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照柿

3.0 3.0 (レビュー1件)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 2,100 円
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    「照柿」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      八月。八王子のホステス殺しを捜査していた警視庁捜査一課の合田刑事は、居合わせた鉄道事故現場で佐野美保子という人妻に出会い、人目惚れする。

      同日、かつて美保子の恋人だった野田達夫も現場近くの工場に出勤途中、彼女と再会した。
      彼は夫との生活に疲れたと言う美保子に、昔のヨリを戻そうと決意。
      父の葬式に大阪の実家へ帰るついでに、二人で旅を楽しもうと彼女を誘う。

      翌日、出張でやはり大阪に向かった合田は東京駅で幼馴染みの野田が、美保子と逢引きしているのを目撃。
      その夜、大阪で逢った二人は、激しく言い争うのだった------。

      「マークスの山」などでお馴染みの合田刑事が主人公の犯罪サスペンス小説だが、人間という深遠な謎も提示され、この作品「照柿」は、もはやミステリと純文学の垣根を越えていると思う。

      それぞれ人間の業を背負った男と女が、冒頭から動きまわり、世情の厳しい風が吹き抜ける、凄い小説だ。

      合田とその幼馴染みの野田達夫の日常から凶行への"不眠の68時間"は、その昏く熱い情念によって、我々を捉えて離さない。
      言ってしまうなら、そこには我々自身がいるのだ。

      絶望という箱船に乗りながらも、虚飾と欲望の中で生き、秩序に絡めとられ、身動きならない我々がいるのだ。
      正義も夢も愛さえもない。
      醜く卑小な存在としての自己。

      神なき世界の虚無という、行き場のない暗い森を彷徨する合田と野田、そして我々。
      そこでの罪は、必然として許されるのか?------。

      「君が今、浄化の意志の始まりとしての痛恨や恐怖の段階まで来たとしたら、そこまで導いてくれたのは佐野美保子であり、野田達夫だった------」。

      犯罪を、そしてそれを犯すものを内なる自己とせざるを得ない主人公・合田雄一郎の業苦は、言い替えるならば、作者である高村薫自身の業苦なのかもしれない。そして、我々自身の------。

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      2018/04/17 by

      照柿」のレビュー


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