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風樹茂

著者情報
著者名:風樹茂
かざきしげる
カザキシゲル
生年~没年:1956~

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      今日、ホームレスに戻ることにした
      カテゴリー:社会病理
      3.0
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      • 一〇年ぶりでホームレス界に復帰することにした。
        「復帰」というのは、以前、おれはしばしば公園でプチホームレスをやっていたからだ。
        収入がなく、家に居づらかったのである。
        今回のホームレス界への復帰の主な原因は、東日本大震災と、それに伴う原発事故である。
        あの事故のおかげもあって、おれが請け負っている海外の事業の開始が遅れに遅れている。
        おまけに原発が爆発したとき、一家で大阪の西成に逃げた。すると想定外の旅費がかかった。
        まもなく貯蓄が尽きようとしている。毎日、減っていく預金通帳を見る日々だ。
        自然、ホームレスの日々が脳裏に蘇ってくる。
        最初、おれがホームレス界にデビューしたのは、『ホームレス入門―上野の森の紳士録』の原稿を書いた後の二〇〇一年の春だった。
        あのときの理由はリストラだった。
        一年間無職無収入で懐がすっからかんになり、上野公園にしばらく住んだ。
        その後、今に至るまで、折に触れて渋谷の代々木公園で寝たり、あるいは名古屋や大阪のホームレス界を探訪し、ホームレスの人々と深く濃く交わってきた。
        本書は、それらの折々の体験を描いた実話である。(「はじめに」より)

        『今日、ホームレスになった 平成大不況編』を書いた著者による、続編ともいうべきルポ。
        東京、名古屋、大阪のホームレスの実態を、自らホームレスに身をやつしながらかきつづった意欲作です。
        著者自身の経歴を見ると、東京外語大を卒業し、その後世界を股にかけて活躍、一時は首相へ政策提言を行うような立場にいた方。
        そんな著者が、リストラ解雇を受け、収入減からホームレスになった…というかなり破天荒な半生を送ってこられたようです。

        綴られている実在のホームレスの方々の人生は悲喜こもごも。
        身を寄せるあてのない現状を憂う方、今の根無し草人生を謳歌している方、人それぞれの生き方の形。
        路上で生活するに至る彼らの人生劇場は興味深く、この不況の最中、一歩間違えれば自分自身も彼らのようになりかねない、という警鐘じみた自戒を込めて読み終えました。

        数年前の正月。
        ニュースではホームレスたちのテント村の報道でもちきりでした。
        炊き出しを行うボランティア、リストラされ途方に暮れる中年男たち。
        世相を反映したそのニュースは対岸の火事のようでいて、そぐ傍にある恐怖でした。
        幸い、自宅のテレビでその映像を観ることができていた僕を含めて、大多数の人たちの心情は、「あんな風にならなくてよかった」「あんな風になったら大変だ」という野次馬根性ばかりだったように思います。
        そして今、また巷は寒風吹きすさぶ不景気です。
        政権与党は株価が上がってアベノミクス成功とうそぶいていますが、実体経済は底なし沼の様相を呈してきました。
        そして国力の源となる人口減に歯止めがかかりません。
        良くなる要素が一つもないこの国では、もしかしたら、いちはやく人生を諦めたホームレスという生き方こそが、ストレスや迫りくる貧困に慄くよりも、賢い選択なのかもしれませんね。
        >> 続きを読む

        2014/12/04 by 課長代理

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