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狼男伝説 (朝日選書)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 池上 俊一
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    「狼男伝説 (朝日選書)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      「狼男」こそ怪異のイメージの王者だった。
      中世ヨーロッパの人々の心性を、底から絡めとり、揺さぶった。

      この池上俊一の「狼男伝説」は、フランス仕込みの「新しい歴史学」を、あくまでオリジナルに噛み砕いて展開し、西洋中世史の読み方を刷新しようとする著者が、狼男などの「怪異現象」の解読を試みた、すこぶる知的な興味に溢れた本なのだ。

      「狼男」といい、やはりこの本で語られる「不思議の泉」といい、むろん想像界に属する事柄だ。
      目には見えないし、手で触れることも不可能だ。

      しかし、この本の序章で語られる、想像界こそ「歴史を形成する本質的源泉の一つ」という信念が、遥かな旅ともいえる、史的探求へ著者を向かわせたのだと思う。

      文学を探り、史料を訪ね、図像を解いていく著者の旅は、読み手の胸をも騒がせるものだ。

      もともと、変身への欲望が生んだとみえる「狼男」が、やがて教会の権力によって、悪魔的な性格を刻み込まれ、遂には「魔女」と共に、弾圧の対象となっていくプロセスの解明は、その思いがけなさで、読みながら肝を摑まれた思いがします。

      あるいは「他者の幻像」の章。領土拡大に悩む、キリスト教世界のスケープゴートとして「悪辣なユダヤ人」「臭いライ病患者」という、まがまがしい「他者」のイメージが生成され、ヨーロッパ人の深層を浸食していくさまなど、その強迫的な想像界の恐ろしさが、肚を打ってしまう。

      この肚を打たれ、肝を摑まれるのは、底知れぬ人間の心性の不思議をのぞくからだと思う。
      我々もまた、我々自身の"想像の深層"に、のっぴきならず捕らわれていることを、思わずにはいられないからだ。

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      2019/05/25 by

      狼男伝説 (朝日選書)」のレビュー


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