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聖ユルゲンにて・後見人カルステン 他一篇 (岩波文庫)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: シュトルム
定価: 842 円
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    「聖ユルゲンにて・後見人カルステン 他一篇 (岩波文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【おだやかなキモチ】
       『みずうみ』で有名なシュトルムの中・短編集です。
       シュトルムは、初期の頃は特に叙情詩人、作家として知られていましたが、本作に収録されている作品を書いた頃には、より叙事的、写実的になってきたのだとか。
       いずれにしても、非常におだやかな作品です。
       現在の(ある意味で)刺激の強い作品に慣れ親しんだ私たちからすると、物足りなく感じてしまうかもしれないほどにおだやかで、静かな作品です。
       それが物足りないかというと、私には決してそんなことはなく、非常にしっとりと読むことができました。

       ある部分では、シュティフターの作品とも相通じるところがあるようにも感じました。
       シュティフターは、『石さまざま』などで有名ですが、『晩夏』という作品のレビューを以前書かせて頂いたことがあります。
       そこでも触れましたが、非常に退屈な作品と評する向きもあり、「この退屈な小説を最後まで読み切ったらポーランドの王冠を進呈する」とまで酷評された小説です。
       ですが、私はとても素敵な小説だと感じましたし、もちろん最後まで読了しました(ポーランドの王冠ください~)。
       そんなシュティフターを彷彿とさせるような味わいもありました。
       ドイツって、こういう作品が根強くあるのでしょうかね。
       では、以下、収録作品について、簡単にご紹介です。

      ○ 聖ユルゲンにて
        結婚の約束をしていた若い男女がいたのですが、とある事情から、男性はその村を離れて仕事をすることになってしまいました。
       必ず帰ってくると約束して出ていったのですが……もう50年もの月日が流れてしまいました。
       その間の二人の心を描いた作品です。

      ○ 後見人カルステン
       非常に生真面目で実直なカルステンは、後見人として勤めていたのですが、とあるきっかけから若い美貌の妻を娶ることになりました。
       妻は亡くなってしまうのですが、残された男の子の成長を楽しみにしていたのです。
       しかし、その男の子は、妻の美貌と軽はずみな性格を受け継いでしまい……。
       その度にカルステンは尻ぬぐいをしてやり続けるのですが……というお話。

      ○ ハンス・キルヒとハインツ・キルヒ
       これも、後見人カルステンと同様、父と息子の物語です。
       船乗りの父ハンスは町で名誉ある地位にありますが、さらに上の地位を目指していました。
       ですが、出自や裕福さの点でなかなか難しいことでもありました。
       しかし、仮に自分がその地位につけなかったとしても、自分の息子のハインツにはその高い地位について欲しいと願い、自分の跡を継がせて船乗りにします。
       そうして長い航海に送り出すのですが、ハンスの頑固な性格もあり、ささいな気持ちのすれ違いを生んでしまうんですね。
       そのため失意の息子は家に戻らなくなってしまいました。
       その後しばらくして、息子が隣町にいるという話を聞きつけ、ハンスは息子を迎えに行き、家に連れ帰ったのでした。
       ですが、どうも様子がおかしい。
       そのうち、家に連れ帰ったのは息子ではなく別人だという噂が町に流れます。
       家にいるこの男は一体誰なのか? というお話。

       時には、こういう穏やかな物語も良いのではないかと思いました。
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      2021/07/10 by

      聖ユルゲンにて・後見人カルステン 他一篇 (岩波文庫)」のレビュー


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