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JossMorag

著者情報
著者名:JossMorag
      夢の破片
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • モーラ・ジョスの英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞受賞作「夢の欠片」を読了。

        長期の留守番係として、屋敷の管理を委託された初老の女性ジーン。
        計画性皆無のケチな泥棒で、中年男のマイクル。若い未婚の母のステフ。
        この三人が、ひょんなことから同居生活を始めるのだった。

        要するに疑似家族で、ご丁寧なことに、途中から登場する赤子までまったくの他人。
        血の繋がっていない家族が、こうして完成する。

        例えば、こういうくだりがある。「マイクルは罰金を払うのに必死だったころを思い出し、何と奇妙なことかと考えた。すべてが以前より意味のあるものになった今、彼ら三人の誰にとっても生きることが容易になっていた。生計をたてるための苦闘が減ったというより、心の底に潜む、何もかも無駄だという思いから逃れる必要がなくなったのだ」。

        つまり、生きる張り合いが彼らに生れたというわけだが、その日常は、相変わらずケチなことの繰り返しで、彼らがまともに働くわけではない。

        将来の展望はないのだ。彼らの至福は、欺瞞の上に成り立っている。
        だから、その生活がいつ破綻するのかと、読みながら気を揉むことになる。
        サスペンスが高まっていくのは、読み進むうちに、彼らに惹かれていくからでもあるのだ。

        彼らは親の愛に、家族の愛に恵まれなかった人間たちで、そのそれぞれの過去が、随所に挿入されるのだが、このディテールがたっぷりと読ませるのだ。

        とにかく、胸が痛くなってくる挿話の連続だと言ってもいいくらいだ。
        だから、この偽りの至福が、いつ破綻するのかと気を揉むことになる。
        破綻しないパターンもあるから、これはそっちに進むのかも、と物語の中にグイグイと惹き込まれていくのだ。

        >> 続きを読む

        2019/05/19 by dreamer

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