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日和下駄,一名,東京散策記

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 評論、エッセイ、随筆
定価: 1,029 円

「一名東京散策記」の通り「江戸切図」を持った永井荷風が、思いのまま東京の裏町を歩き、横道に入り市中を散策する。「第一日和下駄」「第二淫祠」「第三樹」「第四地図」「第五寺」「第六水附渡船」「第七路地」「第八閑地」「第九崖」「第十坂」「第十一夕陽附富士眺望」の十一の章立てに、周囲を見る荷風の独特の視座が感じられる。消えゆく東京の町を記し、江戸の往時を偲ぶ荷風随筆の名作。

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    「日和下駄,一名,東京散策記」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0


      永井荷風の随筆集「日和下駄」は、その書き出しが印象的だ。
      「人並はずれて丈が高い上にわたしはいつも日和下駄をはき蝙蝠傘を持って歩く」。

      片手に蝙蝠傘を持ち、もう片方の手には江戸の地図を携えて、東京の裏町を歩きに歩いた。
      その健脚ぶりを、この本の解説で「東京の町をこれほどよく歩いた文学者も珍しい」と書かれているが、確かに荷風の東京の町に対する愛情がうかがえて、実に興味深い。

      この随筆集の「日和下駄」は、まだ荷風が「腕くらべ」も「おかめ笹」も書いていない36歳の時の作品で、作家として名を成しているわけではなかった。

      その代わりに、とても若々しく、激しいばかりの創作の意志を、この一冊に読むことができる。

      荷風の「日和下駄」といえば、裏町を訪ね歩きながら、近代化によって東京から失われつつある「江戸」という過去をしのぶ随筆と、あっさり要約されがちだ。

      しかしこれは、見事なほどに絵画的で、構成的で、りゅうとした西洋文学の骨格を感じさせる、新しい文学になっていたと思う。

      例えば「寺」の項では、寺の門を額縁に見立て、境内をうかがう。
      そして進み入ってから振り返り、境内からその門の外を眺めてみる。

      同じく「路地」の項では、狭くて暗くて湿っぽい路地に立って、燦燦と光を浴びて、賑やかな表通りを見はるかす。

      そして、夜ともなれば、真っ暗な路地裏から表通りの灯火を見る。
      これらのコンポジションの斬新さ、面白さ。

      思えば、フランスから帰朝して、何年も経っていない頃だ。
      文学への若い意欲が漲っていると思う。

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      2019/11/20 by

      日和下駄,一名,東京散策記」のレビュー


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