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恐らく私が今まで読んだ第二次大戦を扱った小説の中で五本の指に入る作品だと思う。アフリカ戦線で活躍した英国長距離砂漠挺身隊LRDGに従軍した一人のイギリス人青年の物語である。いちょうフィクションという事になっているが、かなりの部分が史実に即した構成になっており、LRDGの将校や作戦などもかなりの部分実在の人物や作戦が描写されている。著者の綿密な史実リサーチや関係者へ詳細なインタビューが本書のベースになっている事は疑いようがないことは一読して明らかだ。LRDGは特製のトラックでアフリカの砂漠を移動し、枢軸国軍の偵察や後方破壊などを行う今で言うところの特殊部隊に当たる少数精鋭の部隊である。敵軍だけでなく、砂漠という過酷な環境とも戦わなければならず、任務は非常に過酷である。しかしながら本書を読んで感じたのは、これだけ過酷な任務に従事し、死の危険が大きいにも拘らず、隊員たちが常にポジティブで勇敢さとある種のユーモアのセンスを失なわずにいたのは、私からすれば驚き以外のなにものではない。安っぽい戦争小説の登場人物にみられるような変なセンチメンタリズムやダンディズムは微塵も存在しない。国の家族を想い、自分の義務を果たそうという信念を貫く人々の姿がそこにはある。本書の主人公ローレンス・チャップマンは、架空の人物という事になっているが、多分ベースとなる人物は存在しているように思われる。そのように感じさせるほどこの主人公の人物像にはリアリティーがある、小説では彼の学生時代の事についてもページが割かれており、主人公の人物像を深く掘り下げることに成功していると思う。また、最初に経験した機甲部隊での体験は、当時ドイツアフリカ軍団を指揮していたロンメル将軍に対しどれだけイギリス軍が苦渋を舐めさせられていたかがうかがえた。そのロンメル将軍を殺害する任務をを受けたLRDGの隊員たちのお話がこの小説のメインストーリーとなるが、史実を知ってるだけにその作戦が失敗することは分かっているのだが、かなりハラハラする内容であった。小説内の描写のリアリティーがすごく、かつその時代を生きた一人のイギリス人男性の物語としても面白い、私の大好きな小説の要素である「真実と虚構の幸福なコンビネーション」がこの作品にはあると感じる。 >> 続きを読む
2018/01/07 by くにやん
無性に冒険小説を読みたくなる時があるものです。そんな気分の時に読んだのが、ジョン・マノックの「Uボート113 最後の潜航」。プロローグは現代。語り手は、ミシシッピー河口の海底で古い潜水艦の残骸を見つける。まもなく彼は、その潜水艦にまつわる物語を聞くことになる。第二次世界大戦のさなか、人に知られることなく、この地で戦ったドイツ軍人たちの物語を-------。奇妙な遺物の発見が描かれるプロローグに続いて、遺物にまつわる第二次世界大戦の秘話が語られる。そう、この小説は冒険小説の雄ジャック・ヒギンズの傑作冒険小説「鷲は舞い降りた」と同じ形式に則っているのだ。こんな枠組みを用いる作品には、読む前に高い水準を求めてハードルを引き上げてしまいますが、結果、期待を裏切らない一冊でしたね。物語の力によって、結末に用意された、ごく平凡な台詞が宝石の輝きを放つんですね。その美しいラストには、目頭が熱くなるのを禁じ得ない。 >> 続きを読む
2018/11/01 by dreamer
【村上和久】(ムラカミカズヒサ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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