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脱北者である著者の視点から見た韓国の問題点。戦前日本から戦後日本を見ているかのような現代社会の病巣への指摘が有る。これまで幾つもの北朝鮮実態レポート的なものを読んで来たが、これらはほとんどが北の窮状を訴え、金政権の打倒を声だかに訴えるもので有った。本作も同様の視点は有るが、モノが無い北とモノが溢れる南との比較から現代社会を見直すための視点を提供してくれているというスタンスで向き合った方が得るものが大きい。全く持って北を擁護する気持ちは欠片も無いが、人と人との繋がりの希薄化やゴミ問題など。双方を比較することで、学ぶべき点は大きい。ただし、著者が受けているカルチャーショックの中で、北では幹部だったが、南に来てからは一般市民となったことに起因するものが少なくは無いように感じる印象を受けたが、これは問題。特権階級に身を置いていた人間からすれば、大衆化することは辛いだろうと思うが、搾取側の立場で北を支えていたことからすれば、犯罪を問われないだけでも良しとすべきではなかろうか。著者自身が書いているように、北の体制が崩壊した場合、現在の特権階級が罪を糾弾されるのは必至。北の窮状を南で訴えるために危険を冒して亡命したのならともかく、赴任先で受けた帰国命令に危機感を持ったこと(イコール我が身可愛さから)亡命した著者が、体制崩壊時に北にいないからと言って罪を免れるのはおかしいだろう。厳しいようだが、南に来た結果、北を批判する作品を書いて食いつないでいる人間と、志高く北を飛び出して来た方と同列で扱うことこそ非常に失礼なことだと思う。得るものも割と大きく、考えさせられることも大きい作品だった。 >> 続きを読む
2012/03/04 by ice
【河合聰】(カワイアキラ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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