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道尾秀介

著者情報
著者名:道尾秀介
みちおしゅうすけ
ミチオシュウスケ

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      向日葵の咲かない夏
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 夏らしい小説が読みたいと思って雰囲気だけで手に取ったら……全然違ったww

        一言でいうと『き も ち わ る い』。そして面白い。(一言じゃない)
        サスペンスであり、ホラーであり、ファンタジーでもあるこの物語、好みがかなりはっきり分かれそう。実際いろんなところで評価が賛否両論分かれてるっぽい。
        暗くて悲惨でどこか狂ってるこの小説の世界が、自分にはしっくりきた。まぁ自分の性格がネガティヴだからかもしれない。
        友人の死、動物の死体、ヒステリックな母親、教師の性癖、老人の闇、主人公が抱える狂気、庭に咲く向日葵。。。。

        オチもいろんな解釈ができて、個人的にはすごくいいと思った。
        あと結末に至るまでの読ませ方がとってもうまいなぁと。

        僕は好きです。この小説。
        >> 続きを読む

        2017/07/27 by ねごと

      • コメント 2件
    • 他22人がレビュー登録、 88人が本棚登録しています
      カラスの親指 by rule of CROW's thumb
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 闇金に手を出してしまい、大切な人を失った様々な事情を抱える5人が詐欺で闇金業者に復讐をしようとするストーリー。500ページ超えのボリュームながら、読みやすい文体なのでどんどん読める。

        みなさんの「騙された~!」というレビューやコメントを読んでとても楽しみにしていたのだけど、たしかに私も騙されたけど、あまりにもご都合主義な感じがしてしまって、あんまり楽しめなかった。映画の「オーシャンズイレブン」とか、伊坂幸太郎の「陽気なギャングが~」みたいに完全にエンタメなら楽しめるのだけど、おそらくどっちつかずに感じてしまったんだと思う。闇金に追い詰められていく人たちの人生の切なさを描いていながら、現実味がないほどのできすぎな展開。うーむ。面白くないことはないんだけど、あまり印象に残らず、数ヶ月後には内容を思い出せなくなりそう。

        けど、多分私は少数派なのだと思う。
        きっと素直に楽しむのが正解。

        数年間、積読状態でやっと読んだけども、、
        この著者さんは初だったけど、私はあんまり合わないのかもなぁ。
        >> 続きを読む

        2015/07/09 by chao

      • コメント 8件
    • 他5人がレビュー登録、 33人が本棚登録しています
      龍神の雨
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • これはとてもおもしろかったです!!
        騙された~!
        なにもかも作者の思うままにミスリードされていました(笑)

        母を失い継父と暮らしている蓮・楓の兄妹と、両親を亡くし継母と暮らしている辰也・圭介兄弟の2家族が、妙に絡んで事件に巻き込まれて…というお話でした。
        どちらの家族も、継母・継父と近しくなる前に実母・実父を失ってしまったがために、ぎこちない生活を送っているのが事件の始まりでした。
        最後まで蓮・楓兄妹一にまったくの救いがなく、この兄妹の意思を汲み取って、辰也・圭介兄弟が更生していくだろうという終わり方はなんとも遣りきれません。
        >> 続きを読む

        2015/07/03 by K8cay

      • コメント 1件
    • 他4人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      ソロモンの犬
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 軽く考えててただまされましたー!全体的には重い話ですが、出てくる登場人物のキャラが濃いのと青春感で、どんよりすることなく一気読みできました。主人公が乗り回す自転車で一緒に海辺町を走り回ってる感覚も楽しかったです。ミステリーとしてはトリックはほとんど出てきません。変に考えすぎず主人公達の青春を盗み見している感覚だと楽しめるかと思います。伊坂幸太郎さんの砂漠が好きな方なら読んで欲しいです。
        バベルの塔がそうなるとは 笑
        >> 続きを読む

        2017/06/30 by kantoheiya

    • 他4人がレビュー登録、 23人が本棚登録しています
      月と蟹
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 月に惹かれて読んだ一冊。
        小さくない何事かを個々に抱えた小学生たち、慎一・春也・鳴海が仲むつまじく遊んだり語らったりしながらも、互いに秘めたものを感じながら心を育てていく機微が実に心地良く、忘れていた少年期の揺らぎを思いおこさせてくれる。

        そこには母親や爺ちゃんとの会話がまた効果的に活かされている。

        樸は今まで(少ない読書体験から)、少年のふるまいや心理を描かせたら『銀の匙』を凌ぐ作品はそうあるまいとまで思っていたのだが、少年「たち」の思いの移ろうさまを、細やかな仕草を通して見事に描いているのに感歎した。

        子と子であれ、子と大人であれ、語らなければ通じないものが多多あるのは確かだが、語らないからこそ感じ合う何かも多多あるのですね。

        で、(どうでもいいみたいだけれど)
        お気に入りの場面が幾つもあるので、
        一,二を披露。

        「ね」「ね」「ね」「ね」「ね」「ね」「ね」「ね」「ね」「ね」「ね」……春也はノートに同じひらがなを書いていた。シャッ、シャッ、シャシャシャーシャ。シャッ、シャシャシャーシャ。シャープペンシルの先が一定のリズムで動くのを慎一は隣に立って眺めていたが、やがて当然のことを訊いた。
        「何してんの?」
         春也は顔を上げずに答える。
        「『ね』って、逃げてく奴をロープか何かで捕まえとるみたいやろ。このほら、縦の棒が人やとして、首んとこからぐるぐる巻いて、ぎゅっと摑んで」
         シャッ、シャシャシャーシャ。シャッ、シャシャシャーシャ。またつづける。

          *  *  *  *  *

        (腕を骨折した春也が登校してきた場面で)

         唇の両端だけに笑いを残したまま、春也は自分の左腕をしげしげと見下ろした。春也がそうしていた時間は、実際にはほんの何秒かだったのかもしれないが、慎一には何十秒にも感じられ、その長い時間慎一は、ちょっとでも動いてしまわないように、必死に身体に力を込めていた。
         ふと、春也の顔から表情が消えた。水で流されたように、本当に消えた。そして、感情をまったく読み取ることができないその顔で、春也は初めて慎一を真っ直ぐに見た。
        「俺の手ぇなんて引っ張るの、厭やろ?」





        >> 続きを読む

        2015/03/26 by junyo

      • コメント 1件
    • 他3人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      ラットマン
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • まあまあ

        2015/07/26 by kurobasu

    • 他3人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      シャドウ
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • よかった。

        2015/03/23 by kurobasu

    • 他2人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      鬼の跫音(あしおと)
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 個人的に好きではなかった。なんとも悍ましい物語の短編集。
        この季節には読むのにちょうど良いかも。。所々猟奇的です。 >> 続きを読む

        2015/08/04 by がーでぶー

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      カラスの親指
      カテゴリー:小説、物語
      6.0
      いいね!
      • 素晴らしい!! メチャクチャ面白い!!
        全てが美しく、キチンと落ち着き、なんて
        楽しい気分で終わるストーリーなんだろう。凄い!

        タイトルにもなっている「指」のエピソードには
        泣かさせるし、会話のいたるところではニヤニヤ
        させらるし...。最高の一冊。

        コンゲームものになくてはならい最後の
        ドンでん返しがここまで切れ味よく、爽快なものって
        滅多にないよね。
        >> 続きを読む

        2013/04/06 by za_zo_ya

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      光媒の花
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ―――道尾秀介は、ミステリーという土壌に咲いた大輪の花である。巧みな仕掛けに驚愕の結末、文章だって美しい。2年という歳月をかけて紡ぎ出された短編集「光媒の花」(集英社)を手に取れば、気づくだろう。その地に安住せず、より広い場所へと歩みを進める作家の姿に――

        「光媒の花」は6章に別れ、今まで感じていた作品とは傾向が違う、淡い哀しみの色彩を帯びた短編集になっている。それぞれは微妙につながっている。

        静かな文芸作品のような香りのする文章で期待を裏切ってくれた。
        彼の本領はここにもあると思った。
        もっと読んでみよう。
        短編は読みやすく、早く終わってしまったがこれから長編にとても期待できる。
        >> 続きを読む

        2015/06/27 by 空耳よ

      • コメント 8件
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      月の恋人
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 月9の為に書き下ろされた本というのを後書きで知った口。
        普通の道尾作品だと思っていたらミステリー的な所があんま無くて肩透かし。
        道尾作品への期待値が高い分だけちょっと物足りなかった。

        一方でこまごまとした雑学をストーリーや人物の状況に絡めてグッとくる感じにはさんでくるのは他の作品と同じように健在ぶりを示してると思う。

        >> 続きを読む

        2015/12/11 by W_W

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      笑うハーレキン
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 2013年に単行本版で読んだ作品の再読。主人公の東口は、10年も前に潰れた工場のスクラップ置き場で四人の仲間と暮らす、元家具職人のホームレス。幼い一人息子を事故で亡くし、妻とも離縁し、経営していた家具会社が倒産した末に行き着いた居場所で、携帯電話とトラック、長年使ってきた工具などの僅かな持ち物で方々を家具修理に回り、なんとか生計を立てています。ある日、彼のトラックの助手席に見知らぬ若い女性が忍び込んできます。家具職人の弟子にしてほしいと訴える女性・奈々恵に不審を抱く東口ですが、彼女もいつしかスクラップ置き場の仲間に。そんな中、近くを流れる川に死体らしきものが浮かび上がり…。

        全てを失ってホームレスになった東口のトラックの助手席には、彼が「疫病神」と名付けた亡霊が座っており、東口の過去に潜む深い後悔と自責の念を常に呼び覚ましています。死んだ息子のビデオを何回も見返しながら、失意の底で生きる東口ですが、奈々恵との出会いや、ホームレス仲間に起きた事件をきっかけに、心の奥底にしまい込んでいた、彼が向き合うべき真実と、それを必死に覆い隠そうと仮面を被っていた己の姿を直視しようとします。誰もが皆 ---ホームレス仲間でさえ---「本当の自分たちの姿を正視したくないという思いから」ハーレキン(道化師)のような仮面を被り、「こうでありたいという自分を」演じている、という表現が印象的でした。

        多かれ少なかれ、私たちはいろんな顔を持っています。会社、近所、家族、友達、恋人などに向けたそれは、本来決して「仮」の「面」などではなく、どれもが本当の自分の一面なはずなのですが、例えば外面良く見せようなどと邪念が入り、己を繕って演じ始めた途端に、それは本当の自分を隠す「仮面」になってしまうのかもしれません。そして本当に怖いのは、初めは相手に対して本当の自分を隠すためのであった仮面が、いつしか仮面をつけた本人の本心までも覆い隠してしまう仮面となり、自分で自分の本心が見えなくなってしまうことではないでしょうか。

        仮面をつけた登場人物たちが、それを剥ぎ取るきっかけとなるのは、東口に届いた奇妙な家具の修理依頼です。この一件からラストまでの展開がやや唐突で、妙にエンターテイメント性が高く戸惑いますが、多くの謎に誘導されて、一気に読み終えてしまいます。ちょっと強引なこじつけもあるものの、最終的には色々な伏せんが全て回収され、衝撃的な事実が明らかになった上での読後感は、決して後味の悪いものではありませんでした。
        >> 続きを読む

        2016/02/28 by nomarie

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      月と蟹
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
      いいね!
      • すきじゃないかな

        2015/06/07 by kurobasu

    • 他1人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      光
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 蛍の幼虫って光るんですね。

        川に取りに行った時の、「あっためればいいんでしょ」



        見舞いに行った時のくしゃみ

        だけであの登場人物のスネ夫ぶりが全部ゆるせる気がした。
        >> 続きを読む

        2016/02/02 by W_W

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      鬼の跫音 (あしおと)
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 2006年から2008年にかけて角川書店の小説誌「野生時代」に掲載されていたホラー短編を纏めたものです。

        タイトルは作中編『冬の鬼』内の一節から採ったもので、全6編を通じて人間の内なる“鬼”が次第に膨張し、現実に具現化した時の恐怖を表した絶妙なものと思いました。

        短編六本。
        なかでも怖ろしく読み終えたのは『けもの』という作品です。
        主人公の若者(♂)は、家族の落ちこぼれです。
        医師や教師、警察官といった祖父母、両親と、優秀な妹に馬鹿にされながら、卑屈な毎日を過ごしています。
        志望した大学への入学も失敗し失意の浪人生活の只中、ふとしたはずみで壊してしまった室内の椅子。
        バラバラになった椅子の足の付け根の部分、分解でもしない限り絶対に人目につかぬ場所に、彫刻刀で彫られたとみられる奇妙な書き込みを発見します。
        …そういえばこの椅子は、刑務所作業製品ということだったな…
        彫られた文章の異常さに、思わずインターネットで調べ始める彼。
        すると、その椅子は、福島県内で数十年前に起きた猟奇大量殺人の犯人が獄中で作りあげたものであることが判明するのでした。
        憑かれるように福島へ向かう彼。
        ひとつ屋根の下に暮らす優秀な家族たちは、彼の動向にもはや何の関心も示すことはなかったのです。
        事件の地に降り立ち、殺人事件のあらましを調べだすと、そのおぞましさに身震いを禁じ得ない主人公でしたが、徐々に自分と犯人との間に共通する境遇を感じはじめ…。

        解説で京極夏彦さんが評しておられるおられる通り、道尾さんはテクニシャンという評が相応しい作家さんです。
        敢えて「S」とアルファベット一字で登場する、禍々しさを象徴する、物語のキーとなる登場人物。
        物語の随所に登場する鴉、鴉、鴉…。
        多作ゆえかどれが代表作かと問われれば、返答に窮する作家さんではありますが、逆を言えば駄作を生み出していないことの裏返し。
        今年は、彼の作品をたくさん読んで、道尾ベストを探してみたいと思います。
        >> 続きを読む

        2016/02/08 by 課長代理

      • コメント 2件
    • 6人が本棚登録しています
      球体の蛇
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 思い込み、欲望、すれ違い…人を傷つける切っ掛けなど誰かと関わっていれば無数に見つかるものですが、それがどう作用しどういう結果になったかなど、普通は知り得る事の方が少ないのでしょう。

        当然物語ですので、それらが偶然か誰かの意志か詳らかにされる所に面白みがある訳ですが、本作では更にもう一つ伝わって来た事が。

        それは単純に「お互い様」という事。

        一方的に他人を傷つけてきたのではなく、自らも同じだけ騙され、傷つけられてきたのだと思うことが、ここではどれだけ救いになった事か。

        案外悪くない読了感。
        氏の作品が好きになります。
        >> 続きを読む

        2014/04/02 by 豚山田

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      光媒の花
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • すごく叙情的で読んでよかった

        2014/03/24 by iruka

    • 6人が本棚登録しています
      鏡の花
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 連作短編群青劇であります
        登場人物は、すべてのお話でリンクしていますが全く違う人生、世界が描かれた六つのお話となっています

        もし・・・・・なら
        もしも・・・・・していたなら
        「たら、れば」の世界

        六つの章で共通事項
        登場人物は、大事な人を失うということ
        失ってから初めて気づく想い
        そこには、生きている人々の葛藤がある訳で
        エゴであったり、思いやりであったり、愛であったり
        だからといって共にいれば幸せな人生を送ることが出来るというほど簡単なものでもなく・・・・・

        この作品を読んでいると
        「あたりまえなことなど人生には一つもないのかもしれない」
        って感じます

        六つのお話は、まとまることもなく
        繋がりそうで
        全く繋がらない
        とっても不思議な感覚の短編集

        道尾秀介氏の美しい世界をご堪能ください

        『光媒の花』を読んでみたくなりました!!
        >> 続きを読む

        2013/12/26 by momokeita

      • コメント 4件
    • 5人が本棚登録しています
      片眼の猿 One-eyed monkeys (新潮文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
      いいね!
      • 盗聴能力を持つ探偵の主人公が陰謀に巻き込まれつつ恋人の死の真相を追い求めるというお話だけど・・・・。話がとっちらかっていてよく判らなくなっている。
        ネタバレになるが叙述トリックモノなんだけど「だからどうした」と言いたくなる結末。あまり納得いかず。
        >> 続きを読む

        2012/03/19 by ybook

      • コメント 2件
    • 14人が本棚登録しています
      龍神の雨
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。
        溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母とささやかな生活を送る。
        ある日、あまりの継父の横暴を許せなくなった蓮は、継父の殺害計画を立てる。
        妹を酷い目に遭わせたから。
        そして、死は訪れた。
        降り続く雨が、四人の運命を浸してゆく。
        彼らのもとに暖かな光が射す日は到来するのか。

        大藪春彦賞受賞作。

        『カラスの親指』の印象があまり良くなく、評判先行の作家さんと敬遠気味だったのですが、それではいかんと一念発起。
        大藪賞受賞作ということで、まさかハズレはないだろうと、ほんとうに久しぶりの著者作品でした。

        二組の不幸な家族の物語。
        19歳の兄・蓮と、14歳の妹・楓は、母を事故で失います。
        遺ったのはその母と再婚したばかりの継父。
        血の繋がりのない"家族"は、次第に破綻し始めます。
        職を失い、酒を飲んだ挙句、暴力をふるうようになった継父。
        蓮と楓に社会の風は厳しく、手を差し伸べてくれたのは、蓮を高卒という学歴を承知の上で雇い入れてくれた酒屋の主人だけでした。
        しかし、蓮の稼ぎだけでは妹の進学さえ覚束ない…。
        ある雨の夜、将来を悲観した兄は、あの男さえいなければ、と恐ろしい行動に移ります。
        13歳の兄・辰也と、小学生の弟・圭介もまた、父を病で失ったばかりでした。
        その数年前には、海の事故で実の母を亡くしており、遺されたのは、やはり血の繋がりのない父の再婚相手の継母のみ。
        しかし継母は"家族"を守ろうと必死で働き兄弟を育もうとします。
        が、辰也はそんな継母に辛くあたる毎日。
        圭介の取り成しも空しく、万引き騒ぎを繰り返して継母を困らせる日々が続いていました。
        その雨の夜、万引きを咎められた兄弟が改めて謝罪に向かった先で異様な光景を目にします。


        タイトル通り、物語の間、ずっと雨が降り続いています。
        章間でラジオニュースの気象情報を入れる工夫で、物語の舞台がどんな空模様なのか、知らず知らず刷り込まれていく感じです。
        陰鬱な雨は不幸な境遇の二組のきょうだい達の心境そのもののように、重く激しいものです。

        本作を読むとどうしても謎解き・著者の仕掛けに目が行きがちですが、それぞれの家族の再生譚もとても面白く読みました。
        トリック無しでも一本の小説として成立していると思います。
        主要な人物たちがしっかり書かれていて(特に蓮と圭介は)、その感情の行く先、発露も違和感なく。
        特に興味深く読んだのは、辰也と圭介の継母が、その実の母の死の原因を圭介に疑われ、それがわかったときの慟哭と、それでもまた翌日からまた開始しなければいけない再生への挑戦の姿勢です。
        この描写は、本作の中でも特筆して紹介したい部分です。
        血の繋がりもなく、かといって決して懐いているわけでもない少年たちを、必死に頑張って育てようとしている女性の、堰を切った悲しみと、立ち向かうしなやかな強さがまっすぐに伝わってきます。

        唐突に言葉が途切れた。
        つぎの瞬間、里江の顔から表情が完璧に消えた。能面のようになった彼女の顔は、ぴくりとも動かず、圭介に向けられた二つの瞳が急に灰色に見えた。やがてその一部に変化が現れた。両目が虚ろに圭介を見つめたまま、薄い唇が微かに震え始めた。そうかと思うと、不意に、里江の顔全体が壊れ、両手が持ち上がり……鉤型に曲げられた十本の指が額を掴み、その途中で左手が味噌汁の入ったお椀に触れ、お椀はテーブルの上で倒れた。半分ほど残っていた味噌汁が流れて床に滴ったが、里江はそちらを見ようともしなかった。犬が息を切らしたみたいな、細い細い掠れた音を咽喉の奥から洩らし、上体を震わせはじめた。
        「何で……そんな……」
        不明瞭な、途切れ途切れの言葉。

        「龍神」とあるように降りやまぬ雨と、亡くなった愛する家族への思いを重なり合わせ、伝奇などを背景に盛り込む構成は巧みです。
        逆に、各場面での、物語に抑揚をつけるための手法(無意味に言葉を繰り返してみたり、綾辻行人さんがよく用いる重要な言葉に点つけるといったもの)はすこしうるさく、余計に感じられました。
        また、二組のきょうだいが結びついた接点、きっかけの書き方がいささか雑に感じました。
        これは、叙述トリックの完成を念頭に置き過ぎたゆえのことかと。

        >> 続きを読む

        2015/03/04 by 課長代理

      • コメント 2件
    • 4人が本棚登録しています

【道尾秀介】(ミチオシュウスケ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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