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本田尚子

著者情報
著者名:本田尚子
ほんだたかこ
ホンダタカコ

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      里山のきのこ = MUSHROOMS
      カテゴリー:藻類、菌類
      4.0
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      • 繊細で美しいスケッチ集である。画材は透明水彩絵の具。
        著者が間近で見つめ描いた絵を見ていると、まるで自分が著者の視点に立っているようにも思え、またきのこ自身になったようにも思える。
        密やかな息遣いが感じられる静かな絵である。

        色。形。大きさ。かおり。ひび割れ。
        さまざまな特徴を、著者は丁寧にすくい取り、描き出している。
        山歩きの際はスケッチブックを持ち歩く。きのこを見つけたら、目線をきのこに据え、現場でざっくりとスケッチする。写真は撮るが、参考程度。きのこを掘り起こし、持ち帰って色づけをする、というのが、著者の基本的なスタイルである。

        絵の間に挟まれたミニコラムもコンパクトでわかりやすい。

        きのこは菌類である。
        植物のように光合成をして栄養を作り出すことはできないし、動物のように動き回って捕食をすることもない。ではどうするかといえば、菌糸をめぐらせ、酵素の作用で有機物を分解して菌糸表面から吸収する。きのこは森の掃除屋さんである。
        (繁殖の際は胞子を飛ばす。いわゆる「きのこらしい」外見を形作る「傘」は、胞子を飛ばすための装置である。)

        地上に生えるきのこの多くは、「菌根菌」であり、植物の根との間に栄養のやり取りをする「菌根」を形成する。植物からは光合成による栄養分が、きのこからはリンや水分が提供され、相利共生が構築されているようだ。
        近年、マツタケが減ってきているのは、里山のバランスが崩れたことが大きいようだ。この辺り、興味深い話題である。

        きのこの形は種によってさまざまであり、また同じ種でも幼体と成体では形が相当変わることもある。種を判別するには、きのこをよく知る人に習い、とにかく時間を掛けて観察するしかない。
        毒きのこを避けるには、「これは食べられるきのこである」とわかっているきのこしか食べないことに尽きるという。きのこに関する俗信(「色が鮮やかなら毒」、「柄が縦に裂ければ食べられる」といったもの)はすべてウソと思った方がよい。

        声高に主張するわけではないが、「気がつけばそこにある」きのこ。見えない地中に細く広く菌糸をめぐらせ、静かに静かに息づいている。
        そんなきのこを見つけたくなる1冊である。
        >> 続きを読む

        2016/05/10 by ぽんきち

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