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戯れる死者 (角川ホラー文庫)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: スティーヴン・ギャラガー
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    「戯れる死者 (角川ホラー文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      年に数回、無性にサイコ・スリラーを読みたくなる時があります。そんな時に、以前、購入して本棚の奥にひっそりと眠っていたスティーヴン・ギャラガーの「戯れる死者」(角川ホラー文庫)を取り出して、貪るように読みました。

      この小説の主人公は、不正を許せぬ正義感ゆえに、前に勤めていた警察署を追われた刑事ニック・フレイジャー。そして、今度の新しい職場で彼のパートナーとなったのは、幼馴染みのジョニー・メイズだった。

      サイコ野郎として署内では有名なジョニー。彼は勤務中に、街で不愉快な目にあうと、相手の車のナンバーを手帳に控え、それを警察のコンピュータで紹介するのだった。そうやって、相手の身元を調べては、陰湿な嫌がらせを続けていたのだ。ニックはなんとかして、そんなジョニーの行動を止めようとするのだった。

      そんなある夜、ニックとジョニーは、盗難車で逃走する不良少年たちを追跡する。暴走するジョニーはニックの制止も聞かず、少年たちを車ごとダムへ追い落としてしまう。そして、ニックが車を降りた後、ジョニーも運転を誤りダムへ転落してしまう。翌日、川から引き上げられた車の中に、ジョニーの姿はなかった。

      奇跡的に助かったジョニーは、完全な異常者になっていた。彼は自分の手帳に控えてある人物を、次々と狙い出したのだ。そして、驚くべきことに、ジョニーの手帳の最後にはニックの名前があったのだ-------。

      読み終えて思うのは、この作品のテーマは恐らく、"転落すること"だろうと思う。この物語の序盤では、ちょっとオカシイ奴だったジョニーが水中に落ちて、完璧な異常者となって生還する。

      そして、生還後のジョニーは記憶もほとんど失っているが、手帳の意味だけは忘れていないのだった。品行方正とは言えないまでも、一応は警官だったジョニーが、生還後は殺人者へと"転落"してしまう。つまり、この作品の原題である「DOWN RIVER」からも分かるように、川への転落と人間ジョニーの転落を引っかけているんですね。

      幼馴染みでありながら、ちょっとした資質の違いで、まったく違った道を歩んでしまった二人の悲しみが、この作品の全編に渡ってよく描かれているので、サイコ・スリラーとは言いながらも、ちょっぴりセンチメンタルな気分になってしまいます。

      そもそも、ジョニーが警官になったのは、幼馴染みのニックに憧れていたからだし、ニックがパトカーの模型を持っていたというだけの理由で、自分もそれを父親にねだったという幼少時のエピソードなど、ジョニーには心底、憎めない部分も多いんですね。

      わがままな子どものまま、大人になってしまったというところが、ジョニーという人間の最大の悲劇だったのではないかと思えてなりません。


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      2018/03/12 by

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