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殊能将之

著者情報
著者名:殊能将之
しゅのうまさゆき
シュノウマサユキ
生年~没年:1964~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      ハサミ男
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね! ooitee meritabo Tukiwami

      • この殊能将之の第13回メフィスト賞受賞作「ハサミ男」を読了。

        ハサミを凶器にして猟奇殺人を続ける通称「ハサミ男」が、自分の手口に見せかけた身に覚えのない殺人事件の現場に出くわしたために、自ら真犯人を探す探偵役を務める羽目になるというのが、この物語の大筋だ。

        これは早い段階でわかることなので明かしてもよいと思うが、殺人鬼にして探偵役の主人公は、二重人格であり、しかも自殺願望を持っている。

        どうみても常識的な人物とは言えないのだが、思考法そのものは、受験や就職をゲームと捉える醒めた学生のように合理的なので、受験世代にはかえって取っ付きやすい主人公かもしれない。

        二重人格というのも、ホームズとワトスンを一人で演じているのだと思えばわかりやすい。
        主人公の異常な性格設定が、そのままゲームのルール設定になっているようなもので、感情よりもプロットの興味、ひたすら知的ゲームの面白さを追求した作風だと思う。

        もちろん時代設定が現代の日本だから、異常心理やテレビ報道の実態をはじめ、現代的な世相風俗にも作中で多く触れられている。

        様々な引用やほのめかしを散りばめた文章であるために、テーマを深読みしたくなってくるが、むしろ、ほのめかしの多さにもかかわらず、テーマが存在しないことが作品の特徴になっていて、深読みや裏読みに慣れ過ぎた現代人へのシニカルな風刺をそこに読むこともできないではない。

        この作品は、ミステリとして特別に斬新なアイディアや仕掛けがあるわけではないし、作品を構成する一つ一つの要素を見ていけば、むしろ、ありふれたものしかないといってよいにもかかわらず、ベストセラーとなったのは、一つには押し付けがましさがないからだろう。

        異常心理も自殺願望もここではべつに批判されてはいないのだ。
        言及されるワイドショー番組の安っぽい作りも否定されているわけではない。

        著者は、深読みし過ぎる読者をすら拒絶していないし、当然のことながら、本格ミステリの意外性を愉しみたい読者も拒否しない。

        いわば、モラルを押し付けないことが著者のモラルであり、そのことが物語仕立てのお説教に飽き飽きしている、現代の読者の人気と共感を呼んでいるのだろうと思いますね。

        >> 続きを読む

        2019/05/05 by dreamer

    • 他10人がレビュー登録、 58人が本棚登録しています
      9の扉
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! ooitee
      • リレー形式の作品だけど、基本は独立した作品。
        そのなかで次の作家にお題を与えるという趣向。

        難しいと思うのだが、そこは力のある作家が揃っているの心配なし。
        表紙に載っている作家は皆代表作を持っている売れっ子だから。

        20~30ページほどなのですごく読みやすいし、その中で急激な変化が起こる作品もある。

        貫井さんから歌野さんへの連作というサプライズもあるし、ラストの辻村さんから冒頭の北村さんへと繋がるというのには納得。

        他にも法月さんの真田幸村だったり、麻耶さんの意表を突く趣味だったり。
        大きく外れがないというのは、選ばれた作家がいかに優秀かよく分かる。
        >> 続きを読む

        2018/03/30 by オーウェン

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      美濃牛
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 5回目くらいの再読。
        結構分厚い本なのだが、文章が上手なためスルスル読める。
        普通のミステリとしても面白いのだが、それに加え作品中に散りばめられている蘊蓄に圧倒される。
        京極堂シリーズも専門知識を披露しているが、石動シリーズの場合わかる人だけわかってくれればいいというスタンスなのが興味深い。
        殺人事件が起こったのにも関わらずのんびりと句会を催すシーンには唖然とさせられるし、コールポーターの替え歌などは99%の読者には意味不明だろう。
        殊能は駄作がないという驚異的な作家だが、残した作品は10作にも満たず、あまりにも少なすぎるという印象である。
        「ハサミ男」同様、この作品のラストもとても美しい。
        >> 続きを読む

        2019/02/18 by tygkun

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      黒い仏
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 5回目くらいの再読。
        個人的には好きな作品だが、コアな本格ミステリファンの間では不評だった記憶がある。
        SF的なルール世界を予め提示したうえでその枠組みの中で本格ミステリを紡ぐ作品は、西澤保彦や今村昌弘が得意とするところだが、この手の作品は本格ミステリファンに受け入れられやすい。
        ただ、現実世界をベースとする本格ミステリが実はSF設定でしたというオチの本格ミステリは、コアなファンからは敬遠されがちだ。
        笠井潔も評論で述べていたが、この手の作品はかなりの枚数を割いてSF設定の必然性を読者に納得させる必要があり、数少ない傑作として山口雅也「奇偶」や麻耶雄嵩「夏と冬の奏鳴曲」が挙げられるだろう。
        >> 続きを読む

        2019/03/16 by tygkun

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      黒い仏 本格ミステリ新時代の幕開け
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 今回読了したのは、秘宝探索と身元不明の殺人事件に名探偵・石動戯作が挑む、「美濃牛」に続くシリーズ2作目の作品。

        ねじくれた諧謔趣味のサイコ・サスペンスでありながら、驚愕のエンディングで鮮烈なデビューを飾った「ハサミ男」の異才・殊能将之。

        シリーズ1作目の「美濃牛」では、横溝正史の世界を借り、意図的に冗長で饒舌な物語世界を構築して、我々ミステリ好きを煙に巻くなど、全く持って油断のならない作家だ。

        主人公の名探偵・石動戯作は、名僧・円載に所縁のある仏像探しを依頼され、仏像が隠されているという福岡県の寺を訪れた。

        そこで石動を待っていたのは、寺の本尊だという顔を削り取られた黒い仏だった。

        一方、福岡市内のすべての指紋が消された安アパートの一室で、身元不明の死体と黒い数珠が発見された。いつしか石動の調査は、その殺人事件に引き寄せられていくのだった-------。

        仏教の該博な蘊蓄に加えて、容疑者をめぐるアリバイ崩しという、本格ミステリの結構を見せておきながら、そのすべてを破壊しつくす、この最後の解決には唖然、呆然、言葉も出ない。

        読み手の常識を破壊する著者・殊能将之の悪魔的な企みには脱帽だ。


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        2018/03/27 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      鏡の中は日曜日
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね! ooitee
      • 探偵石動の3作目。
        前2作でもかなりのトリックが散りばめられていたが、この3作目もあるトリックが仕掛けられている。

        梵貝荘で起きた弁護士の刺殺事件。
        名探偵の水城優臣が解いた謎を、14年後名探偵の石動が再び挑戦する。

        3章に分かれていて、1章だけ見ると正直何が起こっているのか分からない。
        2章で事件と謎解きが始まり、3章で真相が明かされるという構成。

        謎のトリックというよりも、人物に隠された秘密が多く、実はあれがこうでという驚きが終盤次々飛び出す。
        アンフェアに見える部分もあるが、伏線は充分にあるので素直に驚いてしまった。
        >> 続きを読む

        2018/04/30 by オーウェン

    • 3人が本棚登録しています
      子どもの王様
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • これまで誤認やら性別のトリックを駆使して驚かせてきた殊能将之。一転してこの作品は子供の視点で進む。

        団地の一帯に住むショウタとトモヤの毎日。
        ヒーローものに憧れ、学校で遊ぶ中で、団地の影に”子どもの王様”を発見する。

        ジュブナイルものだが、子供の視点という見方が作品の肝。
        子どもはそう感じているが、大人は正体に気付いている。
        逆に大人の事情が子供にとってはミステリになるという事。

        終盤は度々出てくるヒーローに倣ってという、子供の勇気を見る。
        でもそれは子供にとって変化することを表す。

        子どもが読み、10年後くらいに大人になって読み返すと大人の事情というやつが理解できる小説。
        なので大人が見ると少し物足りないかも。
        >> 続きを読む

        2018/04/28 by オーウェン

    • 2人が本棚登録しています
      キマイラの新しい城
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 3回目くらいの再読。
        石動シリーズ第5作目。
        殊能将之はこの後長編を発表しておらず、事実上最後の作品である。
        (この後、4つほど短編が発表されている)。
        石動シリーズはポップ感が強いが、この作品は特にその傾向が強く、著者自身が力を抜いて楽しんで書いているのが伝わる。
        トリックは島田荘司の某作品の影響を明らかに受けたものであるが、殊能なりの捻りをしてあるのでいいのではないだろうか。
        このような、絵を見ただけで一発でわかる物理トリックは、大変好みである。
        サージェント・ペッパーとかクイーンのネタが出てくるのは、さすがである。
        六本木ヒルズの黒蜘蛛の描写はとても面白く、やはりあの造形は不気味以外の何物でもないだろう。
        作品中でも垣間見られ、著者自身のホームページで特に顕著だった、殊能のサーカズムがいかに優れたものであるか力説したいのだが、それはまた今度の機会としておく。



        >> 続きを読む

        2019/10/10 by tygkun

    • 1人が本棚登録しています

【殊能将之】(シュノウマサユキ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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