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ヘヴン

3.7 3.7 (レビュー4件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 580 円

“わたしたちは仲間です”―十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。苛められる者同士が育んだ密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。葛藤の末に選んだ世界で、僕が見たものとは。善悪や強弱といった価値観の根源を問い、圧倒的な反響を得た著者の新境地。芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞ダブル受賞。

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    「ヘヴン」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      冷たい眼でみるとキモカップル。
      しかし泣けてくるようなピュアなイジメられっ子同志のカップル。
      このピュアさに心打たれました。
      読んでいくうちにどんどんハマってきます。

      こういうの読んでるときって映画も好きなもんだから役者が演じているのを想像したりすることが多い。
      イジメ描写にしても映像化はできるにしても「汚い女子」はまだしも所謂「ロンパリ」なんか難しいでしょう。
      コンタクトつけたり画像処理すればいいのかな?

      そんなことはいいとして、コレ中盤までは満点の出来。
      終盤までになんだか急いだ感じがして前半の丁寧さが帳消しな印象。
      百瀬くんとの対話は都合が良すぎてしまってそこからがなんだか個人的には「?」な部分だったり。
      しかし展開のしようがないのでまぁ、こんな感じになるんでしょうね。
      2人の中学生カップルのピュアさが魅力の全てです。

      ストーリーに満点ってほどでもないんだけど忘れられないような内容の良い本だったと思います!
      >> 続きを読む

      2018/07/11 by

      ヘヴン」のレビュー

    • 評価: 4.0

      強さってなんだろう。いじめに耐えている中学生である「僕」が向き合うことになる、本書の重要なテーマのひとつである。
      このことについて、ふたつの対立する価値観が主人公を板ばさみにする。ひとつはコジマの価値観で、もうひとつは百瀬の価値観だ。

      コジマは僕と同じくいじめられているクラスメイトの女の子だ。手紙を中心に交流を深めていくなかで、すべての苦しみはいつか救われるのだと信じていると話す。いじめの原因は離れて暮らす父を忘れないためにあえて汚い格好をしていることなので少し小ぎれいにすれば済む話なのだが、彼女は自分の信念を貫こうとする。後半では苦しみを引き受けることの覚悟が完全にできていて、傷つけられて笑みすら見せる姿からは聖女のような静かな力強さを感じた。
      一方の百瀬はいじめ主犯格の取り巻きだが直接手を下すことはせず、主人公に対して無関心である。正しいかどうかは問題でなく、現実の力関係こそが真理だと主張する百瀬は、人物というよりは記号がしゃべっているのかと思うくらい冷静だと思った。

      どちらも少し極端なので共感しづらい部分はあったが、しいて言えばコジマのほうがより高い次元での強さをもっている印象を受けた。本書の内容とはずれるが、中学生のとき「天使たちのシーン」(小沢健二)の歌詞「神様を信じる強さを僕に 生きることをあきらめてしまわぬように」の部分にどきっとしたことを思い出させられた。

      斜視であることをからかわれていた主人公は医者から簡単に手術で治せると聞き、葛藤する。斜視から解放されて新しい自分を手に入れたい一方でコジマに対する申し訳なさやいじめに屈したことにならないかといった気持ちがせめぎあう。
      結果としてコジマは僕のもとを離れることになるが、医者が話していたように斜視だったことを忘れることはあっても、コジマという大切な友達がいたことはずっと忘れないでほしいと思った。
      >> 続きを読む

      2017/02/19 by

      ヘヴン」のレビュー

    • 評価: 4.0

      大きく言うといじめの話だけれどもその枠にはまりきらない話だと思う。
      いじめてる側の言い分がものすごくちゃんと述べられているくだりがあって、もっともだ、と思いそうになるがなんというかリクツ的に合っているのか?という気になって、でも結局世の中で起こっているいじめは理詰めで起こっているわけじゃないしな、、、とか考えた。

      2016/02/09 by

      ヘヴン」のレビュー

    • 評価: 4.0

      苛めを受けている僕のもとに、差出人不明の手紙が届く。

      裏表紙に書かれていることから想像したよりも、遥かに重く苦しい内容だった。
      苛めの描写が残酷なこともあるが、それよりも僕とコジマの友情が、妙に捻れていく様がもどかしく哀しい。

      手術を受け、美しい世界を見ることが出来るようになったとき、隣りで同じ世界を見る友はいない。

      文体は読みやすく、薄い本なので苦もなく読み終えられるが、読後感は独特で、のしかかるような重さのある一冊だと思う。
      >> 続きを読む

      2015/03/18 by

      ヘヴン」のレビュー

    • いじめのお話、色々考えさせられそうです。

      2015/03/19 by coji

    • cojiさん
      コメントありがとうございます。

      苛めをするひとって、ある意味体力あるなあと感心したりしました。
      >> 続きを読む

      2015/03/19 by jhm

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      講談社 (2009/09)

      著者: 川上未映子

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      • 評価: 5.0


        川上未映子の第20回紫式部文学賞受賞作「ヘヴン」を時間をかけて読み終えました。

        ギリシャ神話に、神々の怒りをかって山頂まで岩を運び上げる、永遠の苦行を科されたシーシュポスの挿話があります。

        岩は頂上に達するや、その重さで落下。つまり、シーシュポスは決して成就されることのない"無間地獄"を生き続けなくてはならないのです。

        カミュは、彼の哲学的エッセイ「シーシュポスの神話」の中で、しかし、この地獄を絶望とはとらえていません。

        死に反抗し、生きる情熱を燃やすシーシュポスの「神々を否定し岩を持ち上げるという至高の誠実」を讃え、永遠に岩を運び続けなくてはならない苛酷な運命を「すべてはよし」と判断し、頂上を目指す闘争を止めないシーシュポスこそが、人間の自由や勝利の象徴であると説いているんですね。

        今回読了した川上未映子の「ヘヴン」には、このシーシュポスのような人物が登場します。
        それは、斜視のために惨い苛めにあっている十四歳の「僕」に、「わたしたちは仲間です」という手紙を送る同級生のコジマ。

        彼女もまた「家が貧乏であること、不潔だということでクラスの女子から苛められている生徒」です。
        コジマは、自分がこんなふうに汚くしているのは、真面目で優しい人なのに貧乏から抜け出せず、挙げ句、妻から三行半を突きつけられた父親を忘れないためであって、「これはわたしにしかわからない大事なしるしなんだもの。お父さんがどこかではいてるどろどろの靴を、わたしもここではいてるっていうしるしなのよ」と「僕」に明かします。

        そして、自分を苛める子たちには「こんなふうな苦しみや悲しみにはかならず意味があるってこと」が何もわかっていない、いくら虐げられても抵抗をせず、「わたしと君が、いまもそれぞれの場所で守りながら立ちむかってることが、美しい弱さなの」と語りかけるんですね。

        そんな、「僕」を折伏するかのように熱弁を振るうコジマの対極に、著者の川上未映子は、苛めグループの一人、百瀬というニーチェの「善悪の彼岸」にかぶれたような"思想"の持ち主を置き、苛めの「意味なんてなにもないよ。みんなただ、したいことをやってるだけなんじゃないの。---君だってさ、やりたいことってなにかあるだろう?---基本的に働いてる原理としてはだいたいおなじだよ」

        「みんながおなじように理解できるような、そんな都合のいいひとつの世界なんて、どこにもないんだよ」

        「弱いやつらは本当のことには耐えられないんだよ。苦しみとか哀しみとかに、それこそ人生なんてものにそもそも意味がないなんてそんなあたりまえのことにも耐えられないんだよ」

        「地獄があるとしたらここだし、天国があるとしたらそれもここだよ。ここがすべてだ」と語らせます。
        そして、コジマと百瀬の"思想"の間に、「僕」と読者を放り込み、ここに在る悲しみについて考えさせるんですね。

        息詰まるほど酷たらしく、リアルな苛めの描写の合間に挿入された、そうした対話や長いモノローグがもたらす深い精神性が、十四歳の小さな世界を大きく広げ、総合小説の結構を備えるに至っていると思う。

        なかでも、私が強く感じたのは、この作品の中で描かれる、カミュの「すべてはよし」にも繋がる"美しい弱さ"に拘泥するあまり、自らをどんどん、どんどん追い込んでいくコジマの姿であり、たった十四歳の少女にシーシュポスの責め苦を与える世界の残酷さです。

        「僕」のある告白によって、コジマが精神を失調させていき、やがて、美しい、しかし、ひどく痛ましいシーンを迎える八章は圧巻だ。

        感情と理性、双方から心を激しく揺さぶられる、そんな稀有な体験ができる紛うことなき傑作と呼べる作品だと思う。

        >> 続きを読む

        2019/01/15 by

        ヘヴン」のレビュー

      • dreamerさん、どうもありがとうございます!
        慣れないことばかりで大変とも思いますが、それ以上に我が子が愛しくて。
        それと、育児の合間にレビュー読ませてもらうのがますます楽しみになっています。
        これからもたくさんの本をご紹介下さいね。
        >> 続きを読む

        2019/01/18 by あすか

      • あすか 様

        時間というのは不思議なもので、時間の奴隷になるのか、あるいは時間を支配するのか、意識の持ち方ひとつで変わるものだと思っています。

        時間が短ければ短いほど、1分1秒がまさしく貴重で輝くような時間に思えてきます。

        このひとりの人間に与えられた時間というのは、限りあるものですので、それだからこそ、無駄にせず、充実したものにしたいと日々思いながら過ごしています。

        あすかさんも、今までよりご自身の自由な時間というのが、確かに短くなるとは思いますが、逆により濃密な時間を獲得、活用することが出来るのではないかと思います。

        私もこれからも、自分なりに触発された本、感動した本、愉しく尚且つ面白かった本などのレビューをしていきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。

        >> 続きを読む

        2019/01/18 by dreamer


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