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一私小説書きの日乗 野性の章

3.0 3.0 (レビュー1件)
著者: 西村 賢太
定価: 1,728 円
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    「一私小説書きの日乗 野性の章」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      Web本の雑誌に掲載されていた西村賢太さんの日乗ですが、編集部とイザコザがあり、掲載中止に。
      これは残念、と思っていたら、どこからか角川で復活したよと聞き及び、早速、書店の文芸誌コーナーの『野性時代』を手繰ると、まさしく西村さんの日乗を発見。
      これで西村さんの日記文学を引き続き読み続けられるという安堵感に包まれて、単行本化を待ち詫びて、ようやく出版された『野性の章』です。

      内容は相も変わりません。
      ひたすら、作家であり、最近はテレビタレントの趣もある西村さんの日常が記されている日記のようなもの。
      平均して一日の記載行数は七~十行程度で、必ず記載されているのは起床時間、深更から始まる晩酌の酒量とそのつまみの詳細。
      この変わらぬスタイルに、大いに満足し、早々と読了してしまいました。
      もっとじっくりと時間を取って読めばよかったと、後悔しきりです。

      TOKYO-MXテレビのニッポンダンディの降板の理由についても頁を割いて説明しています。
      僕ら視聴者から見て、あの放送時には、無遠慮でハナから西村さんを小馬鹿にしたような出演者の質問や発言に立腹されてのことだろうと思っていましたし、大部分の方も同様だったようで、西村さんの本意と違う問い合わせや釈明に、本人も甚だ困惑・不本意なものを感じていたようですね。
      西村さんファンとしては、ま、この手のことはいつものこと、「また始まったよ」で済ませられるのですが、仕事ですから色々な方が関わっていますからね。
      真相は制作スタッフとの行き違いが原因とのこと。
      積もり積もった鬱憤がちょうど“あの日”に爆発してしまったようです。
      のちに、所属している芸能プロダクションの社長から予想外の厳しき叱責を受けたと、本書内でも吐露しているように、西村さん本人としてはそれほど重大事に感じていなかったようです。
      さすがに業界が違うと感覚も違うと、反省もなさっているようですが、いまだ当該局には出入り禁止という状況にかわりはないようです。
      だからといって、その後の西村さんの沸点に変化があったかといえば、本書を読む限りいささかも動じていない様子。
      心強い限りです。

      本書は二〇一三年八月から二〇一四年八月までの一年の掲載分をまとめたものですが、小説家としての西村さんは、この時期、自身の初長編となる『やまいだれの歌』に四苦八苦しております。
      例の如く、大学ノートに下書きを書き始め、原稿用紙に清書をし、そこに清書が意味をなさなくなるくらい加筆・削減を繰り返すという、本来の作家作業に一年を通じて没頭されております。
      ~今日はここまで、飲酒に逃げる。
      ~いっこうにはかがゆかず、三枚にて終了。
      こんな記述があると、なるほどなるほど、さすが苦心の賜物だったんだなと感慨しきり。
      それほど、『やまいだれの歌』は傑作でした。
      あの傑作の制作過程が、著者の日記でもって味わえた体験は贅沢の極みと、本心から思いました。

      交友関係では玉袋筋太郎さんと、かなり懇意になられたようです。
      もともと北野武さん、高田文男さんへの尊崇の思いを隠しておられなかった西村さんですが、そのつながりから浅草キッドのお二人とも仲良くなれたのでしょう。
      喧嘩もしたようですが、現在、西村さんに嫌悪の情をもたずに、社会と繋げているのは、玉袋筋太郎さんと新潮社の田畑さんのお二方のみといって過言ではないかもしれません。
      希少です。

      しかし、西村さんもやはり年齢を重ねられたな、といったのが実感です。
      ご本人はそれほど感じていらっしゃらないと思いますが、芥川賞受賞直後当時はもっとわがままで、放埓で、誰も、明日をも信じぬ生き方を貫いておられた感がありました。
      本書では、欠かさずの日課だった晩酌まで、ラーメンで胃もたれしたり、痛風が痛すぎてだったり、また気が乗らなかったり(!)で、中止している日があったことに、少し呆然としました。
      これは体調面もあると思うのです。
      さすがに記載されている様に鯨飲・暴食・偏食の限りをつくしていらっしゃれば体調に悪影響があって当然で、現に風邪をひけば長引く、歯痛が始まればこれも悪化の一途をたどる、といった悪食のつけが体を直撃していることは紛れもないことです。
      ファンとしては心配です。
      ただ、その無謀さが面白いという矛盾を孕んでいて、そこのところは複雑な感じですが。
      西村さんが、今日から野菜中心にバランスのとれた食事を目指す!なんてなったら、まぁ面白くないでしょうから。

      あと、風俗へ行く回数が格段に増えています。
      歳を重ねると、いくら強がっていても人恋しくなるのでしょうか。
      男性の中には、歳とともに性欲が旺盛になる方もいらっしゃるようです。
      気持ち悪い限りですが、赤裸々に手淫のことなどまで(回数まで)赤裸々に記す西村さんの日乗は、読んだそばから、続編が待ち遠しいです。
      >> 続きを読む

      2015/01/18 by

      一私小説書きの日乗 野性の章」のレビュー

    • >空耳よさん
      いつも、コメントありがとうございます。
      僕ら能無し男どもにとっては、西村さんの日常は、決して勇気を奮って挑戦する類のものでなく、まさに羨望の的です。
      とても、あんなに自分に正直に生きられませんよね~。
      >> 続きを読む

      2015/01/19 by 課長代理

    • >あすかさん
      いつも、コメントありがとうございます。
      いつでも、新しい分野を切り拓く人って凄いですよね。
      西村さんのジャンル=私小説って、まったく新しい分野ではなかったですが、ここ数年では廃れてしまった文学分野。
      西村さんは「好きだから」という、ただ一途な思いで、ある私小説家に共鳴し、彼を世に出したいという強い気持ちだけでペンをとっていたら、いつのまにやら自身が私小説家になってしまっていた、という変人です。
      一読して嫌な気分になること必至ですが、体に悪いとわかっていてもインスタントラーメンをどうしても食べたくなるように、僕も、精神衛生上よくないと知りつつ、つい西村さんの作品を読んでしまいます。
      小説家ですから、このくらい突き抜けてないとダメだと、そう思います。
      >> 続きを読む

      2015/01/19 by 課長代理


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