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柳原孝敦

著者情報
著者名:柳原孝敦
やなぎはらたかあつ
ヤナギハラタカアツ
生年~没年:1963~
      ブエノスアイレス食堂
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【その逸品は、秘伝の料理書から作られた】
         1911年、ブエノスアイレスのマル・デル・プラタに一軒のレストランが開業しました。
         それは、『ブエノスアイレス食堂』。
         天才的料理人だった双子のカリオストロ兄弟が開いた店で、その陶酔するような絶品料理により、またたくまに大評判の店となったのでした。

         しかし、この食堂は不幸な運命に支配されているのかもしれません。
         不穏な世界情勢とも相まって、初代のカリオストロ兄弟は非業の死を遂げ、その後、何代もシェフが変わり続けることになったのです。
         時には、店自体が閉鎖されることもありました。

         しかし、それでも、代替わりしようと、店が閉鎖されようと、新たに開かれたブエノスアイレス食堂は、その都度、優秀なシェフを得ることができ、また、何よりも初代のカリオストロ兄弟が残した秘伝のレシピ集『南海の料理指南書』があったことにより、やはり評判の店になったのでした。

         1979年、ブエノスアイレス食堂の2階にある従業員の居宅でとんでもない事件が起きました。
         店の経営者であったマリナが白骨化して亡くなっており、その傍らには糞便にまみれた乳児がいたのでした。
         その子の名はセサル・ロンブローゾ。
         死体が発見され、捜査された結果、この子供は母親の肉を喰っていたことが分かります。
         そもそもマリナが亡くなったのも、セサルがマリナの乳房を食いちぎったからなのです。
         最も、その死体の大半は鼠によって食い散らかされたものではあるのですが。

         時は流れ、どういう運命の巡り合わせなのか、成長して料理人となったセサルがブエノスアイレス食堂の何代目かのシェフの座に就くことになりました。
         セサルも素晴らしい料理人であり、また、例の『南海の料理指南書』を十分に咀嚼できる能力も備えていたことから、その作り出す料理は天才的だと言われるまでになりました。

         こういう設定の話なのですが、物語の中盤くらいまで、シェフが何代も代わっていく過程は、それなりに面白いものの、この作品の本当の筋はまったく出てこないのです。
         問題は、セサルがシェフになった後のことなんです。

         非常に猟奇的な作品ですので、そういうのが苦手という方には辛いでしょう。
         また、何代ものシェフの話とセサルの話が、時系列を追って描かれるのであれば読みやすいのですが、それらがバラバラにされ、断片的に、時にはAの話、次はCの話と飛び飛びに語られるため、そこはちょっと読みにくいです。

         これは読者を選ぶかもしれませんね。
         この手の、いわば『黒い』作品がお好きな方にはなかなかの佳作と評価していただけるのではないかと思いますが、苦手な方は絶対的拒否反応を起こすことでしょう。
         私ですか?
         もちろん、前者ですとも。
        >> 続きを読む

        2019/10/31 by ef177

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