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ナポレオン狂

3.0 3.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 540 円
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第81回 直木三十五賞
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    「ナポレオン狂」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 評価なし

       阿刀田高さんの文章は、妙な熱気のようなものがあります。
      この『ナポレオン狂』は、昭和40~50年代に書かれた短篇小説集です。

       13編の短篇ですが、どの短篇も最後の数行で「あっ!」という逆転の連続で、「驚き、すとんと腰がくだけてしまうような余韻」が見事に詰まっている短篇です。

       短篇は文字数が限られているため、出だしでさっと読者をひきこまなければならない難しさにあると思います。
      表題作となった『ナポレオン狂』では

      「気と正常とは、ある明確な一線を堺にしてキッカリと左右に峻別されるものではあるまい。
      もちろん大部分の人間は完全に正常であり、またひとめで狂気とわかる人間もいる。
      だが、その境界線あたりに位置するというのも当然存在するはずである。」

       つまり、出だしの文章でこの物語の骨子をすでに手際よく語ってしまっていながらも、「私」が出会った、ナポレオンが好きを通り越して「ナポレオン狂」とでもいいたいぐらいの収集家との出合いにつながります。

       犯罪を扱ったミステリ短篇が多く、『来訪者』は、赤ちゃんという新しい家族が増えてきた中に入り込もうとする「来訪者」が不気味で、執拗なところがラストの逆転の伏線となっています。

       昭和の時代の短篇集ですが、エスプリ、ユーモア、アイロニーといった少々、ひねくれた味付けでありながら、匂いたつような空気を持つ短篇は今読んでも十分に読み応えがあります。

       ただただ「面白いもの」では単なる娯楽で終わってしまいますが、その先に鋭い人間心理、行動の観察というものがあるので、読み終わった後の余韻がたっぷり。それが13編もあるなんて贅沢な一冊だと思います。
      >> 続きを読む

      2018/07/04 by

      ナポレオン狂」のレビュー

    • 夕暮れ 様

      いつも読み応えのある、素敵なレビューを読ませていただいています。
      その、いつも鋭く、示唆に富んだ、斬新な見方には敬服しています。

      阿刀田高という作家は、私も好きな作家のうちのひとりで、いつもゾクッとさせる"奇妙な味"の小説を書く、短篇小説の名手だという印象を、強く持っています。

      短篇小説という短い作品の中に、ブラックユーモア、諧謔、風刺を効かせた、彼の作風に魅かれるんですね。

      この短篇小説には、長篇小説と違って情報という名の余分な詰め物がない分だけ、小説としての純度が高く、それだけ純粋に小説を楽しむことができるのではないかと思っています。

      そして、阿刀田高の持ち味である、"奇妙な味"こそ、ミステリのトリックのある種の行き詰まりを打開する新しい方法になっているのではないかと思っています。

      加えて、この作家には、ブラック・ユーモアの他にキラリと光る何かがあるような気もします。
      その何かというのは、例えば、この「ナポレオン狂」の結末に見るように、残虐性や暗さのないことで、どこまでもクールで陰惨さがないんですね。

      >> 続きを読む

      2018/07/04 by dreamer

    • dreamerさん
      コメントありがとうございます。

      阿刀田高さんの短編は、まさに奇妙な味ですね。
      もう、昭和の短編集ですが、今読んでも十分に楽しめます。

      あくまでもブラック・ユーモアであって、残虐ではない、そういった所はこの作家の巧さだと思います。
      シクラメンの花のあのむっとするような、決して良い香りとは言えないけれど、熱気のある、しめったような香り。

      忘れられないでいて欲しい作家ですね。
      >> 続きを読む

      2018/07/05 by 夕暮れ


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