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大倉崇裕

著者情報
著者名:大倉崇裕
おおくらたかひろ
オオクラタカヒロ
生年~没年:1968~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      七度狐
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • 大倉崇裕の「三人目の幽霊」に続く、落語界のシリーズ第2弾「七度狐」を読了。

        季刊落語編集部の間宮緑は、編集長の牧大路に言われて、静岡の山奥の杵槌村で行われる、上方落語の名門・春華亭古秋一門会を取材することになる。

        現在、北海道に出張中の牧も、後から遅れて参加予定。
        その一門会は、6代目古秋の引退に伴う、7代目古秋の名の継承、6代目古秋の一言で継承者が決まるという大事な会だった。

        緑は古市・古春・子吉という、6代目古秋の三人の息子たちの最後の通し稽古を見学する。
        三人ともに、甲乙つけがたい名人級。

        しかし、その日の晩、最初の死体が発見されることに。
        そして、折からの豪雨のために道路が分断され、杵槌村は陸の孤島状態になってしまう。

        前作は、落語の世界だけには留まらない、日常の謎の物語を集めた連作短編集でしたが、今回は、落語の世界の中で起きる、落語の世界ならではの物語。

        しかも、陸の孤島で起きる見立て連続殺人事件には、「古秋」という名前を巡る一族のどろどろとした確執、芸への執念が絡み、更には、牧が安楽椅子探偵役もこなすことになるという、本格ミステリの王道をいくような作品なのです。

        前作で登場していた、三鶯亭一門は江戸落語でしたが、今回登場する春華亭一門は上方落語。
        そして、今回重要なモチーフとなるのは、「七度狐」の噺。

        現在では、化かす場面が二つしか語られないというこの噺ですが、その昔は、7度全てが語られていたそうです。
        しかし、長すぎたり飽きられたりしがちなこの構成を、5代目古秋が、見事に復活させる考えを持っていたということで、著者の大倉崇裕による、この新しい演出が、作品の重要なキーワードとなっているのです。

        見立て殺人を扱ったミステリは数多くあれども、これほど物語の内容に密接しているというのは、珍しいのではないでしょうか。
        そして、その内容がなかなか明かされないというのもいいですね。

        思わせぶりなプロローグで語られる、45年前の過去と現在の繋がりも、とても効果的だと思いますし、真相はある程度、見当がついていたものの、それを上回る驚きが待っていました。
        そして、落語の物語らしく、ラストの落ちがまた最高なのです。

        私は「七度狐」の噺を知らないので、2度化かしてみせる、通常語られている噺と、7度化かしてみせる著者の創作の噺、どちらも実際に聞いてみたくなりました。

        >> 続きを読む

        2021/10/27 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      福家警部補の報告
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • 大倉崇裕の倒叙形式の福家警部補シリーズ3作目の「福家警部補の報告」を読了。

        この福家警部補のキャラクターについては、言うまでもなし。
        さらには、彼女の周囲を固めるキャラクターもしっかりしてきたという感じがする。

        まるで福家の部下であるような鑑識班の二岡、福家に振り回される同僚の(というか同じ立場のはずの)石岡警部補。

        ただ、一つ気になるのは、福家があまりにも神がかり過ぎて、アン・タッチャブルな存在になり過ぎるのはどうかと感じられること。
        敏腕にも程があると思えてしまうことがしばしば。

        「禁断の筋書」は、過去の確執から、作家が編集者を殺害するという事件。
        編集者の身体的な状況から福家が容疑者を追い詰める。

        「少女の沈黙」は、元やくざの組員が、元組長の孫娘を誘拐し、その誘拐犯を元・組頭が殺害するという事件。
        福家は執拗に容疑者を追い詰めるのだが、その場にいたはずの少女が証言を拒否することから、福家が追い詰められることになる。

        「女神の微笑」は、銀行強盗を爆殺する老夫婦、その驚くべき正体を福家が暴きだす。

        今作では、一番ページ数が長い「少女の沈黙」が読み応えがある。
        元やくざに対して、福家警部補の執拗な捜査が行われる。

        犯人は誘拐された少女のために犯行を起こしたことにより、現場にいた少女が事件の鍵を握ると思われるのだが、少女は犯人をかばう姿勢を見せる。

        そうした中で、福家が犯人逮捕の決め手となる証拠を見せるのだが、それが奇抜でなかなかのものであった。

        「禁断の筋書」にて福家の仕掛ける罠も素晴しいし、「女神の微笑」で見せる意外性にも驚かされた。

        今作では、今後に続くような仕掛けまで見せてくれるのだが、そのせいで、ますます次回作が読みたくなってしまった。

        >> 続きを読む

        2022/03/30 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      小鳥を愛した容疑者
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 警視庁捜査一課の第一線で活躍していた須藤警部補。
        彼は現場で銃撃を受けたことにより、入院を余儀なくされ、その後、捜査一課には戻れず、閑職と噂される、警視庁総務部総務課動植物管理係に配属される。

        その課は、容疑者のペットを保護するという仕事を行なう課であり、須藤は、外見は女学生にしか見えない、動物の生態にやたらと詳しい薄巡査とコンビを組むことになる。

        そうして須藤は薄に振り回されつつも、次々と事件を解決していくことになる-------。

        大倉崇裕の「小鳥を愛した容疑者」、「ヘビを愛した容疑者」、「カメを愛した容疑者」、「フクロウを愛した容疑者」の四つの短篇からなる「小鳥を愛した容疑者」を読了。

        この本を読んで、まず感心するのは、著者の大倉崇裕が、様々な事柄について見識が深いこと。
        というよりも、実に多趣味なことだ。

        今までの著者の作品では、落語を初めとして、プラモデルなどの玩具関係、コロンボ警部シリーズ、山岳関連と、様々なモチーフによって作品が描かれていたと思う。

        それが今回は、さらに"ペット"を主題として作品を描き出しているのだ。

        "小鳥"、"蛇"、"亀"、"ふくろう"が登場している。
        それら動物たちの蘊蓄を披露しつつ、その動物たちの飼い主が関わることになった事件の真相に迫るという内容になっている。

        正直なところ、動物の蘊蓄が披露されるという以外は、それほど注目する点もなく、普通のミステリという感じだ。

        穿った見方をすれば、なんとなくドラマ化しやすそうという気がしなくもない。
        動物を扱うということに関しては、ドラマ化すると微妙なところもあると思うのだが、キャラクターについては、こちらはいかにもというような登場人物ばかり。

        読んで楽しめるということについては、間違いないので、気軽に手にとって読める作品だと思う。

        >> 続きを読む

        2021/07/10 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      福家警部補の再訪
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! ooitee
      • 図書館本。
        シリーズ第二弾で四篇収録。

        この巻では、人気の落ちた漫才コンビを解消するために相方を殺してしまう「相棒」が切なかった。被害者が抱えていた問題に気づいた福家警部補の目が、悲しげに光る場面が印象に残った。

        警察バッジをなくさないよう、紐をつけて首にさげることにした福家だが、そのこと自体を忘れてしまうのが笑える。
        漫才が好きでオールナイト公演の回数券を買ったり、フィギュアのレアものに興味を見せるなど、福家にはいろいろ面白いところがある。

        >> 続きを読む

        2019/11/21 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      福家警部補の挨拶
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 子どもの頃刑事コロンボが大好きで欠かさず観てたんだけど
        作者は大のコロンボ好きのコロンボマニア。
        なるほど!と納得。
        和製&女性版のコロンボ。
        この手の刑事さんは
        スッポンのようにしつこい&重箱の隅をつついてくるので(笑)
        一度目を付けられたらお終いなだぁ…(゚д゚)(。_。)ウン


        倒叙ミステリー・短編4話

        ◆最後の一冊
        ◆オッカムの剃刀
        ◆愛情のシナリオ
        ◆月の雫

        倒叙ミステリーなので
        犯人は最初に登場する人物。
        福家警部補がどう確信に迫っていくのか…!!Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)




        ◆最後の一冊/
        図書館を父から受け継いだ息子は本に興味がなく
        借金まみれ、図書館を売る計画を立てていた。
        前のオーナーを尊敬し本を愛する
        私設図書館の女性館長・雨宮祥子の取った行動とは?


        ◆オッカムの剃刀/
        大学で復顔術を教えてる講師の柳田嘉文は優秀な科警研OB。
        しかし柳田は教え子でもある准教授の池内から脅されてた。
        その為柳田は綿密に計画を立てるが…
        柳田は何故脅されていいたのか?

        ◆愛情のシナリオ/
        1つの役を争いオーディションを受けた
        ベテラン女優・小野木マリ子
        マリ子は同じ役を狙ってる
        女優の柿沼恵美からある写真を見せられ
        オーディションを降りるよう迫られていた

        ◆月の雫/
        酒にこだわり蔵を愛する日本酒醸造会社社長の谷元吉雄は
        同業でライバルでもある佐藤酒造の佐藤と密約をしていたが?
        業界の中での評判が悪いのに
        自慢げに話をする佐藤に谷元は……







        読みやすくあっさり感もある。
        >> 続きを読む

        2022/04/13 by あんコ

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      福家警部補の再訪
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!

      • 大倉崇裕の「福家警部補の挨拶」に続く、倒叙形式の本格ミステリ「福家警部補の再訪」を読了。

        鑑識不在の状況下、警備会社社長と真っ向勝負をかける「マックス号事件」。

        売れっ子脚本家の自作自演を阻む決め手を探る「失われた灯」。

        斜陽の漫才コンビ解消、片翼飛行計画に待ったをかける「相棒」。

        フィギュアに絡む虚々実々の駆け引きを描く「プロジェクトブルー」。

        この作品に収録されている4篇とも、大倉崇裕による倒叙型ミステリの至芸が見られる、今一番安定感のあるシリーズになっているかもしれない。

        とにかく楽しい殺人のお話を、安心して読める倒叙ミステリになっていると思う。

        「刑事コロンボ」オタクの著者らしい、「刑事コロンボ」のパスティーシュとしても完璧な出来栄えになっていて、コロンボへの愛に満ち溢れているのが、とても嬉しいですね。

        >> 続きを読む

        2018/09/11 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      小鳥を愛した容疑者
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 薄圭子巡査は動植物が大好きだ。

        この作品はこの一文に集約されると思う。

        怪我をして捜査の前線から離れてしまった須藤警部補。
        その須藤がリハビリのために行けと言われた部署が総務部総務課。そして本当の部署名は「動植物管理係」。いわゆる左遷。

        そこに見た目は子供、中身は動植物が大好きでそれなりに資格も持っている件の薄巡査。このふたりの出逢いからこの作品の物語が始まっていく。

        内容は刑事モノのミステリ。
        そこに動植物が絡んでくる。薄巡査は動植物に目がない。でもってそれ以外の事には疎い。言葉も漢字も知らない。でも、動植物にはすごく詳しい。←これがこの作品のミソで肝。動植物の生態やちょっとした疑問などから次々に推理をし事件を解決へと導く。


        須藤はいわゆる捜査の前線に出て陣頭指揮を執る頑固者の昔気質の刑事。対して薄巡査は前にも書いたが動植物を愛し日々動植物の世話をしながら警察博物館でいつくるかわからない仕事の依頼を待っている。このふたりが組んだ時劇的な化学反応が起きる。←これもミソで肝。


        会話パートはコミカルで噛み合っているようで噛み合っていない感じが良いのだろう(自分はちょっと引いたけど)

        ひとつの作品としては面白いのだろう。
        (自分はちょっと「ん??」って思う所が多々あったけど)


        薄巡査に萌えられるかどうかにこの作品を好きになれるかどうかがかかっていると思う。


        続編があるようですが・・・・


        因みに動物を飼うって難しいし大変なんだなぁと改めて思った。
        自分も子供の頃犬を飼っていたけど世話や面倒はすべて母に任せっきりだったから母はさぞかし大変だったろうなぁと今なら思う。この作品を読んでいても大変だなぁと思った。


        という感じでレビューを締めさせていただきます。
        >> 続きを読む

        2017/05/03 by 澄美空

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      丑三つ時から夜明けまで
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 幽霊の存在が確認され、静岡県警に幽霊専門の部署 捜査五課 が試験運用された時代を舞台とした短編集。

           
        捜査五課による捜査&五課七種警部補による推理
        捜査一課米田警部補による推理

           
         どちらも外れて捜査が行き詰った後、捜査一課の「私」が真相に辿り着くという、なかなか凝ったパターンが基本。
         1篇だけ、「私」と米山が雪の山中の山小屋に7人で閉じ込められ、誰かに憑依するという霊と戦うという、『そして誰もいなくなった』風のクローズドサークル密室サスペンスもあって、それも良かった。
         同じ事件について、幽霊も絡めて3種類の説明ができる(当然2つは間違いですが)のが面白いところです。
         捜査五課の面々もコスプレしてて面白いですね。意外と活躍場面は少なかったのでしたが。
         五課の面々が活躍する続編に期待、と思ってたら、もう続編は出てないのでしょうか。本書収録作品が書かれたのは10年ほど前というし。
         霊が絡んだり説明を3種類考えたりと、制約があって難しい作品だから。大変な割に、ネット上のレビューを拝読すると、いまいちの評価が目立ったり。皆さんよく読んで辛口ですね。ミステリーも読みすぎるとすれっからしになっていくんですね。私は絶対的な読書量が少ないので、何を読んでも面白く感じられます。

           
         しかし語り手の「私」の姓名はとうとう最後まで出てきませんでした。
         作品中も「お前」とか「おい」とか呼ばれて名前で呼んでもらえないとは。(ネット上のレビューでも語り手の姓名の謎に触れたのは見つけられなかった。)
         本作品では五課の連中始め、加害者や被害者に変わった姓名の方が多かったので、明らかになっていない「私」の本名も、変わった姓名が設定されていたのかもしれません。

           
        「最後の事件」で一連の作品は終わりということですが、実は初出は2番目に古く、「栗端家の犬」を大幅に加筆訂正したということです。
         静岡県警幽霊捜査課シリーズ愛読者としては、この幻の作品を初出形と完成形と読み比べてみたくありませんか?
          http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20140920/p1
        >> 続きを読む

        2014/09/21 by 荒馬紹介

      • コメント 3件
    • 3人が本棚登録しています
      警官倶楽部 長編ミステリー
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 制服から手帳まで警察官そのままな二人組が強盗を。
        彼らは警察官愛好家のマニアで結成したサークル警官倶楽部。
        現金強奪には成功したが、報復のため仲間の息子が誘拐される。

        警官倶楽部という存在が中々面白く、鑑識や尾行に盗聴などのマニアたちが事件解決に尽力する。

        そこにヤクザや怪しいカルト教団が加わってくる。

        思いっきり続編作る感じで終わるけど、この1作でやり尽くした感があるのか2は出ていない。
        >> 続きを読む

        2019/04/29 by オーウェン

    • 1人が本棚登録しています
      福家警部補の挨拶
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • メガネをかけてショートの髪。
        小柄だが、その実は警部補という福家。

        そんな福家の活躍を倒叙形式で描くミステリ。

        刑事コロンボを下敷きにしており、福家の下の名や、プライベートは一切描かない。
        ただし一度聞いたことは絶対に忘れないし、気になることは徹底的に捜査する。

        犯人たちは皆こんな成りで警部補となめるが、次第に追い詰められていく。
        犯人の位が教授だとか社長など、皆格上なのも対決の構図が盛り上がる。

        4編収められているが、「オッカムの剃刀」の相手は元上司。
        部下に責められる様は福家の優秀さをより際立たせる。
        >> 続きを読む

        2018/02/25 by オーウェン

    • 3人が本棚登録しています
      川に死体のある風景
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 川と死体を出す題材にして6名の作家が創作したミステリ。
        歌野晶午を始め、有栖川や綾辻など名だたる作家が名を連ねている。

        どれも総じてレベルが高く、5つの作品が面白い

        1つ目の「玉川上死」高校生のいたずらから始まる殺人の謎。
        2つ目は「水底の連鎖」川に落ちた3台の車の事故の真相。
        3つ目は「捜索者」山で謎の死を遂げた男は事故か殺人か。
        4つ目は「悪霊憑き」幽霊が死体の手助けをする推理。
        5つ目は「桜川のオフィーリア」江神二郎シリーズの番外編。

        短編とは思えないほど面白い作品だが、こういう企画物では珍しいクオリティ。
        別の企画でも実現してほしい題材だ。
        >> 続きを読む

        2018/01/27 by オーウェン

    • 2人が本棚登録しています
      聖域
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 親友で登山のスペシャリストの安西が滑落したとの情報が。
        草庭は信じられない思いだが、実は殺されたのではないかと疑問を持ち、関係者にアプローチしていく。

        大倉さんの渾身の山岳ミステリということで、山の厳しさはもちろんだが、きちんと死の真相というミステリを取り扱っている。

        ハーネスやザイルなどの専門用語も非常に的確でわかりやすく、初心者向けの山岳ものである。

        ラストの友情の絆は感動するが、全体的に軽くライトな印象なので、結構あっさり読み終えた感じだった。
        >> 続きを読む

        2019/07/19 by オーウェン

    • 3人が本棚登録しています
      七度狐
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 大倉崇裕という作家は、マニアックな趣味を持っていることで有名で、それを活かして本格ミステリを書き続けていますが、落語もその一つで、父親の影響で、子供の頃から桂米朝などの落語のテープを聞いていたそうだ。

        そこから生まれたのが、短篇集「三人目の幽霊」に始まる"落語ミステリ"のシリーズなんですね。

        出版社に入社しながら、不本意にも「季刊落語」に配属された間宮緑。
        彼女が遭遇した落語絡みの騒動を、編集長の牧大路が解決するのが、このシリーズの基本的な枠組みだ。

        シリーズ2作目の「七度狐」は、落語家の跡目を決める一門会で発生した連続殺人を描いた長篇です。

        豪雨で孤立した村で発生した落語「七度狐」に因んだ「見立て殺人」を阻止すべく、緑は出張中の牧と電話で連絡を取りつつ奮闘するんですね。

        閉鎖空間、後継者選びという事件の背景、見立て殺人-----と、この作品は、著者・大倉崇裕が愛する横溝正史の本格ミステリの傑作「獄門島」にオマージュを捧げた作品だと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/08/13 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      聖域
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!

      • 1956年、日本の山岳隊がヒマラヤの聖域=未踏峰のマナスルの初登頂に成功し、登山ブームが巻き起こった。

        その半年後に、新聞連載が始まったのが、井上靖のベストセラー「氷壁」で、山岳小説の古典として現在も読み継がれていると思う。

        二人のアルピニストの絆と、その一方に起きた滑落事故の真相究明を軸に描いた、大倉崇裕の「聖域」はその井上作品を彷彿させる正統派山岳ミステリなんですね。

        草庭正義は、友人の安西浩樹に誘われ、三年ぶりに山に登ることになる。
        そこで草庭は、海外の未踏峰登山隊の一員に選ばれたという安西から、恋人の牧野絵里子が、一年前に事故死した八ケ岳中央の塩尻岳に登ってくると聞かされる。

        だが十日後、安西が滑落事故で行方不明になったとのとの知らせが届く。
        卓抜した登山技術を持つ安西が、滑落などするはずがない。
        不審を抱いた草庭は、塩尻岳に登り、目撃者から事情を聴くことにする。

        一方、彼が宿泊した山小屋は閉鎖の危機にあり、著名な登山家たちによる"山小屋を守ろう"運動が起きていた。
        そして、帰京後、安西がその運動を調べていたことがわかるが-------。

        主人公の草庭は、山に入れ込み、山岳部OBのつてで、ようやく就職先も見つけられた典型的な"山男"だ。
        そんな男が、事故の調査に追われ、仕事先にもいられなくなる。

        そして、調査の顛末とともに、その不器用な生きざまも、この作品の読みどころになるが、調査の過程からはまた、山小屋の存亡問題や大学の山岳部の危機、さらには登山の倫理といったテーマも浮かび上がってくる。

        著者の大倉崇裕は、落語ミステリや刑事コロンボのパロディシリーズなど、多彩な作風の持ち主で、いわゆる"オタク系"の趣味を前面に出したライトな活劇を得意としている作家なんですね。

        その点から考えてみても、主人公のキャラクターや背景からテーマまで、全てが登山ずくめになっているんですね。

        この作品は、一見、「氷壁」のような古典を装いつつ、その実、極めてマニアックな登山小説でもあるという離れ業を見せていると思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/09/03 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      オチケン!
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 大学の落研が舞台の物語。落語についてもっと語られると思いきや、主人公の越智健一君が単に入部したのが落語研究会(通称、落研)であって、落語についての中身は薄い。

        寿限無のはなしが主題になっているが、何度も、「寿限無、寿限無・・・・・・長久命の長助」のフルの台詞がでてきて、それだけで、何ページもの活字を埋めている。・・・・ズルい。

        「寿限無、寿限無・・・・・・長久命の長助」と書いているだけで、コブがひっこんだではなく、物語が終わってしまったというような本。
        付録として、ウェブサイトに連載されていた、落後ってミステリーと題して、落語についての小エッセイが記載されているが・・・印象に残ったのは、小三治師匠が独演会での言葉、(新作でも)「作者以外の人がその噺を演るようになったら、それは「古典」になったと言ってもいいのではないか」と、なるほどと思う話。

        まあ、ミステリーでもなく落語でもない、掴みどころの無い本でおましたな。
        >> 続きを読む

        2013/06/16 by ごまめ

      • コメント 4件
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      オチケン、ピンチ!!
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
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      • 「オチケン」に続く第二弾。

        またもや、廃部寸前の落研で事件が・・・・三人部員がきると自動的に廃部。
        他のサークルが、その部室をとる為に三枚出せば退学処分になるのを狙って
        あの手この手で落とし入れる策略をねる。

        落研の三人、いやここに登場するすべての学生は勉強もせず、
        サークルの活動、雑用に日々明け暮れる。

        落語のおもしろさより、昔の良き学生時代を思いださせる青春物語である。

        我が学生時代にもっと身近に落語があれば、どんな青春をおくれたか・・・・・
        ふと考えさせる本でおますな。
        >> 続きを読む

        2013/06/22 by ごまめ

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      白虹
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 大倉さんの山岳ミステリシリーズ。

        夏の間だけ山小屋で働く五木が休暇の際に山を下りようとするとこで、怪我の人間を助ける。
        その名頃は五木と気さくに話し合うが、数日後恋人と共に殺される。
        五木は不振に思い、単独で事件を捜査し始める。

        事件の経過のうちに、大分本筋からずれたなという印象。
        色々怪しい人物は出したが、出し惜しみの感は大いにある。

        特にこの話が山でなくても問題ないと思ってしまうのは苦しい。
        後のシリーズもあるので、やっぱり山中心のミステリでお願いします。
        >> 続きを読む

        2019/09/12 by オーウェン

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      無法地帯 幻の「?」を捜せ!
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! ooitee
      • オタク大集合のエンタメ作品。

        ヤクザでありコレクターの大葉と、貧乏ながらもお金はプレミア品にしか費やさない宇田川。
        稀少なザリガニラーというアイテムを巡り争奪戦を繰り広げる。

        オタクの執念やコレクターの収集要素をこれでもかと煽る描写が満載。実際のゴジラをはじめとした怪獣アイテムも出てくる。

        そして黒幕の存在もさり気なく隠しており、最後の最後まで楽しめる。
        普通に続編出来てもよさそうなほどキャラ立ちしているので、いつの日か見てみたい。
        >> 続きを読む

        2019/03/31 by オーウェン

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      無法地帯 幻の?を捜せ!
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね! chibadebu
      • 完全なオタクを題材にしたスラップスティックもの。
        オタクというか病的なコレクターか
        そこにまるでベクトルの違うアクションや、
        ハードボイルド、ミステリー要素まで
        詰め込んでサービス満載な一冊。

        書いたモノ勝ちな世界ですが、上手くストーリーも運ぶし、
        様々な小ネタの使い方もニヤリとするし、非常に楽しめる
        エンターテイメント小説になってます。

        しかし...落語家フィギィアは...売れないでしょう(笑)。
        >> 続きを読む

        2013/04/14 by za_zo_ya

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【大倉崇裕】(オオクラタカヒロ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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