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山田英春

著者情報
著者名:山田英春
やまだひではる
ヤマダヒデハル

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      不思議で美しい石の図鑑
      カテゴリー:鉱物学
      5.0
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      • 『不思議で美しい石の図鑑』というタイトルだが、石を網羅的に分類して整理した本ではない。
        登場する石の大半は、瑪瑙やジャスパーと呼ばれるもので、鉱物学的には「不純物を含んだ多く含んだ石英」で一括りにされ、宝石にも分類されないものである。
        その意味で、石について鉱物学的にまとめた、総覧的・学術的な図鑑ではない。ある種の「不思議で美しい石」を集めた、1つの魅惑的な世界への水先案内人となる本である。

        瑪瑙は、宝石の下のグレードである貴石より低い、「半貴石」というランクに属する。石英中の酸化鉄などの微量成分が熱の作用などでさまざまな色や模様を生み出す。多様な色彩が層上に織りなす形と色のハーモニーは息を呑むほど美しく、見つめるほどに吸い込まれるような奥深い世界が広がっている。
        一見、何の変哲もないような石の内側に、秘められた美が眠っていることもある。

        産地ごとに、特徴的な模様があることもあり、そうしたものは地名を冠した名称が付けられる。
        古代には、その不思議な美しさから、護符として使われていたこともあるという。

        本書の中で、最も目を惹く1つは、まるで森や山河などの風景を写し取ったような風景石(パエジナ・ストーン)だろう。
        17世紀には、こうした石が数多く蒐集され、珍奇なもので飾り立てた「好奇心のキャビネット」(「驚異の部屋」(ヴンダーカンマー)の家具バージョン)にも使われたりもしたという。
        風景石にはまた別の展開もあって、フラクタル理論から、実際の樹木と風景石の樹状構造の共通点が論じらてもいるそうだ。これは、『かたち』(フィリップ・ボール/早川書房)の主題にもつながっていく話なのかもしれない。眩暈がするようだが、本当に理論的に証明されていくのであれば非常に興味深い。

        著者の本業は書籍の装幀であるそうだが、瑪瑙の世界的コレクターとしても名を馳せているという。子どもの頃はまったく石に興味などなかったが、長じて、瑪瑙や風景石の画像に強く惹かれたのだという。美術的な観点から石の世界に引き込まれたのであり、鉱物学は最近学び始めたのだそうだ。
        しかし本書中の解説は十分におもしろく(おそらくは鉱物学の専門家が書いたのではないために余計親しみやすくもあり)、石の画像と併せて不思議な世界へと誘ってくれる。
        収録された写真の石は、ほとんどが著者のコレクションであるというのもすごい。

        石の写真には番号が振られており、巻末に産地等のまとめがある。語句の索引もあり、「図鑑」としても工夫が感じられる好著である。


        *あとがきの最後の一文が洒落ている。

        *小型犬、チワワの産出地として知られるメキシコ・チワワ州は縞瑪瑙の一大産地でもあるのだそうだ。
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        2016/05/13 by ぽんきち

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