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芥川賞受賞の表題作を含む中編二作品です。二作品でそれぞれ小学生の男女を語り手としていますが、著者の手による子どもの目から見た世界の描き方が出色です。些細な事がらを新鮮に感じたり、逆に大人の感覚なら違和感をもつような出来事も自然に受け入れてたり、読んでいるうちに、幼い頃にしか感じ得なかったみずみずしい感性が甦るようで、童心を描く巧みさに驚かされます。男性である著者ですが、『泣かない女はいない』などに著される女性の心理を描く手腕にも、特筆すべきものがあります。以下、二作品について軽く触れます。----------『サイドカーに犬』父の失業に端を発した母の家出に始まった小学四年生の薫の夏休み。ほどなく薫たちの家には、洋子という女性が現れ、父の仲間たちとともに毎日のように出入りするようになる。薫にとって忘れえないひと夏の少し風変りな日常を描く。映画化されている。『猛スピードで母は』母とふたりで暮らす小学五年生の慎。同級生に「おまえの母さんかっこいいよな」とも評される、ハードボイルドな魅力をもつ母と、どちらかといえば大人しい性格の慎との生活が描かれる。母はある日、いまは外国にいるという、ある男と結婚するつもりなのだと、慎に打ち明ける。 >> 続きを読む
2020/08/27 by ikawaArise
電化製品、確かにいろいろあるし、うちにもたくさん。読んでいるうちに、これは電化製品がメインなのか書評がメインなのかわからなくなってきた。でも、そこがまた、いい味になっている。確かに、電化製品にもいろんな性格があるように思い始めた自分に気づいた。大きさ、用途、場所、音、匂い、温度、いろんな要素がある。しかし、それを超えた雰囲気みたいなものもある。まあ、どこまでが電化製品なんだろうというのもあるが、面白い視点だな。 >> 続きを読む
2014/12/26 by けんとまん
ひさしぶりに長嶋有を読む。森の中に佇む古い山荘で、互いに妻から離れて避暑地生活を送る親子。酷暑から逃げた代償のような男二人の不便な生活がまったりと過ぎてゆく。とつとつと会話を交わしながらも、諸問題は進展も発展、改善もしないまま夏は静かに終わる。祖母が残した山荘には古着の山。「またいつか戦争が起きても住むところと着るものさえあれば、あとは畑でも耕せばなんとかなる」という想いで購入したという山荘が、今は息子と孫の一夏の居場所なのだ。ジャージ映画といえば『キルビル』『死亡遊戯』を思い出すが、人とまったく戦わず、不便をじっと受け入れるしか術がないジャージ親子の姿に、言葉にした途端に画一化される便利社会からちょっと距離を置いてみたくなる。 >> 続きを読む
2018/03/18 by まきたろう
【長嶋有】(ナガシマユウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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