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院内カフェ

4.0 4.0 (レビュー3件)
著者: 中島たい子
定価: 1,512 円
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    「院内カフェ」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

       物語は、週末の閑散とした院内カフェの描写から始まります。
       お客は、常連客2人と初めて訪れた藤森夫婦の4人。
       そこでちょっとした事件が起こります。
       物語はその後、そこに居合わせた人々を描いていきます。
           
       藤森朝子さん・孝昭さん夫婦の介護・闘病問題。なかなか深刻で、いずれ自分にも似たような問題が起こるかもしれないと思うと気が重くなります。
       幸い私の両親はまだ元気なようですが、年々老いて行くのが辛い。私のことが精神的ストレスの原因でもあるので申し訳ないのですが、ここまで来るともうどうしようもないのです。
          
       語り手の相田亮子さんは間りん子というペンネームを持つ作家。週末だけ院内カフェでアルバイトしています。
       相田さん夫婦には子どもができないという悩みがあります。
       亮子さんは、遺伝子が残らないとか、絶滅種だとか突き詰めて考えています。
       私は結婚すらしていないのだから、チャンスすらないのです。
            
      「選ばれなかったんじゃなくて、もし何か環境がすごく違うことになっていたら、発動することになっていた『種』なんじゃないかな。今の時代では出番がなかっただけで」
      「いつの時代にも、おれたちみたいな変わり者がいることは必要なんだよ」
            
      ……と本作品では納得していましたが、私にはそんな風に語り合う相手すらいません。
             
       孝昭さんの闘病問題をきっかけに、藤森夫婦のズレが明らかになり、離婚問題が浮上。
       孝昭さんは、自分を守るために「自分を閉ざす」という方法を学びます。それがまた夫婦間のズレを大きくすることに。
       朝子さんが孝昭さんに書いた手紙にはどういうことが書かれていたのか。
       似たような問題に直面する前に読んでおく価値があります。
            
       物語は、週末の閑散とした院内カフェの描写から始まります。
       お客は、常連客2人と初めて訪れた藤森夫婦の4人。
       そこでちょっとした事件が起こります。
       物語はその後、そこに居合わせた人々を描いていきます。
       ただ一人、間りん子さんの院内カフェでのアルバイトの相方でありエスプレッソマシン担当の村上君についてだけは、特に描かれていません。
       彼もまた興味深いキャラであり、彼もまた一つの物語を生きているのでしょうね。
       文筆の才もあるようだから、村上君バージョンの『院内カフェ』もあるのかもしれません(彼の書くバージョンは“いい話”系寄りか)。
          
       最終章は、クリスマスイブの院内カフェ。主要な登場人物が再登場し、物語はまとまります。
       クリスマスイブに向かう人々の群像を描くということで、日本版「ラブ・アクチュアリー」といった感がありますが、本家に比べると少々wetでheavy。
       しかし、重厚で読み応えあります。
            
       最後、間りん子さんはウェブサイト向けに依頼された童話を書き始めます。
       哺乳類に後を譲って絶滅した最後の恐竜の童話。
       これ、読んでみたい。
         http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160726/p1
      >> 続きを読む

      2016/07/28 by

      院内カフェ」のレビュー

    • 評価: 評価なし

      祖母が亡くなるまでの4~5年ほど介護を手伝った経緯と、ふた親がそれぞれに持病を持っている環境で、同世代と比べて早いうちから病院通いをしてきました。身内の通院・入院に付き添った経験がある方には何となく理解して頂けそうですが、病院という空間のあの空気感は、非常に独特なものがあります。ことに大きな病院施設の、診療時間も面会時間も過ぎた後の静けさは途方に暮れるほどで、たくさんの人がいるはず大きな建物のはずなのに、そこを支配するこわいくらいの静寂に包まれた時の、あの寄る辺ない気持ちを私は他に知りません。

      院内カフェ」は、そんな病院に併設されているカフェを舞台に、そこに集う人々の人間模様を描いた作品です。他人の介護に疲れ切った妻や、病気と向き合えない夫、病院内のカフェのコーヒーは体に良いと信じる男性など、ちょっとした事情を抱えたカフェの客たちと、その店のアルバイト店員として週末だけ働く作家の主人公の、縁のある人しか利用しない「院内カフェ」という独特の空間で交差する様々な思いが描かれていますが、クスッと笑えるおかしみのある場面もあり、優しく軽やかな文体なので、読後感は決して重たくなく、むしろとても清々しい気持ちにさせられるものでした。

      大手チェーンのコンビニやカフェが病院内に併設されるようになったのはここ5~10年のことで、それまでの病院は徹頭徹尾、傷病という「非日常」が支配している場所だと感じていました。膨大な待ち時間を要する検査にくたびれ、診断結果を案じて不安に苛まれ、弱り切った身内の姿に心乱され、介護の苦労を分かち合えない孤独感に落ち込み、患者以上に見舞う身内の方が疲れきってしまうような閉塞感は、たとえ医師や看護師の方がどんなに温かく優しい人柄であっても、払拭されることはできませんでした。

      けれど、煌々と明かりが灯るカフェやコンビニが院内に現れるようになってからは、その「どこにでもある風景」のとてつもない日常感にどんなに癒されたことでしょう。それらの多くは営業時間も長く、病院の空気などものともせずに「日常」の延長上としてあっけらかんと存在しており、そんな拍子抜けしてしまうほどの健やかさに救われ、私は気力を取り戻して「日常」に戻っていくことが出来たのでした。

      「院内カフェ」においても、主人公が働くカフェと病棟の間に横たわるものは単にフロアの区切りというだけですが、「単なる境界線」にすぎないことが、「病院に通う生活」と「そうでない生活」にそれほどの隔たりはないのだということを象徴的に表しているように思いました。病院に通う生活は「非日常」かもしれませんが、それは二度と抜けられない絶望的な迷宮なんかではなく、気持ちの持ちようによっていつでも「日常」に戻れるところにあるものなのだと思います。

      あれから幾年月が経ち、私にとって病院は「日常」と化しました。病気になるのは嬉しいことではないけれど、身体の不調はその人自体の欠陥でも何でもありません。永いヒトの歴史の中で、環境の変化に対応すべく人間は何度も身体システムを微調整してきたわけで、たまたま今は上手く作動していないだけかもしれません。ただただ怯え惑うのではなく、不調も含めて身体と寄り添って生きていくことが、今は私と、私の家族の「日常」です。

      妊娠がうまくいかない主人公が、カフェの同僚や夫と語らう中で導き出す、人間の体のシステムについての叙述は、私のそんな今の思いに手を添えてくれるような、じんわりと温かいものでした。病気の当人とそのご家族、あるいは病院に行くほどではないけれど身体に違和感を覚える人たちの不安を拭い、優しく包み込んでくれるような作品でした。
      >> 続きを読む

      2015/09/16 by

      院内カフェ」のレビュー

    • 私も家族の病気等で大学病院に出入りすることが多いのですが、
      そこのスタバやタリーズにどれだけお世話になっていることか!

      入院中の患者さんも、1日に1回、
      カフェにコーヒーを飲みに行くことだけが楽しみだったりして、
      本当に癒しの場ですよね!

      そんな場所がテーマの作品、気になります♪
      >> 続きを読む

      2015/09/17 by アスラン

    • 共感して頂けて嬉しいです!

      スタバなどが出来てからは「カフェでほっとひと息つく」ことの
      大切さ、有り難さが身にしみて、「癒しの場」という言葉の意味が
      分かったような気がします。

      そんな気持ちがさらりと書かれていて、読後は気持ちが晴れやかになる
      ような作品でした。
      >> 続きを読む

      2015/09/17 by nomarie

    • 評価: 4.0

      院内カフェを利用したことがある。
      全国チェーンの、とあるカフェ。

      そうかあ~、こんな風に見られているのかなあ~と思ったり、確かに、いろんな人がいるからな~とも。

      そんな院内カフェを接点として、双方の視点で物語が進んでいくのが、面白い。
      途中、しんみりと凍みるような部分もあって、いろいろ考えることもあった。

      見るということは、見られていることもでもある。
      >> 続きを読む

      2015/08/12 by

      院内カフェ」のレビュー

    • 院内カフェというのですか。

      いつも院内にあるドトールを利用してます。
      いつも、というのが問題ですが(*/∇\*) >> 続きを読む

      2015/08/13 by 空耳よ


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