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身分制度が廃止になった明治初期。武士だった主人公の心の葛藤が胸を打つ。あれはどうなった?と幾つか分からずじまいなのが残念。 >> 続きを読む
2016/11/17 by がーでぶー
江戸時代から明治時代への派手な歴史変革期も現在の視点なわけで、当時の町民たちはなんだかよくわからないなかで生きていたということをリアルにかいたもの。僕にとってはあんまり楽しめなかったけど...orz >> 続きを読む
2018/07/28 by motti
第9回中央公論文芸賞、第27回柴田錬三郎賞、第8回親鸞賞受賞作 評価の高い本がやっと来たので、読みかけのものを置いて読んでみた。まず作者が女性と言うのを知った。 作品は、女性の生き方が主なストーリーになっている。 中仙道、木曽の山中にある藪原宿の集落が舞台。名人といわれる櫛挽職人の父を持つお登瀬の、櫛作りにかけた一途な半生が感動的に描かれている。 女の人生が、より不自由に決められ、それに縛られていた幕末の頃、世間並みの生き方を捨ててでも、尊敬する父親の背を見て、櫛引の技を極めるために生きていくお登瀬の成長物語になっている。 頼みの弟が早逝し、家族の絆が破綻してくる。そんな中で、お登瀬は年頃になって、世話人が持ってきた条件のいい結婚も断り、人々から阻害され始める。 無骨な父親に弟子入りを志願してきた若者とともに、家業を継いで、櫛挽きの技を受け継いでいく。 激動の時代を背景に、人の往来からわずかな文化が入り込んでくるような集落で、村の行事や風物を織りこみ、お登瀬の人生が、爽やかに力強く描かれている。 自分で作った物語を絵にしてひそかに売っていた弟。窮屈な暮らしから逃げ出したが、やはり逃げ切れなかった妹、名人の技を慕ってきた弟子、出自を嫌って動いていく時代に飲み込まれた弟の幼馴染。 登場人物も夫々面白くお登瀬に絡んでいく。 読みやすいが力のこもった作品だった。 >> 続きを読む
2015/03/12 by 空耳よ
タイトルになった「笑い三年、泣き三月」とは義太夫節の修業で使われる言葉で、人を泣かせる芸は三ヶ月で完成するが、笑わせる芸には三年かかるというもの。あらすじお人好しの万歳芸人、映画監督志望だった復員兵、活字中毒の戦災孤児。境遇も年齢も違う男3人が、戦後間もない焼け跡の浅草で出会う。彼らはストリップ小屋に拾われ、踊り子のボロアパートで共同生活を始める。昭和21年から25年までの戦後復興期。常識がありそうで、なくなった世の中をエロに燃え、笑いに悩み、写真に魅かれ…必死に生きる人たちを描いた群像劇。良い本だったなぁ、一気読みした。戦争に負けて、街も人の心もボロボロ。明日の事なんかまったくわからない。どん底の底にいようと、生き残ったもんは生きていかなきゃなんない。でも生きて行く為には一人では無理で、人と人の繋がりが絶対必要なのだ。非情な事もたくさんある世の中だけど、救いの神だってたくさんいる。登場人物を通して、滑稽さや哀しみが生きるエネルギーと共に伝わってくる良作。 >> 続きを読む
2014/09/05 by achiko
この木内昇の「茗荷谷の猫」は、今までにあまり例のない、面白い趣向の小説だ。時代は江戸の終わりから東京オリンピックの昭和39年前後まで。場所は巣鴨に始まり千駄ヶ谷に終わる、23区内の9か所-------。時と所を変えて9つの"東京物語"が語られていく。それぞれの人生は、時に当人も知らないままに交錯している。まるで淡い色で描かれたいくつかの円が、重なり合ったり離れたりして、不思議な色合いの、不規則な水玉模様を生み出しているかのようだ。第一話は、武士の身分を捨てて植木屋になり、新種の桜"染井吉野"を作り出した男と、その妻の話。第二話は、明治に入っていて江戸は東京になっている。何もかも西洋化に向かっていく中で、黒焼の秘薬作りにのめり込んでいる男の話。どちらも何かもうひとつ割り切れない印象で、謎のようなものを残すのだ。この小説は一種の奇人伝のようなものなのかなと思って読み進んでいくと、第三話は大正の終わり頃になっていて、茗荷谷の庭にザクロの木がある家で、夫と共に穏やかに暮らしている女の話だ。絵を描くことが好きで才能もあるらしいという事以外、特に奇抜なところはない女。奇人伝ではないことがわかる。だが、そんな平凡な暮らしの中にも、やがて奇妙で不穏な気配が漂ってくる。全部で9つの話は、そんな風に淡い謎を残しながら連鎖していく。江戸の植木屋の妻の思いは、時代を超え、場所を変えて、ひょっこりと別の話の中で甦る。茗荷谷のザクロのある家の夫もまた、別の話の中で"踏みはずした"人生を生きている。ここにきて、謎がようやく明かされていくわけですが、決して明かされ切ることはないのだ。そのため、不思議な気分は依然として残されている。いや、むしろ濃くなっていく。そこがいいんですね。人生それ自体が割り切れず、不可解なものなのだから。この9つの物語のあちこちに、著者の東京の歴史と幻想文学に関する古書好きであることが、うかがわれます。昔の東京はこうだった、ああだったという蘊蓄を傾けるのが好きというのではなく、昔の東京を今ここにあるものとして、全身で感じ取りたいという思いが強い人なのだろうと思う。多分、"夢みる力"が強いのだと思う。だからこうして、まぼろしを小説に仕立て上げられるのかも知れません。二葉亭四迷の「浮雲」、内田百閒の「冥途」、江戸川乱歩の「赤い部屋」などが物語の中に巧妙に取り込まれていて、時代色や、妖しい気分を深めているのだと思う。読み終えて、私が最も好きなのは、9つの話の中で異例のおかしみと恐怖にあふれている第五話の「隠れる」。どこまでも気儘に暮らしたいと願いながら、人間関係のドツボにはまる男の悲喜劇。本当にうまいと思いましたね。 >> 続きを読む
2018/02/01 by dreamer
【木内昇】(キウチノボリ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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