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清く正しく生きてきた清(きよ)。何事にも誠実に取り組む性格で、特にバレーボールに全てを注いでいた。しかしある事がきっかけで全て崩れてしまい、バレーボールを辞めて、不倫を誠実にするという不合理な恋愛をするようになった。不倫相手からの勧めで高校の講師となった清。バレーボールの顧問を希望したが任命されたのは部員1名の文芸部。部長の垣内君はスポーツが得意なのに、それ以上に文学にハマってしまった高校三年生。彼との出会いで清は少しずつ変わっていく…。というお話。特別何か大きい事件もなく、淡々と時が流れていくのだけど、生きていく上での大事なことがうっすらじんわり感じられる本。「のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えて、どこでもドアで世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする。」垣内君の言葉で清が自分にとっての「それ」は何なのか考えたように、読後自分も物思いに耽ってみた。垣内君もいいキャラだが、清の弟や不倫相手も清にとって大きな影響を与える人物だ。今の自分を構成している周りの人達のことも思い返せる機会になった。序盤は少し重い内容だけど、ぼんやり読んで、ぼんやり暖かくなる、そんな本でした。追記なぜ図書室の話なのに図書館というタイトルなんだろう… >> 続きを読む
2021/01/24 by 豚の確認
内容紹介-------------------------------------------------仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。--------------------------------------------------------ちょっと外に出てみたり、いつもと違う環境に身を置くことで、普段の悩みがちっぽけに思えるような体験は私にもある。それは簡単に言えばリフレッシュしたということなのだと思う。しかしこの作品の主人公は、単純にリフレッシュして前向きになるのではなく、「ここは私の居場所ではない、だから戻らなければ」と考える。彼女は強い人なのだと思う。私がもし今の環境に疲れて、逃げ出した先でも受け入れられないようなことがあれば、きっとどうにもやっていけない。田村さんが主人公のことを「ほんま気楽な人やで」と言っていた。これは弱い人のための物語ではないのかもしれない。ただ、「私は私の日常をちゃんと作っていかなくちゃいけない」という言葉だけはしっかりと胸に響いた。これは自己責任だとか義務だとか、そういう厳しい言葉ではないと思う。「作っていかなくちゃいけない」のなら、自分で環境は変えられるはずだ。「君ならできる」というような、優しい言葉だと思う。 >> 続きを読む
2015/06/26 by しでのん
駅伝になぞらえ繋がってく展開は分かりやすい。上原先生が良いアクセント、俊介の想いは個人的にちょっと雑音かな。良い本でしたが、期待してたほどの熱量は感じなかった。 >> 続きを読む
2017/07/01 by hiro2
小春さんと葉山君、ふたりの会話がいいなぁ。と思いました。言葉がぽんぽん♪ユーモア混じりで。でもちゃんと、相手を想う言葉で交わされる。一緒にいる時間が長くなって、ふたりに起こる問題が大きくなっても、こころを閉めがちになる小春さんになっても、葉山君は優しく向き合って話をしてくれます。それは小春さんが小春さんだからなんですよね。わたしもいつか、そんな人に出会えたときに大切にしてもらえるような人になりたい。ふたりを一緒に育てていける「ひとり」になれるように、これからの日々を大切に暮らしていきたいです。 >> 続きを読む
2017/04/23 by pippi
不思議な家族の関係。それぞれが自由に生きている。ただ、家族に何かあればそれぞれの方法で支え、助け合う。ちょっといびつな家族。愛すべき家族。恋人の死に直面したことで、家族がくっきりと浮かび上がる。 >> 続きを読む
2018/04/18 by 匿名
ここにあるのは「つながり」かなと言うのが、読後感。どれもこれも、いい味でてるよなあ~と思うし、装丁の天丼のご飯にしみこんだつゆのような味わいだ。どの作品も、そのあとの話が気になるし、同じ作品でのパート2とかあっても面白いかな。自分自身を作品の中に入れて考えてみると、果たして、自分はどう感じどういう行動をとるだろうかと思う。まあ、ある程度は近い行動も取れるかなと思ったり、さすがに、ここの域には足していないなあ~と思ったり。しかし、装丁の天丼、いい味だ。息子(中3・・・今は高3になった)が見て「天丼食べたい」と言っていた。 >> 続きを読む
2015/02/19 by けんとまん
捨て子だと確信するためにへその緒を見せてほしいとお願いするが、「育生は卵で産んだ」などとはぐらかす母親。捨て子疑惑は晴れることはなかった…あとがきのあさの氏が言うように、日々を一転する出来事なんて起きないのだが、緩やかにすぎる日々の中で、しっかりと読者に暖かいものを残してくれる。収録されている2作品に、複数の共通点はあるが、その中でも印象的だったのは、「母の愛」。育生の母親・君子は、言葉・体を使いストレートな愛情表現をした。へその緒なんかなくても、目に見えない証をしっかりと育生に示す。それがどんなに、子供の支えとなり、更に強い親子の愛を生み出すだろうか。また、「7’s blood」七子の母親も、ストレートな表現こそ少なかったが、子供を第一に考えた立ち居振る舞いであった。そこに例え血縁関係が無くとも、大きなバックボーンがあろうとも、相手を愛する気持ちがあれば関係ない。それを、くさいセリフ・表現を一切感じることなく、素直に読み取ることができて、とても心地が良い作品であった。 >> 続きを読む
2020/09/12 by みほさん
内容紹介-------------------------------------------------------駅でいきなり声をかけられ、それがきっかけで恋人になったタケルと千波。だが千波は、タケルをなかなか家族に紹介しない。その理由にタケルは深い衝撃を受けるが、ある決意を胸に抱いて一歩を踏みだした―表題作「優しい音楽」。つらい現実を受けとめながらも、希望を見出して歩んでゆく人々の姿が爽やかな感動を呼びおこす。優しさに満ち溢れた瀬尾ワールド全開の短編集。---------------------------------------------------------------短編集。どれも温かい物語のように仕上げているが、私にはどうも倫理的に納得いかない。以下、ややネタバレあり。「優しい音楽」☆☆☆タケルと千波の二人の時間の過ごし方はゆったりしていてうらやましい。何もアクティブに過ごすだけがデートではない、のんびりうだうだと時間を無駄に過ごすのが贅沢だったりするんだよな。食事の食べ方の違いを「愉快なこと」と受け入れられる千波は素敵だし、二人のリズムが合っていて、いいカップルだと思う。しかし謎が明らかになった後、タケルはあくまでもタケル自身として受け入れてもらえるように振舞うべきだったと思う。家族は誠の喪失を受け止めなければ前に進んでいけない。誠もその方が幸せなはずだ。そこをわざわざタケルが成り代わって穴を埋めるというのは違う気がする。結果としてタケルは誠と違うことを示すことができたが、過程に納得がいかない。「タイムラグ」☆不倫相手の娘を預かるという時点で抵抗があるが、これは瀬尾まい子も織り込み済みの反応だと思う。そのイメージを払拭するほどの温かい物語に仕上げようという魂胆であろうが、最後までそれはかなわなかった。たしかに、佐菜との時間は微笑ましいものだったが、祖父の家に行くあたりからおかしい。正体を明かさないまでも、息子の不倫相手が夫婦の結婚を認めろというのは、出しゃばりすぎだ。というか、不倫してるくせにどの口が言っているんだ。それに言いくるめられる祖父も滑稽でしかない。平太の家庭にとって、この物語はプラスだったかもしれないが、深雪はいいように使われただけだ。平太にだけ都合のいい状況をずるずると続けて、結婚も難しくなったころに捨てられて、一人で寂しく死んでいくしかない。不倫で温かい物語を作ろうなんて言うのが間違い。「がらくた効果」☆同棲している彼女がある日突然「拾ってきちゃった」なんて言ってホームレスを連れてきたら、私ならその場で別れる。「佐々木効果」がどうとかそういう話じゃない。愉快だなんて言っていられない。価値観がここまでずれていると、共同生活は無理だ。居座るホームレスも気持ち悪い。どの短編も、物語として客観的に見れば滑稽なのかもしれない。しかし、『図書館の神様』に救われた思いがしただけに、瀬尾まい子の作品は自分に重ねて読んでしまう。そうやって現実を意識して読むと、どの短編も受け入れがたい。奇抜さはいらないから、素直な温かい物語を書いてほしい。 >> 続きを読む
2017/06/14 by しでのん
終盤の朝練あたりから急にハマりだしたけど、全体としてはいまひとつか。主人公や浅見に共感なく、垣内も想像し難い。表題もピンと来ず。 >> 続きを読む
2020/09/14 by hiro2
内容紹介------------------------------------------------みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが...。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。--------------------------------------------------------いじめという難しいテーマを扱った小説ではあるが、瀬尾さん自身が教師を務めていたからか、丁寧に書かれている。本人でもよくわからない、思春期独特の自我あるいは人間関係についての描写は、優れた観察眼があってこそのものだと思う。いじめられる友達を見ることの辛さとか、みじめさを知られたくなくて助けを求められないとか、子どもをカテゴライズすることへの反発とか。作品の中では「学びの部屋(フリースクールの名前)はぬるま湯だ」というような踏み込んだ表現も出て来る。しかし、これはフリースクール生を批判するようなものではない。そこには子供を鼓舞するような思いがあるのではないかと思う。今は学校から遠ざかっても、いずれは社会に出なければならないのだから、どこかで立ち向かわなければならない。物語を通してわかるのは、子供は良くも悪くも染まりやすいということだ。以前読んだジェームズ・クラベルの『23分間の奇跡』のように、子どもは大人や周囲の環境から大きな影響を受ける。いや、大人も同じかもしれない。そのような中でも自分を持って戦い続けた人たちの行動が、周囲をほんの少しでも変えていく。立ち向かうのが難しい時は、「何もかも捨てて、的を絞るんだ」。一方で、すべてから遠ざかることはしないということも重要なのだと思う。良い小説ではあったが、エンターテインメント性には欠けるか。思春期の頃の経験で感想が大きく変わる小説だと思う。 >> 続きを読む
2015/03/30 by しでのん
春、戻る。タイトルに惹かれた。瀬尾さんらしい温かみのある文章で、スイスイと読みながらも、不思議さも感じつつ、最後のオチを想像。人は、忘れておきたいことも、たくさん抱えながら生きていく。でも、それは、大切な何かを置き忘れたままになるのかもしれない。それに気づきながら、でも、避けて通るみたいな。人は、いろいろな人に包まれているのだということ。だからこそ、明日に向かっていく勇気もでてくる。そこが、重要なファクターになっている和菓子のようなものかもしれない。 >> 続きを読む
2017/10/17 by けんとまん
今年の本屋大賞受賞でお名前を知った作家さんの過去作品を初読み。わー占い師の仕事ってこんな感じなんだ…。20分3000円の現金商売。なかなかおいしい仕事だぜ! などと非日常的な稼業の舞台裏に興味を覚え、さくさく読める楽しい語り口が印象的。4つのエピソードで構成された新人占い師・ルイーズ吉田の成長物語。「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の占いに救いを求める人々が抱える諸問題を題材にした様々な人間模様を通して人生の普遍性をほっこりと描く、ゆるくてあたたかい作者のまなざしを感じた。個人的には朝から今日の運勢を見るのは好きではない。運気のよしあしは別として、自分に関係ないところで、今日一日の結果がすでに決まっているような(陰陽師に呪をかけらた感覚?)一方通行感を覚えるから。対面スタイルの占いは、対話があって成立する。当たりはずれも気になるところだが、胸の内を相談するだけで、気が晴れたり、ズバッと助言してくれたら、スカっとしたり。心の呪縛を解く役目も担っているんだろうな。いくら強運の持ち主でも「運」だけで生きていくのは不可能。気づかない間に、できた大事な人とのつながりがあるから占い師も陰陽師ま解けない呪縛も解き放ってくれる瞬間の積み重ねが人生なんだろうな。 >> 続きを読む
2019/06/12 by まきたろう
kindleで読んだ。関西あるあるが満載の小説だった。ノリや話し言葉がとてもリアルだっただけにとても軽い印象を受けた。一見とてもしょうもない話だが、地元ってやっぱりいいなと思える小説だった。東京に来て、右も左も分からない兄を翻弄しようとする9歳年上の専門学校教師の女の計算高さが目に見えてとても嫌悪感を感じた。そんな女にも夢中にならず兄は結局地元の大阪に帰ってしまうので、読者としては気分が良かった。まぁ面白かったが、本で買ってたらブックオフに売っていただろうな。エンターテイメントな、その時だけを楽しむことを目的とした小説だった。 >> 続きを読む
2016/01/18 by snoopo
瀬尾まいこの「戸村飯店青春100連発」は、直球のタイトルからして、もうすでに楽しそうだなと、読む前に思ってしまった。そして実際、タイトルから受けた印象どおりの、爽やかでのびのびとした青春小説だ。舞台は大阪の下町にある中華料理店、戸村飯店。ここで育った二人の兄弟は、顔も性格も似ていない。昔から要領がよくて女にモテる兄のヘイスケと、女にはモテないが、お調子者で店の常連さんたちに可愛がられている弟のコウスケ。兄は小説家を目指すといって東京に行き、店を継ぐ覚悟をなんとなく持っている弟は、残りの高校生活を満喫してやろうと意気込む。ポンポンと畳み掛けるように飛び交う大阪弁の会話が、とにかく気持ちいい。阪神と吉本新喜劇をこよなく愛する大阪のおっちゃんたちのノリが、生き生きとこちらに伝わってくる。同じ環境で育ったはずなのに、まったく違った人間に成長する兄弟という存在の不思議。血を分けた、最も身近な比較対象に対して、いら立ったり劣等感を持ったりするのは、考えてみると自然なことなのかもしれない。六畳の狭い和室で一緒に暮らしていたのに、ほとんど会話もなく、お互いについてもよく知らなかった兄弟が、東京と大阪でそれぞれ恋や進路に迷いながら、少しだけ大人になり、次第にその距離を縮めていく。ああ、そうだ、兄弟ってそういうものだよなと、読みながらふと思う。わずらわしくて、時には目障りで、でも結局、最後には頼ってしまったりする。それが兄弟という関係なのかもしれない。著者の小説を読んでいて、いつも感じるのは、素直に書くことの大切さだ。奇を衒わず、率直にありのままを誠実に書く。そこにあるのは、人間に対する優しさに満ちた視線で、不思議と嫌みがない。それは一見なんでもないことのようでいて、実はなかなか難しいことなのではないかと思う。はじまりの季節である春に読むのに、ぴったりな一冊であると思いますね。 >> 続きを読む
2019/04/09 by dreamer
過去に自殺未遂をした父が突然「今日で父さんを辞めようと思う」と言い出し、教師の仕事まで辞めてしまう。母は自殺未遂の件をきっかけに家を出てしまい、炊事と掃除をしに通ってくるだけ。兄は幼いころから勉強にも運動にも優れて天才と呼ばれたが、あるときから真剣に生きることを辞めてしまった。そんな家庭の、物語の始まりでは中学生の女の子・佐和子が主人公の物語。まさか瀬尾まいこの作品で評価2をつけるとは思わなかった。はじめは短編小説だと思っていて、全4章のうちの第1章を読んだときは、その締めが気持ち悪すぎて寒気がした。上記のような家族設定に加えて、父の自殺未遂の時、母は救急車も呼ばずに呆然としていて、兄は父の死よりもなぜ死ぬのかが気になって救急車を呼ばずに遺書を読んでいた。そんな家族がたまに家族のことを思っている風の、すごくからっぽなセリフを言うのだ。吐き気がした。すぐにこれが長編だと気づいて、瀬尾まいこの作品だから温かい物語になるんだろうと思いなおした。しかし、そうはならなかった。この物語の趣旨はおそらく「崩壊した家庭とその再生」なのだろうが、私にはまだ問題を孕んでいるようにしか見えない。そもそも、どうしてこれが再生したということになっているのかが理解できない。佐和子の家族たちは皆からっぽで、自分も含めたすべてのものがどうなってもいいという人に見える。そして、私にとっての印象は終盤になっても変わらない。「真剣ささえ捨てることができたら、困難は軽減できたのに」という言葉の体現者たちだ。佐和子も一時はそんな家庭が気になったようだが、基本的には受け入れて生活しているようだ。それも私には引っかかるところだが、佐和子には大浦君がいた。だから、家庭がうまくいっていなくともなんとかやってこれた。しかし、逆に言えば家庭がうまくいっていないから家の外に依存対象を作るしかなかったともいえる。それを理解せずに、その責任を負わずに、佐和子を心配するだけの家族の様子は苛立たしい。そして、ほとんど他人のヨシコのたかがシュークリームきっかけで立ち直っていく佐和子も理解できなくなってしまった。ケバくて香水臭くて浮気するやつが本当はいい人なんて夢物語だ。父は「ちゃんと生きなくちゃ」と思ったようだが、自分の気まぐれで家族がどうなったのかもっと重く受け止めるべきだ。や~めた、やっぱりやらなきゃ、なんてフラフラされてたまるか。母と兄に至っては何も変わっていないし、この二人は人の感情がわからない欠陥を抱えている。お参り行っている場合じゃない。佐和子は佐和子で「どんなときだって、私の周りにはそういうものがちゃんとある」なんて言っているが、彼女の周りにいるのは大事な時にそばにいてくれないような人たちだ。ラストなんて本当ににひどい。弟に渡すなんて正気を疑う。人の心があるのか。いいところもあったのだ。大浦君のひたむきさと、その目に映る佐和子の像はとてもかっこよかった。佐和子の真面目さと、そしてそれを美徳とする佐和子の精神に惹かれる大浦君に共感した。なのになぜこうなったのか……。瀬尾まいこの作品には、真面目にやりすぎて躓いてしまった人たちがよく出てくる。瀬尾まいこは教師をやっているし、きっと自身がそういう風に生きてきたのだろう。物語の主人公たちは、どこかで折り合いをつけたり希望を見つけて前を向いて歩いていた。しかし、本作では逃げっぱなしなのだ。私は「真剣さ」は捨ててはいけないと思う。捨てるのではなくて、周りの人の力を借りるとか、もっと違う、別の柔軟なやり方で対応するべきなのだ。そもそも、0か1かの考え方しかできない時点で真剣さを捨てられていない。きっと真面目な人にはそういう生き方は似合わないのだ。だから、瀬尾さんにはひねくれたことをせずに、もっと素直に前向きになれる物語を書いてほしいと思った。 >> 続きを読む
2017/05/06 by しでのん
瀬尾まいこさんは好きな作家さんなんだけどこの本は読み終えた後全然スッキリしなかった。虐待を受ける僕と暴力を振るう義理の父の優ちゃん。たまたま生きて普通に生活できてたから良かったけど当たり所が悪かったら障害が残ったり死に至ることさえある大事件だわ。一人の夜の方が暴力より辛いのも信じられない。いつもならほのぼのして心癒される瀬尾さんの話が今回は納得できなかった。それに優ちゃんの両親もいい人過ぎて。なんでそんな両親から虐待する人間が育つんだろう。DVを受けてることをもっと深刻に表さないと世の中に良くないわ。今はそれでなくても受難な時代なんだから。数学が苦手な宮城さんに予習問題を作ってあげたところは将来僕は教師に向いてると思った。 >> 続きを読む
2019/09/24 by miko
瀬尾まいこ作品の中で一番みごとにすっきりと纏まってるのが表題作だと思う。やっぱ一ひねりあると読後感が違う。だいぶ前に読んだけどずっと印象に残ってる。 >> 続きを読む
2015/09/03 by W_W
読んでも読まなくてもいい感じの本なのですが、 なんとなく読後感が良かったので★3つです。 内容は、営業をやっていたOLが そのときのスキルを活かしつつ占い師に転身、 店にやってくる様々な客とのやり取りをベースに 彼女の日常を1話完結の連続短編4話で カラフルに描いたもの と言ったところでしょうか。 内容が内容だけに軽いタッチなのですが、 なんとなく元気をもらえる感じがします。 勉強になったりタメになったり、 感動したり関心したり、 怖くなったりビックリしたりするジャンルの本ではありませんが、 こういう本があってもいいんだなぁと思いました。 >> 続きを読む
2016/02/27 by kengo
瀬尾さんのエッセイは初めて読みました。小説はいくつか読んで癒やされた気がしますが、内容が記憶にない…嫌いではなかったはず。こちらのエッセイは彼女が中学校教師として働くなかで出会った人々について書かれています。同僚・先輩後輩・保護者・そしてもちろん生徒。中学校というかなり限定された空間によるある種の閉塞感は感じましたが、ノスタルジックな気分を楽しませてもらいました。 >> 続きを読む
2018/11/11 by komatsu
好きな作家さんが参加してたので読んでみた。短編のアンソロジーだし、サラッと読むのにいいかな。 >> 続きを読む
2015/01/11 by moonchild
【瀬尾まいこ】(セオマイコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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