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ことり (朝日文庫)

3.7 3.7 (レビュー4件)
著者: 小川洋子
定価: 626 円
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    「ことり (朝日文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      天井の音色のような透き通った綺麗な声で、歌うことりに魅せられ、静かに慎ましく寄り添うように生きる兄弟。
      弟以外にはわからない言語を話す社会に適応出来ない兄との穏やかな生活を兄の死により喪った弟は、幼稚園の鳥小屋の管理のボランティアを始め「ことりの小父さん」となる。
      司書への仄かな恋慕や虫箱の老人との交流。不本意な誤解をうけたりしても、小父さんの淡々とした人生の物語は静謐でありながら慈しむようにじんわりと優しく切ない。
      それはひたすらに美しい淋しさと哀しみを伴い読み人の心を清らかにする。
      この本を読んでいると、卑屈な心と凝り固まった心が解け、卑しく滲み出る欲は融けて涙とともに解き放たれるようだ。
      ことりが飛び立つように。
      >> 続きを読む

      2017/11/10 by

      ことり (朝日文庫)」のレビュー

    • 評価: 4.0

      人間の言葉では話せず、ポーポー語という独自の言葉でしか話さない兄と、唯一兄の言葉を理解できる弟。
      両親が亡くなってから兄弟ふたりで静かに生きていた。
      その兄が亡くなってから、“ことりの小父さん”と呼ばれていた弟が、ひっそりと生命を終えるまでが描かれている。

      何かの障害だろう兄と、親でさえ伝わらないポーポー語によって意思と心を通わせた“ことりの小父さん”の穏やかで秩序立った日々。
      小川洋子さんらしく固有名詞の無い物語。
      誰かがどこかでという曖昧であるところが、読者には自分であったり自分の身近で起きた物語のようにも感じられるため登場人物に寄り添いやすくなる。

      兄がキャンディーの包装紙で丁寧に作る小鳥のブローチや兄弟特有の旅行、小鳥の世界を語る兄と小鳥を慈しむ弟。
      なんでもない、ささやかな暮らし。その変わりのない日常にこそ、ひとの幸せは満ちている。

      物語全編にひとの死がついて回っているのに、さみしさや哀しさよりもあたたかさが伝わる。
      小川洋子さんらしさの溢れた一冊だった。
      ひそやかに生きひそやかに死ぬ。
      誰かの人生を邪魔したり大きく影響を及ぼすことのない、控えめに生命を生きるひとびと。

      園長先生や青空薬局のおばさんなど限られたひととしか関わらないひと。
      この兄弟はもしかしたら鳥だったのかもしれない。
      たまたま姿が人間だったから、人間の世界で人間として生きてきたけれど、本当は鳥で、生命を終えてようやく鳥の世界に行くことができた。
      そう考えたら、ふたりの死は決して悲しくはない。

      こういう静かすぎる日々を描いて作品として成立させることができるところが小川洋子さんの魅力だろう。
      読者それぞれが、それぞれの思いを持って自由に読むことができる。
      やはり小川洋子さんは素晴らしい。
      >> 続きを読む

      2017/04/13 by

      ことり (朝日文庫)」のレビュー

    • jhmさんお久しぶりです♪

      >誰かの人生を邪魔したり大きく影響を及ぼすことのない、控えめに生命を生きるひとびと。

      ガツガツした刺激的な本もそれはそれで単純な私はモチベーションアップしたりするので若い時は好みましたが、最近はそうではない世界観の本の良さをわかるようになってきました。小川さんの本、とても良さそうです!
      >> 続きを読む

      2017/04/14 by chao

    • chaoさん
      コメントありがとうございます。

      本当にお久しぶりになってしまって。
      コメントいただけて心から感謝しています。嬉しいです。

      わたしもガツガツしたひとや、悪どいひとや残酷な物語なんかも好物ですが、何故か小川洋子さんの作品は居心地がいいのです。
      機会があれば是非読まれてくださいね。
      >> 続きを読む

      2017/04/15 by jhm

    • 評価: 評価なし

      小川洋子さんの世界が現実的になって来ている
      ハッピーエンドらしき作品はお目にかかったことがないが、それでも気持ちよくいられた。今までは。

      兄の話す言葉
      図書館司書とのやり取り
      まだまだ小川ワールド

      最後が物凄く現実的な気がして、やるせない気持ちになった。
      >> 続きを読む

      2016/07/25 by

      ことり (朝日文庫)」のレビュー

    • 評価: 4.0

      小鳥の小父さんは自分のペースで生活していた。周りとは違うペースで生きてきた。
      そんな中、一人の司書と出会う。司書は、図書館で小父さんが小鳥の本ばかり借りていることに気づく。そして、2人は話すようになる。ある日小父さんは司書に一緒に帰ろうという。そして一緒に帰るのだが、自分がいつも掃除をしている鳥小屋を見ないか?と誘うが断られてしまう。そして司書は逃げるようにその場を去ってしまう。後日、司書は結婚するので図書館を辞めたという事実を知る。彼女には彼女のペースがあったのだ。この他にも小父さんのペースを乱すことが起きる。近所で女の子の連れ去り事件が起きたのだ。いつも幼稚園の鳥小屋を掃除していた小父さんが犯人ではないかと疑われてしまう。すると、幼稚園の鳥小屋の掃除も辞めさせられてしまう。そこで、自分がしていた掃除は自分でなくても、他の誰でもいいんだと気づく。
      「どんなに美しい歌をうたったって、誰も応えてはくれない」これは、小父さんが飼っている小鳥に向かって言った言葉である。
      小父さんが美しいと思っていた、お兄さんのポーポー語は誰にも理解されぬまま、お兄さんは死んでしまった。また、小父さんの掃除も、自分が大事だと思っているほどには周りは何とも思っていなかった。また、司書への思いも届かなかった。小父さんの思いは誰にも届かず、誰も応えてはくれなかったのである。
      小父さんの孤独と自分の孤独には当てはまる部分があった。好きな人が出来たら、相手も自分と同じ思いではないかと思ってしまう。そして、距離を近づけてしまい避けられる。小父さんは人との距離の取り方が下手くそだった。自分だけの世界に閉じこもっていた時間が長すぎたのだ。また、「ことり」を読んで、人は最後はやっぱり一人なんだなと実感した。
      >> 続きを読む

      2016/06/07 by

      ことり (朝日文庫)」のレビュー

    • 小川さんの作品はどれもいいですね。
      そのうち読んでみたいです。

      2016/06/07 by 空耳よ

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