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葉室麟

著者情報
著者名:葉室麟
はむろりん
ハムロリン

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このランキングは1日1回更新されます。
      蜩ノ記
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
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      • 人が人を助けようとする物語なのだと感じました。
        郁太郎が源吉のために動き、庄三郎が秋谷家を助けようとし、秋谷は郁太郎も庄三郎も向山村も助けようとする。それは自分の身が危険になることも厭わない。しかし、その結果は自分だけでなく周りまでも塁が及ぶものとなっていき、気づけば後戻りできないところまで来てしまう。そして、秋谷が犠牲となり丸く納める。

        助けようとした人に助けられ、守ろうとしたものを犠牲にしてしまう。それは「人を思う」からこそ気づかされ、大切にするからこそ巡り会ってしまうものなのでしょう。それは喜ばしいことであり、同時に悲しみだとも思います。現代ではあまり感じなくなったもので、それはどんな感じなのかはわかりません。でも、この本を読んでそんな世界もあるのだと、憧れる思いがしました。
        >> 続きを読む

        2018/09/30 by 四季読

    • 他5人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      銀漢の賦
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! kumpe
      • 心に染入る良い物語だった。
        藤沢周平原作の時代劇映画をを見ている様な清々しさを感じた。
        (藤沢周平さんの時代小説を読んでいないもので・・・)
        三人の男たちの友情にまつわる物語。
        名家老と呼ばれるまでの地位に上り詰めた小弥太こと松浦将監。
        郡方の日下部源五、そして数十年前に処刑された農民の十蔵。
        50才を過ぎ人生の終盤に差し掛かった彼らが、藩内で密かに進行している大きな事件に命を懸けて立ち向かう。
        人物の描写が秀逸で登場人物たちのそれぞれぞれ想いが切ないくらいに伝わってくる。
        幼少時代から語られるエピソードは詩情豊かで、人間というものの根本のところは幼少期に体験したことにより形作られると感じさせる。
        ただ美しいだけでなく、時代小説と呼ばれるにふさわしく手に汗握る激しいチャンバラのシーンもある。
        葉室さんは藤沢周平の正統な後継者と呼べるだろう。
        >> 続きを読む

        2017/12/27 by くにやん

    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      蜩ノ記
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! tadahiko emi
      • はじめましての著者である。また時代小説は久しぶりである。江戸屋敷で側室と密通し、そのことに気づいた小姓を切り捨てたとして戸田秋谷は、本来なら家禄没収のうえ切腹のところ、取り組んでいた御家の家譜作りが途中だったので、10年後に切腹するとしてそれまで家譜編纂のため家族とともに幽閉されていた。そこへ城内で刃傷沙汰を起こし、切腹を免れた庄三郎が秋谷の監視役としてやってくる。家族と起居を共にするうちに、庄三郎は秋谷の切腹を回避できないかを考え始める。
        読んでいて季節の移ろいや景色の描写がうまく、まるで一枚の絵を見るようだった。また人々の性質が味わい深かった。
        >> 続きを読む

        2017/10/30 by konil

    • 他2人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      川あかり
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • おさとのセリフがよかった。

        「お祖父ちゃんがよく言うのです。
        日が落ちてあたりが暗くなっても、
        川面だけが白く輝いているのを見ると元気になれる。
        なんにもいいことがなくっても、
        ひとの心には光が残っていると思えるからって」

        ほのかなあかりを探し、求めて
        いつの時代も人はいつも生きているんだろうと思えた。


        >> 続きを読む

        2016/01/17 by なおみ

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      柚子の花咲く
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 江戸時代に瀬戸内で隣り合う日坂藩と鵜ノ島藩の干拓地の境界線をめぐる紛糾と、百姓も学べるきょうがく青葉堂村塾の教授の死にまつわる謎説き物語。探偵役はその教授の教えを受けて成人した恭平。教えを受けた教授の過去や、同窓の人生など感慨深く語られる物語になっている。
        「桃栗3年、柿8年、柚子は9年で花が咲く」からの題名。
        >> 続きを読む

        2017/12/09 by aka1965

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      実朝の首
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 今回読了したのは、松本清張賞受賞作の葉室麟の「実朝の首」。

        この作品で描かれているのは、凄絶きわまりない権力崩壊のドラマだ。

        鎌倉幕府三代将軍の源実朝の甥の公暁による実朝殺害、実朝の首の消失をきっかけに、それまで、かろうじて均衡していた諸々の権力のバランスが崩れ、血みどろの潰し合いが始まるのだった。

        権力掌握に策謀をめぐらす北条義時に三浦義村、一族の復讐戦を挑む和田朝盛、朝廷を利用した幕府存続の道をさぐる北条政子、河内源氏に代わって摂津源氏の再興をめざす源頼茂、武家の抬頭を憎悪する後鳥羽上皇。

        「実朝は生きていた時よりね鎌倉に大きな影響を与えているのではないか」と北条政子は思うんですね。
        力を持たぬ者が、力を持つ者たちの激突を引き寄せるという興味深い仕掛け。

        そして、実はこの潰し合いこそ、「将軍の座をめぐっての騒乱を無くしたい」と願う実朝の夢の実現だったのだ-------。

        この「実朝の首」という時代小説で著者の葉室麟が描いたのは、暗く炸裂する権力崩壊のドラマ。
        これはなかなか面白い小説でしたね。

        因みに、私はこの源実朝暗殺の黒幕は、歴史作家の永井路子が彼女の「炎環」の中でも指摘していたように、三浦義村が公暁をそそのかして暗殺を実行させた黒幕だと考えています。

        >> 続きを読む

        2018/05/16 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      風渡る
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 「戦国時代のイエズス会布教状況。とある日本人修道士仕立て ~大友宗麟と黒田官兵衛を添えて~」って感じかなあ。

        官兵衛がそれなりにブラック仕様な上に、本能寺の変の黒幕という説を採用しているお話なので、大河とは違う黒田官兵衛像が見られるし、そのときのイエズス会の動きや内情も垣間見られるのも興味深い。

        …んだけど。
        なんだか、ものすごく物足りない。

        全てはキリシタンである黒田官兵衛が、キリシタンの理想の国を作るべく企んだものだったのです!
        と、ものすごく大雑把にまとめてしまえる(←個人的に)割に、肝心の官兵衛のキリスト教への傾倒ぶりがさっぱり見えてこないから?
        そもそも、いつ受洗したの? なんで受洗したの?っていう、大切だと思われるところがスルーされていて、「いつのまにそれほどまでに熱心な信者になってたの!?」という、読者的には置いてきぼりなまま話が進んでいったから?
        信教については、有岡城の幽閉のとき? それにしても、理由とかが弱い気がするんだよなあ。
        日本人修道士(ジョアン)のターンである大友宗麟メインのところが多い上に、天下の行方を巡る官兵衛のターンが少なくて、ワクワクする感じがなかったというのもあるのかも?

        …なんだろう? 好みの問題もあるのだろうけども…。うーん?
        >> 続きを読む

        2015/01/30 by koh

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      銀漢の賦
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 第14回松本清張賞受賞作の葉室麟の「銀漢の賦」を読み終えました。
        作家の葉室麟は、今や藤沢周平の後継者とでもいうべき存在になっていると思う。

        この葉室麟の時代小説「銀漢の賦」は、凛として涼やかな心を描いた、心に染み入る作品です。

        時代小説は、時に現在を舞台にした小説以上に、現代社会の実情を映し出す作用があると常々思っています。

        と同時に、主人公たちの武骨で愚直な生き方は、我々現代人に忘れていた何かを思い出させ、勇気づけてもくれるんですね。

        それは例えば、何事に対しても揺るぐことのない、凛として涼やかな心といったようなものなんですね。
        この作品に登場する男たちは、まさにそんな存在だと言ってもいいと思う。

        かつて、銀漢(天の川)が広がる夜空を見上げながら、身分や立場を越え、永遠の友情を信じた三人の少年がいた。
        だが、時の流れは彼らの身に否応なく変化をもたらしたのだった。

        地方の小藩を襲った政争と一揆の波は、三人の立場をそれぞれ明確にし、農民だったひとりは騒動の首謀者として、友の手で断罪されるという悲劇まで生むことになったのだ。

        そして、さらに時は流れ、残った二人は頭に白いものを頂く「銀漢」と呼ばれる老境の年齢となるが、藩には再び権力闘争の嵐が吹き荒れていた-------。

        ひとりは藩の家老、いわば組織の重鎮だ。もうひとりは、一介の藩士にすぎない。
        それぞれに藩の将来を、領民の幸福を、そして自らと家族の安寧を願う気持ちにも変わりはない。

        しかしながら、自らが立つ位置によっては、その思いに温度差があることも確かなのだ。

        この立場の違いというのは、恐らく現代の組織においてもそうだろうと思うが、考え方に決定的な差を生じさせることがあるものだ。

        ひとつには、情報量の問題があると思うし、また義理だ人情だ上司の命令だといった、勤め人にとっては不可避の要素もあるだろう。
        人は決して、己ひとりだけで生きているものではないからだ。

        だが、仮にそうであっても、絶対に譲れない部分があるものだ。
        それこそが、この作品で著者の葉室麟が本当に訴えたかった"漢"の心ではないかと思う。

        この作品で描かれる二人は、そうした生き方を貫きながら、評価が全く両極端に分れた人生を送った人物でもあるんですね。

        そんな二人が最後の最後に信じたものは何なのか?-------。

        現代人の我々にこそ、その尊さを知る必要があるのかも知れません。

        >> 続きを読む

        2018/08/24 by dreamer

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      無双の花
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 島津勢の猛攻に耐え、駆けつけた秀吉に「その剛勇鎮西一」と誉め称えられた立花宗茂は、九州探題大友家の元家臣であったが、秀吉によって筑後柳川十三万石の大名に取り立てられた。
        関ケ原の戦いで西軍に加担した宗茂は浪人となったが、十数年後領地に戻れた唯一人の武将となった。
        その半生を描く。

        初めての作家さんです。
        最近、映画化され話題になっている『蜩ノ記』のような時代小説を専らとされる作家さんとばかり思っていましたが、本作は戦国の世の九州の大名・立花宗茂を主人公にした歴史小説でした。
        個人的な感想ですが、著者のホームグラウンドでないためか、些か手応えの無い作品でした。

        九州・筑後の豪族・高橋紹運の子として生まれた千熊丸(のちの宗茂)は、乞われて、父と同じく大友宗麟配下の豪将・立花道雪の養嗣子として筑前立花城へ入ります。
        花嫁は、男勝りの烈女・誾千代。
        物語は関ヶ原敗戦の途につく宗茂一行が、帰国したところから始まります。
        誾千代の諫めをきかず、豊臣家への己の義を貫いた結果、今や立花家存亡の窮地に立たされている宗茂は、帰国早々、誾千代が別に屋敷を構える宮永村へと歩みを進めます。
        その胸には、亡き実父、継父への思い、また誾千代とともに守り、育ててきた「立花の義」への強い執心が去来するのでした。
        誾千代と再会を果たし、思い新たに「立花の義」を貫こうと再び行動を開始する宗茂。
        その行く手には早くも東軍へ寝返りを打った隣国・鍋島の三万の軍勢が押し寄せてくるのでした…。
        そののち、大坂の陣、慣れぬ奥羽の地にて新たな知行地、さらには島原の乱をも越え、戦国の最後の生き残りのひとりといっていい宗茂は、寛永十九年(一六四二)江戸に没します。
        齢七十六を数えていました。


        昨今、歴史小説(とくに戦国時代を扱ったもの)では時代の主流を為した人々を主人公とするものよりも、いわば時代の脇役たちを群像風に仕上げた作品が多いように感じます。
        本作もその流れをくんだ作品と考えてもいいようです。
        筑後・柳川十三万石の大名・立花宗茂の名など、ゲーム「信長の野望」や、司馬遼太郎さんの小説が無ければ、一地方の偉人としてしか後世に伝わらない名前です。
        そんな媒体を通じて、今世の我々は朝鮮の役や、関ヶ原の戦で抜群の戦働きをした戦鬼・立花宗茂を身近に感じることができます。
        これは喜ばしい限りです。

        さて本作ですが、冒頭に書かせていただいた通り、歴史小説としては手応えがありませんでした。
        大・司馬や、海音寺に比べては著者が可哀そうですが、あまりにも現実感に乏しすぎて、同列で比較はできないといったところでしょうか。
        「立花の義」など、最近のゲームの影響でにわかに“戦国好き”になった方々にしか通じません。
        戦国の世に、律儀・義を重んじるといった風潮が、かほど正しいとか、美しいとかいった倫理観は存在しなかったのですから。
        「立花の義のため!」と勢い込んで戦場に向かう主であれば、心ある配下たちは呆れかえり、雲散霧消してしまったでしょう。
        戦国乱世の道徳観は、どちらかというと今の日本に似ていますね。
        食うか食われるか、騙すか騙されるか。
        義理や惻隠の情といった、日本人の美しき美意識・倫理観は江戸三百年の文化の賜物、儒学を隅々まで浸透させた徳川家康というひとりの傑物の執念の結晶。
        「君、君たらざれば、臣、臣たらず」
        主家への忠義は、御恩と奉公という旧態依然とした、義務と権利を明確に具体化した形で実現していました。
        忠臣蔵で発揚されるような、無形の、精神的な忠義・義理の形は、戦国乱世を描く上では違和感にしかなりません。
        そうした風潮をよしとする文化も当然、現世日本人の遺伝子にも未だ残っているようですから、そういった部分や、そういった方々の情緒を刺激するといった意味でいえば、水準以上の出来といえるのでしょうか。

        葉室さんの文章は美しく、時代考証もしっかりなされています。
        登場人物たちの口から語られる言葉も瑞々しく、かつ美しく、読んでいて、繰り返し読み返してみたくなる箇所もありました。
        歴史小説ではなく、江戸期を表した時代小説で、再度、読んでみようと思いました。
        >> 続きを読む

        2015/02/15 by 課長代理

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      山桜記
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 図書館本。
        初読みの作家様だが、本書を読んだだけで気に入ってしまった。試し読みをした時から、この作家の文章が好きかもと期待していたが、文体だけでなく行間ににじむ情感にたまらなく魅かれる。

        本書には、武将とその妻の想いと絆を描く物語が七編おさめられている。御家のためと男達が画策する中で、妻もまた静かに戦っている。その情念が手紙や槍などの小道具、キリスト教への信仰に集約していく。いかつい武将が妻への想いをふと漏らす場面は、たまらなく魅力的である。

        実は、優しげなペンネームのせいか、この作家のことを女流作家だと勝手に思い込んでいた。女の情念をここまで繊細に描く男性作家の作品に触れるのは初めてなので、しばらくは夢中になるだろうと思う。


        >> 続きを読む

        2017/10/28 by Kira

    • 1人が本棚登録しています
      いのちなりけり
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 備前小城藩ゆかりの咲弥は才色兼備で評判の女性だった。藩内の変事の後、佐々木宗淳(通称介三郎・・助さん)の後見で水戸藩江戸屋敷に預けられていた。光圀の側室との願いも断る。咲弥には待っている人がいた。二番目の夫間宮蔵人である。歌を返さなかった夫のことが次第に分かってきていた。
        最初の夫がなくなり、蔵人が夫に決まったとき、格下の家柄が問題になった。周囲から蔵人の従兄弟の右近なら申し分ないのだがという声に、父親の行部は彼の人柄を見込んでいた。
        だが祝言がすみ、床入りの前になって咲弥が蔵人に尋ねた、「あなたの心を表す好きな歌を一首」
        しかし無骨者で素養のない蔵人は答えられず、それ以後寝所に近づくことがなかった。

        小城藩の本藩佐賀鍋島藩は、キリシタンの動きを禁じる江戸幕府とともに、原城攻めを開始した。だが信綱の命を無視して不意に夜攻めを行い、先駆けをした。
        信綱もそれに続かざるをえなかったが、大きなしこりが残った。
        鍋島藩では後の世に伝わるような内々の紛争が続いて、小城藩でも跡を狙う行部の暗躍があった。

        蔵人に舅の行部を討てと命が下った。彼は引き受け、多少の迷いがあったものの、討たなくてはならない窮地に追い詰められる。行部は死んだ。藩外に出ることが出来ない決まりを無視し、彼は山越えで出奔した。
        そして、彼が求める「心の歌」を探し続ける。
        途中で知り合った牢人に世話になり教えを受ける。

        湊川で咲弥と会うことになったが、原城責めの折から遺恨のある果し合いを挑まれ、同行していた右近は腕を落とされた。蔵人は彼を縁のある伏見の円光寺で看病する。傷が癒えた右近は世を捨てて出家する。
        円光寺は由緒があり格式の高い寺で、京都の内裏と和歌の道で繋がっていた。右近は祐筆を賜る。
        蔵人は、放浪生活で様々な辛酸をなめ、生来の豪放でまっすぐ心をさらに深くしていく、自分の生き方を定め、人にも言い、生きる指針にする。

        「歌はつまるところ、雅とはひとの心を慈しむ心ではあるまいか」
        「わしは桜も好きだが、ひとは山奥の杉のように人目につかずに、ただまっすぐに伸びておるのがよいと思う」
        と右京改め清厳にいう。
        「ひとが生きていくということは何かを捨てていくことではなく、拾い集めていくことではないのか」
        「わしは祝言の夜、すきな和歌を教えてくれといわれて答えられなかった。それで、たったひとつわかったことがある。それは、わしには咲弥殿に伝えたいことがある、ということだ。わしの生きた証は咲弥殿に何かを伝えることだ」

        再び約束の両国橋に向かうと、執拗に遺恨を晴らしたい侍に囲まれる。蔵人は咲弥に向かって命がけで血路を拓いていく。

        解説でも「蝉しぐれ」を引き合いに出している。どことなく雰囲気が似ている。
        佐賀藩は非常に複雑な内情を抱えている。前半まではその藩制やごたごた、水戸江戸屋敷で光圀の「大日本史」編纂の話など長い。だがあの時代の地方と江戸のつながりは、葉室さんの得意の分野かも知れず、面白い

        一方そんな時代に、制度や窮屈な武士の世界を捨て、武芸で生きるおとこがすがすがしく、武術に秀でているために自分を救うがそれで他を傷つけてしまう時代に、人に仕えず天地に仕えるという生き方を通した男と、それを信じた女の純愛物語だった。
        蔵人が咲弥に送った、一行だけの西行の歌。

        春ごとに花のさかりはありなめどあひ見むことはいのちなりけり


        伏見にあった円光寺は今詩仙堂近くに移築されているそうで、家康が送った日本初の活字があるそうだ。見に行きたいと思う。
        >> 続きを読む

        2016/08/19 by 空耳よ

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      川あかり
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • オビに記載された抜粋だけでもググっとこみ上げて
        クる、バリバリに浪花節で熱く、心優しい時代小説。
        藩で一番の臆病者が様々な思惑から刺客となった。
        そんな臆病者の武士である主人公「七十郎」が
        思わぬ事から知り合いとなった怪しげな五人組と
        関わっていく事で、己の武士としての在り方、
        生き方を学んで行く様は、薄らの涙と勇気を
        与えてくれます。

        ラストに「これが藩で一番
        臆病者の戦い方だ」と胸を張って対峙する
        男っぷりは胸がすくような想いで思わず...
        目から汗が...。
        ベタっちゃベタなストーリー故、話の結末は
        分かるものの、そんな事よりもこの「七十郎」や
        その「友」達の一生懸命に生きてるのに、
        哀しい様や、でも哀しい事だけではない、
        キラキラとした美しさが伝わってきます。
        流石。
        >> 続きを読む

        2013/06/21 by za_zo_ya

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【葉室麟】(ハムロリン) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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