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岡野宏文

著者情報
著者名:岡野宏文
おかのひろふみ
オカノヒロフミ
生年~没年:1955~

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      百年の誤読
      カテゴリー:読書、読書法
      4.0
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      • 【ベストセラー本は読む価値があるのか?】
         「ベストセラーの正体って、もしかして……ヘナチョコ?」という恐ろしい疑惑に気付いてしまった著者のお二人が1900年~2004年の約100年間のベストセラー本を取り上げ、滅多斬りにするという痛快な作品です。

         ここで注意して頂きたいのは、取り上げている本は『ベストセラー本』という点です。
         売れに売れまくった本ということで、必ずしも古典・名作の誉れ高い本というわけではないところです。
         取次店の売り上げデータをもとにベストセラー本を抽出しているのですが、戦前にはこのようなデータが無いため、その時代については様々な資料から話題になっていたと思われる本などを取り上げているそうです。

         いや、しかしこうして通覧してみると私が実際に読んだことがある本はごく僅かでした。
         私、あんまりベストセラー本って読まない人だというのもあるのですが、ここまで読んでいないとは。
         また、読んでいないから内容は知らないものの、お二人の紹介、批評を読んでみて、まぁ、何ともとんでもない本がベストセラーになっていたのだなぁ、何でこんな本がそんなに売れたんだ?と思わざるを得ない本が目白押しです。

         著者のお二人は、ベストセラー本だからと言って今さら読む価値の無い本が沢山あることを指摘し、また、日本人の読む力はここまでひどいのかと落ち込んで見せたりもします。
         そりゃ著者の二人の勝手な言い分だろうがと思われる向きもあるかもしれませんが、数少ない私が読んだことのある本で、良いなぁと思った本についてはお二人とも必ず高評価しているところから、私的にはお二人の選書眼を信じたくもなりました。

         じゃあ、一体これまでにどんな本がベストセラーになっていて、それは一体どういう本だったのかについていくつかかいつまんでご紹介しましょう。

        ○ 金色夜叉/尾崎紅葉
         粗々のストーリーは知っていますが読んだことはありません。
         お二人とも高評価です。
         しかし、小説の内容が凄いねぇ。
         新聞の連載小説だったせいもあるのかもしれませんが、『行数稼ぎ』がハンパない!
         「金剛石!」、「うむ、金剛石だ」、「金剛石??」、「見給へ、金剛石」、「可恐い光のね、金剛石」、「三百円の金剛石」と延々11行に渡りこれが繰り返されるとは(笑)。
         また、豊崎さんは寛一のキャラについて滅多斬りにしていて、「たかが女にふられたくらいで、もう、一刻も早くカウンセリング受けた方がいいよって、祈るような気持ちで読み進めましたね、わたしは」ときたもんだ(笑)。

        ○ 東洋武侠団/押川春浪
         タイトルすら知らない作品でした。
         どうやら冒険SF活劇だそうですが、主人公の武器が巨大なトンカチだそうで、それでもって相手の頭をガッツン、ガッツンぶち割っていくそうです(笑)。
         いや、この作品、『海底軍艦』6部作の最終話だそうです。
         あ、『海底軍艦』は最初の方だけ青空文庫で読んだぞ~。

        ○ 城の崎にて/志賀直哉
         これって本当に巧いの?という根元的疑問を突きつけられております(笑)。
         「志賀直哉って構成もなく、ただ思いつくままタラタラタラタラ書いている人のように感じられて仕方がないんですよ。」、「とても分かりやすい文章ではあるんだよね。小学校の作文で見たまま感じたままを素直に書きなさいていうときのお手本って、たぶん志賀直哉だもんね。」、「お手本にさせやすい文体ではありますよね。これ読んで夏休みの宿題で、君らも日記を書いてみなさいとか指導しやすい程度の名文なのでは?」
         確かに、小学生の頃、教科書だか副読本だかで読まされた記憶はあります。
         記憶はありますが、な~んにも残ってない。

        ○ 友情/武者小路実篤
         実は、中学生の頃、武者小路は結構好きで読んでたんですよ。
         まあ、それ以後再読すらしなくなっておりますが。
         「書いていることが実篤君、自分でもわけわからなくなっちゃう箇所があるんですよ。そしたら<野島は自分でも云っている内に、何だかわけがわからなくなった>って続くの。」
         「よく考えてみたら、野島って掛け値なしのストーカーだぜ。しかも猛烈な妄想型の。」

        ○ 何が彼女をそうさせたか?/藤森成吉
         全く知らない作品です。
         「子供を仕込む芝居小屋を舞台に始まるが、二幕ではヒロインは詐欺師の手伝いを強要され、補導されて養育院に送られ、次に金持ちのお屋敷の小間使いに。ところが、そこもあっという間に辞めさせられて、新しく雇われた家の若旦那に手込めにされそうになって逃げ出す。世をはかなんでいたところ、芝居小屋時代の男友達と出会って心中未遂。でもって収容された天使園というところでキリスト教の信者になるんだけれど、早々に信仰心を失って園に火をつける。」という物語のようです。
         すげーな、おい(笑)。
         ラストシーンは、ヒロインが燃えさかる天使園を振り返りながら「うれしいわ、うれしいわ」と歓喜の声をあげながら巡査に引っ張られて退場。最後のト書きは……
         「その時、燃えさかる炎の空へ、電気で大文字が浮かび上がる。「何が彼女をそうさせたか?」
         うわぁ。

        ○ 智恵子抄/高村光太郎
         詩の技巧として繰り返しが多すぎると指摘されています。
         「リフレインが叫んでる」かっ!とのツッコミが。
         コピペ詩だと言われていますが、そうだったっけ。全く記憶にございません。

        ○ 風と共に去りぬ/ミッチェル
         翻訳物でもベストセラーになっているものは取り上げられています。
         映画は見ましたが、原作は読んでいません。
         スカーレットがどうしょうもない女でまったく成長しない、「みんな明日タラで考えることにしよう。明日はまた明日の陽が上るのだ。」とか言いながらいつまでたっても明日考えないと(笑)。
         確かにそれはそうだった記憶が。
         映画を見た感じでも、スカーレットってそんなに魅力的?と思いましたねぇ。
        アシュレがまたどうしようもない男だと指摘されており、それもそうだった記憶が。
         映画見れば十分で、わざわざ原作を読むことないとまとめられております。

        ○ かもめのジョナサン/リチャード・バック
         ジョナサンがいかがわしく、胡散臭いとの批評が。
         翻訳し、巻末解説まで書いている五木寛之さんも、きっとこの作品嫌いなんだと。
         「あげくの果てが、妙に哲学的・宗教的な精神性を語り始めるや、それがキリスト教と禅の教義の、間違った浅ーいオイシイとこ取りでしかないインチキぶり。アメリカ人のアッタマ悪ぅーいニューエイジ哲学者の、独善的ラリパッパの見本みたいな一冊」だそうです。
         昔、父が買ってきたので読みましたが、まったく面白くなかった。『よだかの星』/宮沢賢治の方が数億倍良いと思う。

        ○ 気くばりのすすめ/鈴木健二
         「他人に気くばりをすすめる前に、お前が気ぃ配れよ、そういう本です。」だそうです。
         読んだこと無いけど、「声をかける前に必ず目の不自由な人の手を握る」ってところはすごいぞ。
         「知らない人にいきなり手を握られたら誰だってすごく恐いに決まってる。いわんや、目が見えないひとをや。」……これは同感だなぁ。
         「女性は考えることがあまり得意ではない。」、「考えるというのは、人間にとって一番面倒なことだから、それは、さっさとやめにして、こどもができたのをきっかけに母の座に座って楽をしよう-という魂胆が見える。」だってさ。女性に対する気配りが欠けております。

         その他のベストセラー本も容赦なくぶった斬っております。
         『マディソン郡の橋』:おナルな中年男のためのハーレ・クイン・ロマンス。キンケイド3ページに渡って俺語り。語るな!
         『金持ち父さん貧乏父さん』:これ読んだって絶対金持ちになれない。結局虚業をやれ、法律に抵触しないマルチ商法やインサイダー取引をやれというだけの本。徹頭徹尾バカ。
         『チーズはどこへ消えた?』:読者の頭に叩き込もうとしていることはただ一つ。深く考えるな、とにかく行動しろ。買え、投資しろ、分析するな自分が変われ。知性の欠如としか思えない。
         『世界がもし100人の村だったら』:こんないい加減な統計はない。語り口に恣意性を感じる。
         『世界の中心で愛を叫ぶ』:とりあえずハーラン・エリスンに謝っとけよ、タイトルをパクってさ。中身もほぼパクり。村上春樹の『ノルウェイの森』でしょ、これ全部。

         全く知らない本もあれば、あぁ、そう言われればそういう本あったっけというのもありました(ほとんど読んでないけどね)。
         こうして見ると、ベストセラー本必ずしも名作ではないというのはどうやら当たりのようですねぇ。
         少なくとも、ベストセラーになった本だからという理由だけで再読すべき価値があるとは到底言えないような気もします。

         いや、非常に痛快な本でした。
         読んでいて笑いました。
         なお、本書には海外編の続編もあるようなので、そちらも読んでみよーっと。
        >> 続きを読む

        2019/09/12 by ef177

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