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猿丸幻視行

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 750 円
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第26回 江戸川乱歩賞

奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき―百人一首にも登場する伝説の歌人、猿丸太夫が詠んだ歌に秘められた謎。そして“いろは歌”に隠された千年の暗号とは?友人の不可解な死に遭遇した、後の民俗学の巨人・折口信夫の若き日の推理が、歴史の深い闇をあぶりだす。江戸川乱歩賞受賞の永遠の傑作。

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    • 評価: 5.0


      大好きな歴史ミステリの一篇、井沢元彦の第26回江戸川乱歩賞受賞作「猿丸幻視行」を読了。

      この作品の探偵役は、何と国文学の権威、折口信夫だ。まず、著者のその度胸に脱帽だ。
      実在の人物を探偵役に据えることは珍しくないが、折口信夫は単に歴史上の人物というだけでなく、様々な著述を残し、その思索のスタイルが強烈な印象を残す人物だ。

      下手をすれば、こんなのは折口信夫ではないということになってしまう。
      私はワクワクしながらも、心配しつつ読み始めましたが、どうしてどうして、読んでいるうちに作中の折口信夫を、さしたる違和感もなく受け容れてしまっていたんですね。

      実に用意周到に「若き日の折口信夫」という設定を行ない、それを含めて、著者の配慮は行き届いていると思う。

      この折口にシャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロの真似をさせたりしないし、ここにいるのは、民俗学の権威・柳田国男でないのも確かなのだ。

      物語は、現代に始まる。「猿丸大夫伝説に関する一考察」という自身の博士論文を読み直していた香坂明に、製薬会社のバイト話が持ち込まれる。

      過去へとトリップする薬の被験者にならないかというのだ。
      香坂は、その薬で明治42年当時の折口の意識と同化することになる。

      若き折口は、「猿丸額」という木片に記されて猿丸一族に伝わる暗号に出会い、その謎を追って宇治川上流の「猿丸の里」へ乗り込んで行く。

      祭りの夜に怪しげな儀式が行われるうちに、折口の眼前で一つの不可能犯罪が発生する。
      そして、渦巻く謎の中心には、千年もの間、歴史の裏面に隠されていた秘密があったのだ-------。

      この作品の骨格をなすのは、梅原猛の「柿本人麻呂刑死説」や「人麻呂、猿丸同一人説」、そして篠原央憲の「いろは歌」についての分析なのですが、そういった学問上の成果を反論も交えながら、折口の時代へ無理なく取り込む方法として、C・ウィルソンの「賢者の石」を思わせるようなSF的趣向を導入する手際は鮮やかだし、展開される歴史的な蘊蓄も実に楽しく、伝奇小説の味わいもあるんですね。

      歴史がある意味で、物語=フィクションであるなら、歴史ミステリとは、メタ・フィクションとしての探偵小説にとって、必然的においしい分野なのかも知れません。

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      2018/11/05 by

      猿丸幻視行」のレビュー


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