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国分拓

著者情報
著者名:国分拓
こくぶんひろむ
コクブンヒロム

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      ヤノマミ
      5.0
      いいね! sniffeyes
      • ブラジルとベネズエラ国境周辺の「緑の悪魔」アマゾンの密林に居住する先住民ヤノマミの人びとと約150日間、生活をともにして調査にあたったノンフィクションです。中盤まではヤノマミの特徴的な生活を描き、終盤は文明に触れた彼らがどう変わりつつあるかを伝えてくれます。

        ヤノマミたちの生活のなかでもっとも目を見張らされた風習はやはり、「精霊として生まれてきた子供は、母親に抱きあげられることによって初めて人間となる」ところで、善悪ではない彼らの生き方が凝縮されているように見受けられます。

        そして筆者が取材して生活をともにした「ワトリキ」の村については、彼らの長であり村の創始者であるシャボリ・バタの存在の大きさが印象的です。シャボリ・バタという一個人があったからこそ文明からも適度な距離を取ることができ、「ワトリキ」という共同体が繁栄したことは間違いなさそうです。彼の半生は筆者が取材中に読む『百年の孤独』の物語をも想起させます。シャボリ・バタなしでは彼らと同居するこのような取材自体がありえなかったのではないでしょうか。

        ヤノマミを含めた先住民が文明と出会うことで引き起こされる変貌を通して、豊かさや安全や便利さと引きかえに私たち失くしたものが何だったのかを垣間見せてくれます。ここには漫画家・水木しげるが戦地ニューギニアで出会い、親しみを込めて「土人」と呼んだ人びとの暮らしとも重なるところがあります。水木氏は彼らの生活こそ本来の人間の生き方であると述べていました。

        著者自身が語る通り、仮にこれ以降に彼らを再訪しても従来のヤマノミたちの生活が残っているかの保障はなく、この取材は結果として、ヤノマミが文明に取り込まれてしまう直前のわずかな期間に、いろいろな偶然が重なって残すことができた比類ない貴重な記録となるのかもしれません。

        本書を読むことで、謙虚に取材にあたった著者の国分氏を通してヤノマミたちの「アハフーアハフー」という朗らかな笑い声が、あたかも自分で聴いたもののように響きます。
        >> 続きを読む

        2020/07/27 by ikawaArise

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      ヤノマミ
      5.0
      いいね!
      • 先日本の整理していて思い出した一冊。
        ずいぶん前に読んだ本だけれど、こちらの本棚に入れておく事に。

        NHKスベシャルで放送されドキュメンタリー番組
        「ヤノマミ 奥アマゾン原初の森に生きる」
        ヤノマミとはアマゾンに暮らす先住民族のこと。
        この本は番組をまとめたルポルタージュ。
        こういう人たちが現代にまだ残っていた事に驚いた。

        ブラジルの森深く広がる先住民保護区でヤノマミは生活している。
        (取材当時)集落は200以上あり、2万人ほどいるらしい。
        その中でも、1万年以上ほぼ変わらぬ暮らしを続けるワトキリという集落の人々。
        いつも笑って、なんでも共有し、好きな時に寝て、おなかが減れば狩りに行く。
        ただ原初の暮らしは理想郷とはほど遠い。
        漆黒の闇、奔放な性、生と死・・・。
        常に人間の持つ暴力性と無垢が同居している。
        TV局としては世界初、150日間の長期共同生活をして取材したもので、
        筆者はあとがきに『取材を終えて帰って来た時に心身が壊れてしまった』
        と書いているように現代人にはかなり強烈な暮らし方なのだろう。

        本の中で、保護区の管理を行う組織の総裁の言葉に
        『原初の世界に生きる先住民にとって最も不幸なことは
        私たちと接触してしまうことなのかもしれない』とある。
        否応なく、先住民族の中に入って来る、病気や、思想や、物・モノ・もの。
        “文明”の侵入は止められないのだ。
        ワトリキに住むヤノマミも近い将来
        今とはまったく違うヤノマミになってしまうだろう。
        もう無くなってしまっているかも。
        番組ラストは「ヤノマミ、それは人間という意味だ」というテロップで終わる。
        今は文庫本も出ているらしい。
        人間とは…と考えさせられる、かなりおすすめな一冊です。
        >> 続きを読む

        2015/04/26 by achiko

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