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半田滋

著者情報
著者名:半田滋
はんだしげる
ハンダシゲル
生年~没年:1955~

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      3.11後の自衛隊 迷走する安全保障政策のゆくえ
      5.0
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      •  本書は4章に分かれています。1.「大震災とその後の自衛隊」2.「『トモダチ作戦』とはなんだったのか」3.「変貌する海外派遣」4.「迷走する政治主導」となっています。前半2章は主に3・11の震災で自衛隊が果たした役割について書かれています。新聞報道ではアメリカが助けに来てくれたことが強調されていましたが、それが全部ウソではないにせよ、かなり誇張され、部分的には事実をねじ曲げて伝え、「トモダチ作戦のありがたみ」「有意義な日米同盟」が演出されました。(仙台空港のメーン滑走路の車などを一日でどけてきれいにしたのは、国土交通省が契約した日本の業者だった)

         アメリカには1.日米関係の内外へのアピール。2.オバマ米大統領が掲げた新規の原発建設を推進するクリーンエネルギー政策に影響を与えないこと。3.日本を経済大国の地位から転落させないこと。これは、日本、フィリピン、シンガポール、タイ、オーストラリア親米諸国による中国包囲網を緩めないことと連動している。

         トモダチ作戦で米政府が用意した予算は最大で8000万ドル(約62億円)。日本の「在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)」に関する新たな特別協定が震災後の4月1日に発行し、毎年度1881億円ずつで、5年間にわたり日本側が負担する。5年間の総額は一兆円近くになる。自民党政権下で交渉により、徐々に削減されつつあった、思いやり予算は民主党政権になって、今回の法制化で高止まりすることになった。

         後半の2章は海外派遣のあり方と、民主党政権の迷走ぶりを描き出している。南スーダンのPKO派遣を巡る民主党政権の朝令暮改ぶりと、官僚主導政治家不在の意志決定の様子を浮き彫りにしつつ、自民党政権以上に海外派遣を広めてしまっている有様を描写する。今やアメリカの「名代」としてアフリカ軍の中核を担う自衛隊。この辺の事情はあまり国内で報道されていない。初めて行われる時には強烈な拒否反応を示すのに、一度決まってしまうと急速に世論が冷めるのが日本の特徴だとつくづく思う。不屈の精神で息の長い運動をしている人たちはたくさんいるけれども、「お上」の決定に結局逆らわないのは習性のようなものだ。そのお上がアメリカの言いなりなのだから、やりきれない。

         最終章では普天間のことが取り上げられている。辺野古沖キャンプシュワブの飛行場建設で、QIP方式(桟橋方式)とメガフロート方式の二工法が案として挙げられ、アメリカの企業、政治家や日本の企業、政治家たちが利権を巡ってさまざまに動く様子が詳しく書かれている。結局、政府・沖縄県・名護市の三者で合意が形成されるも、地元の住民や支援者の建設作業妨害により、着工されていない。こういうところで地道に頑張っている人がいるのだ。

         最後は海兵隊の問題。現在の戦争は航空機主体で、戦端を開くのは攻撃機や船艇、潜水艦から発射される巡航ミサイルなどで、着上陸侵攻の戦争は起こらない。海兵隊は役割を終えているのだ。アメリカが海兵隊を沖縄に駐留させているのは、海兵隊のためであって、沖縄のためではない。

         筆者は最後に、自衛隊が「人助け」組織として生まれ変わることを期待している。憲法9条を変えるのではなく、その主旨を貫徹するために。自衛隊がもっと災害救助などで活躍できるよう法整備をしたらよいと提案している。3・11の時には、夜間の警備などを地元住民から頼まれたが、法の壁があってできないという事態もあったという。夜間警備などは警察の仕事なのだ。この辺にも日本の縦割り行政の弊害が見事に出ている。
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        2012/10/16 by nekotaka

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