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ABC殺人事件

カテゴリー: 小説、物語
定価: 735 円

「今月21日、アンドーヴァーに注意されたし」という内容の挑戦状が送られてきた。予告どおりアンドーヴァーで、Aの頭文字を持つアリス・アッシャーという老婦人が殺される。続いて第2、第3の挑戦状が届く。ベクスヒルではBの頭文字を持つベティ・バーナードが、チャーストンではCではじまる名前を持つカーマイケル・クラーク卿が殺害される。どの殺害現場にも「ABC鉄道案内」が残されていた。はたして犯人は、アルファベット順にこだわって犯行をかさねる偏執狂なのか?犯人のねらいは?そして「ABC鉄道案内」に隠された意味は?本書は、ポアロが活躍するシリーズとしては第13作目にあたり、クリスティの代表作のひとつに数えられている。

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    「ABC殺人事件」 の読書レビュー

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      東京創元社 (2003/11)

      著者: アガサ・クリスティ , 深町真理子

      • 評価: 4.0

        【あらすじ】
        あまりにも有名なクリスティの代表作。名探偵ポワロの元にABCと名乗る犯人から予告状が届く。手紙の内容通り、頭文字Aの土地で頭文字Aの人間が、頭文字Bの土地で頭文字Bの人間が犠牲となる連続殺人事件が起こる。

        被害者は住んでいる場所、社会階層、性別、あらゆる要素がバラバラで事件に関連性は見られない。死体の元に置かれたABC鉄道案内を除いては。
        犯人がアルファベット順に殺人を起こす目的は?なぜ予告状をポワロに送りつけたのか?雲を掴むような事件に灰色の脳細胞を持つ名探偵ポワロが挑む。

        【感想】
        僕はパズルゲームのようなミステリーにはあまり興味がもてないのだが、『ABC殺人事件』は探偵ポワロをはじめとして各登場人物の描写も魅力的なため楽しく読むことができた。この作品が今なお読み継がれる理由はクリスティの優れた観察眼と人物描写にあるだろう。

        例えば、P209では第一の事件で被害者となった叔母と誕生日の約束を交わしていたことを思い出して涙を浮かべるメアリーにクラークが”「いつだって、ちょっとしたことなんだ、悲しみをそそるのは。とくに、ごちそうとか、プレゼントとか――なにか楽しくて、自然なこと……」”と語りかけるのが印象的。死が感動を演出する小道具として使われがちな現代でこそ心に響くセリフなのかもしれない。

        また、第三の事件の被害者カーマイクルの秘書を勤めていたミス・グレイという女性が彼の妻に追い出される。そのことに対して周囲の人間は若くて美しいミス・グレイに同情する。しかし、ポワロだけは彼女が計算高い女性であることを見抜くのだ。ミス・グレイの美しさにあてられて盲目となったヘイスティングズとの対比が見事である。

        「それに、着ているものもとびきり上等です。あの重みのあるクレープのドレス、銀狐の襟巻き――最新流行ですよ」(p222)
        後の文章を考えると銀狐の襟巻きはちょっとした皮肉にも感じられる。

        ポワロはいかなるときも冷静で合理的な判断に基いて行動するため冷たく感じるときもある。しかし、彼は決して無機質な名探偵ではない。

        ”そして狐をつかまえて、
        そして囲いにとじこめて、
        そしてぜったい逃さぬように!”(p348)

        この歌詞に対して、狐狩りによって一瞬のうちに訪れる残酷な死のほうがまだマシであると言い、怒りを露わにする激情家な面も持ち合わせている。ラストシーンで「……わたしたちはまたいっしょに悪人狩りをした。そうでしょう?スポーツ万歳!」といって喜ぶポワロはとても魅力的な名探偵なのだ。


        【メモ】
        この作品は1936年イギリスで出版されたものだが、当時のメディアや価値観が現代の日本でも通じるものがあるというのも興味深いところ。

        「死というものはね、マドモワゼル。不幸にして”かたよった見かた”をつくりあげます。死んだひとのことは悪く言わない、という立場を(中略)たしかにその通りです――若い娘さんが死ねば、出るのはみんなそうした記事ばかり。いわく、彼女は快活だった。しあわせだった。やさしく気だてがよかった。この世になんの苦労もなく、好ましからざる人物とのつきあいもなかった。いつの場合も、死者にたいする過大な思いやりがそう言わせる。」(p120)。
        他の場面ではインタビューで言った覚えのないことが記事にされるという描写もある。
        >> 続きを読む

        2016/10/18 by

        ABC殺人事件」のレビュー

      • 月うさぎさん、コメントありがとうございます。ハロウィン仕様のピカチュウ可愛いですね♪

        いやぁ~ABCよかったです。ミステリーとしても多層構造になっていて構成も大胆でした。当時の人々は度肝を抜かれたことでしょうね。
        登場人物の会話も面白かったのですらすら読めました。

        ポワロいいですよね。他人の言動の裏を読み、視線一つで心理を読み取るポワロは大人な魅力がある名探偵だと思います。

        >この間スーシェの実写作品もみたのですが、この作品は小説がいいですね。
        やっぱり叙述トリックは文章ならではの醍醐味なんですね。
        >> 続きを読む

        2016/10/22 by けやきー

      • アレクサンダー・ボナパルト・カルト氏のキャストはぴったりです。
        ただ、映像だと、この人は犯人じゃないだろうという目で決めつけてみてしまうようです
        しかも、弟のC氏がイケメンじゃないし、ミス・グレイも女っぽさがイマイチで、あまり疑惑がわかなくて。
        この2人は、魅力的な人間でなければなりませんよね。

        ハロウィン・ピカチュウは、今だけの期間限定です。
        目を留めていただいて嬉しいです!
        >> 続きを読む

        2016/10/22 by 月うさぎ

      早川書房 (1987/02)

      著者: 田村隆一 , アガサ・クリスティ

      • 評価: 5.0

        ほとんどの「名探偵」がクラシックの世界の住人になってしまっているのに、
        エルキュール・ポアロは現代でも特に愛されている探偵ではないでしょうか。
        「ABC殺人事件」では、ポワロの推理は証拠や目撃者探しによる犯人追求ではなくて、
        犯人の心理と行動の裏に隠された「目的」を発見することに絞られます。
        犯人を今で言うプロファイリングという手法で特定しようとします。
        クリスティの提案は非常に進歩的だったということです。


        ABCの順番に選ばれた殺害現場と被害者。
        犯行現場に残された『ABC鉄道案内』の謎。
        犯人は警察の見立て通りに精神異常者の殺人狂なのか、それとも?

        連続殺人といっても、猟奇的、ホラー的な要素を期待するべき作品ではありません。

        ポアロの態度がのんびりしているので、読んでいるほうがイライラするかも。
        けれど、事件が進行していく様がじんわりと怪しげに描かれることで
        奇妙な緊張感と不気味さを醸し出すことに成功してもいるのです。

        ポアロ自身は動かずに、関係者として事件に巻き込まれた数人の男女がチームを組み、
        ポアロに協力し、素人探偵として事件解決に乗り出すという点も目新しいです。


        殺人は予告通り起こるのか?被害を防ぐことはできるのか?
        犯人との知恵比べに勝ち、とらえることはできるのか?

        捜査線上に浮かび上がってきたイニシャルA.B.C.の男の存在。
        本名アレグザンダー・ボナパルト・カストとは何者なのか?

        さあ、みんなで騙されよう!


        田村隆一氏翻訳の旧早川文庫版です。真鍋博さんのカバーも人気でした。
        田村氏には時々誤訳だか誤植だかがあるのですが、日本語的に文学的な文章になっていて、
        クラシカルな雰囲気を伝えてくれよい訳なので、今でもファンが多いのです。
        誤訳といっても文脈を想像すれば正しい意味で読み替えられると思いますので、
        作品のテイストを壊す翻訳よりはよほどマシだと私は思います。
        (つまり田村訳が好きだといいたい訳です)

        問題の誤訳はたとえばこの部分です。

        【第一の挑戦状】
        MR.HERCULE POIROT―You fancy yourself,don't you,
        at solving mysteries that are too difficult for our poor thick-headed British police?
        Let us see,Mr.Clever Poirot,just how clever you can be.
        Perhaps you'll find this nut too hard to crack.
        Look out for Andover on the 21st of the month.
        Yours,etc.,
        A.B.C.

        「ミスター・エルキュール・ポワロ――きみはうぬぼれているようだね、
        あわれなる、愚鈍なわがイギリス警察が手におえない事件でも、自分なら解決できる、と。
        では、お利口なポワロ氏よ、きみがどれほど利口か、みせてもらおうか。
        おそらく、このクルミは固くて、きみには割れないだろう。
        今月21日、アンドーヴァ(Andover)に注意せよ
           草々 ABC 」    (中村能三氏訳)

        「エルキュール・ポアロ氏へ
        あんたは頭が鈍いわれらが英国警察の手に余る事件を解決してきたと自惚れているのではないかね。
        お利口さんのポアロ氏、あんたがどこまで利口になれるかみてみようじゃないか。
        たぶん、この難問(ナッツ)は、固すぎて割れないことがわかるだろう。
        今月21日のアンドーヴァーに注意することだ。  敬具 ABC」 (堀内静子訳)

        「エルキュール・ポアロ殿
         貴殿は、かのあわれむべき鈍物のわが英国警察の手にあまる難事件の解決をなし得るのは我をおいて他に人なしと自惚れておられるのではないか。
        そこで、賢明なるポアロ氏よ、貴殿がいかに敏腕か、ひとつお手並みのほど拝見いたしたい。
         おそらくこの胡桃は砕くに固すぎることはないであろう。今月の21日、アンドーヴァを警戒されたし。
             草々 ABC」 (田村隆一訳)

        『クルミは割れるだろう』という意味になっている点が誤訳です。

        もちろん犯人の言いたいことは、きみには謎は解けないだろうという挑発です。
        こういう誤訳は本来は編集者が直せばいいだけのことなんですけどね……。



        【おまけ】
        クリスティは、事件を解明し犯人を指摘するだけではなく、罪がどう裁かれるべきかを考えます。

        どうやらクリスティって犯人のことが好きだと逃がし、
        同情すると自殺させて、嫌いだと縛り首にする傾向がありますよ。

        不幸にも犯罪に関わりを持たざるを得なかった人物を救済することも忘れません。

        ポワロ作品のこういう厳しさと優しさが私は大好きなんです。
        ホームズ等の探偵ものと決定的に違う点だと思います。
        私はその人間的なドラマや人物の深さからミステリー作家としてだけでなく、
        小説家クリスティを、いいえ、人間としてのアガサが好きだなあと思うのです。
        >> 続きを読む

        2014/05/12 by

        ABC殺人事件」のレビュー

      • >どうやらクリスティって犯人のことが好きだと逃がし、
        >同情すると自殺させて、嫌いだと縛り首にする傾向がありますよ。

        これを聞くと次にアガサクリスティ読む時、犯人の行方が気になりますね(笑)

        >不幸にも犯罪に関わりを持たざるを得なかった人物を救済することも忘れません。

        これもいいなぁ。

        本当に本の中の人達が生きているかのように扱うんですね~
        >> 続きを読む

        2014/05/13 by ただひこ

      • ただひこさん
        〉本当に本の中の人達が生きているかのように扱うんですね~
        そうなんですよ。
        ホームズも人気がありますが、ワトソン・ファンっていませんよね。
        でもポアロの相棒のヘイスティングズにはファンがいるんです。
        そんなに多くの作品に登場している訳ではないのですが。

        ポアロをもっと若く設定しておけばよかった。
        というのが彼女の最大の後悔でした。
        この後の「開いたトランプ」では彼女の作品の常連さんが4人勢ぞろいします!
        しかし、ポアロとマープルだけは決して一緒に出演させませんでした。
        ファンからも出版社からも随分要望が強かったらしいですが。
        >> 続きを読む

        2014/05/13 by 月うさぎ

      早川書房 (2003/10)

      著者: アガサ・クリスティ , 堀内静子

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      • 評価: 3.0

        「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺し」に引き続き読んだ「ABC殺人事件」。

        ポアロに殺人予告の手紙が届き、Aがつく街でAがつく人が殺され、Bがつく街でBがつく人が殺され…と物語が展開してゆく。ポアロとヘイスティングのやりとりが面白く、ポアロの魅力がたっぷり詰まっている。

        普段は翻訳された本を読んでも訳の質を特に気にしたことはないけれど、本書は新訳にもかかわらずとても不自然に感じて気になった。元はきっとこういう英語だったんだろうな…とか余計なことを考えてしまってストーリーに入り込めなかったのが残念。そもそも「ABC殺人事件」というだけあって、アルファベット(英語)が重要で、原文で読んだ方がもっと面白く読めそう。

        アガサ・クリスティのミステリーはどれも犯人を予想しながら読み進めるものの、最後にちゃんと意外な結末を用意してくれる。安心してミステリーを楽しめる。次の一冊も楽しみ。
        >> 続きを読む

        2012/08/05 by

        ABC殺人事件」のレビュー

      • 翻訳違いで読み比べてみました。
        私は田村隆一訳で読みなれているのでそちらが好きです
        一辺、田村さんの旧訳で読んでみて下さい。
        特にヘイスティングズと共演している作品が違いがはっきりします。
        でもこれはまだマシな方ですよ。
        もっとひどい訳があるんです。(T_T)
        >> 続きを読む

        2014/05/13 by 月うさぎ

      • アガサ・クリスティにハマっていた時期に読みました。
        もう一度読んでみたいです。

        2016/07/07 by ミンティア


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