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恒川光太郎

著者情報
著者名:恒川光太郎
つねかわこうたろう
ツネカワコウタロウ

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このランキングは1日1回更新されます。
      夜市
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 「今宵は夜市が開かれる。
        夕闇の迫る空にそう告げたのは、学校蝙蝠だった。」

         この魅惑的な文章で始まる『夜市』
        大学生のいずみが、高校の同級生だった祐司に誘われて夜市に行く。
        岬の森の中に、なんでも売っているという店が並ぶ。

         行ってみるとそこは、異形の者たちが異形の者を価値観全く関係なく売る店が、森の中に並んでいる。その風景を描く、作者の色の使い方と闇の描写がさりげなく、しかし、しっかりと色づいています。
        「ほのかな青白い光に、闇が切り取られていた」・・・そんな夜店。

         お祭りの夜店かフリーマーケットのつもりで、ついてきてしまったいずみは、その夜市にとりつかれてしまったような恐怖を覚える。

         この夜市では「何かを買わないと帰れない」という掟があるのです。
        何故、そう親しくもない祐司は自分を誘ったのか、一人で行かなかったのか、その理由を知っていずみは、最初は疑問、そして不安、心配、そして恐怖にかられます。

         作者の言葉の抑制というものを感じます。過激な描写、露骨な描写は一切ださずに異界という「アナザーワールド」を創り上げる。

         また、その中で謎がとかれていく展開でありながら中篇という長さでもって、鮮やかに、さっぱりとレモンを切った時の新鮮な酸味を残すような後味でもって、さっと切り上げる。

         著者は飾ることなく、しかし、他の誰も真似できない世界を発想の転換という方法だけで創り上げました。そこには、抑えに抑えた負の感情を感じるのです。

         負の感情をただただ、垂れ流しにするのではなく瓶詰めにして、そして美しいという所まで、昇華させている、その言葉の選び方、使い方、流し方、大変、流暢な物語とも言えます。
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        2018/06/12 by 夕暮れ

    • 他6人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      金色機械
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
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      • やっと読み終えた。時間がかかったのは、物語の流れが緩やかであったことと、内容がわかりやすくて、つい雑念が入り込んでしまう、それでまた読み返すということを繰り返した。
        恒川さんの、現実から幻想的な世界に滑り込んでいく物語が好きで読んでいるが、長編は初めてで少し勝手が違った。時系列どおりに進むのではなくて登場人物が現れるごとに、その過去から話が進む。時間の往来があって、現在に合流する形になっている。柔らかい美しい文体で野生的な盗賊たちが描かれているが、何か夢物語めいている。全編を通して恒川ワールドの雰囲気が続いていく。はみ出し物の盗賊たちは殺しもやれば子どもの誘拐もする、情け容赦のない場面もあるが、それも全て絵物語のようで、続けて読めば分厚い400ページを越す話もあっという間だったかもしれない。

        山奥に通称極楽園といい、鬼屋敷とも呼ばれる盗賊の部落がある。子供をさらってきて働かしているが、頭目が殺され手下だった夜隼が実権を握る。
        そこに殺されそうになった熊悟郎が逃げ込んできて下働きを始めるが、夜隼に見込まれ、武芸の訓練を受ける。
        見る見る上達して仲間に認められるが、彼は長じて、妓楼を任され莫大な利益を得てのし上がっていく。
        熊悟郎は人の心が見える目を持っている。

        捕縄の名手、同心の柴本巌信のところに遥香と言う娘がやってくる。彼女は手を当てると人を安楽に死なせる技を持っていた。医者の家で、見込みのない患者にその技を使っていたが、そこからきたと言う。
        彼女は過去に鬼屋敷にさらわれてきて逃げた紅葉という娘の子供だった。
        遥香は養父の家を出てさまよい、庵に中にいた金色様に出会う。気を失っている間に厳信の元につれてこられたのだった。彼女は父母が殺されたいきさつを話し、厳信が犯人探しと復讐を手伝うことになる。

        金色様と呼ばれるのは、遠い昔月から来た一族だったが、体が金に覆われ光で生きているため、一族が絶えた後も生き残っていた。極楽園で暮らしていたが、やがて遥香とめぐりあう。
        同心と一緒になった遥香の復讐、極楽園の人々の末路、話は前後しながら進み、やがて幕引きの時が来る。

        金色様と呼ばれるロボット様の物体は、言われているようにC-3POの姿を彷彿とさせ、男にも女にも変幻自在、声まで変えられる。花魁の衣装を着て白塗りの顔を長い髪に隠し、文字通りこの世のものでない強さを見せる。月から来たと言うそのときから物語の中に存在し、人々の生き方に関わり続ける。

        恒川さんの現実離れのしたストーリーは、荒唐無稽になりそうな部分も巧妙で異次元に誘う。時々はっと我に返ると、少し粗い部分がみえて、どちらかといえば、短編の方が持ち味に沿っているように思えた。もっと多くの作品を読んでから言うことかもしれないが。
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        2015/04/08 by 空耳よ

      • コメント 10件
    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      秋の牢獄
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      •  「牢獄」という言葉の前に「秋の」をつけると不思議な世界の出来上がり。
        秋の牢獄・・・一体どんなことなのか、読む前は想像もつきません。

         この本は「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の中篇3篇から成りますが、どの物語も「閉じ込められる物語」です。
        と同時に「失われる物語」であり、「選ばれし者の物語」です。

         閉じ込められることで失うのは自由という獏然としたものではなく、この3篇の物語では、十一月七日という一日から全く先にも後にも進まなくなりえんえんと、同じ十一月七日を繰り返す、時間に閉じ込められる「秋の牢獄」

         ふとしたきっかけで、古い家の家守に指名され、家から出られなくなる「神家没落」

         自分の力を持て余すことで、新興宗教の教祖として部屋にとじこめられる「幻は夜に成長する」

         外的な要因で閉じ込められるというのは、「外に出られない」「自由に動けない」という不安や「自分のいるべきところへ戻れない」というこわさなのでしょうが、この物語の登場人物たちは閉じ込められることに恐怖を感じてはいません。

         家や時間といった外的な要因もありますが「選ばれし者」という自分という内的な自己というものにとらわれるのも「閉じ込められている」のではないでしょうか。

         自分の居場所がない人は、どこかに居場所を作らなければならない。

         しかし、この物語は、失われる物語でありますがから、何もかも、きっちり納まるということはなくもろく、はかなく、時には記憶から消えていく。そして、又、閉じ込められる為に生きるのか・・・という余韻を残します。

         自分というものに自信を失った時、それは一種の閉じ込められた状態ではないでしょうか。

         恒川さんの文章は、流れるように、華美に走らない抑制のきいた言葉選びをしています。

         誰もがいつでも閉じ込められてしまう可能性があり、実は閉じ込められているのに気がつかないで、生きているのかもしれない、恒川さんの目はそこまで見通しているような気がします。
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        2018/07/16 by 夕暮れ

    • 他2人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      秋の牢獄
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
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      • ハードカバーの表紙をめくり、2枚目にまた現れるカラーの表紙に、ハッとしてまず心捕まれた。

        怖い話なのかと思ってたけど、なんて綺麗な世界観。
        11月7日を繰り返す秋の牢獄。
        古い家の守り人として、家の中に閉じ込められてしまう神家没落。
        どちらもおとぎ話のような、日本昔話のような、
        非現実的な事象も、違和感なくスッと受け入れてしまう文章。

        北風伯爵は私のイメージでは、千と千尋の神隠しに出てくるカオナシ。

        始めは北風伯爵を恐れていたけど、やがては彼を待ちわびるようになる。
        神家没落も、家から出たいと思っていたのにやがて家を愛するように。
        静かに綺麗な文章で綴られる虚無、孤独、せつなさ。
        表紙のイラストが実にしっくりくる。

        好きな本でした。
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        2016/10/13 by もんちゃん

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      草祭
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 不思議な町、美奥を舞台にした短編集。

        屋根しょうじょうと、天下の宿が好きだった。
        屋根神とか、飲むと他の生き物になる薬とか苦解きの天下とか、やっぱり発想がすごい。
        特に苦を解くためのボードゲームの場面はぐいぐい引き込まれていく感じ。

        最後の話もめくるめく世界で、なんだか読みながら頭の中がぐらんぐらんしていく感覚。

        癖になる恒川ワールド。
        >> 続きを読む

        2016/11/19 by もんちゃん

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      雷の季節の終わりに
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • 面白かった。夢中になった。
        雷季、風葬、鬼衆、他にも色々な設定がとても魅力的。特に風わいわいはネーミングだけでがっちり掴まれるカンジ。

        別々に進んでいた物語が融合した時は興奮して、先が読みたくて読みたくてしかたなくなる感じでした。

        最後、読み終わって余韻にひたるような大満足なものではなかったけど、ストーリーよりも、読んでる間はこの世界観にどっぷり浸かれるということ、読書というものが本当に楽しいと思わせてくれることがこの本の魅力だな、と思う。

        >> 続きを読む

        2016/11/02 by もんちゃん

    • 他1人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      夜市
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
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      • 【読了日不明】
        家族の者が図書館から借りてきたので
        スキを見て盗み読みしました。

        ホラーでも、日本人の好きそうな種類のホラーですね。

        まあ、考えこむと【すっごく】怖いかな。

        紹介文ほど、面白くもなかった。

        文章も少ないので、あっさり読めます。
        >> 続きを読む

        2013/12/14 by ころさん

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      雷の季節の終わりに
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 常川さんの「夜市」の不思議で幻想的な世界を読み、私の読書はこういった現実から少し遊離した世界に入れることが目的だったのいかと強く感じた。成人し気持ちが落ち着いてからも女流作家の作品をあまり手にとらなかったしエッセイなどは遠巻きに題名を眺める程度だった。常川さんの虚像に近い世界だけでなく、常に本の世界はフィクションだと決め付けて、これが非日常の中に暮らす人々の姿に、自分を繋げる手段だったのかもしれない。


        「雷の季節の終わりに」はその「夜市」に続いて書かれたものだったが迂闊にも知らずにその後の作品を読んでいた。
        この話はどことなく世界観や雰囲気が「夜市」に似ていて別の作品の「風の古道」のようにも感じられる。
        そんな雰囲気が、馴染みやすかった。


        古代ともいえる遠い時代から「穏」という街は存在していた。時空を異にしているので現実の世界からは見えず往来も無い。商人や時の隙間(高い塀で囲われているが)からたどり着いた人々の子孫が長い歴史の中で、育っていることもある。
        そこには冬の終わりから春が来るまでの間に雷季というものがあり、雷雲に閉ざされ、大きな音が鳴り響くその季節を、人々は護符を貼って扉を閉ざし息を潜めてやり過ごす。
        その年の雷季に、潜んでいた姉弟のうち姉が雷にさらわれて消えた。そのとき弟の賢也の隣りに抵抗なく滑り込んだ異物があった、「風のわいわい」と呼ばれる異界のものだが、彼はその気配を受け入れた。
        忌み嫌われるこの憑きものは祓うことが出来なかった。
        街(下界と呼ぶ)から来たと言う二人は老夫婦に育てられていた。「穏」は穏やかな暮らしやすい自然に恵まれた土地だった。
        賢也が小学生になったとき、一緒に遊び、兄のようになついていた人を殺してしまう。男は殺人鬼と呼ばれるような裏の顔を持ち少女たちを殺していた。
        賢也は禁断の塀の門をくぐり、高天原を通り、町を目指して逃亡する。そして苦難の末、現代の生活に逃げ込む。

        賢也は過去を忘れているが、「穏」に来た経緯が別のストーリーで語られる。これも面白い。

        最後は二つの物語がまさにきっちりとつながり、二つの世界に血が通ったような生き生きとした作品になっている。

        「穏」の生活風景は鮮やかで穏やかで、そこに毎年短い奇怪な季節がおとずれる。
        住んでいる人々は長い慣習を守って暮らしている。

        賢也の逃げ込んだ外の世界は、現代の街の姿である。
        追っ手は時空を行き来し、怪物の姿を垣間見せる。
        「風わいわい」は時に人を導き、世間話をし、天空にある「風わいわい」の世界を話して聞かせる。

        このなんともいえない不思議な世界、SFとも言えずホラーでもない、それでいて風景の繊細で美しい描写や人々の欲望や希望や生命の巡りなどが目の前に開けてくるような世界に引き込まれた。
        >> 続きを読む

        2016/06/11 by 空耳よ

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      金色の獣、彼方に向かう
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 短編小説。
        この人の不思議な暗い雰囲気が好きで読んだが、1つめと2つめは少し怖い。
        三つ目が、読み終わった後ちょっと悲しい優しい気持ちになる、好きな話だった。
        でも読み返さないです。
        >> 続きを読む

        2014/06/09 by bob

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      草祭
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      •  この連作短篇集は、美奥という山間の町で起る異界ものなのですが、この美奥の異界にはここから入口、ここから異界、という境界線がありません。

         第一章では中学生の「ぼく」の友人の春という男の子が失踪する、ということから始まります。

         春という子は、成績のいい、かといって特別なことはないごく普通の男の子というのが「ぼく」の認識でしたが、異界に入ってしまった春は、どんどん変容していく。

         その様を「ぼく」は怖がっていません。春、帰らないの?うん、帰らない。

         そして、だんだん美奥という山間の町が何故、異界と接しているのか・・・・という時代をさかのぼっていきます。

         さらに「苦解き」(クトキ)という花札のような、森羅万象を描いたカードでもって「苦」を解く、悩める人の苦悩をとるための人生をかけたゲームをすることになった女の子のくだりが、とても印象的です。

         そして、そのカードの絵柄にそれまで読んできた美奥の謎がたくさんふくまれていて、とても危険なゲームであり、ゲームの緊張感がまた異界の世界で人生賭ける!の心意気がばんばん伝わってくる、緊迫したリズムでもって描かれるところが圧巻。

         まさにこの連作短篇集は、美奥というごく普通の町に住む、ごく普通の人々の中にある
        嘘を隠す真実と嘘に隠れた真実の物語。

         恒川光太郎さんの文章のすべらかさ、なめらかさ・・・は読む側にリズムを感じさせます。

         ストーリーの構成も上手いと思うのですが、そこに流れるような言葉のリズムが展開されていて
        それがひとつの「アナザーワールド」

         泉鏡花や夏目漱石の『夢十夜』といった、時間軸を微妙に使った幻想文学であると思います。

         難しい漢字や言葉を使わず、ここまで読みやすくしながら、深い世界を静かに激しく描くという
        才能のようなものを感じる文章を書く人だと思うのです。
        >> 続きを読む

        2018/07/11 by 夕暮れ

    • 5人が本棚登録しています
      私はフーイー 沖縄怪談短篇集
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 大好きな恒川さんヾ(≧▽≦)ノ 
        最初にデビュー作『夜市』を読んだ時に
        なんて綺麗なホラー作品!!って思ったのが最初で
        それから恒川さんの作品を欠かさず買うようになったけど
        やっぱり何を読んでも綺麗なホラー作品
        でもこれって幻想的って言うんでしょ((^┰^))ゞ テヘヘ
        そして独特の恒川ワールド!!
        自分の世界がある人って好き(〃∇〃v)


        今回は沖縄を舞台にした作品で
        私は沖縄の人間じゃないけど風景が目に見える感じがした

        収録作品:
        「弥勒節」ヨマブリと胡弓の響き
        「クームン」願いを叶えてくれる魔物
        「ニョラ穴」ニョラの棲む洞窟
        「夜のパーラー」林の奥の小さなパーラー
        「幻灯電車」深夜に走るお化け電車
        「月夜の夢の、帰り道」祭りの夜の不吉な予言
        「私はフーイー」転生を繰り返す少女

        日常と非日常…
        境界線があいまいで自分がどの位置にいるのか分からない

        『月夜の夢の、帰り道』の無限ループ的は話が好き
        >> 続きを読む

        2013/02/11 by あんコ

      • コメント 8件
    • 4人が本棚登録しています

【恒川光太郎】(ツネカワコウタロウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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