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山本周五郎賞受賞作品。親指を他の4本の指で包み込むように握ってお見舞いする鉄拳「おともだちパンチ」の紹介から始まる本書は、いい意味で酔っぱらいが書いたような小説でオフスプリングの5thアルバム「アメリカーナ」のような爽快感に満ち溢れている。登場人物である先輩の「だ・である」調の文体と黒髪の乙女の「です・ます」調の文体が交互に登場し、独特のリズム感をもたらしている。東堂という経営者が黒髪の乙女を揺らし、ついでに胸の中に手を入れ乳を揺らすというセクハラまがいのことを平然とするのは如何なものかと思った(黒髪の乙女も不思議と抵抗しない)。「詭弁論部」というネーミングの大学の文化系のサークルが登場するのは「映像研には手を出すな!」のメロディック・ハードコア部みたいなノリで楽しかった。飲み会で酔っぱらいの男性が黒髪の乙女に向かって「自分が惚れた男と結婚するのと惚れてない男と結婚するのとじゃあ、惚れてない男と結婚する方がいいよね」ということを話したのは、ちょうど同時並行で読んでいた「しょぼ婚のすすめ」(えらいてんちょう著)でも似たようなことが書かれていたので面白かった(ちなみに内田樹も同系統の思想の持ち主である)。先輩が黒髪の乙女と会うために「下鴨納涼古本まつり」という古本市に出かけた際、黒髪の乙女がジェラルド・ダレル「鳥とけものと親類たち」という本を読んでいた時、先輩が「そんなやつを読む暇があったら、むしろ私を読みたまえ、なかなかオモシロイことが色々書いてあるよ」と独白したのは「ヘブンズ・ドアか」とツッコミを入れそうになった。そのあとも先輩が「なるべく彼女(黒髪の乙女)の目にとまる作戦」(通称・ナカメ作戦)を敢行し「世界ボーッとする選手権」などの楽しいパワーワードも出てくる。ちなみに本書は、乃木坂3期生・久保史緒里が「黒髪の乙女」役の舞台化もされている。 >> 続きを読む
2021/07/29 by tygkun
ずっと大学生活の2年間を無駄にしてて面白い。パラレルワールドかな?って思ってたら最後は意外な展開だった。いろんな選択肢があっても結局一つに収束するってことはα世界線から抜け出せないのね…という話ではない。妙な疲労感が残る作品でした。主人公、おつかれ。 >> 続きを読む
2021/08/29 by aki
小学4年生のアオヤマ君は好奇心旺盛。毎日調べることが山積みで、今日は街中に現れたペンギンが研究対象に。するとそのペンギンには歯科医のお姉さんが関わっていることを知る。小4が見る空想と現実の世界の具現化。大まかにはあるが、物語の空想はあちこちへと飛んでいく。想像に制限はなく、広がりは止まらない。世界の果てを見るのはかなしいというセリフ。つまりはそれが大人になるという裏返しであり、おねえさんへの憧れも解る。「夜は短し歩けよ乙女」もそうだったが、森見さんの本はアニメ化されるのが納得の作風を違和感なく見せてくれる。 >> 続きを読む
2019/04/16 by オーウェン
昔読んだはずなのに全然覚えてなかったので再読。もっと主人公の女の子は訳のわからない感じだと思っていたけどそうでもなくなっていたのは、現実にも訳わからん人間はいると知ってしまったからでしょうか。色んな伏線というかヒントがちょっとずつ繋がって、みんなが幸せになる展開で、救われる人もいるんじゃないかと思う。ゆったりしたい時に読みたい本。 >> 続きを読む
2021/08/18 by aki
たかだか半世紀前に米国から輸入されたクリスマス行事に右往左往する日本的カップル浮かれ聖夜現象が今年もやってくる。彼氏、彼女がいないことが年末の焦りに違和感と憤りを抱く熱き異性との関係無縁な男衆漂う心象語り口がサイコー! 妄想大学生たちの清き反乱「えいじゃないか」の珍テロ騒動に大笑いしたぜ!世の男子が通過する失恋の逆恨み感が半端ないエネルギーを帯びてゆく妄想感を描出する語り口が素晴らしい小説。そんなだらしない男衆の悲喜こもごもの青春臭さをぶっ飛ばす絶対的存在感を放つ岡本太郎の太陽の塔にシビれまくるヒロイン水尾さんに、女子の直感力が炸裂!浮世の流れにふらつく、世の男たちを超越して大地にドーンと居座る太陽の塔の違和感こそ異性が持つ理屈を超えた魅力なのかも。 >> 続きを読む
2019/11/30 by まきたろう
ゆるい(´Д`;)めちゃめちゃ内容はユルいです。作家さん特有の文体で楽しむ感じじゃないでしょうか。キャラも楽しいのでこういうのは漫画っぽい。たしかコミック化されたのもあったはず。小説家ですが漫画家に例えたら、絵柄が好き♪とかそういう漫画家の部類じゃね?でもコレ、たのしかったです。(amazon解説)1年ほど前からそいつは京都の街に現れた。虫喰い穴のあいた旧制高校のマントに身を包み、かわいい狸のお面をつけ、困っている人々を次々と助ける、その名は「ぽんぽこ仮面」。彼が跡継ぎに目をつけたのが、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」を改訂して夜更かしをすることが唯一の趣味である、社会人二年目の小和田君。当然、小和田君は必死に断るのだが…。宵山で賑やかな京都を舞台に、ここから果てしなく長い冒険が始まる。朝日新聞夕刊連載を全面改稿、森見登美彦作家生活10年目にして、3年ぶりの長篇小説。 >> 続きを読む
2018/08/25 by motti
森見登美彦の第31回日本SF大賞受賞作「ペンギン・ハイウェイ」を読了。語り手の"ぼく"は、小学四年生。ぼくは、偉くなるために、日々の研究を怠らない。そんな、ぼくらが住む郊外の街に、突如として、ペンギンが現われ始めたのだ。どうやら、このペンギン事件には、歯科医院のお姉さんが関わっているようなのだが、詳しいことは、まだ研究が必要だ。そんな時、ぼくは、クラスメイトが森の中で見つけて、研究中だという「海」の存在を教えられて-------。語り手が、小学四年生であっても、独特の"森見節"は健在だ。この作品は、基本的には、ひとりの男の子の成長と初恋の物語で、ペンギンや「海」をめぐる謎の核心部分については、うまくはぐらかされるのかと思いきや、終盤には、それなりのスペクタクルと、作者にしては、かなり突っ込んだ説明が用意されている。とにかく、この作品は、読み終えるのが惜しい、モリミー版の「ソラリス」なのだ。 >> 続きを読む
2019/06/22 by dreamer
森見登美彦の作風のコアが、デビュー作や「四畳半神話体系」に代表される、自意識過剰な若者のユーモラスな語りを通じて、リアルとファンタジーが混在する京都を綴った作品群にあることは疑いない。この「四畳半王国見聞録」もその系統の短篇集だ。四畳半王国の理念を延々と語る男、アパートの屋上に祀られた阿呆神、空き地で踊る水玉ブリーフ姿の神、役に立たない超能力者たち。ナンセンスな空想の群れが織り成す異空間は、あまりにも魅力的だ。例えば「大日本凡人會」には、「凡人を目指す非凡人」たちが登場する。妄想的教学によって物質を生む、身近なものを凹ませる、他人の心に侵入する、桃色映像のモザイクを除去する、存在に気付かれない-----。そんな微妙な能力者たちをめぐるユーモアSFだが、これも日常の一端に過ぎない。森見ワールドは、この短篇集によって、また一歩広がったと思う。 >> 続きを読む
2020/10/18 by dreamer
何度読んでも面白い。森見登美彦さんによる、京都に住む狸たちのお話。偉大なる父、総一郎には4匹の息子がいた。長兄は責任感だけを、次兄は暢気さだけを、四男は純真さだけを、そして主人公の三男は阿呆だけを引き継いだ。主人公の矢三郎は「面白きことは良きことなり!」が口癖で、如何に面白く生きるかという事しか考えていない。周りには師匠である天狗の赤玉先生や、人間でありながら天狗の力を手に入れた弁天がおり、色んな問題を起こしていく。そんなお話。色んな事が起こるには起こるのだけど、どんな本なの?と聞かれたらあまり答えようがない。いわゆる家族愛みたいなものがずっとバックにはあるのだけど、それがメインではない気がする。何か意味があるようでないような…結局、毛玉たち(狸)が面白可笑しく生きているだけなのだろう。それにしても矢三郎は本当にいいキャラだな。自分が喰われそうな立場でも阿呆の血が沸いて愉快になっていくし、阿呆なだけでなく人間味(狸味?)も豊かだ。たまに読み返す事で、自分ももっと阿呆にならなきゃなーと補正がかかる気分になる。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆ならなるべく上手く踊りたい。狸も人も変わらない。面白きことは良きことなり! >> 続きを読む
2019/08/20 by 豚の確認
ずっと貞子の世界観でしっとりじっとり怖かった。美女と竹林からの落差がすごいわ。面白い作家さんだなー。 >> 続きを読む
2021/04/10 by aki
日本の名作をオマージュにした体を成しながらも、内容は作者お得意の京都の腐れ大学生の生態モノ。やっぱり表題の「走れメロス」が一番面白かった。物事の道理や常識を一切無視した、というか鼻であしらわれたように強引に進むストーリー展開に巻き込まれていく読書って、なんて快感なんだ。太宰センセも手を叩いて喜んでいるんじゃないかしら。 >> 続きを読む
2019/12/19 by かんぞ~
最後にようやく意中の女性に手紙を書けたのね。良かった(笑)森見さんの本を読むと学生時代を思い出す。私も付き合ってた学生と文通してた。たぶん100通は超えていたと。でも決め手がなかったのかな。ある夏キャンプで知り合った男性と恋に落ちた。手紙で繋がること今なら手軽なメールかな。やっぱり男女間はリアルで体当たりでやり取りするほうが距離が縮まるよね。手紙やメールはお互い惹かれあってる人と次に会うまでの“つなぎ”の存在じゃないかな。 >> 続きを読む
2019/05/12 by miko
家の近くに小さな神社があります。秋になるとお祭りがあって、小学生のころ、私はそのお祭りが大好きでした。 一番の魅力は露店です。輪投げ、金魚すくい、綿あめ、林檎飴、あんず飴、型ぬき・・・特に夜になるとたくさんの提灯が並び、露店がそれぞれ裸電球だったり、アセチレンランプだったり・・ふわ・・・と明かりの中に浮き上がるお店をぐるぐるぐるぐる・・・のぞいて回るのが好きでした。 この物語はまさに「祭のあの独特な空気の中をぐるぐる回る」物語で、この宵山は祇園祭ですから、もっと大きいので、人手も多く、迷子も多いのでしょう。 そんなあやしい雰囲気、酒の匂いがするような空気の中を赤い浴衣を着た金魚のような女の子たちが、走り回り・・・そして空に飛んでいく。 祭にはぐれた女の子を「一緒に行こう・・」と人攫いのように連れていってしまっても全くおかしくない、そんな独特の空気を見事に描き出していて、不思議があったり、ユーモラスなだまし合いがあったり、奇妙なことが起きますが、それが、ぐるりとめぐる、そしてまた、祭に戻るという構成が実によくできています。 緋鯉の風船、中に水が入って金魚がいるのに浮いている不思議な風船、謎の水晶玉、万華鏡、宵山に集まる人びとが、楽しみ、惑い、だまし合い・・・謎の宵山様、そして偽宵山をしかける乙川という不思議な骨董商。 子どものころは2日で終わってしまう祭が、終わってしまうのがさびしくて、いつまでもやっていればいいのに・・・と思ったものですが、この宵山は本当に引き込まれると毎日毎日は宵山の世界になる万華鏡の中。 本当に顔がそっくりな赤い浴衣を着た、金魚のような女の子たちが、くすくす笑いながら走り回るのが目に見えるようです。 >> 続きを読む
2018/06/23 by 夕暮れ
最初の1ページ目からずっと「この人は一体何なんだ」という思いで読み続け、読み終わった。こんなに何も得られないことも逆に貴重だと思う。来世こそ竹でひと財産作ってください。 >> 続きを読む
2021/03/14 by aki
最初に天狗の話かと思ったら、狸が出てくるしそこに人間も絡んでくる。いかにも森見ワールドな話であり、ファンタジーだからこそ成立する話である。基本は三男の矢三郎の視点だが、狸の党首を狙う長男や、怯えたがりの四男。そしてなぜか蛙の次男という謎。死に至った父親の謎を残して、絶世の美女である弁天や、落ちぶれた天狗である赤玉先生などの絡みが摩訶不思議な世界観を作り出している。金曜倶楽部の面々も個性的だし、ラストの2話はかなりドタバタである。それでもきっちりと収束する辺りはよく考えられている。続編も読んでみたくなる。 >> 続きを読む
2020/07/15 by オーウェン
不思議な世界で、何度も読み返したくなる。読み進める毎に「はは~ん、そういうことか」ってなるので、読み返すともっと新たな発見が生まれる気が。おもしろいし、ハマりました☆(10.04.24 読了) >> 続きを読む
2015/05/08 by のこ☆
モリミーのデビュー作品。デビュー当時からアホ満載だったようです(笑)言い回しがとてもモリミー独特でユニーク。本の内容はただなんてことのない四畳半に住む大学生の話。こんな愛すべきアホ作品で「ええじゃないか」騒動が時を超えて復活してました(笑) >> 続きを読む
2013/03/14 by igaiga
森見登美彦の京都の舞台に古典の名作を投影させている。それぞれ話は独立しているが、登場人物はラップしており、ある意味1つの物語としても読めるかな?走れメロスの話から考えると、他の作品も色々面白おかしく改変されているのだろう。これをきっかけに原作も読むことになるかもしれない。 >> 続きを読む
2017/04/22 by Jinjinmin
阿呆な本 過去の作品のキャラクターが多数出ている同窓会的な作品ですね。森見節の面白文章は好きなんだが、ストーリーが支離滅裂な話が多くて一見さんには向かない >> 続きを読む
2011/03/20 by ybook
あー面白いっ!!!久々爆笑しながら本読んだ。とにかく面白い!!!書簡形式で進むお話。京都の大学から能登の研究所へ武者修行に出された守田。彼は能登から京都の親しい人達へ手紙を送る。マシュマロの様な親友の恋愛相談にのり、妹に尊敬されようとし、いつも虐げられている先輩に一死報いようと励み、そして、想い人である伊吹さんに恋文をしたたもうとするも、何故かへんてこなものになってしまい、恋文の技術を作家の森見登美彦氏に仰ごうとしたり...。そう、本人も登場するのですが。笑もう、抱腹絶倒です。守田がもう!!阿保で!!でも憎めないし、可愛し、でも阿保で!!特に伊吹さんへの恋文。何通も何通も書いては自分でダメ出しをして却下するのですが、その失敗書簡が面白すぎる!!!知的で真面目な人間を表そうとするけど何故か時代錯誤な言葉になってしまい、これではダメだ、もっとキャッチーで親しみやすい面を出そうとした結果が、『やぷー。こんにちは。守田一郎だよ。』て!!!やぷーって!!!アホか!!!笑久々に声出して笑いながら読みました。森見さん、結構独特な文体だし独特な世界観だし、導入になにを読むか迷うところだけど、今の所始めての森見作品としては、代表作の『夜は短し歩けよ乙女』かこの作品がオススメ。森見さんの世界観をどっぷり味わいたければ乙女だし、おもろい感じを味わいたければこれ!!あー笑かせてもらいました。 >> 続きを読む
2014/11/16 by ayu
【森見登美彦】(モリミトミヒコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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