こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

自殺が減ったまち―秋田県の挑戦

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 本橋 豊
定価: 2,052 円
いいね!

    「自殺が減ったまち―秋田県の挑戦」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

       秋田県は自殺の多い県である。実際、秋田県だけでなく東北は基本的に自殺が多い。また、新幹線などが通っていない、開発から取り残された地方も自殺が多いという。

       ただでさえ人口が減って町が寂れ、おまけに地域のコミュニティが縮小していく中で、孤立感を深めている人が自殺をする、というのは考えられなくもない。

       もちろん自殺には複雑な要因が絡み合っており、一概にこれが原因だとは言えない。うつ病の患者が自殺する確率が高いからといって、うつだけが自殺の原因ではないのだ。ただ、うつ病が減れば、自殺は減るだろう。

       従来、日本では自殺は「個人の問題」としてタブー視する傾向が強かったので、行政や地域での自殺防止の取り組みは遅れていた。しかし、数年前まで自殺者が年間三万人を超えており、交通事故者よりもはるかに多くの人たちが自殺している状況を鑑みれば、人々も他人事とは思えなくなるだろう。実際、秋田県では身近な人が自殺をした、という話が多いという。

       自殺を減らすために、まずは地域のコミュニティを再生し、行政の協力のもと、経済的にも精神的にも支えあう体制が整えば、自殺も減るのではないだろうか。

       少なくとも三島由紀夫のような特殊な事例を除けば、防げる自殺も多くあるはずである。

       自殺は自衛隊でも問題になっていた。筆者が現役の自衛官だったころ、自殺した同僚を見送ったことがある。違う部隊の所属で、ほとんど顔も知らない隊員だったけれども、悲痛な表情をした両親、特に彼の母親の顔は今でも忘れられない。小雨の降る、肌寒い日であった。

       そんな自衛隊も、今では防衛医科大学の高橋祥友市のグループが、自衛官のメンタルヘルス対策の一環として、ポストべんしょん活動が実施されているという(頁122)。具体的には、まず自殺が起きたときに、現場からの要請にもとづき、精神科医や心理職の2~3名のチームがポストベンションを担当する。心に大きなショックを受けた同僚のケアをしていくことが目的だという。集団のケアではデブリーフィングと呼ばれる手法が用いられ、これは自殺が起きた直後に、自殺者の周囲の隊員を対象に、2~3時間かけて自殺のことを振り返り感情の発散などを行う、事後対応の手法のひとつだという。そこでは参加者が自分の内面を表現することで、それぞれの人が受けた心の痛みから立ち直る機会を設けるものであるという。

       もし、周囲のイジメが原因で自殺した場合は、いじめたやつを助けるような気がして嫌になる。

       もちろん筆者が自衛官だったころはこんなケアはなかった。ただ、マスコミ用の紙が配られ、上官からは「何を聞かれても無暗に話すな」と厳命されただけだった。
      「自殺するやつは弱いやつだ」という認識が当時は根強かったのだ。今はどうか知らない。

       話は逸れたけれど、一般社会でもうつ病や自殺者を「弱い奴」と切り捨てる風潮はないだろうか。特に田舎ではそんな空気がまだ残っているような気がする。筆者の気のせいであればいいのだが。

       他のレビューでも言っている通り、人は弱い存在であり、誰もが支えあって社会ができているのだ。自分が恵まれているからといって、社会の支えをしなくなれば、そこから社会が崩壊してしまうかもしれない、ということを肝に銘じておいてほしい。
       
      >> 続きを読む

      2015/02/06 by

      自殺が減ったまち―秋田県の挑戦」のレビュー

    •  他者の苦しみを無関係のことと思わない。社会の中で苦しみが生まれているならば、それは個人ではなく社会全体の構造的な問題と考えないといけませんよね。安易な「自己責任論」ほど怖いものはないと思います。 >> 続きを読む

      2015/02/06 by ゆうぁ

    •  自殺を止める必要があるのかなあ。
      自ら死を選ぶってのもあっていいと思う。
       自殺をイケないとする根拠はなんでしょう。
      大多数が自殺を選ばないからというだけじゃないでしょうか。
       自殺を特別視するのをやめる方が多角的な生き方を
      お互いに認めるという基本的な考え方に沿っていると
      思います。
      >> 続きを読む

      2015/08/04 by 俵屋金兵衛


    最近この本を本棚に追加した会員

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    自殺が減ったまち―秋田県の挑戦 | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    最近チェックした本