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ジャッカルの日

4.4 4.4 (レビュー4件)
著者: フレデリック・フォーサイス
カテゴリー: 小説、物語
定価: 860 円
いいね! Minnie

    「ジャッカルの日」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0


      フレデリック・フォーサイスの大ベストセラー小説「ジャッカルの日」が発表された1970年代前半は、1960年代前半にキューバ危機が起こり、その後、ヴェトナム戦争が泥沼化していくなど、まさに米ソ冷戦たけなわの頃でした。

      国際情勢が流動化する一方で、第二次世界大戦後の復興も一段落し、エネルギー問題や人口問題など経済成長の限界論も出始めていた。

      ジャーナリスト出身の作家・フレデリック・フォーサイスの作品は、内容、スタイルともに、この先行き不透明な時代の要請にぴったりマッチし、これにその他大勢の作家たちが追随することで、「国際謀略小説」や「情報小説」という一大ジャンルを築き上げるに至ったと思う。

      そして、この作品は、綿密な取材に基づいて得られた情報を核にして、壮大なストーリーがドキュメンタリー・タッチで語られるんですね。

      しかし、よくよく考えてみると、フォーサイスの作品がもてはやされたのは、決して「情報」や「分析力」が優れていたからではないと思う。

      時流に乗っただけで消えていった作家も多い中、フォーサイスと「ジャッカルの日」の名が今も燦然と輝いているのは、何よりもこの作品が、私を含めて多くの読者に徹夜を強いるほど「面白い」小説だったからに他ならないと思う。

      この作品の筋書きは、他のレビュアーの方が書かれているので省きますが、とにかく、フィクションである虚と、情報である実を巧みに織り交ぜた、優れたドキュメンタリー・スリラーの代表的傑作と呼べると思う。

      だが、それだけでは、この作品の真価を語ることは出来ないと思う。
      この点を押さえることが、まさに「ジャッカルの日」の核心部分だと言えると思う。

      確かに、この作品の出版当時は、「読者はどこまでが事実かとまどうだろう」とか、「歴史的事実の再構築といった趣がある」と言われていたそうです。

      また、この作品のやや生硬さの残る文章はジャーナリスト的で、いかにも「それらしい」雰囲気が横溢しています。
      特に、物語の導入部分は、ここだけを取り出せば、ノンフィクションの一部と言っても通じるほどだ。

      もっとも、歴史的事実を基盤にした小説は、それまでも多く存在したし、現実の出来事や人物を巧みに織り込むという手法も、取り立てて斬新という訳でもない。
      ただし、迫真性を出すために、細部の情報の盛り込み方を徹底したところが、画期的ではなかったかと思うんですね。

      しかし、それよりもこの作品が際立っているのは、まず全篇を支配する異様な緊張感で、これはドゴール大統領暗殺という題材の設定と無縁ではないと思う。

      一般に民主的な政治体制下においては、時の指導者を排除しても、政策が大きく転換したり、クーデターが成功するようなことは、まず考えられないが、この時代のフランスは例外だった。

      もしも、ドゴール大統領暗殺が成功していたら?-------。
      その仮定が有する影響度の大きさが、この作品のサスペンス性を大きく高めているのだ。

      さらに、より大きなポイントは、この物語の中心点が、人狩りのプロ同士の対決という一点から決してブレないところだと思う。
      それは、知的ゲームであると同時に、宿命のライバルの対決という冒険ロマンでもある。

      暗殺者ジャッカルは、殉教者ではなく、殺しのプロだ。
      ゆえに彼は、暗殺を実行した後に、安全に脱出しなければならない。
      ここにミステリの不可能犯罪物に似た頭脳ゲームの様相が生まれるんですね。

      ある程度の伏線は張ってあるものの、我々読者は最後まで、ジャッカルが「いつ」「どのようにして」暗殺を実行しようとするのかが判らないのだ。

      一方、死力を尽くして戦うジャッカルとルベル警視は、いつしか互いにプロとしての尊敬の念まで抱くようになる。
      著者は敢えて、ジャッカルの内面描写にほとんど筆を割かず、彼を全くの謎の人物として描き出す。

      対するルベル警視は、風采の上がらない恐妻家の小男という設定だ。
      これぞまさに、「怪人対名探偵」という、古き良き時代の探偵小説の構図だ。

      そして、この二人がいよいよ直接対決するクライマックスこそは、この作品が「国際謀略小説」や「情報小説」でもない、本当に手に汗握るサスペンス溢れる迫真の「面白い小説」であるという何よりの証左になっていると思いますね。

      >> 続きを読む

      2019/01/19 by

      ジャッカルの日」のレビュー

    • 評価: 5.0

      【暗殺物の古典的名作】
       仏の反政府組織OASは、ドゴール大統領の暗殺に何度も失敗し、組織自体かなり痛めつけられて衰退の危機にありました。
       起死回生の暗殺を成功させるためには、もはや顔が割れているOASの組織員による暗殺では成功しないと考えた幹部は、ついにプロの暗殺者を巨額の金で雇うことにしたのです。
       白羽の矢を立てられたのは、コードネーム「ジャッカル」と名乗る名うての殺し屋でした。

       ジャッカルは、OASの組織をあまり信頼しておらず、秘密が漏れないようにするために一切の計画は自分が立て、独自に行動することを要求します。
       また、OASの中でこの計画を知っている3人の幹部に対しては計画が実行されるまで身を隠して決して政府機関に拉致等されないように釘をさします。
       ジャッカルの指示通り、イタリアのホテルに閉じこもる3人のOAS幹部達。

       仏警察もこの動きを察知するのですが、一体何を企んでいるのかさっぱりわかりません。
       遂に強硬手段に訴え、OASの幹部のボディーガードの一人をとある計略にひっかけて連れだし、拷問にかけます。
       どうやらドゴール大統領暗殺のために殺し屋を雇ったのではないかというところまでは情報を得ますが、一体その殺し屋とは誰なのかはさっぱり分かりません。
       この捜査を命ぜられたのが、仏警察のルベル警視です。
       ほとんど0に近い情報から何とか計画をあぶり出そうとするルベル警視。
       各国警察にも内密に情報提供を求めます。

       一方、着々と暗殺準備を進めるジャッカル。
       その周到な計画は完璧とさえ思われます。

       とまぁ、本書はこういう筋書きなのですが、とにかく面白い!
       暗殺を成功させようとするジャッカルと、これを追う仏警察(そしてこれに協力する特に英警察)。
       行き詰まる追跡とそれをかわして暗殺に一歩、一歩近づくジャッカル。
       
       古い作品ですが、今読んでも大変面白い作品であることには太鼓判を押せます。
       未読の方は、是非!
       
      >> 続きを読む

      2019/01/18 by

      ジャッカルの日」のレビュー

    • ルパン三世?!好きでした。――五右衛門ちゃんが(笑)
      ぜひレビューしてください!
      元もかっこいいんですけどね~。スミス&ウエッソン。渋い!
      彼は圧倒的に男のファンが多いのです。寡黙で謎な感じも魅力ですね。
      原作の五右衛門は単なるネクラかもしれないですが、ああいう屈折したキャラクターは女性受けなんですよ。
      >> 続きを読む

      2019/01/19 by 月うさぎ

    • ……またくだらない物を斬ってしまった……
      私も五右衛門fanですよ~。

      2019/01/19 by ef177

    • 評価: 4.0

      フランス大統領ド・ゴールを狙う暗殺者ジャッカル。

      実在の大統領を登場させるドキュメントタッチのサスペンス。

      この作品には2つの側面を持っている。

      1つは、大統領以下、多くの実在の人物や設定を用いたドキュメンタリー的な側面。
      そして、もう1つは、純粋に暗殺者ジャッカルと、そのライバルの華麗な知恵比べである。

      前者について言えることは、当時のフランス情勢、もっと言えばド・ゴールに対しての予備知識の量により、入り込み方が大きく変わるように思う。

      恥を晒すようでは有るが、ド・ゴールの顔もパーソナリティも知らない状態で有ったため、実在の人物とは言え、感覚としては架空の人物と何ら変わりない印象になってしまったのが残念である。

      ただ、これはこの作品が持つ宿命と言えるのかも知れない。
      時間が流れるに連れ、当時のフランス大統領について知る人が減って行くのは自明だからである。

      実例としては、以前から興味を持っているジョン・フィッツジェラルド・ケネディ大統領。
      彼がダラスで凶弾に倒れたことを知る人は多いものの、(残念ながら言葉は分からないが...)彼の聴衆をこれでもかと引き込む演説の素晴らしさや、キューバ危機の華麗な裁きなどを知る人は、体感的に若い世代にはほとんどいない。
      いや、同世代でも既にほとんどいないのでは無いかと思う。

      しかし、もし、ド・ゴールについての知識を持っていたら、物凄いリアリティだろうとは容易に想像できる。

      そして、ジャッカルと追手との知恵比べ。

      これは時間を経ても全く色褪せることは無いだろう。

      結末は読みだす前に予想した通りでは有ったものの、この作品は結末ではなく、どこか紳士然としたジャッカルの天才的とも言える華麗な駒の進め方と、無骨なライバルの追い詰め方を楽しむべきではないかと思う。

      華の有る悪党。小説の中では、こんな存在は手放しで大歓迎である。
      >> 続きを読む

      2013/01/22 by

      ジャッカルの日」のレビュー

    • iceさんも読んだんですね。

      私も、ド・ゴールを少し調べてから(笑)読んでみます♪

      2013/01/22 by MissTerry

    • レビューチェックしそこない、今更気づきました。すみません。

      〉どこか紳士然としたジャッカルの天才的とも言える華麗な駒の進め方と、無骨なライバルの追い詰め方を楽しむべきではないかと思う。
      華の有る悪党。小説の中では、こんな存在は手放しで大歓迎である。

      全部賛成です。\(^o^)/

      ジャッカルはカッコいいので、もちろん好きなんですが、
      風采のあがらないルベルについても応援したくなってくるんだから
      上手いんですよね~。フォーサイスは。
      >> 続きを読む

      2013/06/07 by 月うさぎ

    • 評価: 5.0

      コードネームはジャッカル――年齢30歳過ぎ、身長約6フィート。
      超一流の腕を持つプロの暗殺屋であること以外、本名も略歴も不明。

      万人向けとは言いませんが、SDECEとかSISとか、こういう世界が好きなんです。
      任務にすべてを賭ける男の真剣な姿に美を感じてしまうんですね~(o ̄ー ̄o)

      フランスの秘密軍事組織OASは、過去6回にわたってド・ゴール首相暗殺を企てたが失敗に次ぐ失敗。
      最後の切札として起用したのがプロの「ジャッカル」

      計画実行日“ジャッカルの日”は刻々と迫る!
      果たして、暗殺は実行されるのか?


      長身で引き締まった体躯で、髪はブロンド。
      趣味がよく金を書けた服装、上品な物腰、几帳面で清潔で微笑すると白い歯がこぼれる。
      冷静で冷酷、語学堪能で、女たらしで演技力も備えたプロとして完璧なジャッカル。

      間違いなく女受けします。フォーサイスったら♡

      一方、外見的には魅力がありそうにも感じられないルベル警視。
      茶色の目、歯ブラシのような口ひげ、ずんぐりした小男で、漫画家描くところの恐妻家のイメージぴったり
      服装は野暮ったく、いつもしわだらけの背広にレインコートという格好

      こんな対照的な2人の攻防が見もの。

      読者は全て「ジャッカル」が暗殺に失敗することを知っています。

      だって、ド・ゴール首相は「史実として、暗殺されなかった」のだから。
      しかし「失敗する暗殺の話が面白いのか?」と思うなかれ。

      フォーサイス曰く「どこまで成功に近づけるかを描こうと思った」

      登場する政治家や官僚、軍人などはその多くが実在した人物で、
      作品の背景となっている事件も実際にあった事だそうです。
      ドキュメンタリー方式で詳細に多角的な目線で語られるため真偽の境目を見極めることが困難なほどリアル。
      それでいてマン・ハントのエンターテイメントとして充分に楽しめます。
      (濡れ場もあるし)

      そう。この物語は読者の想像を越えた「仮想現実」なのです。


      第一部 陰謀の解剖学
      当時のドゴール大統領を取り巻くフランスの政治、社会状況、時代のリアリティを実感させ、
      その上で、犯人しか知りえない事実が微に入り細に入り記述されていく。

      ジャッカルは暗殺のためにたった一度だけ使うために1000ポンドで特殊なライフルを特注する。
      銃の記述に関しては、プロの知識が絶対に必要でしょう。
      私などが想像力を動員しても、組み立てたライフルの特異な形状が頭に浮かんできません。(T_T)


      私の一番印象的なシーンは、ジャッカルが森の中で行った銃の試射の場面。

      木にぶら下げたメロンをド・ゴールの頭に見立てて、その額の真ん中を狙う。
      その慎重かつクールかつプロフェッショナルな行動様式の美に魅了されました。
      ただの練習ではない。
      照準を調整するため、実行においてより精度を高めるための合理的な試射なのです。
      静かな迫力を感じるシーンで、もちろん絵としても様になっている。
       
      第二部 追跡(マンハント)の解剖学
      暗殺計画はついにフランス官警に知られるところとなり、
      正体不明の暗殺者を追うルベル警視の困難な捜査が開始した。

      英国の助けを借り、ジャッカルの本名と偽名を突き止めたが、
      一瞬の間隙を縫い、取り逃がしてしまう。


      第三部 暗殺(ころし)の解剖学
      プロはプロを知る。
      ジャッカルの行動を思考を理解できるのは、同じくプロのルベルだけだった。
      クライマックスの刻々と迫る最後の一瞬に向けての追いつ追われつの場面展開。

      自らの仕事に誇りも持つがゆえに、お互いの仕事に尊敬の念さえ抱いてしまう敵同士の二人が見事に表現されています。

      ラストはさらに驚くべき真相と余韻!

      うっとりするような、すばらしいプロットに貫かれた作品です。



      【余談】
      フォーサイスは7年をロイター通信の海外特派員として海外で過ごした後、
      この「ジャッカルの日」で作家デビュー。
      処女作にして、今なお彼の最高傑作としてこの書を挙げる人は多い。


      再読してイギリス人の作品だな~という思いを強くした。
      スコトットランドヤード活躍しすぎ(^^)
      ストーリーテリングの上手さはアメリカ小説の比ではない。
      それと、ラテン民族とアングロ・サクソンの違いもね。
      イギリス人は体の接触を好まない人種なんですよね。
      ほっぺにキスなんて、ありえない!と言いたげです(≧∇≦)ノ彡 バンバン!
      >> 続きを読む

      2012/11/22 by

      ジャッカルの日」のレビュー

    • Tsukiusagiさん>

      結構時間かかっちゃいましたが、やっと読み終えました。
      ドキュメンタリー的な部分が新鮮で楽しく読めました♪

      > ほっぺにキスなんて、ありえない!と言いたげです(≧∇≦)ノ彡 バンバン!

      ですねぇ(笑)
      >> 続きを読む

      2013/01/22 by ice

    • iceさんのレビュ―も楽しく読ませていただきました。

      クールで地味な部分と対照的な犯人のカッコよさ。こういうの好きなんです。 >> 続きを読む

      2013/06/07 by 月うさぎ


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