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原田マハ

著者情報
著者名:原田マハ
はらだまは
ハラダマハ

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このランキングは1日1回更新されます。
      本日は、お日柄もよく
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Maripon
      • 言葉の力ってすごい!
        心を揺さぶる言葉達に、ついつい引き込まれていきました。

        主人公はいまいちパッとしないOLのこと葉。ある日幼馴染の厚志の披露宴でスピーチライターの女性、久美に出会います。それがきっかけとなり、こと葉は久美に師事しスピーチライターとしての道を歩んでいきます。
        最初はこと葉の友人の結婚式のスピーチを自身で話して成功。そこからなんと衆議院議員候補者のスピーチを手掛けていくことになります。

        とんとん拍子で話が進んでいくサクセスストーリーかと思いますが違いました。チャンスをチェンジに。作中でこの言葉が出てきますが、こと葉にはチャンスを無駄にしない強さがあります。その結果ぎこの大きなこと葉自身のチェンジだったのでしょう。

        読み終えた後はすがすがしく。
        日常に散りばめられているたくさんのチャンスを拾っていこう。私も明日から頑張ってみようと勇気をもらいました。
        >> 続きを読む

        2017/02/10 by えま子

      • コメント 1件
    • 他9人がレビュー登録、 24人が本棚登録しています
      楽園のカンヴァス = La toile du paradis
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね!
      • 謎の多い画家、アンリ・ルソー。コレクターであるバイラーは、ルソーの「夢を見た」の真贋を確認するため、ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンとソルボンヌ大学研究員早川織江を招いた。2人には七日間に分けて絵画に関する物語を読ませ真贋の講評をさせる。バイラーはその講評の結果で秀でた方に「夢を見た」の取り扱い責任を譲るという。最終結果に至るまでの物語の素晴らしさに感銘を受け、様々な人間の思惑が渦巻くストーリーに手に汗握った。そして真贋の講評を競った2人が17年後劇的な再開を果たす。 >> 続きを読む

        2017/07/18 by konil

    • 他6人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      生きるぼくら
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • コンビニのおにぎりを食べいたひきこもりの主人公が、
        おばあちゃんのやっていた田んぼで米作りを始めます。

        いじめ、ひきこもり、認知症、介護、就職難・・・
        そんな現代の苦悩が次々と出てきますが、それを乗り越えていくひとの力に勇気付けられる作品でした。
        蓼科での生活を通して、主人公が変わっていく様が面白かったです。

        始めは、おばあちゃんに助けられるストーリーかな〜と思っていたら、全くそうではなく。
        助け、助けられ、ひとは生きていくんだな、と気付かされました。

        おばあちゃんの握ったおにぎり、食べたくなりました。
        >> 続きを読む

        2017/06/19 by R-0

    • 他6人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      カフーを待ちわびて
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 2005年の第一回「日本ラブストーリー大賞」受賞作
        なのでラブストーリーなのかと今まで読まずに来たがっっj、原田マハさんは美術系でないエンタメ作品も好きだったので借りてきた。「シネマの神様」なんてもう面白すぎたし。

        沖縄の小さな島に住む青年、明青がもらってきて可愛がっているイヌの名前がカフーという。
        カフーは沖縄の言葉で果報というそうだ、いい題名だ。
        明青は家族をなくして一人で雑貨屋をついでいる、
        今では家族になったそのカフーが彩りを添えて、顔を出してはいい役割を果たす。海に行けば海中に投げた珊瑚を間違いなく拾ってくる、飽きもしない遊びをねだり、時にはうまい具合に刺されないようにハリセンボンを咥えてきたりする。隣に住むこれまた独り暮らしの巫女、オバアが喜んで汁物にしてくれる、という具合。

        島の行事で、能登のはずれ日本海にある孤島のリゾート地に旅行に行き、そこの小さな神社の絵馬に「嫁に来ないか」とかいた。
        暫くして「もらってください」という返事が来た。

        そして娘がやってきた。店を手伝いこまごまと家事をこなす、ただし料理は下手という所も愛嬌の綺麗な人だった。言葉通り嫁に来たものか、観光ついでに寄ったものか悩みながら様子を見ていた。

        島は、リゾート施設を建てて開発しようと言う計画が持ち上がっていた。島を出て行った同級生がリゾート会社からやってきて、家を開けわたすように勧める。

        彼女は本当に嫁になるつもりで来たのか。条件のいいリゾート開発にのるべきなのか。

        出て行った母親のその後の消息は。

        いそいそと働いてオバアにまで気にいられた彼女の過去は。

        明青の心の微妙な揺れや、帰るつもりのなさそうな人に寄せる思い、などがほんわかかした雰囲気の中で進んでいく。

        立ち退きに同意する村人や同級生もそれとなく優しい。とはいえ人生の一大事に向かって明青の決心はちょっと辛いが。

        最後まで沖縄言葉を混ぜながら紡いだ物語は、とても優しく気持ちのいいものだった。
        >> 続きを読む

        2016/05/31 by 空耳よ

      • コメント 2件
    • 他5人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      キネマの神様
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! Micchaaan
      • 初めての原田マハ作品として『本日は、お日柄もよく』を読んで読書ログに感想をアップしたときに、『キネマの神様』も面白いと教えていただいたので、読んでみました。一気読みでした。
        『本日は~』のときも思ったのですが、原田マハはプロットしっかり立てて書いてる感じがしますね。構成と話の運び方がうまいんだよなぁ。計算してるなぁ、と思います。いい意味で。どうなるってわかっちゃうんですけど、それでも読ませる王道的面白さというか、盛り上がり方というのをよくわかっている人だと思います。
        『楽園のカンヴァス』なんかは少し雰囲気が違うって聞いたこともあるので、そっちも読んでみたいですね。

        私は映画も好きで、しかも母親の影響で往年の名画を観て育ったので、出てくる映画にニヤニヤしました。観ていないのもありましたが、「ニュー・シネマ・パラダイス」は名作ですよねぇ!!!もうたまらなくって、今この文章はサントラ聞きながら書いています。メロディーだけで泣けてくる。私が映画を観て泣いたのは、「ニュー・シネマ・パラダイス」と「ウエスト・サイド・ストーリー」と「今を生きる」だけです。

        どちらかというと、この小説は、小説の筋がどうこうというよりも、作中に出てくる映画について、そしておのおのが好きな映画について誰かと話したい!という気分にさせてくれるものですね。私は今、映画の話がしたくてたまらない。「フィールド・オブ・ドリームス」も良かったよなぁ。

        スクリーンで観たい映画というのは、あります。テレビドラマの映画版はどうも気が載らなくて、別にDVDでもいいじゃんと思ってしまう。派手なアクションはスクリーンで映えるし、ハリウッドもお得意だけど、そうではなくて静かな迫力をもつ欧州映画も好きで、名画座って素晴らしいなぁと思います。たまに行くのですが、この本を読んでもうすぐにでも行きたくなって調べて、ちょうど観たいのが見つかったので今度行ってきます。あぁ楽しみ。映画のある時代に生まれてよかった。
        >> 続きを読む

        2016/07/31 by ワルツ

      • コメント 6件
    • 他4人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      旅屋おかえり = the long way home
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 唯一のレギュラー番組「ちょびっ旅」が自分のせいで終わることになった
        旅タレント「おかえり」こと丘えりか。
        社長一人タレント一人事務員一人の超弱小事務所、
        ひょんなことから難病の人の代わりに旅に。
        この出来事をきっかけに代わりに旅する旅屋をすることに。

        物語中では最初の旅と「ちょびぃ旅」復活に向けての旅の二つが書かれています。
        最初の旅は角館、田沢湖方面ということで僕には馴染みの所でw
        この本にはでてきませんが田沢湖から玉川に行く途中にある
        鎧畑ダムはいいですよ!道が悪いけどw

        この作品の登場人物、みんないい人なんですよ。
        それが悪いとかじゃないんですが、ちょっと出来過ぎっていうか
        なんというか。。。
        キネマの神様に続いて読むの2作目なんですが、なんか物足りないです。
        次は楽園のカンヴァスを読んでみようかなー
        >> 続きを読む

        2016/07/03 by 降りる人

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      本日は、お日柄もよく
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
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      • 二ノ宮こと葉は 製菓会社の総務部に務める27歳の普通のOL。
        そして今日は、幼い頃から双子のようにして育った幼なじみで、こと葉が密かに一方的に恋心を抱いていた今川厚志の結婚披露宴に家族とともに出席していた。決定的な失恋記念日ではあったが、こと葉は厚志に幸せになってほしいと願っていた。だが、厚志の仕事関係の方の退屈な長いお祝いの祝辞を聞いているうちに、眠気に襲われ目の前に出されていたスープ皿に頭から突っ込むという失態を演じてしまう。
        家族に呆れられながら抜け出して何とか、身支度を整えたこと葉だったが、祝辞の最後に呼ばれた女性のスピーチを聞いて感動してしまう。それがこれから、こと葉の人生を大きく変えていく人物、伝説のスピーチライター久遠久美との出会いだった。

        久しぶりに面白いと思う本に出会えました。
        スピーチライターという職業は初めて知りましたが、凄い職業だとも思いました。私が本を読むようになったきっかけは、周りの人に思うように自分の気持ちが言葉として伝えられないのは、きっと言葉の貯蔵率が少ないからなのだろうと思いたち、本を読むようになりました。
        人の心をとらえるスピーチは、本当に凄いと思います。

        こと葉の成長とともにラストは、これも久しぶりに納得のいくラストでした。
        >> 続きを読む

        2015/09/28 by ゆうゆう

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      でーれーガールズ
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • 面白かった‼
        ラストの展開は衝撃的だった。
        現在と過去の回送を織り交ぜながら物語がすすんでゆき最後は感動して心にぐっときた。 >> 続きを読む

        2015/06/27 by future

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      総理の夫 = First Gentleman
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 女性に一回任せてみてはどうですか?←とてもわかります!
        あまりに男の論理が柔軟性や発想力に欠け、観念的で利益追求型すぎて、
        日本の政治には理想が無いのか?と日々残念に思っている上に、
        米国の大統領選が間近ですが、ヒラリーが「女性だから」当選させたくないという
        アメリカの実は女性蔑視の伝統が垣間見えてしかたない今日この頃です。

        作者曰く「政治ファンタジー」
        凛子の女神化は作者の意図的なもの。リアリティの追及は全く心がけていません。とのこと。
        …ですね~。あえて避けていますね。
        マンガチックなテイストの小説を表すのにファンタジーって言葉をあまり軽々しく使ってほしくないのですけれど。

        総理の夫になってしまった相馬日和(ひより)の日記というスタイルで描かれています。

        凛子は最年少で開田川賞(芥川賞のことか)を受賞した父と国際政治学者を母に持ち、
        東京大学法学部卒、ハーバード大学で博士号を取り、シンクタンクの研究員を務めたのち、政治家に転身。

        弁舌さわやか、理想主義者で美人。
        まあ欠点ゼロな女性です。

        一方、総理の夫になってしまった日和君だって凄い。
        東京大学卒で博士号も取得、日本を代表する大財閥相馬一族の次男。

        絵に描いたエリート夫婦でございます。

        夢っちゃ夢ですが、こんなの本当にあなたの「理想」なんですか?
        だとしたらあまりにもスノッブであまりにもおとぎの国であまりにも想像力に欠けませんか?

        日本国民って下剋上が大嫌いな国民なんですよね。
        下から上がって来る人の足を引っ張りたい人たちが多い。
        ホリエモンなんかいい例ですよ。
        日本って家柄とかなんとか、本当の意味で「出世」ができない階級社会なんですよ。
        「どこの馬の骨」って考え方が抜けないのです。
        上流階級の人や一般大衆に文句を言わせないためには雲上界から聖人君子の「降臨」が待ち望まれる…。
        やれやれ、この点では日本の現実を描いているかもしれません。


        現実世界はうまくいかないから、夢を見てもいいじゃないか、とマハさんは言います。
        でも、夢を読んで憂さ晴らしして終わってしまっていいのか?
        理想はこうよね~。現実にはいないわよね~。でいいのか?
        政治活動に足を踏み入れたと思われたくないから、リアルには描きませんでした?
        それでいいのか?都合のいい逃げじゃないのか?

        なんとなく、面白い~♪で終われない気分になってしまった、ひねくれ者の私でした。


        民心党党首の原久郎(はらくろう)は小沢一郎氏がモデルとのことです。

        挿し絵:みづき水脈
        おお。そうかそうか。「ラブコメ」で一緒に米作りした彼女ね!!
        >> 続きを読む

        2016/05/27 by 月うさぎ

      • コメント 4件
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      普通じゃない。 Extraordinary.
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 数時間で読了。

        偶然の出会いから、大手都市開発会社で働くことになった主人公・しいな

        目の前に矢継ぎ早に出される課題を解決していく中で、
        老舗花火屋の祖父のことを誇りに思うようになったり、
        チームで協力することや目標に向かって努力することを学んでいく。

        憧れる社長の夢を叶えることが自分の夢、それが仕事だなんて最高じゃないか。
        自分ひとりではできないことも、先輩や友人に恵まれてなんとか達成し、しいなもほかのチームメンバーにはないセンスで貢献する。

        そういうことって新人がいきなり得られるものじゃないと思うから、現実味はなかった。

        それでも「人が変わらないと環境は変わらない」というメッセージには共感したし、後半は何度かジーンとする場面もあった。

        mixi公式企画ということで、独特の携帯小説っぽい文体がちょっと苦手。
        >> 続きを読む

        2014/10/05 by lilli

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      ジヴェルニーの食卓 = Une table de Giverny
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 印象派の巨匠たち。
        当たり前なのだが、巨匠たちも一人に人間なのだということが、まさにこの装丁のような色合いで伝わってくる。
        それにしても、マハさんの表現は素晴らしい。
        登場人物一人一人が、とても身近に感じられるのがいい。
        身近といっても、住む世界も何もかもが違うのだが、そんな違いの中であっても、人間くささということや、弱さなどが描かれているからだと思う。
        これを読んで、改めて、それぞれの絵を見てみたくなった(とはいえ、絵を見る目がないので、どこまで感じられるかなあ~)。
        >> 続きを読む

        2014/08/07 by けんとまん

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    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      キネマの神様
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 読書ログのレビューでよく見かける原田マハさん。
        レビューを見るたびに気になってて今回初読み。

        やばいわー泣いた;;
        歩がチラシ裏に書いたのもいいし
        ゴウちゃんがテアトル銀幕の窮状をローズ・バットに訴えるブログとか
        もうね、心に響いてくるよ!
        ゴウちゃん、楽しい人だけど身内にこういう人いると大変だw
        脇を固める人物もみな魅力的。
        テラシンと清音がとくに好き〜
        歩の文章ってあのチラシ裏のしか本にでてこないよね?
        他のも読んでみたかった。
        キネマの神様感謝祭で上映されるのはあの映画ですよね!
        僕も好きな映画ですよ!
        >> 続きを読む

        2016/06/20 by 降りる人

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      おいしい水
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【携帯電話もメールもないあの頃、会いたければ、待つほかなかった。知りたければ、傷つくほかなかった。私は何ひとつ、あなたのことを知らなかった-。80年代の神戸を舞台に、若い恋の決定的瞬間をたどったラブストーリー。】

        図書館に本を返しに行って、読みかけの本があるから借りないでおこう、と思ってたのについつい借りてしまうんだなあ・・・

        原田マハさんの本は好きです。でも、ベタな恋愛ものは苦手。
        これはベタの中に入る?そうでもないか・・・どっちかいうと、はつ恋に近い?

        挿絵?の写真がとてもおしゃれで綺麗な本です。

        お話は短くて、あっという間に読み終わります。

        で、ちょっとだけ若気の至りを思い出したりして・・・

        恋とは、、、勘違いである。 ワタクシの場合^^;


        小学3年生のはつ恋は、自分でいうのも何ですが、かわいかったなあ
        Mくん、いいおじさん(もとい、紳士^^;)になってます。
        ワタシは賢いいたずらっ子が好きだった。てへ

        今は・・・・・・・・慈悲ですよ、慈悲^^
        >> 続きを読む

        2014/08/13 by バカボン

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      風のマジム
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • マジム???と思いましたが、沖縄の言葉で”真心”だということがわかって、ますます物語りに入り込みました。
        いいですね~元気が出ますね。
        沖縄の風、おばあの風、いろんな風を感じました。
        ラム酒、風の酒・・・飲みたくなりますね(^^)
        >> 続きを読む

        2015/06/24 by けんとまん

    • 1人が本棚登録しています
      夏を喪くす
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
      いいね!
      • 現代を読み解く女性文学 原田マハ『夏を喪くす』試論 感想とレビュー それぞれの喪失に対してどう向き合っていくか

        -初めに-
         2012年1月に発売された山本周五郎賞受賞作品『楽園のカンヴァス』で一躍時の人となった原田マハは、2012年という年に、今までの彼女の執筆ペースからは考えられないほどの作品を発表しています。4月には『旅屋おかえりthe long way home』、7月には『花々』と『ラブコメ』、9月には『生きるぼくら』、10月には『夏を喪くす』、11月には『独立記念日』、年が変わって2013、一月には『さいはての彼女』と、怒涛のスピードで発表しています。一躍有名となったので、出版社がこぞって彼女の本を売りたがっているのかもしれませんが、ここまで出されてしまうと、追い切れません。私も原田マハの作品はほんの数冊しか読んでいません。ですが、今回論じる『夏を喪くす』は、『楽園のカンヴァス』や前回論じた『カフーを待ちわびて』を考えるうえで重要な視点をもたらしてくれると思います。

        -『天国の蠅』-
         『夏を喪くす』は、短編四編による作品です。『天国の蠅』『ごめん』『夏を喪くす』『最後の晩餐』の四編になります。
         『天国の蠅』は原田文学の一つの着眼点でもある親子の縦軸の関係を考えるうえで大きな意味を持ってくると思います。『楽園のカンヴァス』では、早川織絵という女性と、その織絵の私生児であるハーフの娘との関係が描かれています。作品のほとんどはティムの視点に移るため織絵と娘の関係はあまり描かれませんが、作品のメーンは美術を巡る謎解きだとしても、作品の外部には親子の絆という縦軸の関係が作品を構成していることがわかります。織絵は自分の母と、私生児である娘という三人で暮らしていましたが、この複雑な関係が作品を読み解く視点にもなります。この『天国の蠅』は、三人称主人公視点の作品です。主人公は範子と呼ばれるごくごく普通の母親です。自分の娘の明日香が雑誌をリビングにおいていった場面から物語がはじまります。その雑誌には明日香が投稿した詩が掲載されていました。普段はなかなか親子の会話がないものの、娘の意外な側面を見ることが出来た喜びを感じたという作品です。しかし、その雑誌の他の詩を見たときに、範子は回想を始めます。そこにはかつて自分が知っていた詩が載っていたからです。
         範子は現在母となっていますが、範子がまだ娘だった頃、父親は借金にまみれ、病弱な母親と暮らしていた貧しい過去を思い出します。自滅型の父親は、娘にいいことをしてやりたいと思いながらも、どんどん娘の信頼を失っていくことになります。太宰治型の父親といった感じです。娘のバイト代を掠めようとしたりします。しかし、最後の最後になって、父親は父親としての役割をはたして、娘の元を去ります。その後に度々会うことはないのですが、破滅していく父が最後に娘に残した思いが、時を経て再び母となった範子のもとへ訪れるという時間軸を巧みに操ることが得意な原田マハの作品構造がよく表れた作品です。

        -『ごめん』-
         『ごめん』は、通常の読者であっても腹立たしさを感じる人格の持ち主が主人公です。陽菜子が病院に居る場面から物語は始まりますが、何故病院にいるのかというと、陽菜子の夫である純一が建設会社で事故にあって植物状態になってしまったからです。一命は取り留めたもののほとんど回復の見込みのない状態でこれからどうしていくのかという問題に直面します。純一が事故にあった際、陽菜子は、自分の不倫相手である正哉とプーケット島のコテージにいました。正哉は陽菜子より10歳年下で同じ職場で働いています。同じ時期に同じ場所にいくことがバレるとまずいため、二人とも別々の場所に行くと言って旅行に出ました。そのため、純一が事故にあった際に、連絡が付かなくて結局最後にはばれてしまったという状態にあります。
         病院では純一の母親にこっぴどく叱られ、酷い女だとなじられます。純一は真面目一筋が取り柄のような男で、遊びほうけている陽菜子に対して何も文句を言ったこともなかったような人物でした。ところが、その純一の口座から毎月定額振り込まれている謎のお金があります。この謎を解いていくというのが、この作品のメーンになります。この点は原田マハのミステリの要素を含んだ構成になっています。結局出てきた答えは、純一が一度だけ出張した先で一目ぼれした女性がいて、その女性が現在でも直向きに働いていたということがわかります。ここで考えたいのは、原田文学の特徴は、女性文学であると同時に、働く女性が生き生きと描かれるという側面です。陽菜子は一般的に考えても、悪い人間ですが、彼女もばりばりのキャリアウーマンです。むしろそのあふれ出るバイタリティーが純一だけでは満足できず、後輩に手を出すというスリルを求めたのかもしれません。パートナーがいたとしても、一人で働いているような女性、その女性が、社会から悪だなんだと非難されてももがきながら生き続ける。こうした側面に意味を見出す必要があると私は思います。
         結局この作品では、自分に落ち度はないと感じていた陽菜子も、完璧な善人であった夫純一にも自分に隠していたことがあったということを知って、自分の今までの行為を見直し、反省し、今までむちゃくちゃを好き放題やらせてもらったお返しに、植物状態になった夫を介護して行こうと決心する若いの物語としても読めます。

        『夏を喪くす』
         作品全体のタイトルともなっている『夏を喪くす』は、それぞれ女性の在り方を見つめて来た作品のなかでも極めて働く女性という部分に着眼した作品だと言えます。主人公の咲子は、かつて勤めていた仕事場をやめ、先に他の職場に移っていた部下の青柳とともに起業します。地方の公共建設のコンペに出たり、リゾート開発に似た仕事をしたりと、仕事のために生きているような充実した生活の真っただ中にいます。特にパートナーはいませんが、妻と子供がいる渡良瀬一と不倫関係にあります。仕事に満足し、結婚したいとは思っているものの、それほど強烈な願望はないため、一応仕事と男とに充実した成功したキャリアウーマンとして描かれます。
         自分の年齢の割にはプロポーションもよいと自認している咲子は、新しい建築計画の下見で来た海岸で、部下である青柳と他二人とバケーションを愉しみます。その間に咲子は自分の不倫相手である渡良との逢瀬や、そのことで発覚した胸の異変、乳がんのことの回想が入り乱れます。摘出しなければならないほどに進行していた乳がん。もしそのことを告げたらどうなるのか、自分と渡良の関係は今後どうなるのかが常に念頭にあるため、晴れない様子の咲子に、青柳は声をかけます。
         この短編は特に内容が濃密なだけに、長編の容量がないとどうしても唐突すぎて不自然さが出てきてしまうのですが、この青柳という男も、近々失明するのだということがカミングアウトされます。何故この青柳が突然視力を失わなければならないのかが多少理解に苦しみますが、この作品はそれまで獲得しつづける人生にあった人々が何かをなくす=喪くすということに着眼すべきでしょう。前回論じた『カフーを待ちわびて』との類似点は先ず、前回の作品がリゾート開発をされる側の人間の視点であったのに対して、今回はリゾート開発をする側からの視点で描かれていることです。こうしたことからも、作家としての原田マハは、美術に造形が深いだけでなく、建築方面にもかなりの知識があるということが察せられます。また、『カフー』がすべてを失った人間が獲得しはじめるという方向に向かったのに対して、この作品はすべてを手に入れた人間がそれぞれの大切なものを失うということを描いている点です。このようなことからも、この作品が『カフーを待ちわびて』と対になる作品であると言うことができるでしょう。
         自分のプロポーションにも自信があった彼女にとって、乳房の摘出という衝撃は計り知れません。この点男性である私には本質的に理解することができるわけはないのですが、当然夏場にビーチに水着で出ることもできなくなるのでしょう。愛人である渡良との関係もどうなるかわかりません。渡良には家族がいますし、咲子と逢瀬を重ねる理由は肉体的なことが大きな目的であることは誰が見ても明らかです。もしかしたら渡良との関係は終わるかもしれない。それにもう一人の女としては男性に接することができなくなるかもしれない。そうした中でこれから自分はどうしていくのか。仕事を続けるのか、家庭を築くのか、そうした人生の転換期を迎えた中年の女性の心理が水水しく描かれています。

        -『最後の晩餐』-
         原田マハ自身キュレーターとしての経歴を持つ経験を生かした作品が話題になった『楽園のカンヴァス』でした。美術業界の裏側に精通していなければとても書けない、日本では原田マハ以外にはかけない我々がまだ触れたことのない新鮮な世界を紹介してくれた作品です。この『最後の晩餐』は『楽園のカンヴァス』に登場する織絵のような女性キュレーターである麻里子が、アメリカニューヨークへ訪れた際の数日間の記録といったところです。織絵のその後と考えることもできるような作品ですので、まるで私たちも美術界の一員となった感じで美術界の裏側に入っていけるような感覚に襲われます。
         この作品は、ニューヨーク近代美術館、MOMAで働いたことのある作家原田マハが9・11に対してどのような思いを抱いているのかを少しうかがわせる内容にもなっています。9・11の後帰らなくなったルームメイトのクロ。あの事件から何年も経った今、まだクロとの思い出のアパートの一部屋の家賃を払い続けている人間がいます。事件ぶりのニューヨークで昔の知り合いに一人ずつあって、過去の話に花を咲かせ、現在の状況を話し合い、そうしてあのアパートの家賃を払っているのはあなたではないかということを繰り返す麻里子。多くの旧友と話しているうちに、クロとの記憶が回想してきます。
         クロは女性ですが、どこか麻里子とは同性愛的な関係があったかもしれないという可能性も捨てきれないと私は思います。肉体関係はなかったかもしれませんが、非常に濃密な関係であったことがうかがえます。美術界の人間ですから、登場してくる人物はそれぞれ個性的な人間が多く、オカマっぽい人物もいれば、きれきれでハンサムでも腹黒い人物もいたりします。この小説は、クロが死んだことを誰もが認められないという心の傷をどうやって癒すのか、クロが消えてしまったことによって空いた空洞をどうやってうめるのかという問題が描かれているのだと思います。
         クロは9・11後から行方がわかっていませんが、遺体も見つかっていません。普通に考えれば亡くなったと考えるのが最も妥当ですが、当事者であるほどクロは死んでいない、生きているかもしれないというように思いたがるものです。そうしてそれを信じるかのように、払い続けられるアパートの家賃。その家賃を払い続けているのが誰なのかを探すという、原田文学特有のミステリ要素もあります。

        -終わりに-
         この短編四編は、それぞれ失うということがテーマになっています。失うことを、ここでは「喪」ということばを当てて喪くすと表現されています。『天国の蠅』では父親との関係や、少女として踏みにじられた心などの失われたものを「今」になって送られてきた詩によって向き合うということになります。『ごめん』は、普段気が付かなかった夫の気持ちや大切さというものを失って初めて気が付くということがテーマになっています。
         『夏を喪くす』は女性として女であることを失うことにどう立ち向かっていくのかという女性の最大の悩みを描いた作品です。『最後の晩餐』は、失われてしまったものとどう向き合うか、亡くなった人間を生きている人間はどう考えて行けばよいのか、現在の3・11震災にも通じる普遍的な内容が描かれています。
         何かをなくしたり得たりするということは相対的で、常に起こり続得ることです。人類の初めから終わりまである課題です。それにどう立ち向かうのか、それを考える一つの指標になると私は思います。
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        2013/03/19 by yugen

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      恋の聖地 そこは、最後の恋に出会う場所。
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 恋の聖地

        7人の作家による恋愛短編集

        やたらと記憶に残っているのは
        常滑の話と
        のこぎり山の話。

        食器は旅先の名器と呼ばれるものでそろえたい。
        そう思うようになったせいと

        気楽に千葉の山に登る登場人物たちがうらやましくなったのかもしれない。
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        2014/06/29 by Aki

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      ユニコーン = La Licorne ジョルジュ・サンドの遺言
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
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      • やはり、最初にタピスリーに惹きこまれてしまった。
        1枚1枚の違いを、自然に探して想像してしまう時間があった。
        そして、物語を読む中で、さらにいろいろと想像が拡がってという感じ。
        ちょっと、不可思議な世界かなとも思った。
        また、怖いかなとも。
        日本ではなく、やはり、これはヨーロッパ、それも中世ヨーロッパが土台にあっての世界なんだろうと思った。
        ユニコーン、一角獣、想像の生き物であり、創造の生き物でもある。

        もし、いたら・・・どうなるんだろう?
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        2014/07/13 by けんとまん

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      いと 運命の子犬
      カテゴリー:社会福祉
      4.0
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      • いと。
        不思議な名前だな・・と思った。
        介助犬になれなかったいと。
        しかし、それは一つの側面でしかないと思うし、この中でもそう述べられている。
        いろんな生き方・役割がある。
        一つが駄目だと、全てを駄目だと見なしてしまう最近の風潮への、柔らかくて強靭な反論にもなる。
        「いと」という名前が、読み進む間に、その名前が一番フィットしているんだなと思うようになった。
        「いと」を中心として、家族が繋がり、別の家族とも繋がっていく、まさに人と人を繋ぐ糸。
        こころのケアをできるは、人と犬の間だけでは・・・との一文が気になる。
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        2015/02/08 by けんとまん

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      永遠 (とわ) をさがしに
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • あたたかな空気はさすが。
        ほっとする。
        でも、あまりにもきれいすぎかな・・・現実感がつかめないのがちょっとつらい。
        まあ、一般庶民にはいたしかたないかな。
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        2014/10/09 by けんとまん

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      まぐだら屋のマリア
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • マハさんの作品は、まっすぐ、素直、やさしさ、澄んだ心・・・みたいな美しさがあるんだなあ。

        それと、「まぐだら屋」 とか 「カフーを…」 とか 「旅屋おかえり」 とか、何?って思うような本の題名、
        それでちゃんと意味がある。 

        文章もきれいで読みやすい。

        そして、「マリア」に「ヨハネ」 さらに「シモン」「キリエ」 ・・・キリスト教関連でまとめたね。(ちょっと強引?)
        言葉遊びのようなこの辺りは兄ハラダ君の影響?

        いかにも小説ですっていう、できすぎてる感はあるけど、
        それを素直に受け入れて気持ちよく読めるのは、マハさんの作品ならではかな。



        「あたたかな、素朴な食事は、そのまま命を輝かせるものなんだ。そんなふうに、素直に感じた。」

        「この世界は、なんと多くの負の感情に満ちていることだろう。寂しさと、苦しみと、悲しみと、憎しみと。絡み合う負の感情の連鎖に縛り付けられている。その犠牲になった悠太。・・・
        誰かをいとおしいと思う、その思いから、なぜ生きる力を得られなかったのだろうか。心を寄せる誰かがいるなら、その人のために生きていこうと思えなかったのだろうか」

        「誰かの役に立っている。それは、紫紋が密かに胸の中に宿し続けている希望の灯火だった。こんな自分でも、この場所で誰かの役に立っているかもしれない。だとしたら、嬉しい」

        紫紋の成長、生き直しの物語。

        それにしても、
        「マリアはどんな思いで与羽と別れ、尽果へやってきたのだろう。決して女将に受け入れられないとわかっていて、死ぬまで償い続けると誓ったこの地は、マリアにとってはさながら流刑地だったのではないか。」 
        想像を絶する過去・・・  マリアの思いは・・・ 
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        2013/01/22 by バカボン

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【原田マハ】(ハラダマハ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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