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シューマンの指

3.2 3.2 (レビュー1件)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 680 円

音大のピアノ科を目指していた私は、後輩の天才ピアニスト永嶺修人が語るシューマンの音楽に傾倒していく。浪人が決まった春休みの夜、高校の音楽室で修人が演奏する「幻想曲」を偶然耳にした直後、プールで女子高生が殺された。その後、指を切断したはずの修人が海外でピアノを弾いていたという噂が...。

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    「シューマンの指」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      面白かった。「シューマン」という作曲家をこんなに愛する人がいるのか、シューマン論に打たれた。
      その上、ミステリで、青春の追憶で、最後まで読まないではいられない、手法、物語の巧みさに、何度も読み返したくなる本だった。

      作者のシューマン論は、音楽の雰囲気を楽しむだけの、ただの音楽好きの私には、こういった楽譜やコードについての分析はわからないままだけれど、それなりに音楽の世界についての知識を深めさせてくれた。

      この物語は、読んだ後になって、納得できる部分が少なくない。

      そしてシューマンの生き方や、音楽論の中に、作者の深い意図が隠されているという、素晴らしい構成になっている。

      ドイツに留学した友人からの便りで始まる。
      右手中指の先を失った長嶺修人が、シューマンを演奏するのを聞いたというのだ。その上、なくなった指が揃っていたのを確かめたといってきた。

      それを契機に語り手の回想が始まる。

      まるでシューマンの生まれ変わりであるかのような長嶺修人は、すでに名のあるコンクールで優勝もし、公にも知られる存在だった。

      長嶺修人が指を失った事件が起きる。
      彼が美青年で天才であるに関わらず、あまり見栄えのしない彼女を連れていた。
      そして、師事している先生とは男色関係にあると思われた。

      彼と同じ高校で私は、彼に傾倒し、彼への関心はある意味で狂気を帯びていた。

      長嶺修人のシューマンを三度聞いた、と何度も延べている。
      高校の音楽室で長嶺修人の弾く「幻想曲 作品17」を窓の外で立ち聞きしていた。その時プールで女学生が殺される。

      後年、便りで知ったように、無くなったはずの長嶺修人の指はどうなったのか、肉体再生の秘話なども披露されているが。

      このプール脇の殺人のあとは、犯人当ての楽しみも生まれてくる。

      「シューマンの音楽には、いつも違った世界が響いているような気がする」という意味の言葉を含め、長嶺修人と私(語り手)の、一時期の濃密な交わりが詳細に記されていく。

      これは、二人のピアニストがシューマンにとり憑かれた物語である。

      回覧して、いつか本にしようとした5冊のノートの後部で、途切れていた記述は、6冊目になって私の最後の文章で埋められていく。

      一度だけでなく読み返したい、優れた音楽小説でありミステリだった。ただ、ミステリ愛好家にとってはこれほど語るとどうなのだろう。

      実に素晴らしい謎が、重層な物語になっている、これを作り出した、同じ作者のものをもっと読んでみたい。
      >> 続きを読む

      2014/11/12 by

      シューマンの指」のレビュー

    • >これは、二人のピアニストがシューマンにとり憑かれた物語である。
      これがショパンとかリストなら想定内なんですが、シューマンとは。
      と私などは思ってしまいます。
      奥泉さんという作家さんはいつも徹底的に凝る人なんですね~。驚きました。
      >> 続きを読む

      2014/11/12 by 月うさぎ

    • 月うさぎさん

      何時もありがとうございます。
      そうですね、ショパンやリストだったら、読者評もすこしはお手柔らかかったかも知れません。ほかに理由があったとしても、特にシューマン論に話が集まってますからね(^^)。
      でもお手軽でなくても良かったし、好きなことで話したいのが人情かなとも思います。私はシューマンも好きですし。奥泉さんとは類友でしょうか('-'*)

      ピアノコンチェルトでもチャイコフスキーは最も知られていて、好きですが、シューマン、ラフマニノフ、ベートーべンなどなど、友達が敬遠しても聴きにいってました。最近はちょっとわけあってオーケストラを聴いてなくて、テレビでN響なんです。
      >> 続きを読む

      2014/11/12 by 空耳よ

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      • 評価: 3.0

        あまり読まないミステリーですけど、話題本で
        そして題の「シューマン」に魅せられて遅まきながら、購入。

        最後での謎解きがおもしろいと云われているが、私はそれまでの音楽的な話が好き。
        それも、大好きなシューマンなれば、ミステリー本というより、楽曲の解説があったり、
        心の奥まで音楽にて表現したいというシューマン自身の人間性まで見えてくる。

        音楽本としての喜びの方が勝っている。

        シューマンのピアノ曲なんぞ結構、穴で、CDを探しても手元にあるのは、
        NAXOSのパウル・グルダの一枚のみ、再び聴くと結構イケる。
        作中で、語る「シューマンは小曲集で、ソナタを書いたんだ」と,
        ストーリー性のある作品群は興味あるところ、今年は続けての音楽本。

        音楽、それもレアなシューマンの室内楽を聴きたくなった、「シューマンの指」でおました。

        引っぱり出して聴いたSchumannの室内楽・CD

        ・「クライスレリアーナ・花の曲・森の情景」(P)パウル・グルダ
        ・「オーボエとピアノの為の作品集」(OB)ホリガー・(P)ブレンデル
        ・「室内楽集」(P)アリゲリッヒと仲間たち
        ・「ピアノ三重奏曲集」 Trio 8
        >> 続きを読む

        2013/06/19 by

        シューマンの指」のレビュー

      • やはり、白い鍵盤の上の血痕?は印象的ですね。

        2013/06/20 by ice

      • >音楽本としての喜びの方が勝っている。

        ミステリーなのに音楽本になりうる程に深く書いてあるんですね! >> 続きを読む

        2013/06/20 by adachidman


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