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伊坂幸太郎

著者情報
著者名:伊坂幸太郎
いさかこうたろう
イサカコウタロウ
生年~没年:1971~

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このランキングは1日1回更新されます。
      陽気なギャングが地球を回す 長編サスペンス
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! tadahiko
      • 伊坂作品を読んだのは今回が初めてでした。

        彼らのように華麗に大金を奪って忽然と消えてしまう銀行強盗は実際に存在するのだが、やはりカッコいいと思ってしまうのだわ。
        いったい銀行強盗のどこにカッコよさがあるのだろう。
        うーん、そうだな。
        まず、大金を手に入れるところか。
        大金持ちになりたいのは万人の夢だもの。
        このレビューを読んでる君もお金が大好きなはずだ。
        通常、大金を手に入れるには時間がかかる。
        でも銀行強盗はあっという間に大金を手に入れてしまう。
        そこがまたカッコいい。
        もっと言うと彼らはコソコソなんてしない。
        白昼堂々と銀行に入り、多くの人の眼の前で大金を盗み取ってしまう。
        そこがまた拍車をかけてカッコいい。

        君が朝8時に出勤して憂鬱な気持ちでデスクに座り、神経をすり減らして働いて、終業時刻を回っても周囲に気を遣って無意味に残業、夜の9時に家に着いてスーパーで買ってきた2割引のお惣菜と発泡酒をテーブルの上に出してテレビをつける、するとニュースがこう報じるわけだ。
        「今日のお昼に○○銀行に強盗が押し入り、現金4000万円を盗んで逃走しました。」
        君が死んだ目で仕事をしてる裏側で、強盗団は君の業務時間より遥かに少ない時間で、君の年収の何倍もの大金を手に入れてしまったと。
        しかも彼らは犯行を楽しみながら、誰も傷つけず、騒がせず、オマケにユーモラスなスピーチまで付けてくれた。
        最高に皮肉が効いたロマンある話だ。

        いやいやまてまて、犯罪はロマンか?
        犯罪とは罪を犯すと書くわけで、法律を破る行動のことだ。
        法律は国が勝手に決めたルールだうんぬんはこの際置いとく。
        犯罪はルールを破ってるんだからとりあえずいけないことだね。
        でもニュースは連日のように犯罪を報じる。
        テレビとかは「こんな犯罪やっちゃダメだよ」という考えで報じてるのかもしれないけど、お父さんは苦いニュースを肴にしてお酒を呑んでるわけだ。
        そう、僕らはテレビが伝える犯罪を娯楽として享受している。
        報道も視聴者も気付かないうちに、犯罪には退屈な日常に刺激を与える娯楽のような役割ができているようだ。
        逆説的に(言葉あってる?)犯罪は娯楽なんだから、当然ロマンとユーモアがある方が好まれる。
        なるほど、犯罪はロマンかもしれない。

        タイトル「陽気なギャングが地球を回す」
        このタイトルは最高だ。
        このタイトルには強盗団のリーダー、成瀬の「世の中には犯罪らしい犯罪が必要なんだ」という彼なりの哲学が表れている。
        犯罪は世の中を楽しませるエンターテイメント。
        そして俺たちはプロのエンターテイナーだ。
        うーん、カッコいい。
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        2016/03/13 by 旅する葦

      • コメント 1件
    • 他20人がレビュー登録、 103人が本棚登録しています
      重力ピエロ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ミステリーとしては、途中から先が分かるので、私個人としては、親と子、兄弟というヒューマンドラマとしては秀逸だったのではないかと。
        春の取った行動も、兄の行動も、正しくはないのかもしれません。でも責める気にもなりません。正しさとは・・というのは難しいですね。一応法律はあるにしても、少年法の下に、明らかな罪人も寛大な判決がされてしまう。それが絶対の正しさとも思えません。実の父親が、反省もしておらず、罪を償う気もないクズのままで、更生をしていなかったから余計にそう思ったのかもしれません。かといって、仇討ちが許される社会も恐ろしい。
        育ての父親の素晴らしさが心に残ります。否定も肯定もせず、人を追い詰める事もせず、ただ愛情があった。その事に兄弟二人が救われた。
        母親の苦悩とか、警察の追求とか、書こうと思えば書けたのでしょうが、そこを排除した事で、父と子二人の絆に焦点が絞られ、それが良かったのだと思いました。
        重い話ですが、時間をかけても読む価値があったと思っています。
        >> 続きを読む

        2017/03/09 by チルカル

    • 他14人がレビュー登録、 145人が本棚登録しています
      死神の精度
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • おもしろかった!

        伊坂幸太郎さんの作品はこの作品で読んだのは3作品目です。
        (以前読んだのは「終末のフール」と「魔王」です)

        先日あすかさんのレビュー欄で伊坂さんの作品のお話をさせて頂いた時にこの作品のお話になり「そう言えば、本棚にずっと寝かせてあったなぁ」と思い何年ぶりかに手にとってみました。

        最初は「雨の描写ばかりで陰鬱だなぁ。。。」と思って読んでいたのですが次第に伊坂ワールドに惹き込まれて行ってどんどん深みに嵌って行きました。

        こういう寓話的なお話好きですね。
        あと、解説にも書いてありましたが「異化」という手法を伊坂さんはこの作品で使っていて、自分もこの手法は凄く気に入りました。

        確かに「死神」という視点から描くというのはとてもおもしろい手法だなと思います。

        その「死神」からしたらこの人間社会、人間世界は不思議と疑問に満ちあふれているなぁとも思いました。

        この「死神」。クールで人間の事には全く興味がなく、只自分の調査対象の具合を見て「可」にするか「見送り」にするかだけを見ている、なんか冷たい生き物なんですが、実は探偵めいた事もしちゃうし、音楽(死神の言葉を借りればミュージック)が大好きで時間が出来るとCDショップで音楽を聴く(それもCD買わずにずっと試聴機で聴いてる)ちょっと変わった奴で人間が発する言葉や機微、概念などに真っ直ぐ質問して人間が「なんだお前??」となる。人間が敢えて聞かなったり、スルーする所をズバズバ言ってくるのも可笑しい。

        「死」と「死神」という一見すると重たい題材を扱ってるのに所々クスッと笑えたりハッとさせられたりするある意味コメディの様な哲学的な要素もあって読んだ後ちょっと人間とは何ぞや??と考えてしまいました(笑)

        この作品を読むきっかけを与えて下さったあすかさん、ありがとうございました!またひとり好きな作家さんが増えました!!


        今回も良い読書が出来ました!


        >> 続きを読む

        2017/02/11 by 澄美空

      • コメント 6件
    • 他14人がレビュー登録、 120人が本棚登録しています
      オーデュボンの祈り
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 10年振りくらいに読み返しました。
        この本を読んでから伊坂幸太郎作品にはまり、以後ほとんどの作品を読んでいます。
        今は大分作風が変わったとおもいますが、伊坂さんの初期の作品の、分かりやすさと清々しさはとても好きです。
        他の作品も読み返したくなりました。
        >> 続きを読む

        2016/04/20 by katooo

    • 他13人がレビュー登録、 123人が本棚登録しています
      グラスホッパー
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! loon
      • 遊び半分で妻を車でひき殺した犯人への、夫「鈴木」の復讐劇。

        かと思いきや、目的を果たす前に
        目の前で何者かによってその犯人が車に轢かれて死ぬのを目撃する。

        犯人の背中を押して、車に轢かせた「押し屋」を追う事から始まる
        とにかく次々と人が死んでいくお話。

        そのほかに登場する殺し屋
        ・相手を自殺させるプロの「鯨」
        ・ナイフ使いの「蝉」

        よくもまぁこんなに人を殺しちゃうなぁ、、、
        まぁ、小説の中だけの話だから、と感じないのが不思議。
        自殺や殺しの理由が現実味をおびていて、
        本当に世の中ではこんな事が起きているのかもしれない、とすら思う。

        残忍な暴力シーンが多く、そこが少し減点の理由。
        >> 続きを読む

        2016/10/25 by アスラン

      • コメント 2件
    • 他11人がレビュー登録、 126人が本棚登録しています
      終末のフール
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • とってもあったかいなーって感じる、穏やかな気持ちになる
        この本にでてくる言葉がとても優しく、的を得ていていいなーって思った
        こんな言葉が出てくる人になれたらなーっと、伊坂さんの本を読むと思ってしまう、いつもの感情。
        とくに演劇のオールがすき!


        「かわりに、おまえもいつか、誰かをゆるしてあげなさい」

        「どっちも正解、考えて決めた人が、一番偉いんだから」
        >> 続きを読む

        2016/09/24 by asa_chann

    • 他10人がレビュー登録、 88人が本棚登録しています
      砂漠
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね! ybook
      • 西嶋好きだなー会ってみたいなー
        大学生活を送っているような気分になる

        卒業式に学長が「あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対にに考えるな。そういう人生を送るな」っと、

        響きました。

        >> 続きを読む

        2016/09/24 by asa_chann

    • 他10人がレビュー登録、 85人が本棚登録しています
      チルドレン
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • サブマリンが読みたくて、まずはチルドレンから。

        味のあるキャラクターがとっても良い
        5つの連作短編なので、通勤電車で読むのにも最適。

        陣内のような友達がいたら
        それは迷惑だろうけど、やっぱり憎めないんだろうなー
        なんて想像しながら楽しく読みました。

        >> 続きを読む

        2016/10/17 by アスラン

      • コメント 1件
    • 他9人がレビュー登録、 77人が本棚登録しています
      ラッシュライフ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! tadahiko
      • ラッシュライフ、いろんな意味があるなっと。
        黒澤がカッコイイ!

        最後の、犬を渡すかの時がよかった、
        「すでに人生はどうにもなりません」って言っているけど、大切なものに気づいているとこが、素敵だなっと。
        >> 続きを読む

        2016/09/24 by asa_chann

    • 他9人がレビュー登録、 101人が本棚登録しています
      ゴールデンスランバー
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 物語の最初の部分は青春小説のような感じがした。中ほどからは現実描写と、回想が交互に繰り返されて飽きる感じもあったが、後半からは、一挙に楽しく読めた。結末もいいと思うが、落としいれようとした組織のことに関しても、もう少し触れてほしかった。 >> 続きを読む

        2016/03/03 by 川面の輝き

    • 他9人がレビュー登録、 105人が本棚登録しています
      アヒルと鴨のコインロッカー
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! ryoh3
      • 読み始めたら止まらなくなりました、
        明るい話ではないが、ガッツリ読み応えありました
        過去、現在が交互に語られますが、
        読んでて特に混乱やストレスはないです。
        上手く計算されてつくられてます、よくこんな話考えつくなぁ
        って感心します(@_@)
        伏線ビシバシ決まってます!

        ドルジがまさか…あ〜なるとは…
        河崎のセリフがイチイチ粋だし、ブッ飛んでて
        しかもミステリアス!
        琴美とふたりの妙な三角関係。
        椎名も、終始振り回されてるし(笑)
        麗子も殴っちゃうし
        神様とじこめちゃうし

        動物虐待が読んでて悲しいので☆−1
        ですが、久々に集中して2日で読みました
        良い作品です(๑´ڡ`๑




        >> 続きを読む

        2016/10/21 by JON

    • 他8人がレビュー登録、 112人が本棚登録しています
      マリアビートル
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね!
      • 殺し屋たちの東北新幹線で繰り広げられる、壮絶な戦い。個性あふれるキャラの登場、そして展開のスピード。とても楽しく読めたました。最後の最後は・・・。各読者が結末を踏まえて、思慮するところでしょうか。
        >> 続きを読む

        2016/03/31 by 川面の輝き

    • 他7人がレビュー登録、 32人が本棚登録しています
      フィッシュストーリー
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • みんなこうやって繋がってるのかなって思うと、いいなって思う
        自分に置き換えても、今やっていることがどう繋がるのかわからないなってワクワクする

        ポテチもジーンとする、話!
        >> 続きを読む

        2016/09/24 by asa_chann

    • 他7人がレビュー登録、 71人が本棚登録しています
      オー!ファーザー A family
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • さすが伊坂さん、一気に読めます。
        親父が四人だから4倍面倒でわずらわしいけれど、その分生きる力も4倍もらっているのかもしれない。そう思うと主人公のゆきおがすごくうらやましいし、たくましいと思う。現実には親父が四人は無理だけど、自分の親父と残り三人の親父「のような一目おける存在」を見つけたいと思った。 >> 続きを読む

        2016/02/13 by takasen

    • 他7人がレビュー登録、 30人が本棚登録しています
      死神の浮力 = BUOYANCY OF DEATH
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! kissy1986
      • こんな死神がそばにいたら心強いなーって思いました。

        2016/10/03 by asa_chann

    • 他7人がレビュー登録、 40人が本棚登録しています
      首折り男のための協奏曲
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • なんか私には非常に読みにくかった。連続短編の7編ものだが、それぞれが繋がりが薄く、独立した短編集みたいで、それが何となく1冊の本になっているという感じだ。それぞれ独立して読めば面白いのかもしれないけど、やっぱり好き嫌いがでてしまう。

        首折り男の話から急にクワガタの話とか、黒澤という探偵の話とか、ラストは合コンの話に無理矢理、首折り男の話を絡ませたりと・・・。なんか、あまりにもまとまりがないような構成で、ちょっと読みづらかった。

        さらに、伊坂さん独特のスリル感やハラハラ感もなく、それぞれの短編が中途半端に終了して、伏線もなにも回収されずに、尻切れトンボになっているような気がした。私としてはあまり好みではない気がする。
        >> 続きを読む

        2017/02/22 by sumi

    • 他6人がレビュー登録、 30人が本棚登録しています
      魔王
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 話しの内容はなんとなく暗い気分にもなったのですが、

        アンダーソンの家が燃えた時、彼が「生きてると、こういうこともありますね」って言ってたとこが、印象に残ってる。
        >> 続きを読む

        2016/09/24 by asa_chann

    • 他5人がレビュー登録、 85人が本棚登録しています
      ゴールデンスランバー
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! fmg0202
      • 初めてこの著者の本を読みました。
        全体的に飽きがこなく、後半は先が気になって仕方なかった。
        映画「逃亡者」さながらそれに陥った主人公は決してあきらめないし
        父親が画面に登場した場面が最も良いシーンだった。
        また、最初の事件が今問題になってるドローンと精通していてちょっとおもしろい。

        >> 続きを読む

        2015/04/24 by がーでぶー

      • コメント 2件
    • 他5人がレビュー登録、 36人が本棚登録しています
      あるキング
      カテゴリー:小説、物語
      3.1
      いいね! MASA-TOSHI
      • 評価の難しい作品です。
        評価なし、★1~5、すべてに当てはまります。
        伊坂さんは何作か読んでいますが、こんなに感情をぶつけたのは初めてかも。いろいろな意味で楽しめました。
        「伊坂作品ナンバーワンは『あるキング』。おすすめできないけれど」
        ・・・こんなかんじです。
        プロ野球の弱小チーム仙醍キングスに所属する、孤高の天才・山田王求(おうく)の一生を描いています。
        シェイクスピア「マクベス」を踏まえており、三人の魔女や有名な台詞が多く登場します。
        ―Fair is foul, and foul is fair.(きれいは汚い、汚いはきれい)
        途中までは正直気に入らないストーリーだったのですが、終わってみればラストシーンの清々しさが心に残りました。
        私にとっては9回裏サヨナラの場面で、ファウルライン上ギリギリのフェアとなったような作品です。
        まさにフェアはファウル、ファウルはフェア。


        黒い服に黒い帽子を被った女たち、「マクベス」のストーリー。
        要所要所でシェイクスピアに逃げてしまっているのが気に入らない。
        登場人物が殺人を犯す場面があるのですが、このあたりの動機が弱くなっているような気がします。
        父が息子の同級生を殺したのも。
        打席のほとんどが四球か本塁打という恐ろしい才能をもった息子がいるのに、なぜバッシングを浴びるような行動を軽々しく取ってしまったのか。そして、それを「マクベス」に丸投げしないでほしい。試練とか、苦難という言葉で片付けてはだめでしょう・・・。

        山田王求は筒香選手のイメージで読んでいました。
        史上初の3試合連続のマルチホームランや野球に対する意識の高さが被ります。
        八割バッターなんて漫画のような設定を除けば、かなり近いのでは。
        チーム事情も似ているようで親近感をもって読んでいました。
        しかし王求のような天才がいても、仙醍キングスはリーグ4位というのがとってもリアル。
        フロントの役割って本当に大事だと思います・・・。

        あまり良い印象を持たずに読んでいたのですが、最後の最後、王求の放ったセンター方向への本塁打がすべてを吹き飛ばしました。
        孤独な王様の、胸がしめつけられるような野球人生。
        こんなにフェアでファウルな日は、はじめてだ。
        >> 続きを読む

        2017/02/06 by あすか

      • コメント 8件
    • 他5人がレビュー登録、 28人が本棚登録しています
      ガソリン生活
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね!
      • 伊坂幸太郎さんの作品です。「好きな作家は?」と聞かれたら私はきっとこの方を挙げると思います。この方の作品は最新作の「死神の浮力」は未読ですが他はおそらく全て読んでいます(エッセイは除く)。他の作家さんと少し違ったユーモアのある物語の雰囲気が、気に入っています。

        望月家の愛車である緑のデミオは、長男である良夫や次男の亨を乗せて今日も街を行く。そんなある日、「逃げているの、助けてくれないかな」と言って一人の女性が乗り込んできた—。

        主人公が死神だったり、猫だったりと様々な作品を書いてきた作者ですが、本作の主人公は望月家の緑のデミオ(緑デミ)、なんと自動車です。自動車が主人公という作品はあまりないのではないでしょうか。とてもユニークです。

        物語は主人公である緑デミの持ち主である望月家が巻き込まれていく事件を描いています。突然乗り込んできた謎の女性、長女 まどかの抱える悩み、次男 亨の学校で抱えるいじめ問題などなど、いろいろな問題が降ってきます。

        緑デミは自動車なので自分達で動くことはできず、持ち主に運転されるだけです。視点も緑デミに固定されているため、乗員が降りてしまうと駐車場に取り残されてしまったりします。ですので基本的に車内での乗員同士の会話や他の車との会話から謎に隠された真実を推理していったりします。なんかこういう「自動車が主人公」っていう物語には過去にも触れたことが無くて、とても斬新に感じました。

        さて本作の主人公の緑デミですが、読んでいるとこの緑デミがとても可愛く思えてきます。ここが私的には本作で最もヒットしたところですね。自動車同士は会話できて「やあ緑デミ」とか「やあ、黒アテンザ」とか「やあ、ヴィッツ」とか挨拶して世間話をしたりします。ときには「なんだアルファロメオを知らないのか」って言ったりして、この自動車の世界がとても楽しく感じられます(もちろん車同士の会話は人間には聞こえません)。伝説となっている凶悪な車「ミスター・タンクローリー」(映画「激突!」にでてくるタンクローリーですね)がいたりとか、自動車たちにとって電車は憧れの対象だったりとか、二輪車とはどうしても意思疎通が取れないとか、設定が細かくて、面白くて読んでいてとても楽しくなります。「機関車トーマス」や「チャギントン」の自動車版と言ったらいいでしょうか。トーマスなんかと違って自分の意思では動けないですが、この会話のユニークさは共通するところもあると思います。あと自動車たちは自分たちの乗り手をすごく大切に思っていて、そこもなんかいいなあ、って感じさせます。

        物語自体は結構大きくて凶悪な謎が物語の中盤少し過ぎで解決してしまい、その後は小さな謎の解決がメインとなっていくため、物語の盛り上がり的には最後は少し足りないかな、と思ったりもしたのですが、エピローグがすごくよくて、ちょっと感動しました。自動車と人間の関係って、購入して何年かしたら自動車を手放したり新しい車に買い換えて終わり、ってなってしまうのが普通ですが、こういう関係があったら素敵だなって思える物語でした。「死神の浮力」も読む予定です。この著者が今後もどんな物語を見せてくれるのか、とても楽しみです。
        >> 続きを読む

        2014/01/15 by taka2

      • コメント 7件
    • 他4人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています

【伊坂幸太郎】(イサカコウタロウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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