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どんな本でも当たり前だが作者がいる。そこで辞書にも、それを作る人たちのドラマがある。各出版社によって出されているというのは意外と知らないことで、その中で辞書編集部に馬締が引き抜かれる。そこで始まる刊行までの経緯は多くの苦難が。多分労力としては相当なものだろうが、それを次第に喜びとしていくのが馬締とその周りの編集者たち。特に感化されていく西岡やみどりの変化がとても気持ちよく、香具矢に対する恋文もこの時代には新鮮ですらある。辞書の作成者という部分に光を当てたしおんさんのアイデアに感服です。そしてこの本を包む優しくホッとする読了感が嬉しかった。 >> 続きを読む
2020/11/17 by オーウェン
少し前に読み終わっていた。遅ればせながら、備忘録。まず思いっきり設定が東京の町田で笑った。生活圏が近かったので、設定された場所がどこだか手に取るようわかる。特に謎の趣味の喫茶店は、まさにその通り(笑)逆を言えば、町田という街を知らない人が読んだら、どう受け取っているのだろうか。直木賞受賞作品だし、真っ新な気持ちで読んでみたかった気もする。 >> 続きを読む
2019/12/29 by 寺嶋文
【駆け抜けるランナーのようなスピードでページをめくらされてしまった】 本書も『スポーツものでお勧めの作品』ということで、塩味兄貴から勧められて読んでみた作品です。 お勧め作だけあって良い作品でした。 物語は竹青荘(通称アオタケ)という木造のオンボロアパートに住む寛政大学の学生たちが箱根駅伝を目指すというものです。 とは言え、アオタケの住人のうち、まともに陸上競技をやったことがあるのは2人だけ。 しかもそのうちの一人であるニコチャン先輩は、とっくに陸上競技を引退した大学5年目の学生で、現在はヘビースモーカーとなり、ちょっと肥満気味という状況です。 もう一人の陸上経験者清瀬灰二(通称ハイジ)は、4年生なのですが、足を故障したこともあり、強豪大学からの誘いもあったのにそれを蹴って陸上部があるとは言っても名ばかりの寛政大学に進学したのでした。 それは陸上競技からの決別のつもりだったのかもしれませんが、走ることに対する情熱は捨てきれず、何とかアオタケの住人たちで箱根を目指したいという気持ちを持ち続けていたのです。 とは言え、現時点ではアオタケの住人は9人だけで、全部で10区を走らなければならない箱根駅伝に必要なメンバー数すら揃えられない状態です。 そこで偶然見つけたのが高校陸上で名を轟かせた蔵原走(かける)だったのです。 ハイジは、走がコンビニで万引きをして逃げ出したのを見かけその走りを目にします。 「こいつが10人目だ!」と確信したハイジは、半ば強引に走をアオタケに連れ込んだのでした。 走は、優れた走者だったのですが、高校時代、監督の指導方法に納得できず、思わず監督を殴ってしまうという不祥事を起こしたため陸上界から消えていった男でした。 走は、走ることだけは続けていましたが、もはや競技に出る意思をなくしていたのでした。 アオタケの他の住人はと言えば、運動能力に優れた者や、陸上競技の適性がある者もいるとは言え、全員が陸上未経験者です。 そんなメンバーで、しかもギリギリの10人だけで箱根を目指すと言ってもそれは無理というものでしょう。 ハイジは熱っぽく箱根を走ることを誘うのですが、さすがにすぐには承諾する者などいません。 しかし、ハイジの粘り強く、半ば脅すような強引な説得により、結局は全員が箱根を目指すことに同意してしまい、以後、やったこともない陸上競技の世界に入っていくのです。 まあ、冷静に考えれば相当に無理のある設定ですよね。 物語では、アオタケの住人たちはどんどん力をつけていき、予選会も突破し、なんと、箱根駅伝に出場することになってしまうわけですが、実際には多くの大学が一生懸命練習を重ねてもなかなか箱根駅伝には出場できないわけで、これはもう荒唐無稽、夢物語としか言いようのない非常に無謀な展開です。 その辺りは作者ももちろん承知の上で書いているのでしょうから、読者としては、もう、作者が仕組んだ夢物語につき合うしかないではありませんか。 あとはもう一直線に物語の世界に突入するだけです。 アオタケの10人が、それぞれの思いを抱いてどんどん速く走れるようになっていくのに合わせて、ページをめくる速度もどんどん速くなって行きます。 最後の箱根駅伝のシーンなんて、完全に物語に入り込んでしまい、ページをめくる速度も加速しようというものです。 こういうところが本作の魅力であり、また、多くの人から高評価されている由縁なのでしょうね。 登場人物が疑問や悩みを抱き、それを解消していく場面などを読むと、「え~。そんな理屈で納得しちゃうの?」と思わざるを得ませんし、心理描写などがちょっと都合良すぎませんか?と感じたり。 いかにもという、分かりやす過ぎる嫌われキャラが出てきたり、盛り上げ必至のレース展開にしたりと、「見えやすいなぁ」と感じる部分も多々あるのですが、本作は眉間に皺を寄せて読むような作品ではないのですから、そこは大目に見るのが吉です。 非常に分かりやすく読みやすい作品で、また、泣かせにかかっているところで手もなく泣かされてしまうわけですが、それも良いじゃないですか。 スポーツものの気持ちの良さを堪能できる作品であることは間違いありません。 小難しいことを抜きにして、読者も積極的に楽しもうという姿勢で読むと良い作品だと思いました。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/02/07 by ef177
【本棚整理中】都会から田舎に出稼ぎ(?)に行くという内容だけで面白そう!と購入。林業というなかなか触れたことのない世界がなかなか面白く、村人たちのキャラや、山の神秘的なことなどわくわくしながら読めた。ただ、主人公の日記というスタイルにしなくても良かったのでは…と終始感じた。 >> 続きを読む
2018/02/28 by 豚の確認
「冬の一等星」はとても好きでした。素敵な話です。でもそれ以外はどうもピンと来ない感じでした。なんかイマイチ素敵じゃないです。三浦先生とファンの皆様ごめんなさい。 >> 続きを読む
2018/01/02 by lafie
ただ、びっくりギョウテン!またシリーズものの後作ものから読んでしまいましたwとにかく感じたのは、読みやすさと落としどころがテレビドラマ向きな感じ。妙におもわせぶりな憂いを含んだ人物描写が前作を読んだファンサービスなのだろう。前作を読んでみようと思いました! >> 続きを読む
2018/07/07 by motti
予備知識なくタイトルの印象に希望に満ちた物語と思い込み読み始めたら裏切られた。こんな小説を書く作家だったんだ、と半端なくヘビーな余韻に『罪と罰』か?と逡巡。自然災害が無差別に人の命を奪う絶望感と、人が人の命を奪うやるせなさの先に答えが見出せないまま「暴力」と向き合うしかない。秘密を背負って、明日も笑顔で生きていかねばならぬ破綻した現実感が、ものすごく怖い。覚悟を決めて読むべし。 >> 続きを読む
2018/06/22 by まきたろう
まほろシリーズ3作目にして完結編。これまでの連作集から長編に変わり、前作で伏線となっていた無農薬野菜を推薦する協会が幅を利かせ、そこに便利屋2人が絡むことに。毎回妙な用事で呼ぶ岡さんや、いつも迷惑に巻き込んでくる星。そして行天の娘のハルを預かることになった多田の心境の変化。これまでのまほろの住人が全員参加して終盤のドタバタ劇。行天がなぜああいう性格になったのかも明かされるし、多田の未来にも光が。ラストの2人のセリフがそのまま関係を表しているのも素敵な締めだった。 >> 続きを読む
2020/08/02 by オーウェン
モデルはあるものの架空の神去(かむさり)村を舞台にした林業を主とした物語。主人公は横浜育ちで、高校の担任と母親の策略で神去村に放り込まれた平野勇気。神去村での経験を勇気が過去を振り返りながら、一人称で語る形で進められる。初めて林業の概要がわかり、予想以上に大変な仕事なのがわかった。神去村に不思議な風習があるのと登場人物が個性豊かなのと勇気の奮闘する姿に面白味を感じた。映画化もされたらしいから一度観てみたい。 >> 続きを読む
2017/11/06 by konil
・書評というよりエッセイ・取り上げた書籍のそれぞれの分量が少ないので、もう少し詳しく知りたかった・所々に文楽の宣伝が入りファンとしては嬉しい >> 続きを読む
2017/06/11 by michi2011
三浦さん初読み。元々駅伝はよく見ていたが、急場の10人で臨むという展開はどう考えてもあり得ない。それを踏まえてもランナーの想いや、走る際の過去を振り切っていく勢いは清々しい。走の過去からの脱却。ハイジの怪我による最後の走り。その他の個性的な8人のランナーたち。走っている際の各人のドラマも練られているし、ライバルの存在も速くなるための後押しになっているのがよく分かる。駅伝ものとしては出色の出来になっている。 >> 続きを読む
2020/07/03 by オーウェン
まほろ町に事務所を抱える便利屋の多田と、そこに転がり込んできた同級生の行天。彼らの共同で働く1年を追うドラマ。便利屋なので、犬の散歩だとか、今彼と別れるための彼の役など、しょうもない依頼が多い。でも次第にまほろ町という繋がりの中で、ヤバ目の依頼も増えてくる。多田と行天の明日には何が起こっても心配ないというスタンス。特に行天のだらっとした感じの割に、多田を知らぬところでサポートしてる当たりの絆は興味深い。お互いバツイチと辛い過去を乗り越えて、明日もまた便利屋は開店するのである。 >> 続きを読む
2020/07/17 by オーウェン
シリーズ2作目は依頼人の側から多田と行天を描く形になっている。1作目で関わった人たちのその後が描かれていて、まほろ市の過去が見えるシナリオもある。1作目と同じく気だるい雰囲気は変わっておらず、それはそのまま多田と行天の他愛ない会話で綴られる。個人的には星と由良のキャラの話が楽しくて、このキャラは今後も使えそうだし、ラストの行天の変貌ぶりはまだ過去が掘り起こされていないのかなと。 >> 続きを読む
2020/08/01 by オーウェン
作中作のクオリティーの高さに引き込まれる。作中作のその先もみてみたい。
2019/05/26 by kaoru-yuzu
三浦しをんさんは、表現がとても綺麗で、読みやすくて、エッセイもおもしろくて大好きな作家です!月魚も、綺麗だし背景設定もすごいしっかりしていて読みやすかったけど(笑)しをんさんの趣味がおもいっきりはいってました。マイルドに、でしたけどね(笑) >> 続きを読む
2016/03/21 by 文子。
夏休みに読みたい本。読んでいてワクワクしました。
2017/06/17 by keisan
就活のお話。ん十年前に会社員となった身なので昨今の厳しさは、果たして当時の自分ならどうするのだろう?となかなか不安になる。でもやっぱりこの本の大学生達と同じように、身の丈〜ちょっと頑張った「格闘」をするしかないわけで、案外サバサバとマイペースでやってるかも。お話は、就活や込み入った家庭の事情に対して身の丈+αの格闘の後、『劇的なことは何もないままに』、それでもこれからまた続いていくことに、『諦めにも似た潔い決意』を抱きながら終わる。が、決して仰々しいものではなく爽やかな感じ。皆その時々でできる自分なりの「格闘」をちょっとづつ続けて今に至り、これからも…そしてそれができるのは結局自分だけ…というあたりを、解説にあるようにユーモアにくるみツッコミをまぶして、一歩引いて距離をとっているのがいい感じです。 >> 続きを読む
2014/12/14 by minomu-
NY、東京、パリ。それぞれの都市で開催されるマラソン大会を舞台に、三人の作家がそれぞれの視点で描く。私の趣味は、読書とランニング。体育の授業で走らされていたのとは全く違う、自分のペースでトコトコ走る心地よさに、とりつかれたひとり。フルマラソンを走った経験もあるし、ここ数年、練習日記をつけたり…と、まあどっぷりハマっているのだが、それだからこそ、走る楽しさやランナー心理など、行間をたっぷり楽しんで読んだ。 >> 続きを読む
2015/11/21 by shizuka8
おんぼろアパート木暮荘の住人が出てくる短編集。登場人物がクロスオーバーしているのでだんだん木暮荘に愛着が湧いてくる。 死ぬ間際の友人の言葉がきっかけで猛烈にセックスをしたくなったおじいさんの話がとても面白かった。どうしたら拒絶されることなく、いたすことができるのか?その奮闘する思考があまりにも猛然としていて笑えた。 風来坊のカメラマン並木の独特の世界観も好き。覗き見される女子大生と覗き見する男の話もちょっとドキドキしながら楽しく読めた。性表現が多いけれど、気持ちの悪いエロさではないので私はOK >> 続きを読む
2018/08/12 by かなかな
【文楽は一度も見たことがないのですが】 人形文楽をテーマにした気持ちの良い作品です。 お仕事小説とも言えるでしょう。 主人公の健(かける)は、研修所出身の太夫なのですが、人間国宝である銀太夫に弟子入りし、実力を伸ばしつつある独身30男です。 私、文楽には全く疎く、一度も見たことはありませんし、作品も知りません。 その世界についても全く知らなかったのですが、それでも戸惑うことなくこの物語の世界に入り込めました。 「文楽なんて分からないからなぁ」とこの作品を読むのをためらっている方がいるのなら、心配いりませんと断言しちゃいます。 こういう作品を書くためには、しをんさんはたくさん取材をされたのだろうなぁと、(当然かもしれませんが)その点にも頭が下がります。 こういう専門の世界を描くのって勇気がいると思うんですよね。 突っ込める読者はとことん突っ込めます。 怖くて書けなくなりそう……なんだけれど。 ま、あ。 半面、実は、そうでもないのかもしれないとも思ったりして。 いや、私の専門分野はすごくよく小説化されるんです。 もう、「いい加減なこと書くな!」と思う作品は山ほどあるけれど、「ま。いっか。小説だし、これはこれで面白いし。」と、割り切って読んでいる自分もいて、結構許している自分がいるんだわぁ。 そんなもんかもしれませんねぇ。 読んでいる人の大多数はその筋の専門家じゃないですものね。 太夫は、文楽の物語の語り手ということになるのですが、演目の作品を、その登場人物の心理をどう解釈するのかに心血を注ぐ様子などがよく伝わってきました。 一応の解釈はできるにしても、それでは芸に深みが出ません。 この登場人物は何故こんな行動を取るのだろう? そこまで踏み込んでこそ語れるのが太夫の芸というもののようです。 ……な~んか、ちょっと耳が痛かったですよ。 これは文楽だけではなく、小説などを読む姿勢にもつながると感じました。 上っ面だけ撫でてレビュー書いてるんじゃないよ!と、叱られた気分。 もっと作品を読み込まなければ良いレビューなんて書けないんですよねぇ……。 また、太夫と三味線との関係というのも深いものがあるのだと知りました。 太夫と三味線は、夫婦なのだと書かれます。 本作のテーマの一つは、健が銀太夫の指示により、『変わり者』、『取っつきにくい』と言われている三味線の兎一郎とペアを組むことなることから生ずる出来事というのがあるのですが、何故、兎一郎が周囲の者と馴染もうとしないのか、どうして決まった相方を持ちたがらないのかという『謎』も秘めた物語になっています。 そして、もう一つのテーマは健の恋物語です。 健は、小学校に文楽を教えに行っているのですが、そこで知り合ったミラちゃんという女子小学生の母親に惚れてしまうのですね。 母親の帰りが遅くなることがしばしばあるようで、ミラちゃんは健を頼っています(いや、恋しているのですよ)。 彼女って、娘を一人残して夜遅くまで何をしてるんだろう? 父親はどういう人なの? 実は健は、家賃がものすごく安いという理由で、偶然知り合った住職の息子が管理しているラブホの一室で生活しているのです(すっごい設定だなぁ)。 で、ミラちゃんのお母さんは、何と健が暮らしているラブホの部屋にやって来て…… でも、これってマズい関係じゃないの? 文楽の修行というのは大変厳しいもので、女などにうつつを抜かしているヒマなどありません(健は、これまでにつき合った女性とも、文楽に時間を取られた結果去られていたのです)。 彼女のことを考えて舞台がおろそかになったことを銀太夫からたちどころに見抜かれ、「芸の邪魔になるものは切れ!」と厳しく叱られてしまいます。 とは言え、銀師匠も若いおねいちゃんとイイことしてるみたいなんですけどね~。 この辺りは、描き様によってはどろどろしてしまいそうなテーマでもあるのですが、その辺りは、しをんさんはそうならないようにカラっと書いてくれています。 笑いや感動的なシーンもそつなく盛り込み、ラストはきちんと盛り上げてくれるという手慣れた構成になっており、素直に楽しめる作品だと思います。 難しいことは抜きにして、気持ちよく読める一冊ではないでしょうか。読了時間メーター□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2020/07/04 by ef177
【三浦しをん】(ミウラシオン) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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