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Xの悲劇

4.0 4.0 (レビュー2件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 740 円

満員電車の中で発生した殺人事件。被害者のポケットからは、ニコチンの塗られた針が無数に刺さったコルク球が発見された。群衆ひしめく巨大なニューヨークで続く第2、第3の大胆な殺人にも、目撃者はいない。この難事件に、聴力を失った元シェイクスピア俳優ドルリー・レーンが挑み、論理的で緻密な謎解きを繰り広げる。20年ぶりの決定版新訳でよみがえる、本格ミステリの不朽の名作。

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    「Xの悲劇」 の読書レビュー (人気順)

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    • 評価: 4.0

      【それでは『X』から始めてみましょうか/ドルリイ・レーン初見参!すべてはこの作品から始まるのだ!】

       本作は、X、Y、Zの三悲劇+最後の事件で活躍したドルリイ・レーンが初めて登場する作品です。
       彼は、引退したシェークスピア劇の名優で、耳が聞こえないという設定になっています。
       ですが、読唇術を身につけているため、話者の唇さえ見れば不自由なく会話ができることになっています。
       彼は、ハムレット荘と呼ばれる中世を再現したような邸宅で、使用人らと共に生活していたのですが、ある事件が起きた際、新聞記事だけから犯人を推理し、その情報を警察に提供したことをきっかけとして、警察からも一目置かれるようになりました(レーンは、その事件について、ポオの『マリー・ロジェの謎』を引き合いに出し、あれと同じようなものですよと言ってのけるのですが)。

       とはいえまだ第一作ということで、サム警視もブルーノ検事もレーンに対していまだ全幅の信頼を置くというところまでは至っていません。
       特にサム警視は疑いの眼を捨てきれないのです。
       ブルーノ検事も相談を持ち掛けて何か良いヒントでももらえたら儲けもの程度の認識なんですね。
       今回も、ある殺人事件について捜査が行き詰ってしまったことから、サム警視、ブルーノ検事はハムレット荘を訪れ、レーンに相談してみることにしたのです。

       その事件とは、満員の市電の中で発生した事件でした。
       強引で身勝手なことで知られる株式仲買人のロングストリートが結婚することになり、嫌がる知人を集めてパーティに繰り出すため市電に乗り込んだのです。
       何者かがロングストリートのポケットに凶器を仕込み、それを知らずに触ってしまって殺されたという事件です。
       その凶器とは、コルク玉に無数に針を突き刺したもので、針の先には濃縮されたニコチンが塗られていたため、誤って針を手に刺してしまって中毒死したのでした。

       その市電には偶然警察官も乗車していたことから、ロングストリートが倒れるとすぐに乗降が禁止され、車両はそのまま車庫に運び入れられました。
       犯人は市電に乗っていた者の中にいるはずです。
       すぐにサム警視も駆けつけ、徹底した身体検査なども行われたのですが、犯行を示すような証拠はまったく見つからず、捜査は暗礁に乗り上げてしまったのです。

       殺されたロングストリートは、まぁ、ひどい男であり、あちこちで恨みを買っていました。
       共同経営者のドウイットは、ロングストリートから金を脅し取られていたようですし、妻まで寝取られていたようなのです。
       あるいは、商才もないロングストリートから勧められた株を買って破産しそうになっている顧客がいたり、誰もが殺してやりたいと考えるような男だったわけです。

       その後、ロングストリート殺しに関して有力な情報を提供したいと申し出る手紙が警察に届きました。
       サム警視、ブルーノ検事、レーンは、指定された待ち合わせ場所であるフェリー乗り場に向かったのですが、いつまで待っても手紙の主は現れません。
       これは担がれたか……と思い始めた矢先、ちょうど接岸しようとしていたフェリーから男が転落したのです。
       転落した男の死体はフェリーと岸壁に挟まれてぐちゃぐちゃに潰れていました。

       その後の捜査により、転落した男こそ手紙の主だとわかり、これは密告を恐れた犯人がフェリーから突き落としたものだと考えられたのです。
       そして、一部の乗客は既に立ち去っていたものの、残っていた乗客の中にドウイットがいることがわかりました。
       しかも、ドウイットは自分の行動について嘘を言っていたのです。
       これはドウイットが犯人に違いない。
       レーンからやんわりと止めた方が良いと言われたのにも関わらず、サム警視とブルーノ検事はドウイットを逮捕し、起訴してしまうのです。

       ドウイットは、ある男と待ち合わせるためにフェリーに乗ったとは言うのですが、それが誰なのか、どういう用向きなのか等については詳細を語ろうとせず、ますます不利になってしまいます。
       公判では、ブルーノ検事が着々と立証を積み重ねていきます。
       これは有罪やむなしかと思われたところで、レーンがドウイットの弁護士にあるサジェスチョンをします。
       それによってドウイットは無罪を勝ち取り、釈放されました。
       ブルーノ検事、サム警視は渋い顔です(面目丸つぶれですから)。

       ドウイットは、レーンが助けてくれたということを知り、自分の釈放を祝うパーティにレーンを呼び、この後、すべてのことをお話ししますと約束したのです。
       ところが、ドウイットの家に向かう列車の中で、今度はドウイットが射殺されてしまうのです。
       レーンは、自分も同行していたというのに、目の前でドウイットを殺されてしまったことに打ちのめされてしまいます。
       ドウイットは、人差し指と中指をXの文字のようにクロスさせていました。
       これはダイイングメッセージなのか?

       この3重殺人の謎を解くというのが本作なのですが、非常に手堅い作品で、まさにこれぞ本格派ミステリと言えるごりごりの正統派作品だと思います。
       まぁ、確かに第二の事件については、ちょっと運に頼っているという点はありますが、それが成功してしまったことを前提に、レーンの鮮やかな推理を楽しむことは十分にできると思います。

       レーンのシリーズでは、『Yの悲劇』が圧倒的に評価、人気が高いのですが、どうしてどうして。
       この『Xの悲劇』も大変優れた作品だと思います。
       レーンのシリーズについては絶対に順番に読んでいかなければならないのですから、どうしたって『X』を読まずにはいかないわけで、『Y』から読んじゃった~という方も、ぜひ本作をお読みになることを強くお勧めします。
       X、Y、Zの順に三作を読了してからじゃないと『最後の事件』を読んではいけませんよ~。


      □□□     普通(1~2日あれば読める)
      >> 続きを読む

      2019/06/15 by

      Xの悲劇」のレビュー

    • 〉レーンのシリーズでは、『Yの悲劇』が圧倒的に評価、人気が高いのですが
      そうなんですよね。私「Y」しか読んだことがないんです。
      〉絶対に順番に読んでいかなければならないのですから
      後から知ったんです。今からやり直そうと思います。はい。『最後』は「最後」にします。
      ポワロの「カーテン」もそういう訳で未読です。
      >> 続きを読む

      2019/06/15 by 月うさぎ

    • Y→X→Z→最後の事件ならまだ傷は浅い!(笑)。
      確かに『カーテン』もそうなんですが、ポアロもの全部読むの大変ですよね。
      私は早々に読んでしまいました。
      >> 続きを読む

      2019/06/15 by ef177

    • 評価: 4.0

      レーン四部作の第1作目、ようやく読了。
      読書ログでの皆さんのレビューを読んでいつかは読んでみたいと思っていてようやく手に取りました。
      今まで読んでいたミステリ―が軽いものが多かったので慣れないせいなのか、新訳だからきっと読みやすいのでしょうが、それでも結構な時間がかかってしまいました。
      登場人物の名前を覚えるまで何度も行きつ戻りつしつつ、中盤頃からようやく覚えて読むスピードがアップ。
      ドルリー・レーン氏の状況から見極める、解決への糸口を見つけていくのは圧巻です。
      3つの犯罪も実に計算されているな、と感じました。

      自分でも推理してみるのですが、盲点だらけで足元にも及ばなかったです(笑)
      なぜ【X】の悲劇なのか、最後の最後で腑に落ちました。
      これに続くYの悲劇、Zの悲劇もこのような感じなのでしょうか。

      それにしても、なぜか私の頭に浮かんでくるドルリー・レーン像はテレビドラマのポアロに近いちょっと小太りの男性なのです。
      何度も小説内で、レーンの体型や風貌についての説明が出てきて、引き締まって若々しい60歳のはずなのに、どうしてもポアロ像が消えない(;^_^A
      >> 続きを読む

      2019/08/11 by

      Xの悲劇」のレビュー

    • 月うさぎさん>
      そうなんです。
      だから途中途中でレーンの風貌について出てくるたびに「あれ?しまった!ポワロ想像してた!」となってしまうんです。
      Y、Z、最後の事件‥としつこく読んでいけば、イメージが修正されるかも、なんて思っています(;^_^A
      >> 続きを読む

      2019/08/12 by taiaka45

    • そういえば私はポワロものよりもクイーンを先に読んでいた気がします。
      ドルリー・レーンの探偵としてのキャラは全く印象にないんです…。
      アガサ・クリスティーは、ホームズを意識していたので探偵の個性を強調したかったのかもしれませんね。
      >> 続きを読む

      2019/08/13 by 月うさぎ


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