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本間龍

著者情報
著者名:本間龍
ほんまりゅう
ホンマリュウ

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      名もなき受刑者たちへ 「黒羽刑務所第16工場」体験記
      カテゴリー:刑法、刑事法
      4.0
      いいね! hit4papa
      • TBS系列の深夜番組『マツコの知らない世界』をご存知だろうか。

        超ニッチな領域のスペシャリストが登場し、マツコデラックスと対談を繰り広げるトークバラエティ番組だ。僕の知らない世界でもあるので、起きているときは興味深々で同番組を見ている。本書『名もなき受刑者たち』の著者 本間龍さんも過去出演されていて、元受刑者として、刑務所ライフのあれこれを面白可笑しくお話されていた。

        本書は、黒羽刑務所(関東圏最大の初犯刑務所)に収監された著者が、約1年の服役期間中に体験したことをまとめたものである。

        著者が懲役労働に従事していたのは刑務所内の「第16工場」。他の受刑者と一緒に懲役労働をすることが困難な人々(認知症高齢者、知的障がい者、同性愛者など)を集めた特殊な場所だ。著者は、ここでお世話係りを務めていた。

        本書には、「第16工場」での受刑者たちの日々の暮らしが活写されている。手当たり次第に何でも口に入れてしまう人、蠅の死骸を壁一面に塗りたくる人、ゴミだらけの独居房でこっそり祭壇をつくってしまう人。奇矯な受刑者たちに困惑されつつも、お世話係として彼らに関わっていく著者。厳格でありながらふと人情味をみせる刑務官のオヤジや、ハンディキャップのある受刑者を甲斐甲斐しくお世話するオカマさんたちが、可笑しみをもって描かれていく。受刑者たちが、どういうルールのもとで、どういう生活しているのかが、本書を読む進めるうちにわかるようになっている。

        本書に登場する受刑者たちは、社会的にハンディキャップを背負った人々である。どうも、『マツコの知らない世界』を見たときのように笑えない(あれはマツコが面白かっただけなのかもしれない)。自分の名前すらわからない人や、何故収監されているか理解できていない人がいる。どうしても可笑しみの中に、哀しみがつきまってしまうのだ。

        著者は、終章で医療と再犯問題について説明をつづけていく。刑務所ライフについては雑学程度の面白みだったのだが、この章はとてもメッセージ性が強くなってくる。認知症など治療の見込みがないものは放置されているという医療の現状や、刑務所に戻るしかない脆弱な社会の受け入れ体制の問題を取り上げて、著者は、ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の理念の重要性を訴えているのだ。就業支援が進むイギリスと比べると、日本はやはり立ち遅れているということになるのだろう。

        「年間3万人もの出所者をも”棄民”として扱い続けるなら。さらなる社会的・経済的損失を増大させることは明らかではないだろうか。」

        日本の大企業のイギリス現地法人が就業支援のための支援金を拠出しているという。確かに、同じことが国内ではなされていないのは不思議極まりないではないか。

        これまでの章と、終章では趣きが異なっているのだが、著者の言いたかったのはここに集約されているのかもしれないなぁ。

        そういえば、プロインタビュアー吉田豪さんも『マツコの知らない世界』で初めて知ったのだった。
        >> 続きを読む

        2013/02/07 by hit4papa

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