いた湊の轢き逃げ事件、事件から派生した汚職事件の影、背中を押すような霊能者の言葉…
        夕子は揺れる思いを断ち切るように、秋田行きを決断するのでした。

        ともすれば荒みがちな現代日本人の良心について、読者に問いかけるような作品です。
        振り込め詐欺や、いろいろな利権に群がる政治家や、騙すより騙される方が悪く言われるようなそんな社会はおかしいだろう、と著者は訴えかけます。
        百歩譲ってそういう社会が仕方ないとしても、騙された方だって黙っちゃいない、意趣返しをしてスカッとできるんだ、という物語を書きたかったんでしょう。

        「私、思うんです。人を騙す人間にも、その人間なりの理屈があるんだろうって。だから人を平気で騙せるんだろうって。結局、人を騙せる人間は自分のことを正しいと思える人間なんです。逆に騙される方は、自分が本当に正しいのかいつも疑うことができる人間なんです。本来ならそっちの方が人として正しいと思うんです。でも、自分のことを疑う人間を、今の世の中は簡単に見捨てます。すぐに足を掬われるんです。正しいと言い張る者だけが正しいんだと勘違いしているんです」

        終盤、著者は夕子の口を借りて、本作のテーマを語らせます。
        現実その通りで、甘いことを言っていると家族さえ養えない甲斐性無しになってしまう事実の前には、本作で綴られる出来事なんてまるで夢物語です。
        でも、せめて読書の間だけでも、人間らしさを取り戻すことができれば。
        疲れた毎日の休憩に、人の善意に触れて心がほんのりと暖かいのが、まだ染まりきっちゃいないぞという強がりと一緒に、自分自身を救ってくれたような。
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        2014/11/21 by 課長代理

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      悪人
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
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      • 海沿いの田舎に住む土木作業員の祐一は、車が趣味。その日も出会い系サイトでであった女性と待ち合わせをしていたが、ひょんなことからその女性を殺してしまう。
        その後出会った女性と意気投合し、逃避行を続けるが…。
        殺された女性は派手でプライドが高く、祐一はただの気休め。それに対して一緒に逃避行を続ける女性は祐一同様、控えめな性格。後者の女性に先に出会っていたら祐一は殺人を犯していなかっただろうか?
        この本のタイトル「悪人」は何を指すのであろうか、と思った。
        映画ではモントリオール世界映画祭で深津絵里が最優秀女優賞を獲得したが、妻夫木聡も迫真の演技だったと思う。
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        2011/07/17 by slope

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      日曜日たち
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 地方から上京し、東京で ごく普通に生活を送る人々。

        それぞれの人生に それぞれの人生は交差しない。
        でも 九州から家出をしてきた幼い兄弟を介し、少しだけリンクする。


        そして その幼き兄弟に 心救われたりする大人たち。

        無論 私も救われてみたりする。
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        2015/06/14 by こたろう

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      空の冒険
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • ANAグループ機内誌『翼の王国』の人気連載、待望の文庫化。
        二度目の失業で辛い思いをしていた時に、目に飛び込んできた憧れの人の姿。
        結婚も意識していた七年越しの恋人に別れを告げられ、ひとりで訪れた異国の街。
        人生の大切な一場面をあざやかに切り取った短編十二本と、作家が仕事でプライベートで訪れた、国内外の印象的な場所を描く十一編のエッセイ。
        暖かく心に沁みる作品集。

        ショートストーリー十二本、エッセイ十一本。
        ショートストーリーのタイトルはすべて映画作品を冠していて、なおかつメジャーな作品ではなく、制作国も様々な佳作が並べられているあたり、著者の無類の映画好きを思わせます。
        曰く、『赤い橋の下のぬるい水』『オール・アバウト・マイマザー』『ほえる犬は噛まない』『ドライ・クリーニング』などです。

        いずれの作品も登場人物たちの等身大の人生の一コマが描かれ、一編読み終えるごとに、いちど本を閉じて、しばらく余韻に浸れるような趣のある、味わい深い作品群です。
        制約の厳しい短い物語こそ、著者の力量を知る上で最良の材料だと思っていますが、吉田修一さんは本当に素晴らしい才能を持っていらっしゃると、改めて感じ入った次第です。
        言葉にすることが難しい微妙な心の動きも、漏らさず拾って表現されていますが、読み手に親切すぎることなく、さりげない文章の中にあわあわとした心模様が映し出されています。
        「巧み」としか言いようのない、ストーリーテラーぶりです。

        また、エッセイも読みやすく、旅客機内の雑誌掲載用に相応しく、あちこちの都市を旅した様子や、旅先での思い出などが書かれています。
        吉田修一さんのファンとして興味深く読んだのは、最後の二編『『悪人』を巡る旅』と『『悪人』に出会う旅』でした。
        自身の傑作長編『悪人』の舞台となった北九州を編集者の方や、友人の方々と旅行されたことをエッセイにされています。
        取材旅行ならぬ作後旅行に、最初戸惑っていた吉田さんも徐々に自作世界に逆に惹き込まれてゆく様子がとても面白かったです。

        「この辺りの、こういう感じのマンションに暮らしている設定なんですよ」と説明しながら見上げた高級マンションから、自分が描いた大学生が今にもへらへらと出てきそうな気がした。
        この感覚は福岡を離れ、佐賀、長崎を巡るあいだもずっと残った。残ったどころか物語(ツアー)が進むにつれて強くなる。
        佐賀県呼子港にある有名なイカ料理店で、作中、登場人物のある男が愛する女性に自分の罪を告白する場面がある。ツアーではこの店にも立ち寄ったのだが、あいにく満席でしばらく入り口で待たされることになった。この時、待合室のベンチに若いカップルがちょこんと座っていた。純朴そうな物静かなカップルで、席が空くのを待ちながら、お互いの凍えた手をときどき微笑み合いながら握り合っている。
        とうに小説は完成している。でも、彼らの様子を眺めていると、まるで彼らをモデルに自分が小説を書いたような錯覚に陥ってくる。

        また、『悪人』は妻夫木聡さん、深津絵里さん主演で映画化されていますが、吉田さんの思考は、映画化を実現させたスタッフへと移っていきます。

        映画撮影用の重い機材を毎朝抱えて運び、撮影後は真っ暗になる山道をやはり重い機材を抱えて戻る。夜は疲れと寒さで懐中電灯を持つ手が震えるという。それでも一つの映画を作るために、誰もが黙々と、ギリギリの体力でこの山道を歩く。
        彼らが歩いた山道を灯台へと向かいながら、「映画の撮影現場に向かっているのだ」と頭の中ではわかっているのだが、なぜかこの先の灯台にいるのが本物の殺人犯と、彼を愛し一緒に逃亡している女性のような気がしてならない。

        吉田さんは映画製作スタッフの職人気質に敬意を表し、また演じていた役者さんたちの「人間を演じる」姿勢に一種、畏敬の念を持っておられるようでした。

        役作りと言ってしまえば、それまでなのかもしれないが、『悪人』の妻夫木さんと深津さんにはそれを超えた何かがある。逃亡の果て、二人の頬は痩せこけ、かじかんだ互いの汚れた手を握り合う。
        九州の片田舎に暮らし、決して恵まれているとはいえない寡黙な青年の悲しみと怒りを、どうして輝かしいキャリアを持つ妻夫木さんがここまで演じられるのか。同じく九州の片田舎で職場とアパートを往復するだけの生活を送る女性の業と寂しさを、普段は世間の女性たちの羨望を受けている深津さんが、どうしてここまで表現できるのか。
        僕は生まれて初めて、演技というものが役(キャラクター)を演じるのではなく、人間を演じることなのだと分かった気がした。
        二人に輝いてほしいと願う妻夫木さんと深津さん、そして監督を始めスタッフ全員の強い思いが、対馬海峡から吹きつける厳しい寒風に抗っている。

        『悪人』を面白く読ませていただいた一読者としては、物語をなぞるように、著者本人が物語の舞台を旅する紀行文は、たいへん珍しく、有難い限りでした。

        吉田修一さんの著作に接するにつけ、その新しい分野への挑戦心や、文章・構成の老練に舌を巻いています。
        様々なジャンルの作品を発表していらっしゃいますが、決して器用貧乏のようにならず、それぞれが光を放っているのは、吉田さんの物書きとしての天賦の才と、人間へ向けられる真摯で貪欲な探究心の為せる業の賜物でありましょう。
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        2014/11/16 by 課長代理

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      あの空の下で
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 飛行機内座席に置いてあるフリーペーパー掲載のショートショート集。
        それぞれ飛行機をつかった旅行と恋愛や人生観を絡めた物語の数々。

        こういう短い一話完結の物語を上手に書ける人は、やはり凄いと思う。
        長編よりも中編、中編よりも短編と、ボリュームが少なくなるなかで、中身を濃くしようとすると逃げ隠れできない。
        その点、吉田修一の実力には唸らされた。
        この短い枚数の中で深堀されていく男女の、職場の、旅先での、それぞれの心模様。
        ヘビーな長編に食傷気味なら、閑話休題程度に楽しめる。
        いや、それ以上かも。
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        2014/08/07 by 課長代理

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      7月24日通り
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
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      • 平凡な毎日を過ごす小百合は、自分の住む街をリスボンに見立てるのが好き。そしてモテモテの弟がちょっと自慢。でも自分はどちらかというと頼まれ役で聞き役。そんな地味な小百合だが、同窓会で憧れの聡史に再会し、「もしかしたら」の恋心が芽生える…。

        小百合は主役の女ではなくてどちらかというと脇役。でも、「もしかしたら」のシンデレラ的な展開が訪れると、なんとなく不安がありながら自分を変えようと進みはじめて止まらない。「悪人」のときもそうだがそんな女性の心理状態を描くのが、この作家はとてもうまいと思います。
        >> 続きを読む

        2011/07/10 by slope

      • コメント 2件
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      キャンセルされた街の案内
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 思わずニヤリとなる短編集。
        女性視点一人称は著者のオハコ。
        健全に物語るので、プラスマイナスのブレが少ない。
        登場人物たちも突出した何かを持ち合わせているわけではないので、感情移入もしやすいし、容易に空間想像ができるところも、弱みのようで強み。
        >> 続きを読む

        2014/07/20 by 課長代理

    • 2人が本棚登録しています
      さよなら渓谷
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • 過去から逃れられない被害者と加害者の複雑な関係、世界観が最初から最後まで全くブレず丁寧に書かれた作品です。 >> 続きを読む

        2014/08/30 by azukimame

    • 7人が本棚登録しています

【吉田修一】(ヨシダシュウイチ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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