こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

不発弾

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 520 円
いいね!

    「不発弾」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 3.0

      退屈な日常から逃れられるきっかけなんて、どこにでも転がってる。
      デパート勤務の的場智明は、地味な売り場での仕事に耐える日々を過ごしていた。
      そんな折、息子や娘の、“秘密”を妻までが一緒になって隠していたことに気づく。
      たまりにたまった憂さをはらすために彼がとった行動とは。
      表題作など、現代人の心境を的確に捉え見事な筆致で描く、秀逸短編集。


      短編六本。
      どれも秀作でした。

      『かくし味』
      いつも人気で座るスペースもない人気の居酒屋。
      老夫婦が営むこの居酒屋の名物は煮込み。
      一度食べたら病みつきになると評判の煮込みを目当てに主人公は居酒屋通いを始めますが、飲み友達が次々と亡くなっていくうちに、不気味さを覚えて…。

      ザワザワしながら読みました。
      乃南さんは怪異譚も非常に上手です。
      名物の煮込みの秘密に迫っていく過程が、軽妙でスリリング。
      居酒屋の老夫婦の佇まいも、その言動とは裏腹に何とも不気味ではありました。

      『福の神』
      女将が不幸な結婚から、女手ひとつで板前・使用人を五人も使うまでに育て上げた小料理「茜」。
      通うお客には上客もいれば、他の客からも疎まれる嫌な客もいて。
      仕事の憂さを静かに晴らすはずの小料理屋で繰り広げられる、昼間の仕事の延長戦。
      そんなお客のやりとりにドラマを感じていた女将が、ある日出会った僥倖とは。

      一転して市井の人情話です。
      「生理的に受け付けない異性」に対するサービス業の苦労や、無能で虚勢ばかりの男の、その「仕事の出来なさ」を上手に文章にしています。
      どこかで経験したの?と聴きたくなるくらい。
      最後に嬉しい仕掛けがありますが、それが無くても、そこまでの物語で十二分に楽しめる、これも逸品です。


      表題作も面白く読みましたが、僕が気に入ったのは上記の二作。
      ほかの作家さんの長編を読んでいる合間の箸休め的なものとして、一本ずつ読もうか、と思いつつ気軽に読み始めましたら、最後までサラッと読み終えてしまいました。

      解説で香山二三郎さんも指摘なさっていますが、乃南さんが優れた書き手たりえているのは、女性小説・家族小説という作風を崩さずにいるところだと思います。
      無理をして未知の領域にやみくもに踏み出すのではなく、確かな取材と自分の経験や感覚の中から得られるものを、より深く丁寧に表現されています。
      新鮮味といった点でどうかと思われそうですが、短編でも長編でも失敗を恐れず、読後感を安心して読み始められる作家さんって、そうはいません。
      >> 続きを読む

      2014/09/23 by

      不発弾」のレビュー

    • 『かくし味』が読んでみたいです!
      不気味なストーリーとか好きなんですよね。
      ザワザワしたいです笑。 >> 続きを読む

      2014/09/23 by chao

    • >chaoさん

      いつも、コメントありがとうございます。

      きっとこの煮込みに何かあるぞ~という緊迫感がたまりませんでした。
      「煮込み」を食べ続け、ついに底が、底が見えて…
      ザワザワ、ゾクゾクしながら読みました。
      その鍋の底には…
      >> 続きを読む

      2014/09/23 by 課長代理


    最近この本を本棚に追加した会員

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    フハツダン
    ふはつだん

    不発弾 | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    ジョヴァンニの部屋 (白水Uブックス (57))

    最近チェックした本