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Carey, Edward, 1970-

著者情報
著者名:Carey, Edward, 1970-
      望楼館追想
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • エドワード・ケアリーの「望桜館追想」は、いびつだけど、美しい佇まいを持った小説です。

        この小説は、まさに奇人・変人見本市といっても過言ではない作品です。

        舞台は、ヨーロッパのとある国の、小さな町に建つ古い館。
        白い手袋を決してはずさず、他人が愛したものを盗み、蒐集している語り手のフランシスをはじめ、この館の住人たちの奇矯な個性を、まずは堪能できるんですね。

        部屋から一歩も出ず、テレビを見続け、虚構の中に生きる老女。
        全身から汗と涙を流し続ける、体毛のない元教師。人語を一切、解さない犬女。
        「シッ」「あっちへいってろ」しか話さない門番。生ける屍のような、フランシスの父。

        そんな面々が、外界とはほとんど交わらず、時間が停止したような崩壊寸前の館で、幸せに暮らしているのです。

        ところが、新しい住人アンナの登場によって、死んでいた館の時間が動き始めてしまうのです。

        老女はテレビを消し、犬女は言葉を思い出す。寝たきりだったフランシスの母が目覚め、父が立ち上がり、望桜館の歴史を語り出すのです。

        そうしたこと全てが、気にくわないフランシスだけは、最後まで抵抗するのだが-------。

        ギュンター・グラスの「ブリキの太鼓」に出てくる、三歳の誕生日に自らの意志で成長を止めてしまう永遠の子供、オスカルを彷彿とさせる、反社会的な性格を持つ奇人、フランシスの語りがまとうグロテスクなユーモア。

        彼が蒐集する品々に関する寓話的なエピソードの妙。
        その中でも、とりわけ気味の悪いコレクションにまつわる謎。

        館を舞台にしていながら、ゴシックというよりはバロック。
        この「望桜館追想」は、そんな歪んだ感性が魅力の一冊なのです。

        >> 続きを読む

        2019/05/24 by dreamer

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