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重力にも遺伝子にも逆らえないのがこの世。そんな当たり前の常識をくつがえすことができたら、どんな未来が待っているんだろう?人を形成する生い立ちと血の因果はどう結びつくのか?洒脱て巧妙な語り口でリズミカルに進展していくミステリー仕立ての物語にぐいぐい引き込まれてしまう。やがて小刻みなシークエンスの連なりは、ドストエフスキーが分厚い作品群に刻んだ人生の不条理と普遍性に通じる重厚なテーマを浮かばせる。遺伝子情報の組み合わせによるDNAが人格を左右し、病気や犯罪にもリンクすしているとしたら…。人は心身をつかさどるデータを塗り替えるために、目の前に立ちはだかる壁(血の連鎖)に立ち向かうようにプログラムされているのかも? >> 続きを読む
2019/06/02 by まきたろう
明るくて軽快なサスペンス。 映画『スティング』を観てるような気持ち良さがあって、 読んでる最中も読後も清々しかった。 とにかく設定からしてユニーク。 作戦を練るのが人間ウソ発見機の男、 表舞台に立つのが演説の達人の男、 細かく立ち回るのが天才スリの大学生、 車を運転するのが体内時計を持つ女、 この4人で陽気に銀行強盗をやってのける。 逃走中、現金輸送車襲撃犯に横取りされてしまうコトから 物語は大きく変わっていく。 誘拐、殺人、裏切り…暗くなる要素がいっぱいあるのに まったく感じさせないのは、 登場人物の会話にシリアスさがないからだろう。 やはりこのストーリーのキーになる台詞は 「ロマンはどこだ」 演説の達人、響野が犯罪のスタートラインに立った時に呟く。 個人的には彼が一番好きだ。 >> 続きを読む
2019/01/28 by NOSE
死神の千葉が地上にやって来る時はいつも雨。音楽好きで死の判定を下すため、その対象に接近していく。映画を見ていたので3つ分のストーリーは知っていたが、その他の3つも面白い。「吹雪に死神」吹雪の山荘で残された5人と千葉。1人が殺されお互いが疑心暗鬼になっていくという、ミステリの定番みたいな話を伊坂さんが描くのは興味をそそる。千葉が探偵役になるのも中々。「恋愛で死神」死んだ人物が恋した女性や、その女性に付きまとう人物の謎を千葉が回想していく。「旅路を死神」殺人を犯した青年と千葉がドライブのロードストーリー。風景に触れていくうちに人情にも触れていく。思惑とは別の方向に向かうのだが、千葉の判定は決まっている未来というのも切ない。 >> 続きを読む
2020/02/19 by オーウェン
不思議な小説。伊坂幸太郎のデビュー作だ。村上龍のような感じと思ったが、ちと、違う。カカシが喋ったり、殺人を許される人がいたりと、ストーリーがどこへ向かっていくかもわからない展開。ふわふわとした感じだったが、最後の方では、少しずつすべて事象が絡まってくる。もう少し、結末を展開してほしかったが、この小説の面白みを減ずるものではない。楽しく読めた。 >> 続きを読む
2020/04/10 by KameiKoji
【バイオレンスな三つ巴】 『モダンタイムス』がどうも自分に合わなかったのですが、一作だけでその作家さんの評価を決めてしまうのもどうかと思い、伊坂幸太郎さんをもう一冊読んでみました。 う~ん、やっぱりこういう作風なのね。 とにかく、設定は奇想天外ですね~。 主人公というか狂言回的な立場にいるのが元教師の鈴木という男性です。 妻を交通事故で亡くしたのですが、どうもその事故は寺原という極悪人の馬鹿息子がしでかした事故らしいのです。 寺原の馬鹿息子はムカつく程の不良で、面白半分に人を殺めることを繰り返しているようなクズです。 あまりの理不尽さにキレちゃった鈴木は、教師の職を投げ出し、復讐のために寺原が経営している『フロイライン』なる会社のバイトとして働きはじめます。 何とか寺原親子に接近して妻の敵を討とうというのです。 このフロイラインなる会社もとんでもない会社で、美容薬と偽っておそらく非合法麻薬か何かを売りつけ、薬漬けにしてどんどん買わせ、あるいは薬でヨレヨレになった者を拉致して臓器販売の対象にするなど、無茶苦茶なことをやっているようです。 で、鈴木もどうやらその魂胆を見透かされているようで、フロイラインの幹部らしい比与子という女性からセールスに乗ってきて薬を飲まされて眠らされているカップルを殺せと迫られます。 殺さなければお前が潜入者だと分かるから、お前を殺すと、まあ理不尽な脅迫に合うのです。 寺原の馬鹿息子がこういう場面が大好きだからすぐにここにやってくると言われ、確かにあの馬鹿息子が車から降りて近づいてくるではないですか。 と、その時、寺原の馬鹿息子が車に轢かれてしまいます。 あの轢かれ方では間違いなく死んだでしょう。 「ちょっと、あんた、今の見た?」と言われる鈴木。 比与子は、誰かが馬鹿息子を押したと言うのです。 はっきり見たわけではないのですが、言われてみればそんな気も……。 「すぐに追いなさい!」 その現場から立ち去ろうとする男は分かりました。 せっつかされて追跡を始める鈴木なのです。 どうやら、その男は『押し屋』と呼ばれる殺し屋のようなのです。 鈴木は、『押し屋』の家まで追跡するのですが、今ひとつ本当に『押し屋』なのかどうか確信が持てません。 家庭教師のセールスを装って『押し屋』の家に上がり込むとそこには妻も子供もいるではないですか。 比与子からは、「今どこにいるのよ!何してるの!」と矢のような催促の電話がかかってきます。 さて、この作品にはあと2人の殺し屋が登場します。 一人は、依頼に応じて対象者を自殺に追い込む『鯨』。 もう一人は一家惨殺など何とも思わないナイフの使い手の『蝉』。 これに『押し屋』の『槿』(あさがおと読ませます)が加わった三人の殺し屋が互いの思惑からどんどん接近していき、鈴木をめぐって殺し合うことになるという展開です。 とにかく非現実的な設定で、また、その過程で『鯨』が幻覚に襲われて、これまで自殺に追いやった被害者の幻影に悩まされり、鈴木も脳内に亡くなった妻の声が聞こえてきて行動をせっつかれたりと、病的でもあります。 モラルなど欠片もない登場人物ばかりで、やや辟易とさせられます。 『鯨』、『蝉』、『槿』らのやり口も不愉快です。 もちろん、寺原の無茶苦茶なやり方など唾棄すべきもの以外の何ものでもありません。 まぁ、敢えてこういう作風にしているんだろうとは思うのですが、これはやっぱり好き嫌いは分かれそうな感じですよね。 ストーリー展開自体はなかなか面白いところもあるのですが、この世界観が不快と感じてしまう読み手にとっては嫌~な感じはずっとつきまとうでしょう。 う~ん、やっぱり私には伊坂幸太郎さんの作品は合わないように思います。 面白さは分かったように思うのですが、好きかどうかと聞かれると好きではないな~と改めて感じました。 リベンジしてみたのですが、残念!読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/06/13 by ef177
「陽気なギャングが地球を回す」を読んで伊坂作品を他にも読んでみたいと思っていながら後回しになってしまい、ようやく2作目。「陽気な~」のレビューを見返してみたら、なんと2012年でした。。時間が経つのが早くて恐ろしくなります。。ラッシュライフ。単行本の表紙がエッシャーのだまし絵になっていることと、他の方のレビューで気になっていましたが、まさにエッシャーのだまし絵のような印象の作品でした。読んでいくとパズルが1つ、また1つとはまっていくような感覚でした。お金で全てを買えると思っている画商と、若い画家の話。プロフェッショナルの泥棒の話。不倫をしていてお互いに相手を殺そうと企むカップル。失業して途方に暮れているおじさん。そして、新興宗教の幹部と若者。全く関係ない話が段々と交錯していく様子は読んでいて楽しかった。良い意味で、難しいこと抜きにして楽しめるエンタメ作品です。 >> 続きを読む
2019/09/09 by chao
いろいろなところで評価が高かったので読んでみましたが、個人的には「ん~…」という感じでした。 読者は小説に描かれている内容を頭の中で映像化するということを利用した著者のトリックはすごいと思います。こんな方法をかつて取った小説家はいなかったのではないでしょうか。(不勉強なので、いらっしゃったらすみません) しかし、話自体がスッキリしないのです。一番 私的に受け入れがたいのは琴美という女性です。一見、ハツラツとしていて行動的で正義感のある女性が、自分のこととなると臆病者だったというのはあり得る話ですし、実際に 自分は臆病だったんだ と理解するこうした事例はあるのでしょうが、読み進めている間 非常にイライラします。勝手な意見で申し訳ありません。 それでも、小説としてはかなり挑戦的な作品でありながら 一定の成功を納めているようですので、私が云々 言うまでもなく良い作品なのでしょう。 映像化もされているようですが、先にも述べたトリックは映画やドラマでは通用しないと思うためどのように表現しているのか非常に気になります。機会があったら見てみようと思います。 >> 続きを読む
2019/10/30 by kengo
連作ふうでいて時間軸系。収拾がついてスッキリなやつ。陣内のカリスマ性はなかなか痛快。 >> 続きを読む
2018/07/06 by motti
大学生5人の出会いから卒業までを描く青春ドラマ。東西南北を出会いに使うなど伊坂さんらしいワードセンスだし、プレジデントマンやボウリングに麻雀などがキーワードに。春夏秋冬で4つに分けられた季節の中で、時には喜劇であり時には悲劇が。特に悲劇が起きた後の仲間たちの友情にもホロリとさせられる。そんな仲間だが南の超能力だったり、西嶋のやれやれな言い回し。鳥井の軽薄ぶりだったり。キャラの特徴がそのまま物語に当てはめられているから共感できる。社会という砂漠に乗り込んでいく中で、最後のオアシスが大学生活だったのかも。 >> 続きを読む
2019/06/10 by オーウェン
近い将来惑星が地球に衝突するという状況の中で、仙台の団地に住む人々の生活と葛藤が描かれた作品。8年前に激突することが判明してから5年が経ち、民衆のパニックが収まりやや落ち着いた中という、一風変わった設定が新鮮で興味深かった。各エピソードを読みながらも、そんな時自分はどう行動するのだろうと色々な考えが頭を駆け巡った。シェルターに避難のことは話の中に出ていたけど、大型宇宙船に分乗して月あたりに一時避難できないかとか、惑星の軌道を無理やり変えてしまう装置が開発できないのだろうか、等々空想が浮かんだ。読み終えた後、ストーリーより、状況設定の方がインパクト強くて印象に残ったというのが正直な感想。 >> 続きを読む
2020/01/13 by Sprinter
基本のプロットは首相暗殺を起こしたとされて濡れ衣を着せられた男の逃亡劇である。だがその中に込められている伊坂節は見事としか言いようがない。事件が起こるまでの過程と、そこから始まる逃亡。それまでには多くの友人や家族との関係。また仕込まれている伏線の細かさ。それらを回収していく構成がまあ上手くて、青柳が英雄から堕ちていく中でも繋がりがあるし、ちょっとした会話であった連続殺人犯も意外な形で登場させるなど隙がない。ラストの落としどころも見事で、たいへんよくできました。 >> 続きを読む
2020/08/24 by オーウェン
殺し屋シリーズ第2弾は、全編新幹線の車内でのみ展開する。子供が重傷を負いその復讐のため乗る木村。その木村を束縛する中学生の王子。そして任務を請け負うため乗り込む双子のような檸檬と蜜柑。更にはツキがまるでない七尾。この5人を主軸に殺し屋たちが社内を行き交う。普通に考えれば一方通行なので逃げる場所などないのだが、そこはアイデアによってユーモラスな殺し合戦が始まる。檸檬と蜜柑の強烈な個性は、まさかのトーマス機関車。そしてサイコパスの権化のような王子もまた強烈。序盤から張られた伏線も最後にはきれいに回収。3作目も楽しみだ。 >> 続きを読む
2018/09/30 by オーウェン
伊坂作品特有の浮遊感が味わえる4つの短編集。「動物園のエンジン」閉園後のオオカミの檻に居座る男の目的とは。「サクリファイス」探し人を求め過疎化が進む村に来た泥棒の黒澤。生贄を捧げる村の風習に関わる謎。表題作は解散したバンドと、飛行機ジャックの顛末。正義の味方になりたいという思いとは。「ポテチ」泥棒コンビが野球の補欠の尾崎に寄せる話。ここでも出る泥棒の黒澤がいい助演ぶり。 >> 続きを読む
2019/04/10 by オーウェン
首を折る男の物語と、泥棒の黒澤の話。この2つがサンドウィッチのように挟まれている中編集だが、前半の方が面白かった印象。「首折り男の周辺」首折り男ではなく、それに似ている男だったり、隣の部屋から疑われたり。そうすることで首折り男の実像が見えてくる。苛められていた少年から幽霊話が最後に出てくるのがよく出来ている。「月曜日から逃げろ」泥棒の黒澤が盗みの際に逆にハメられてしまう。そこでいかにして自身の犯罪をもみ消すのかだが、チャップリンをはじめとする小ネタが楽しい。他にも化学式を用いる会話も含めて、やっぱり黒澤は伊坂作品に欠かせない。 >> 続きを読む
2020/01/17 by オーウェン
死神の千葉が人間に判定を下す第2弾。長編の今作は娘を殺された山野辺夫妻に千葉が接近。逆転無罪で釈放された犯人である本城へ直接出向こうとする。千葉のスタンスはまるで変わりがない。ひたすらにミュージックを求め、危機感あるときも平常心で一切変わらず。いかにして本城と蹴りをつけるのか。また千葉は山野辺にどうやって判定するのか。還元キャンペーンだとか、名言っぽい言葉が次々出て来たり。シリアスな現状なのに、コミカルな件で進んでいく辺りは1作目と変わらずな伊坂さん。このキャラはいつ再登場させても面白いかも。 >> 続きを読む
2020/02/21 by オーウェン
星野は別れを告げるため現在の彼女と共に、相手の所へ向かう。それは自身が5股をしていた彼女たち。どう考えてもあり得なさそうな状況だが、思わず笑える描写で伊坂さん節が炸裂。紅葉狩りに違和感だとか、ジーンハックマンがきっかけという変てこさ。また結婚予定の彼女という繭美の、大柄で思ったことは口に出さないでおけない性格が大いに賑やかに。バスに乗っていくという部分がファンタジーの様相を醸し出し、辞書の件でラストはニヤリとした。 >> 続きを読む
2019/11/23 by オーウェン
再読。個人的に伊坂幸太郎作品の中で上位にランクインする好きな物語。この『魔王』からこれまでの『ミステリー&エンタメフルスロットル』なものとは雰囲気が少し異なる作品が生まれはじめるんですよね、伊坂作品の歴史でいうと。魔王、モダンタイムス、ゴールデンスランバー、あるキング、SOSの猿、PK。この辺りが同じグループになるような気がする。超能力的な力を持つようになる兄弟が対決する。誰と?何と?相手は国でもあり、政治家でもあり、国民ともいえるかも。憲法改正とかファシズムとか国民投票とか、政治的な要素がかなり前面に押し出されてるから苦手な人がいるのもまぁ頷ける。得てしてこういう時は作者の政治観、国家観と物語が同等に捉えられるからかな。現代の日本を彷彿とさせる時代設定に現実を強く意識させられるけれど、反面、エスパー的な要素(自分が念じたことを他人の口から発することができる兄、ある程度の確率を自在に操れる弟)が非現実だから、ストーリーとしてはちょうどいい塩梅になってると思う。『重力ピエロ』もそうだったけど、伊坂幸太郎が描く兄弟にすごく憧れる……真面目な兄に、自由な弟。何が事を成すのは往々にして弟だったりする。初読の時と今回の再読後。一番強く思った事は相も変わらず同じでした。クラレッタのスカートを直せる人間になりたい。そう思った事を忘れずに生きていきたいなぁ。 >> 続きを読む
2018/07/16 by ねごと
由紀夫の家庭はとても困惑する構成。なぜなら父親が4人いる6人家族だから。普通に考えればあり得ないのだが、伊坂作品ではそれは常道。そんな4人の父親と由紀夫が出会った騒動を描くドラマ。4人のキャラ付けがしっかりしているので、違和感があった部分が全く気にならない。ギャンブル好きな鷹に、女好きの葵。頭がよくクイズ番組好きな悟に、中学教師の勲。これらの伏線が、最後の由紀夫の監禁を手助けしていく形。これだけ特徴があるので、最後の奥さんは登場させなくてよかったかな。 >> 続きを読む
2019/12/14 by オーウェン
再読。愉快なギャング達と再会!『陽気なギャングが地球を回す』の続編。まぁ前作を読んでた方が楽しめるかな。読んでる方が無難無難。ギャング達4人の日常に描かれた短編がいつのまにか1つの長編につながっていく。第3者視線から語られるギャング達の日常がすごく面白い。各々のパートを経て、4人が集結する場面はなんかちょっと感動的でもあって、自分はホントこのギャングたちが大好きなんだなぁと実感。特にギャングメンバーの響野が愛すべきいじられキャラで最高。なんとなく伊坂先生も響野のシーンを書いてるときが一番楽しそうな気がする。あ、それと本編とは直接関係のないボーナストラックが巻末に収録されてるんだけど、そっちも秀逸。4人それぞれがさりげない登場の仕方で人助けをするのが、微笑ましくてニヤニヤしちゃう。あぁいつか僕もこんな陽気なギャングたちの仲間に入れてほしい。 >> 続きを読む
2018/08/05 by ねごと
グラスホッパーは読んだが、読もうと思っていて、何だか読んでない作品。文学Youtuberベルと水野敬也(夢を叶える象)の対談で絶賛していたので購入。殺し屋シリーズ。舞台は東北新幹線の東京→盛岡間の2時間半の話である。殺し屋さんのオンパレードでスピード感があります。感想は久々の満点評価、600ページ近い長編ですが、休日まるまる潰しても満足感たっぷりです。登場人物も個性的で、映像化しても可笑しくない、この後、グラスホッパーのDVD借りるのとAXを購入するのは決まりです。 >> 続きを読む
2020/08/01 by わくさん
【伊坂幸太郎】(イサカコウタロウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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