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原田マハ

著者情報
著者名:原田マハ
はらだまは
ハラダマハ

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      本日は、お日柄もよく
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Maripon
      • 特にイヤな気持ちになることもなく、それでいて読み終わった時に「あぁ、いい本だったなぁ」としみじみ思う本。

        とあることからスピーチライターという耳慣れない職業に興味を持つ主人公、こと葉。彼女が迷いながらも言葉が持つ力を信じて成長していく姿に心打たれます。

        文章はとても読みやすく、こと葉が何かを感じた時の表現が彼女らしくていちいち面白かった。
        構成は途中、軸になりそうなものをあっさり蹴ったのが新鮮だった。その恋愛路線に行かなくてもいいのでは…という流れも納得のオチで回収。

        また読み返したい。
        >> 続きを読む

        2017/09/10 by 豚の確認

    • 他11人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      楽園のカンヴァス = La toile du paradis
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね!
      • 謎の多い画家、アンリ・ルソー。コレクターであるバイラーは、ルソーの「夢を見た」の真贋を確認するため、ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンとソルボンヌ大学研究員早川織江を招いた。2人には七日間に分けて絵画に関する物語を読ませ真贋の講評をさせる。バイラーはその講評の結果で秀でた方に「夢を見た」の取り扱い責任を譲るという。最終結果に至るまでの物語の素晴らしさに感銘を受け、様々な人間の思惑が渦巻くストーリーに手に汗握った。そして真贋の講評を競った2人が17年後劇的な再開を果たす。 >> 続きを読む

        2017/07/18 by konil

    • 他6人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      生きるぼくら
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • コンビニのおにぎりを食べいたひきこもりの主人公が、
        おばあちゃんのやっていた田んぼで米作りを始めます。

        いじめ、ひきこもり、認知症、介護、就職難・・・
        そんな現代の苦悩が次々と出てきますが、それを乗り越えていくひとの力に勇気付けられる作品でした。
        蓼科での生活を通して、主人公が変わっていく様が面白かったです。

        始めは、おばあちゃんに助けられるストーリーかな〜と思っていたら、全くそうではなく。
        助け、助けられ、ひとは生きていくんだな、と気付かされました。

        おばあちゃんの握ったおにぎり、食べたくなりました。
        >> 続きを読む

        2017/06/19 by R-0

    • 他6人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      カフーを待ちわびて
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 惹き込まれ一気読み。優しくて、でも焦れったくなる恋話。二人と一匹が島で幸せに暮す風景を想いながら読み終えました。 >> 続きを読む

        2017/10/14 by hiro2

    • 他6人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      キネマの神様
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! Micchaaan
      • 読書の他に、日頃の休みで「映画館で50本以上見る」という自分にしか喜びの無い暗い趣味を持つ自分的には久し振りに「大当たり」の作品。名画座と呼ばれる映画館は足を運んだことが無い(映画を見るのはシネコンばかりなので)自分にはこういった名画座ならではの魅力といわれてもピンとこないが、こういう映画館にも行ってみたくなるような作品。映画は「旅」とこの本では表現されていますが、読書も「旅」ではないかと思う。(自分が経験したことのない世界を体験できるという点で。)本文の内容とは関係ないですが、感想はこんなところです。
        >> 続きを読む

        2017/08/27 by oniken0930

      • コメント 2件
    • 他5人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      本日は、お日柄もよく
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 主人公のOLの育ちの良さやそれを取り巻く周りの人達のリア充っぷりな設定に「ん?」と思うところはあるけれど、それを除いても言葉の使い方によって人はこんなにも心を動かされるんだと実感させられる作品。作品の中のどのスピーチの文章を読んでいてもゾクゾクっとさせられる。ある意味スゴイなあと感心。この方の作品に「総理の夫」という作品があるが、関連はあるのかなと邪推。「キネマの神様」といい、スゴイわ、この人。他の著作も随時読んでいきたいと思う。
        >> 続きを読む

        2017/09/07 by oniken0930

    • 他4人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      旅屋おかえり = the long way home
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 唯一のレギュラー番組「ちょびっ旅」が自分のせいで終わることになった
        旅タレント「おかえり」こと丘えりか。
        社長一人タレント一人事務員一人の超弱小事務所、
        ひょんなことから難病の人の代わりに旅に。
        この出来事をきっかけに代わりに旅する旅屋をすることに。

        物語中では最初の旅と「ちょびぃ旅」復活に向けての旅の二つが書かれています。
        最初の旅は角館、田沢湖方面ということで僕には馴染みの所でw
        この本にはでてきませんが田沢湖から玉川に行く途中にある
        鎧畑ダムはいいですよ!道が悪いけどw

        この作品の登場人物、みんないい人なんですよ。
        それが悪いとかじゃないんですが、ちょっと出来過ぎっていうか
        なんというか。。。
        キネマの神様に続いて読むの2作目なんですが、なんか物足りないです。
        次は楽園のカンヴァスを読んでみようかなー
        >> 続きを読む

        2016/07/03 by 降りる人

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    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      ジヴェルニーの食卓 = Une table de Giverny
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • マティス、ドガ、セザンヌ、モネという4人の印象派画家の日常やエピソードを身近にいる人の視点から描いた短編集。フランスの人間と自然が生み出した印象派と呼ばれた新しい美術界の波が打ち寄せてくるうごめきが感じられる。モネが日本の浮世絵が大好きだったとは初めて知った。 >> 続きを読む

        2017/11/15 by konil

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      キネマの神様
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 本書の冒頭で、一気に心を持っていかれました。
        あー。この本は面白いんだろうなぁ、と

        ギャンブル依存症の父と、超大手会社の課長職を辞めた娘。壊れかけていた家族を繋ぐものは映画であり、物語で出会っていく人たちもやはり映画によって繋がれていく。

        原田マハさんに多い(ような気がする)女性のサクセスストーリーかと思いきや、家族愛なのかな…と思いきや、彗星の如く現れた登場人物との友情。

        どこに向かうのかしら、と繙く手が止まらない。

        そして涙溢れる場面があり、ラストも暖かさがじんわりと残り、いい旅をしてきたなぁ。という心地良さがあった。


        正直、私は映画を見ることが苦手だ。これから数時間は見なくてはいけないのか、と思うと余程心の準備をしないといけない。この話をすると誰からも共感は得られないのだけれど。
        さらに言えば、「ほら、こうしたら感動するでしょ?」「原作読んでません(設定変えてみました)」「ジャニーズとアイドルで人気とります」という、目線の違いに溜め息が出てしまうから。

        とは言いつつ、何かしらの理由で見に行けば七変化の如く感情的になって、劇場の灯りが点るまで余韻に浸るわけだけども。

        そのため、本書の中に出てくる映画はほぼ見たことがない作品でした。しかし、それでも十分に面白かった。名画座は近所にないので、DVDで少しずつ見て行きたいと思った。

        …しかし、風のマジムでは読了後ラム酒を買って、本書では映画を見て、恩田陸さんの蜜蜂と遠雷ではクラシックを聞いて…影響されやすい自分がなんとも滑稽だなぁと一人で苦笑をしてしまった。
        >> 続きを読む

        2017/09/23 by 豚の確認

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      でーれーガールズ
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 面白かった‼
        ラストの展開は衝撃的だった。
        現在と過去の回送を織り交ぜながら物語がすすんでゆき最後は感動して心にぐっときた。 >> 続きを読む

        2015/06/27 by future

      • コメント 3件
    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      総理の夫 = First Gentleman
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 女性に一回任せてみてはどうですか?←とてもわかります!
        あまりに男の論理が柔軟性や発想力に欠け、観念的で利益追求型すぎて、
        日本の政治には理想が無いのか?と日々残念に思っている上に、
        米国の大統領選が間近ですが、ヒラリーが「女性だから」当選させたくないという
        アメリカの実は女性蔑視の伝統が垣間見えてしかたない今日この頃です。

        作者曰く「政治ファンタジー」
        凛子の女神化は作者の意図的なもの。リアリティの追及は全く心がけていません。とのこと。
        …ですね~。あえて避けていますね。
        マンガチックなテイストの小説を表すのにファンタジーって言葉をあまり軽々しく使ってほしくないのですけれど。

        総理の夫になってしまった相馬日和(ひより)の日記というスタイルで描かれています。

        凛子は最年少で開田川賞(芥川賞のことか)を受賞した父と国際政治学者を母に持ち、
        東京大学法学部卒、ハーバード大学で博士号を取り、シンクタンクの研究員を務めたのち、政治家に転身。

        弁舌さわやか、理想主義者で美人。
        まあ欠点ゼロな女性です。

        一方、総理の夫になってしまった日和君だって凄い。
        東京大学卒で博士号も取得、日本を代表する大財閥相馬一族の次男。

        絵に描いたエリート夫婦でございます。

        夢っちゃ夢ですが、こんなの本当にあなたの「理想」なんですか?
        だとしたらあまりにもスノッブであまりにもおとぎの国であまりにも想像力に欠けませんか?

        日本国民って下剋上が大嫌いな国民なんですよね。
        下から上がって来る人の足を引っ張りたい人たちが多い。
        ホリエモンなんかいい例ですよ。
        日本って家柄とかなんとか、本当の意味で「出世」ができない階級社会なんですよ。
        「どこの馬の骨」って考え方が抜けないのです。
        上流階級の人や一般大衆に文句を言わせないためには雲上界から聖人君子の「降臨」が待ち望まれる…。
        やれやれ、この点では日本の現実を描いているかもしれません。


        現実世界はうまくいかないから、夢を見てもいいじゃないか、とマハさんは言います。
        でも、夢を読んで憂さ晴らしして終わってしまっていいのか?
        理想はこうよね~。現実にはいないわよね~。でいいのか?
        政治活動に足を踏み入れたと思われたくないから、リアルには描きませんでした?
        それでいいのか?都合のいい逃げじゃないのか?

        なんとなく、面白い~♪で終われない気分になってしまった、ひねくれ者の私でした。


        民心党党首の原久郎(はらくろう)は小沢一郎氏がモデルとのことです。

        挿し絵:みづき水脈
        おお。そうかそうか。「ラブコメ」で一緒に米作りした彼女ね!!
        >> 続きを読む

        2016/05/27 by 月うさぎ

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      普通じゃない。 Extraordinary.
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 数時間で読了。

        偶然の出会いから、大手都市開発会社で働くことになった主人公・しいな

        目の前に矢継ぎ早に出される課題を解決していく中で、
        老舗花火屋の祖父のことを誇りに思うようになったり、
        チームで協力することや目標に向かって努力することを学んでいく。

        憧れる社長の夢を叶えることが自分の夢、それが仕事だなんて最高じゃないか。
        自分ひとりではできないことも、先輩や友人に恵まれてなんとか達成し、しいなもほかのチームメンバーにはないセンスで貢献する。

        そういうことって新人がいきなり得られるものじゃないと思うから、現実味はなかった。

        それでも「人が変わらないと環境は変わらない」というメッセージには共感したし、後半は何度かジーンとする場面もあった。

        mixi公式企画ということで、独特の携帯小説っぽい文体がちょっと苦手。
        >> 続きを読む

        2014/10/05 by lilli

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      さいはての彼女
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 短編集。どの話も過去、もしくは現在に心の闇を持っている女性が主人公となっている。
        きっと誰しもが大小違えど心の闇は持っていると思う。本書では旅先にて(最後の話は違うけど)人と関わり、少し前向きになれる、そんな温かくなる内容になっている。

        個人的にはナギが好き過ぎて、もっと話に出てきてほしかったなぁ。

        原田マハさんの本は、読み終わった後に「自分らしく生きたい」と思わされることが多い。
        「さいはて」は終わりではなく、どこまでも行けることを示しているのかな、と思った。

        旅がしたい。人と触れ合いたい。
        >> 続きを読む

        2017/10/22 by 豚の確認

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      風のマジム
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 沖縄県産のさとうきびを使ったラム酒を作るために奮闘した女性の物語。

        沖縄が舞台なので、あの独特な方言や、皆どこか大らかな登場人物が沖縄に行った気にさせられる。

        タイトルのマジムは、主人公の名前であり、「真心」という意味もある。そのまじむが一念発起をし、周りの人に支えられたり、邪魔をされたりしながらも進んでいく。

        どうもこういう内容には弱いなー。楽しそう!頑張れ!と思ってしまう。
        けど、やはり起業するというのは夢だけではできないもので、その辺りの苦労も読んでいて「ぐぬぬ…」となってしまった。

        そして、読んでいる途中で「そうだったらいいな…」と思うことがあとがきで判明した。
        なんと本作は実在するモデルがいるのだ。つまり沖縄県産のラム酒も実在するとのこと。

        これはぜひとも買わねば。飲み方はもちろん、おばぁと同じオン・ザ・ロックで。

        かじぬさきや、飲もう。
        >> 続きを読む

        2017/09/21 by 豚の確認

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      星がひとつほしいとの祈り
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 切なさ残る話に、それを優しさや強さに変えて生きていく人たちの姿がみえました。

        2017/08/29 by asa_chann

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      おいしい水
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【携帯電話もメールもないあの頃、会いたければ、待つほかなかった。知りたければ、傷つくほかなかった。私は何ひとつ、あなたのことを知らなかった-。80年代の神戸を舞台に、若い恋の決定的瞬間をたどったラブストーリー。】

        図書館に本を返しに行って、読みかけの本があるから借りないでおこう、と思ってたのについつい借りてしまうんだなあ・・・

        原田マハさんの本は好きです。でも、ベタな恋愛ものは苦手。
        これはベタの中に入る?そうでもないか・・・どっちかいうと、はつ恋に近い?

        挿絵?の写真がとてもおしゃれで綺麗な本です。

        お話は短くて、あっという間に読み終わります。

        で、ちょっとだけ若気の至りを思い出したりして・・・

        恋とは、、、勘違いである。 ワタクシの場合^^;


        小学3年生のはつ恋は、自分でいうのも何ですが、かわいかったなあ
        Mくん、いいおじさん(もとい、紳士^^;)になってます。
        ワタシは賢いいたずらっ子が好きだった。てへ

        今は・・・・・・・・慈悲ですよ、慈悲^^
        >> 続きを読む

        2014/08/13 by バカボン

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      夏を喪くす
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
      いいね!
      • 現代を読み解く女性文学 原田マハ『夏を喪くす』試論 感想とレビュー それぞれの喪失に対してどう向き合っていくか

        -初めに-
         2012年1月に発売された山本周五郎賞受賞作品『楽園のカンヴァス』で一躍時の人となった原田マハは、2012年という年に、今までの彼女の執筆ペースからは考えられないほどの作品を発表しています。4月には『旅屋おかえりthe long way home』、7月には『花々』と『ラブコメ』、9月には『生きるぼくら』、10月には『夏を喪くす』、11月には『独立記念日』、年が変わって2013、一月には『さいはての彼女』と、怒涛のスピードで発表しています。一躍有名となったので、出版社がこぞって彼女の本を売りたがっているのかもしれませんが、ここまで出されてしまうと、追い切れません。私も原田マハの作品はほんの数冊しか読んでいません。ですが、今回論じる『夏を喪くす』は、『楽園のカンヴァス』や前回論じた『カフーを待ちわびて』を考えるうえで重要な視点をもたらしてくれると思います。

        -『天国の蠅』-
         『夏を喪くす』は、短編四編による作品です。『天国の蠅』『ごめん』『夏を喪くす』『最後の晩餐』の四編になります。
         『天国の蠅』は原田文学の一つの着眼点でもある親子の縦軸の関係を考えるうえで大きな意味を持ってくると思います。『楽園のカンヴァス』では、早川織絵という女性と、その織絵の私生児であるハーフの娘との関係が描かれています。作品のほとんどはティムの視点に移るため織絵と娘の関係はあまり描かれませんが、作品のメーンは美術を巡る謎解きだとしても、作品の外部には親子の絆という縦軸の関係が作品を構成していることがわかります。織絵は自分の母と、私生児である娘という三人で暮らしていましたが、この複雑な関係が作品を読み解く視点にもなります。この『天国の蠅』は、三人称主人公視点の作品です。主人公は範子と呼ばれるごくごく普通の母親です。自分の娘の明日香が雑誌をリビングにおいていった場面から物語がはじまります。その雑誌には明日香が投稿した詩が掲載されていました。普段はなかなか親子の会話がないものの、娘の意外な側面を見ることが出来た喜びを感じたという作品です。しかし、その雑誌の他の詩を見たときに、範子は回想を始めます。そこにはかつて自分が知っていた詩が載っていたからです。
         範子は現在母となっていますが、範子がまだ娘だった頃、父親は借金にまみれ、病弱な母親と暮らしていた貧しい過去を思い出します。自滅型の父親は、娘にいいことをしてやりたいと思いながらも、どんどん娘の信頼を失っていくことになります。太宰治型の父親といった感じです。娘のバイト代を掠めようとしたりします。しかし、最後の最後になって、父親は父親としての役割をはたして、娘の元を去ります。その後に度々会うことはないのですが、破滅していく父が最後に娘に残した思いが、時を経て再び母となった範子のもとへ訪れるという時間軸を巧みに操ることが得意な原田マハの作品構造がよく表れた作品です。

        -『ごめん』-
         『ごめん』は、通常の読者であっても腹立たしさを感じる人格の持ち主が主人公です。陽菜子が病院に居る場面から物語は始まりますが、何故病院にいるのかというと、陽菜子の夫である純一が建設会社で事故にあって植物状態になってしまったからです。一命は取り留めたもののほとんど回復の見込みのない状態でこれからどうしていくのかという問題に直面します。純一が事故にあった際、陽菜子は、自分の不倫相手である正哉とプーケット島のコテージにいました。正哉は陽菜子より10歳年下で同じ職場で働いています。同じ時期に同じ場所にいくことがバレるとまずいため、二人とも別々の場所に行くと言って旅行に出ました。そのため、純一が事故にあった際に、連絡が付かなくて結局最後にはばれてしまったという状態にあります。
         病院では純一の母親にこっぴどく叱られ、酷い女だとなじられます。純一は真面目一筋が取り柄のような男で、遊びほうけている陽菜子に対して何も文句を言ったこともなかったような人物でした。ところが、その純一の口座から毎月定額振り込まれている謎のお金があります。この謎を解いていくというのが、この作品のメーンになります。この点は原田マハのミステリの要素を含んだ構成になっています。結局出てきた答えは、純一が一度だけ出張した先で一目ぼれした女性がいて、その女性が現在でも直向きに働いていたということがわかります。ここで考えたいのは、原田文学の特徴は、女性文学であると同時に、働く女性が生き生きと描かれるという側面です。陽菜子は一般的に考えても、悪い人間ですが、彼女もばりばりのキャリアウーマンです。むしろそのあふれ出るバイタリティーが純一だけでは満足できず、後輩に手を出すというスリルを求めたのかもしれません。パートナーがいたとしても、一人で働いているような女性、その女性が、社会から悪だなんだと非難されてももがきながら生き続ける。こうした側面に意味を見出す必要があると私は思います。
         結局この作品では、自分に落ち度はないと感じていた陽菜子も、完璧な善人であった夫純一にも自分に隠していたことがあったということを知って、自分の今までの行為を見直し、反省し、今までむちゃくちゃを好き放題やらせてもらったお返しに、植物状態になった夫を介護して行こうと決心する若いの物語としても読めます。

        『夏を喪くす』
         作品全体のタイトルともなっている『夏を喪くす』は、それぞれ女性の在り方を見つめて来た作品のなかでも極めて働く女性という部分に着眼した作品だと言えます。主人公の咲子は、かつて勤めていた仕事場をやめ、先に他の職場に移っていた部下の青柳とともに起業します。地方の公共建設のコンペに出たり、リゾート開発に似た仕事をしたりと、仕事のために生きているような充実した生活の真っただ中にいます。特にパートナーはいませんが、妻と子供がいる渡良瀬一と不倫関係にあります。仕事に満足し、結婚したいとは思っているものの、それほど強烈な願望はないため、一応仕事と男とに充実した成功したキャリアウーマンとして描かれます。
         自分の年齢の割にはプロポーションもよいと自認している咲子は、新しい建築計画の下見で来た海岸で、部下である青柳と他二人とバケーションを愉しみます。その間に咲子は自分の不倫相手である渡良との逢瀬や、そのことで発覚した胸の異変、乳がんのことの回想が入り乱れます。摘出しなければならないほどに進行していた乳がん。もしそのことを告げたらどうなるのか、自分と渡良の関係は今後どうなるのかが常に念頭にあるため、晴れない様子の咲子に、青柳は声をかけます。
         この短編は特に内容が濃密なだけに、長編の容量がないとどうしても唐突すぎて不自然さが出てきてしまうのですが、この青柳という男も、近々失明するのだということがカミングアウトされます。何故この青柳が突然視力を失わなければならないのかが多少理解に苦しみますが、この作品はそれまで獲得しつづける人生にあった人々が何かをなくす=喪くすということに着眼すべきでしょう。前回論じた『カフーを待ちわびて』との類似点は先ず、前回の作品がリゾート開発をされる側の人間の視点であったのに対して、今回はリゾート開発をする側からの視点で描かれていることです。こうしたことからも、作家としての原田マハは、美術に造形が深いだけでなく、建築方面にもかなりの知識があるということが察せられます。また、『カフー』がすべてを失った人間が獲得しはじめるという方向に向かったのに対して、この作品はすべてを手に入れた人間がそれぞれの大切なものを失うということを描いている点です。このようなことからも、この作品が『カフーを待ちわびて』と対になる作品であると言うことができるでしょう。
         自分のプロポーションにも自信があった彼女にとって、乳房の摘出という衝撃は計り知れません。この点男性である私には本質的に理解することができるわけはないのですが、当然夏場にビーチに水着で出ることもできなくなるのでしょう。愛人である渡良との関係もどうなるかわかりません。渡良には家族がいますし、咲子と逢瀬を重ねる理由は肉体的なことが大きな目的であることは誰が見ても明らかです。もしかしたら渡良との関係は終わるかもしれない。それにもう一人の女としては男性に接することができなくなるかもしれない。そうした中でこれから自分はどうしていくのか。仕事を続けるのか、家庭を築くのか、そうした人生の転換期を迎えた中年の女性の心理が水水しく描かれています。

        -『最後の晩餐』-
         原田マハ自身キュレーターとしての経歴を持つ経験を生かした作品が話題になった『楽園のカンヴァス』でした。美術業界の裏側に精通していなければとても書けない、日本では原田マハ以外にはかけない我々がまだ触れたことのない新鮮な世界を紹介してくれた作品です。この『最後の晩餐』は『楽園のカンヴァス』に登場する織絵のような女性キュレーターである麻里子が、アメリカニューヨークへ訪れた際の数日間の記録といったところです。織絵のその後と考えることもできるような作品ですので、まるで私たちも美術界の一員となった感じで美術界の裏側に入っていけるような感覚に襲われます。
         この作品は、ニューヨーク近代美術館、MOMAで働いたことのある作家原田マハが9・11に対してどのような思いを抱いているのかを少しうかがわせる内容にもなっています。9・11の後帰らなくなったルームメイトのクロ。あの事件から何年も経った今、まだクロとの思い出のアパートの一部屋の家賃を払い続けている人間がいます。事件ぶりのニューヨークで昔の知り合いに一人ずつあって、過去の話に花を咲かせ、現在の状況を話し合い、そうしてあのアパートの家賃を払っているのはあなたではないかということを繰り返す麻里子。多くの旧友と話しているうちに、クロとの記憶が回想してきます。
         クロは女性ですが、どこか麻里子とは同性愛的な関係があったかもしれないという可能性も捨てきれないと私は思います。肉体関係はなかったかもしれませんが、非常に濃密な関係であったことがうかがえます。美術界の人間ですから、登場してくる人物はそれぞれ個性的な人間が多く、オカマっぽい人物もいれば、きれきれでハンサムでも腹黒い人物もいたりします。この小説は、クロが死んだことを誰もが認められないという心の傷をどうやって癒すのか、クロが消えてしまったことによって空いた空洞をどうやってうめるのかという問題が描かれているのだと思います。
         クロは9・11後から行方がわかっていませんが、遺体も見つかっていません。普通に考えれば亡くなったと考えるのが最も妥当ですが、当事者であるほどクロは死んでいない、生きているかもしれないというように思いたがるものです。そうしてそれを信じるかのように、払い続けられるアパートの家賃。その家賃を払い続けているのが誰なのかを探すという、原田文学特有のミステリ要素もあります。

        -終わりに-
         この短編四編は、それぞれ失うということがテーマになっています。失うことを、ここでは「喪」ということばを当てて喪くすと表現されています。『天国の蠅』では父親との関係や、少女として踏みにじられた心などの失われたものを「今」になって送られてきた詩によって向き合うということになります。『ごめん』は、普段気が付かなかった夫の気持ちや大切さというものを失って初めて気が付くということがテーマになっています。
         『夏を喪くす』は女性として女であることを失うことにどう立ち向かっていくのかという女性の最大の悩みを描いた作品です。『最後の晩餐』は、失われてしまったものとどう向き合うか、亡くなった人間を生きている人間はどう考えて行けばよいのか、現在の3・11震災にも通じる普遍的な内容が描かれています。
         何かをなくしたり得たりするということは相対的で、常に起こり続得ることです。人類の初めから終わりまである課題です。それにどう立ち向かうのか、それを考える一つの指標になると私は思います。
        >> 続きを読む

        2013/03/19 by yugen

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      恋の聖地 そこは、最後の恋に出会う場所。
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 恋の聖地

        7人の作家による恋愛短編集

        やたらと記憶に残っているのは
        常滑の話と
        のこぎり山の話。

        食器は旅先の名器と呼ばれるものでそろえたい。
        そう思うようになったせいと

        気楽に千葉の山に登る登場人物たちがうらやましくなったのかもしれない。
        >> 続きを読む

        2014/06/29 by Aki

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      ユニコーン = La Licorne ジョルジュ・サンドの遺言
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
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      • やはり、最初にタピスリーに惹きこまれてしまった。
        1枚1枚の違いを、自然に探して想像してしまう時間があった。
        そして、物語を読む中で、さらにいろいろと想像が拡がってという感じ。
        ちょっと、不可思議な世界かなとも思った。
        また、怖いかなとも。
        日本ではなく、やはり、これはヨーロッパ、それも中世ヨーロッパが土台にあっての世界なんだろうと思った。
        ユニコーン、一角獣、想像の生き物であり、創造の生き物でもある。

        もし、いたら・・・どうなるんだろう?
        >> 続きを読む

        2014/07/13 by けんとまん

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      いと 運命の子犬
      カテゴリー:社会福祉
      4.0
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      • いと。
        不思議な名前だな・・と思った。
        介助犬になれなかったいと。
        しかし、それは一つの側面でしかないと思うし、この中でもそう述べられている。
        いろんな生き方・役割がある。
        一つが駄目だと、全てを駄目だと見なしてしまう最近の風潮への、柔らかくて強靭な反論にもなる。
        「いと」という名前が、読み進む間に、その名前が一番フィットしているんだなと思うようになった。
        「いと」を中心として、家族が繋がり、別の家族とも繋がっていく、まさに人と人を繋ぐ糸。
        こころのケアをできるは、人と犬の間だけでは・・・との一文が気になる。
        >> 続きを読む

        2015/02/08 by けんとまん

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【原田マハ】(ハラダマハ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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