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KurkovAndrei

著者情報
著者名:KurkovAndrei
KurkovAndrei
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生年~没年:1961~

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      ペンギンの憂鬱
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! Tsukiusagi asa_chann
      • 【ほのぼのとした話だと思っていたら……】
         主人公のヴィクトルは、40歳の未婚男性で、独立後間もないウクライナのキエフで一人暮らしをしていました。
         おっと、もとい!
         一人暮らしではなく、皇帝ペンギンのミーシャと同居しているんでした。
         このミーシャ、もともとは動物園で飼われていたのですが、ペンギンの飼育をやめることになりヴィクトルが引き取ってきたんですね。

         ミーシャは、どうやら憂鬱症にかかっているらしいのです。
         キエフがいくら寒いと言っても南極に比べたら随分温暖ですし、それにキエフの夏はそれなりに暑いようで、この気候がミーシャには辛いらしく、それが原因で憂鬱症になってしまっているのだとか。
         とは言え、その素振りなどからは人に慣れた可愛いペンギンという感じなんですけれどね。

         ヴィクトルは作家志望なのですが、どうしても短編しか書けずにいます。
         取りあえず書き上げた短編小説を新聞社に持ち込んだところ、ある新聞社がヴィクトルの作品を気に入ってくれて、『十字架』と呼ばれる仕事を回してくれるようになりました。
        『十字架』というのは、著名人の訃報記事を書く仕事なんですね。
         しかも、生前に。
         日本でも、有名人の訃報記事は生前に書いてあるという話を聞いたことがあります。
         いざ亡くなった時にはすぐに記事を出せるように準備しているのですね。

         ヴィクトルは、編集長から回される資料を基に、特に編集長が赤線を引いた事項を織り込んで訃報記事を書くようになりました。
         それが評判を呼んだのか、記事を読んだ読者からも知人の訃報記事を書いて欲しいという依頼が来るようになったのです。
         その依頼を持ち込んだのは、ペンギンと同じミーシャという名前の男でした。

         「ペンギンじゃない方の」ミーシャは、ヴィクトルがペンギンを飼っているのを見て驚いてしまい、娘にもペンギンを見せてやりたいのだがと申し出ます。
         そんなことくらいお安い御用です。
         そこで、「ペンギンじゃない方の」ミーシャは、娘のソーニャを連れて訪ねてくるようになりました。

         ところがある日、「ペンギンじゃない方の」ミーシャは、娘のソーニャをヴィクトルの家に残したまま姿を消してしまったのです。
         どうやら何かのトラブルに巻き込まれたらしく、身を隠さなければならなくなったというのです。
        自分がそうなってしまった原因の一端はお前の書いた訃報記事にもあるんだと言い、「埃が収まったら娘を迎えに来る」と書き残して消えてしまったのです。
         困ってしまったヴィクトルは、知人の警察官の姪だというニーナをベビーシッターに雇い、以後3人とペンギン一匹の生活が始まるのでした。

         という物語で、ユーモアたっぷりだし、何だかほのぼのとした話なのかなぁと思い読み進めて行ったところ、これがさにあらず。
         ヴィクトルが書いていた『十字架』には、実はある秘密が隠されていたのですね。
         後半になるとどんどんサスペンス的な色合いが濃くなっていきます。
         そして、ラストはちょっと恐い終わり方になっています。

         この作品に警察官とペンギンを登場させようと思ったのは、ある小咄を聞いたことがきっかけになったのだそうです。
         作中にもその小咄のことがチラッと出てきますが内容までは書かれていません。
         最後にその小咄をご紹介しておきましょう。

         警官がパトロールをしていたところ、部下警官がペンギンを連れて歩いているのに気が付きました。
         「何をしてるんだね。すぐにそのペンギンを動物園に連れて行きたまえ。」
         「分かりました。」
         上司はパトロールを続けたのですが、しばらく後に再び部下警官がペンギンを連れて歩いているのに出くわしました。
         「何をしているんだ。さっき動物園に連れて行けと言っただろう!」
         「動物園にはもう連れて行きました。映画にも行きました。これからサーカスに行くところです。」
        >> 続きを読む

        2019/11/16 by ef177

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