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台所のおと

5.0 5.0 (レビュー2件)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 540 円
いいね! niwashi

    「台所のおと」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 評価なし

       この短篇集では、病気と食べ物と家族、夫婦がクローズアップされます。

       「台所のおと」は、料理人をしている佐吉という男が病気で寝込む。3人目の妻である、あきが立てる台所のおとに敏感になる佐吉。

       料理を味ではなく、音で表現、出来たものでなく作る課程でたてる音に敏感に、粗雑だ、とか、丁寧だとか何を洗っていると敏感にならざるを得ない病気で寝ている身という設定にうなる。

       これが普通に働いている時はそんなに気にならなかったでしょうが、台所の鍋を、食器を扱う音に耳をそばだてる夫。それが料理人という仕事である怖さ。

       前の2人の妻が料理で、台所でたてる音は佐吉にとっては、耐えがたい、許しがたいものでした。

       「食欲」という短篇では、やはり病気になった夫を看病する妻がでてきます。

       夫婦といっても、もう離婚を考え始めたような微妙な時に、結核で夫は病院に入院。かいがいしく看病し、入院や薬や手術の費用に奔走する妻。何度も、妻はもう嫌だな、なんか急にかいがいしくなる自分が嫌だ、と思うのですが、わがままを言って困らせる夫。

       最後に手術が成功して、快方に向かう時に、夫がみせる食欲は、「自分しか考えてない」そのもので、この夫婦のあやうさを旺盛な食欲でもって描きます。

       美味しいとか、見た目がきれい、といった結果や表面でなく、その作る課程の音や食欲の影にある思惑、人間の食欲というものを別の面から、冷静に見つめ、描写する。

       また、匂いや温度など体感といったものの使いかたの上手さもあります。

       「草履」という短篇で息子の病気に苦労する母が出てきます。
      その母は、金策に苦労する訳ですが、最後にはなんともいえない余韻を持ちながらもおさまるところにおさまる。苦労というものをさんざしてきた女の内面の言葉で短篇は終わっています。

       「若い女のひとは、春の感じの人も秋の感じの人もいます。
      それがおばあさんになると季節から外れて、無季の女といったふうになります。私は当分、焚火のにおいを身につけている女でありたく思うのです」

       若い頃、知らず知らずに季節感を体から出している女たち。そして焚火のにおいを身につけている女になりたいと願う、ささやかだけれども的確な言葉でもってその気持を表す。

       幸田文のこの短篇集の女たちは、若さを謳歌する、というより焚火のにおいを身につけている女たちです。
      >> 続きを読む

      2018/07/08 by

      台所のおと」のレビュー

    • 評価: 5.0

      女はそれぞれ音をもってるけど、いいか、角だつな。
      さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。

      料理人の佐吉は病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変ったことに気付く・・・

      音に絡み合う女と男の心の綾を小気味よく描く表題作。
      他「雪もち」「食欲」「祝辞」など十編収録。

      これも再読。

      なんていえばいいのか分かりませんが。
      文章がつるつる読めます。

      リズムもあり、スムーズに読めるんだけど、
      その読みやすさの中に
      いくつかの感情の綾みたいなものが
      そっと忍びこませてあって

      はっと互いの心情の機微に
      気がつかされるのは、脱帽の一言です。

      本当に、静かに耳をすませるように
      文章を読んでいくと
      より味わい深くなるというか。

      また、年を経て読み返すと
      違った味わいを感じそうで
      楽しみです。
      >> 続きを読む

      2013/07/21 by

      台所のおと」のレビュー

    • > 料理人の佐吉は病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変ったことに気付く・・・

      こういう「職人ならでは」みたいなエピソードが好きです。

      本当の匠の技って言うのは、科学では解明できない領域に存在するんじゃないかと思っています。
      >> 続きを読む

      2013/07/21 by ice

    • >さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。

      にぎやかでそうぞうしいのがボクの音だw

      2013/07/21 by makoto


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