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おじいさんの手は、たくさんのことをしてきた手。いろんなことをしてきた手。子どもの手は、いろんなことができる手、たくさんのことができる手。未来の手。おじいさんから子ども達へ、伝わることがたくさんある。手から手へ。そんな物語。それと、この絵のタッチがとても好きだ。おじいさんから子ども達への暖かな眼差しのようでもある。 >> 続きを読む
2014/08/25 by けんとまん
十九世紀のアメリカで、奴隷制廃止のために大きな働きをしたソジャーナ・トゥルースの生涯を描いた絵本。ソジャーナ・トゥルースは、もとはイザベラという名前で、1797年に黒人奴隷として生れた。女性だったが、とても身体が大きく、辛抱強く、働き者だった。小さい時から何度か別の主人へと売り飛ばされ、鞭のあとが背中に数多く残った。主人の命令で同じ黒人奴隷の男性と結婚した。何度も白人の主人からだまされながらも、働きづめに働き、ついに他の白人の手助けもあり、自由の身となった。しかし、子どもが、その元主人によって奴隷としてアラバマ州の農場に売り飛ばされてしまった。イザベラは、ニューヨーク州の法律は、他の州に奴隷を売ることを禁止していることを知り、元主人に対して訴訟を起こした。自由になっているとはいえ、黒人が白人を相手に訴訟を起すことは前代未聞だったが、イザベラは堂々と法廷で自らの主張を述べ、勝訴し、子どもを取り戻す。その後、イザベラは、自ら名前をソジャーナ・トゥルースと変えた。ソジャーナとは「たえず先へすすんでいく人」という意味。ソジャーナとなって、真実(トゥルース)を人々に伝えようという思いで自らなのった名前だった。ソジャーナ・トゥルースは、聞いてくれる人がいればどこにでも赴いて、奴隷制の実態がどのようなものか、自らの生い立ちと体験と思いを語り続けた。徐々に、ソジャーナの話は反響を呼び、奴隷制廃止運動の中心人物となっていった。しかし、脅迫や妨害も次々に起こるようになった。ある集会では、妨害者が大勢やってきて、とても話などできそうもない状態になった。だが、その時、ソジャーナは大きな声で朗々と歌い出し、その歌声にあたりはしんと静まりかえり、妨害者たちはおとなしくなり、もう危害は加えないと約束したという。脅迫に対しても、ソジャーナは「わたしは灰になっても話をする。」と答え、どこへ行くにも「自由を宣言する」と縫い取りをした白い旗を持って歩いていき、奴隷制廃止を訴え続けた。南北戦争が終ると、ソジャーナは解放された奴隷たちのために、すすんで意見を述べ、女性の権利獲得のためにも語り続けたそうである。首都ワシントンで、白人しか乗車できなかった乗り物に、乗る権利を要求し、その権利を勝ち取った最初の黒人ともなった。本当に、十九世紀アメリカの奇跡のような、偉大な人物だったと読んでいて思った。フレデリック・ダグラスやハリエッド・タブマンと並んで、ソジャーナ・トゥルースは名前は当時の奴隷制廃止運動の中心人物として挙げられるのだけれど、あまりその生涯について私は恥ずかしながらよく知らなかったので、この絵本はとても印象的な絵とともに、とてもためになった。読み終えた後には何か大きな勇気をもらった気がする、素晴らしい一冊だった。 >> 続きを読む
2013/03/21 by atsushi
小さい頃から、大きくなったら人々を勇気づける言葉を語りたいと願っていたキング牧師。そのとおり、大人になってから、あらゆる困難にめげずに、暴力に対して決して暴力では応じず、非暴力を掲げながら、屈することなく、正しいことをキング牧師は主張し、愛を説き続けた。その姿を、とてもわかりやすく、印象的なコラージュを多用した絵で表現してあった。「どんな人でも、立派な行いをすることができます。」(Everyone can be great.)「愛こそがあらゆる問題を解決するたったひとつのカギなのです。」これらのシンプルなことばが、なんという困難の深みから、はかりしれない勇気から、紡ぎだされていたのかということに、あらためて深い感銘を受けた。 >> 続きを読む
2013/01/24 by atsushi
リンカーンの生涯と、その時々の「ことば」を描いた絵本。貧しい庶民に生まれ、いろんな職業をしながら、本をしっかりと読んで自分でさまざまな知識を求め、身につけていったこと。立候補し、誠実なことばで懸命に人々に訴え、はじめのうちは何度も落選したけれど、徐々にその誠実なことばと態度が人々の心に残り、人々の心を動かしていったこと。大統領として、南北の分断をなんとか回避しようと努め、かつ勝利した北部の中においても粘り強く奴隷制の廃止を説得したこと。戦争のあと、再び国民がひとつになるように、ゲティスバーグで祈りをこめた演説を行ったこと。この絵本を読んで、本当に世の中を動かすのは、金や肩書ではなく、まことの心、「誠実さ」なのだと、思った。多くの人に読んで欲しい、すばらしい一冊だった。 >> 続きを読む
2013/01/14 by atsushi
南北戦争の少し前の時代の、黒人奴隷の一家が主人公の物語の絵本。当時は、肝心なことは何も主人が知らせてくれず、突然親と子が引き離されて売られたりすることがあったので、黒人の子どもたちは日が沈んだ後、主人の家の近くの木蔭に隠れて、そっと主人の一家の会話をぬすみ聞きし、大事なニュースをみんなに伝えたそうである。この絵本は、黒人の少女が、家族のために夜にぬすみ聞きをする様子が描かれる。しかし、その少女はとても明るくて、家族のために自分の役割をきちんと果たしながら、主人の家から聞こえてくるピアノの音色にうっとりしたり、主人の家の娘が暗記しようと朗読している詩を聞いて自分も暗唱したりする。そして、この絵本で印象的なのは、主人公の少女が、ぬすみ聞きをしながら、少しも白人の主人の家族をねたんだり憎んだりせず、ただ物事をあるがままに受けと、いたって明るく生きて、自分にできる自分が向上するための努力をし、かついつの日か自由になれる希望を失わないでいるところだと思う。主人公の少女のお父さんも逞しく、時には一日に二百キロも綿を収穫するような重労働をしながらも、決して誰かを憎んだりもせず、まっとうに生きている。時には、林の中で、黒人の人たちは集まって、みんなでいつかモーゼがイスラエルを奴隷のくびきから解放したように、自分たちも自由になれるようにと祈りの歌をうたう。そして、ついに、白人の主人たちが、「リンカーンが大統領になった」ということを憤慨し、なんとか奴隷制を維持しようと話し合っているのを聞き、少女がそれを家族に伝えると、お父さんたちは喜び、やっと自分たちのモーゼがやって来る、これからこそますます正確な情報が必要だが、希望が見えてきた、というところで終る。奴隷のつらい境遇にありながら、いかに黒人の人々が耳を澄まして世の出来事や何かためになることを学ぼうとしていたか、淡々とした描き方であればこそ、とても胸を打つ形で描かれていた。危険を冒してぬすみ聞きをすることもなく、気軽にあらゆる情報を手に入れられる現代は、その点ではなんと恵まれたことだろう。だが、彼らほど切実に、自分たちの運命に耳を澄まし、わずかなものからも無限のよろこびや心の向上を求めようとする姿勢を私たちが持っているかは、かなり省みられることだと、この絵本を読みながら思った。 >> 続きを読む
2013/02/27 by atsushi
二十世紀初頭の話。マリアン・アンダーソンは、「百年に一度」と言われるほど、素晴らしい歌声に生まれ、近所の教会などで歌って、自分でも歌が大好きで、将来は歌手になりたいと夢見る少女。そこで、音楽の学校に入学しようと応募するが、「黒人はこの学校には入れない」と断られ、ショックを受ける。それでも、夢をあきらめず、努力を重ね、有名な先生に直接出向いて、はじめは断られるが自分の歌声を聴いてもらって、レッスンを受けることになる。それから、ヨーロッパに渡って、歌手として大成功する。しかし、アメリカに帰ってくると、再び人種の厚い壁が立ちはだかる。コンサートホールは、黒人であるという理由で使用を拒み、黒人にはホテルすらがなかなか見つからない。列車も、黒人専用車両のみ。マリアンは、それでも歌い続け、徐々にアメリカでも認められ、人びとに大きな感動をもたらし、最後には小さい頃いつかここに立ちたいと思ったコンサートホールで黒人としてはじめて歌うこともできた。二十世紀の前半までは、なんとアメリカにはひどい黒人差別があったのかと驚く。にもかかわらず、誰をも恨むことなく、憎むことなく、逆に大きな愛で包み、歌声によって人々の心の氷を溶かしていったマリアン・アンダーソンは本当に素晴らしいと思う。すばらしい絵本だった。 >> 続きを読む
2013/03/03 by atsushi
【森内寿美子】(モリウチスミコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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